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-手帳を所持していない障害者の就労・支援の実態-

調査研究報告書 No.187
障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者の就労・支援実態等に関する調査研究

  • 発行年月

    2026年03月

  • キーワード

    障害者手帳を所持していない者  精神障害者  発達障害者  就労支援機関  障害者手帳を所持していない理由  支援の実施状況           

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    就労支援に関する状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
根本 友之 (障害者職業総合センター 主任研究員) 概要、第1章、第2章、第3章第4節3、第5章
桃井 竜介 (障害者職業総合センター 統括研究員) 第1章、第2章、第5章
高木 啓太 (障害者職業総合センター 上席研究員) 第2章、第4章第2節2
大石 甲 (障害者職業総合センター 上席研究員) 第3章※、第4章※ ※他の執筆担当者の担当分を除く
佐藤 涼矢 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第3章第4節1、2
増田 保美 (元障害者職業総合センター 主任研究員) 第4章第2節2、第5章
布施 薫 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第4章第2節2

研究の目的

本調査研究は、障害者の雇用の促進等に関する法律上の障害者であって、精神障害又は発達障害を有して診断を受けているが障害者手帳を所持していない者について、就労支援機関における就労支援の状況、就労上の課題、手帳を取得しない理由、支援事例等について把握を行い、政府における施策の検討や就労支援機関における効果的な支援方法、課題への対処等の検討に資することを目的として行いました。

概要

就労支援機関における手帳を所持していない者への就労支援の状況とその課題、手帳を所持していない理由等についてアンケート調査を実施するとともに、アンケート調査に回答があった就労支援機関の中から、手帳を所持していない者の就労支援の状況の詳細や具体的な支援事例についてヒアリング調査を実施しました。

活用のポイントと知見

  • 本調査研究は、手帳を所持していない者についての就労支援機関における就労支援の状況や取組事例等を整理しています。
  • 就労支援機関等において、効果的な支援方法、課題への対処等の検討を行う際の参考資料としてご活用いただけます。
精神障害、発達障害、重複障害の別に、障害者手帳を所持していない理由の各項目の回答割合を示したグラフ。
図 障害者手帳を所持していない理由

手帳の取得、障害の開示及び求人種類の選択について

手帳の取得、障害の開示及び選択する求人の種類については、相互に関連していると考えられます。選択の背景には、障害の受容や自身の障害についての自己理解の状況、就労条件の希望などがあると考えられます。

自身の障害や特性を理解して配慮を得て働く選択をする場合に障害開示を希望することに対して、障害の受容が不十分な場合や障害を開示するメリットが感じられない場合に、手帳を取得せず障害の開示を希望しないと考えられます。

障害開示は就労上の配慮の提供と関連するため、障害開示を提案する場合は、対象者の障害受容の状況を考慮しつつ、障害を開示することでどのような就労上のメリットが見込まれるか、対象者の理解が得られるよう丁寧に説明することが求められると考えられます。

手帳を所持していない理由の類型と類型ごとに必要となる支援

手帳を所持していない理由について、本人が必要性を感じていないため、本人の手帳についての知識が不十分なため、本人の心理的抵抗等との理由が多いことが分かりました。手帳を所持していない理由の類型として、①本人又は家族の障害受容が不十分な類型、②軽度で手帳が取れない類型、③手帳についての情報不足により申請していない類型、④医療機関などの環境要因による類型、⑤本人に困り感がなく支援の必要性を感じていないため申請していない類型が考えられます。

①障害受容が不十分であるという類型については、本人の意思決定を尊重し、本人の考え方を固定的なものとして受け止めることなく、傾聴しながら、希望する働き方に向けて、合理的な選択を行うことができるように、伴走的な支援を行うことが求められると考えられます。

②障害が軽度で手帳が取得できない類型については、手帳の範囲に該当しない場合であっても、本人に困り感があるケースについては支援が必要と考えられ、手帳の有無に関わらず障害を開示しやすい環境や合理的配慮の提供がなされる環境を推進していくことが必要と考えられます。

③手帳についての知識不足及び④医療機関などの環境要因による類型については、特に雇用分野における手帳のメリットなど、手帳に関する幅広い情報提供が求められると考えられます。

⑤支援の必要性を感じていないため申請していないとの類型については、当該対象者が困り感を感じていない場合には特に問題はないとも考えられる一方で、離職等の失敗を経験した場合には本人の手帳の取得についての考え方が変わることも考えられ、その際には1番目の類型と同様に支援が必要になると考えられます。

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