-長期縦断調査が捉えた障害者の就業・生活実態-
調査研究報告書 No.181
障害のある労働者の職業サイクルに関する調査研究(第8期 調査最終期) -第8回職業生活前期調査(令和4年度)・第8回職業生活後期調査(令和5年度)-
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発行年月
2025年03月
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キーワード
パネル調査 長期縦断調査 キャリア形成 職業サイクル 職業人生 労働条件 満足度 身体障害 知的障害 精神障害 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 合理的配慮 就労率 中高年 障害の重度化 東日本大震災 新型コロナウイルス感染症
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
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稲田 祐子 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 概要、第1章、第2章、第5章 |
武澤 友広 (障害者職業総合センター 上席研究員) | 第1章、第2章、第3章、第5章 |
堀 宏隆 (障害者職業総合センター 上席研究員) | 第4章 |
野口 洋平 (元障害者職業総合センター 主任研究員) | 第4章 |
田川 史朗 (障害者職業総合センター 研究協力員) | 調査結果の集計 |
山中 美穂子 (障害者職業総合センター 研究協力員) | 調査結果の集計 |
研究の目的
本調査研究は、多様な障害者を対象とした16年間(2008年度から2023年度まで)の長期縦断調査(パネル調査)により、職業サイクルの全過程にわたる状況を把握し、企業における雇用管理の改善や障害者の円滑な就業の実現に関する今後の施策展開のための基礎資料を得ることを目的としています。
活用のポイントと知見
- 本報告書は、障害者の就労率、就業形態、職種、勤務時間、給与、賞与、働く理由等が年齢を重ねることでどのように変化したかについて分析した結果を世代別・障害種類別に報告しています。
- 喫緊の政策課題である中高年期における障害の重度化が働き方等に与える影響について報告しています。
- 東日本大震災や新型コロナウイルス感染症拡大といった社会情勢の大きな変化が障害者の就業及び生活に与えた影響についても報告しています。
- 長期的な視点から障害者の雇用管理等の課題とその対策を検討する際の資料としてご活用いただけます。

職業サイクルに関する単純集計の主要な結果
- 調査回答者を出生年代に分けて、それぞれの世代(①1983~1992年度生まれ、②1973~1982年度生まれ、③1963~1972年度生まれ、④1946~1962年度生まれ)の経時的変化を追跡することにより、世代別の特徴を明らかにする分析を実施しました。
- 1963~1972年度生まれは、他の世代よりも正社員が多く、給与も高くなっていました。
- 職種については、視覚障害では「医療や福祉に関わる仕事」の割合が高く、肢体不自由及び内部障害では「事務の仕事」の割合が高くなっていました。知的障害では「清掃やクリーニングなどのサービス業」や「ものを作る仕事」の割合が高くなっていました。
- 仕事を辞めた理由については、世代にかかわらず、「自己都合」が多く選ばれており、「体調不良」で離職する者は1946~1972年度生まれに多くいました。「体調不良」を離職理由として選んだ割合が最も高かった障害種類は内部障害でした。
中高年期における障害の重度化の影響に関する主要な結果
- 障害の重度化を捉えた調査期における分析対象者の年齢が中高年期に該当する45歳以上のグループは、青壮年期に該当する44歳以下のグループと比較して、重度化を捉えた調査期の前の調査期において「正社員」であった者のうち、重度化を捉えた調査期において「正社員以外」に変わった者の割合が少ない結果でした。
- 45歳以上のグループでは、重度化を捉えた調査期の前の調査期から配置転換を経験した者が複数いましたが、44歳以下のグループでは、そのような者はいませんでした。
東日本大震災及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する主要な結果
- 東日本大震災時の影響については、職場待機・帰宅困難やライフラインの寸断に関する回答が多くありました。仕事上の変化としては、仕事が減った・離職したことに関する回答が比較的多くありました。
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、外出の自粛要請や感染対策の影響、外出機会の減少による運動不足、社会的交流の制限、生活リズムの乱れに直面した状況等に関する回答がありました。仕事への影響としては、在宅勤務やオンライン業務の増加、労働時間や収入の減少、長期休業の発生が見られた一方で、特別対応の必要等により一部業種では業務量の増加も見られました。
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関連する研究成果物
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