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研究体系図

障害者職業総合センター研究部門では、みなさまに研究成果を幅広く活用して頂くために、調査研究報告書及び資料シリーズ(以下「報告書」という)で取り組まれた研究課題の体系化を行いました。
体系図は以下の2種類があります。ひとつは「職業リハビリテーション活動との関係」という観点からまとめたもの、もうひとつは「国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health: ICF)との関係」という観点からまとめたものです。

職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図

上図は、職業リハビリテーション活動を"個人や環境の変化を促すことで個人の職業生活への参加を支援する活動"と定義した上で、各研究課題領域(似ている研究課題同士からなるカテゴリ)を下記の要素に関連づけて示したものです。

個人
職業リハビリテーション活動の対象のひとつです。この要素に関連づけた課題領域は "状況の把握に関する研究"と"支援に関する研究"に大別できます。
環境
職業リハビリテーション活動の対象のひとつです。この要素に関連づけた課題領域は"状況の把握に関する研究"と"支援に関する研究"に大別できます。
職業生活
個人と環境の相互作用の結果としての"個人の職業生活への参加状況"を表します。この関係性を個人と環境の双方から矢印を受けることで表しています。
社会政策・制度・展望
職業リハビリテーション活動に影響を与え、影響を与えられる要素です。

ICFによる課題領域の体系図

ICFモデルの図。ICFは人が「生きる」ことを6つの要素(「心身機能・身体構造」「活動」「参加」「健康状態」「環境因子」「個人因子」)に分析・整理し、それらの間の関係を相互作用において総合的にとらえるものである。

上図は、各研究課題領域を下記のICFの構成要素に関連づけて示したものです。

健康状態
病気、けが、妊娠、加齢、ストレス状態など生活機能に影響する状態のことです。
心身機能・構造
活動を支える身体・精神の機能や構造のことです。
活動
目的を持った一連の行動(職務など)のことです。
参加
家庭や社会に関与し、役割を果たすことです。
環境因子
物的な環境や社会的な環境のことです。人々の社会的な態度やサービス・制度・政策なども含まれます。
個人因子
年齢、性別、生活歴(職歴も含む)、価値観など、その人固有の特徴のことです。

ただし、ICFが構成要素間の相互作用を前提としているように、ある研究課題が特定の要素に関連づけられているからといって、その研究課題が特定の要素のみを研究していることを意味しているわけではありません。この図では、あくまでも「どの要素に焦点を当てた研究なのか」という観点から関連づけていることにご注意ください。
ICFの目的の一つは、さまざまな専門分野や異なった立場にある人々の「共通言語」として役立つことにあります。この図は職業リハビリテーション以外の専門分野や異なった立場にある方々にも、当研究部門で取り組んだ研究課題の位置づけが伝わるように作成しました。
体系図は研究の進展に応じて更新する予定です。