調査研究報告書 No.180
就労支援実務者の専門性と支援力に資する知識・スキル等に関する研究
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発行年月
2025年03月
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キーワード
就労支援実務者 障害者就業・生活支援センター 就労移行支援事業所 就労定着支援事業所 人材育成 効果的な就労支援 知識・スキル 研修 OJT 情報交換
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
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大竹 祐貴 ((障害者職業総合センター 上席研究員)) | 概要、第1章、第2章、第3章、第5章 |
竹内 大祐 ((元障害者職業総合センター 上席研究員)) | 第2章、第3章 |
藤本 優 ((障害者職業総合センター 研究員)) | 第4章 |
唐沢 武 ((障害者職業総合センター 研究協力員)) | 調査結果の集計・分析 |
研究の目的
地域の障害者就労支援の成果には、幅広い知識・スキル等の習得や組織の人材育成の取組が関連しており、それらは従来、必ずしも雇用と福祉にわたる関係者の共通認識として言語化・体系化されてきませんでした。本調査研究では、研修等の効果的な内容の検討に資することや、就労支援実務者と人材育成担当者が共通認識をもって専門性の向上に取り組むことができるよう、就労支援機関における多様な就労支援実務者が効果的な支援を実施するために必要な知識・スキル等の内容(これらの充足の取組も含む)を明らかにすることを目的としました。
概要
就労支援分野の有識者や経験豊富な就労支援実務者からの意見集約等により、効果的な就労支援に必要な知識・スキル等を言語化・体系化しました。また、これらの知識・スキル等についての習得や習得方法における現実的な優先度について全国規模での調査により明らかにしました。さらに、就労支援に関する幅広い知識・スキル等を備えた就労支援人材を組織内で育成するための具体的方法について明らかにしました。
活用のポイントと知見
- 本報告書では、効果的な就労支援に必要な知識・スキル等の具体的内容について16領域、65項目に言語化・体系化しました。
- 言語化・体系化された知識・スキル等について、人材育成における現実的な優先度の認識にばらつきがあることを踏まえながら専門性や支援力の向上を図るという観点から4領域に分類しました。また、それぞれの知識・スキル等の習得にあたり優先的とされていた方法についても明らかにしました。さらに、人材育成の組織的取組を効果的に実施するための創意工夫について明らかにしました。
- 人材育成の組織的取組を効果的に実施するための創意工夫について明らかにしました。
- 調査結果については、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所を中心に、幅広い就労支援機関等で実施する人材育成(研修の内容、OJTで取り組む内容、地域のネットワーク会議での情報交換のテーマ等の検討)において活用いただけます。

効果的な就労支援に必要な知識・スキル等の言語化・体系化について
国内外の先行研究を踏まえつつ、我が国の就労支援分野のリーダー的な有識者(学識経験者及び障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、就労定着支援事業所、地域障害者職業センターの管理者)へのヒアリング調査や地域で効果的な就労支援を実施している就労支援実務者からの意見集約により、効果的な就労支援に必要な知識・スキル等を具体的に言語化し、16領域、65項目の体系的なリスト(就労支援実務者が効果的な就労支援を行うために必要な知識・スキル等の内容)としてまとめました。

人材育成における知識・スキル等の優先度や研修・OJTのバランスについて
効果的な就労支援に必要な知識・スキル等の具体的な内容について、障害者就業・生活支援センター及び就労移行支援事業所や就労定着支援事業所の人材育成担当者を対象としたアンケート調査を実施し、知識・スキル等の習得の現実的な優先度を明らかにし、その認識のばらつきを踏まえて専門性や支援力の向上を図るという観点から4領域に分類しました。また、知識・スキル等の習得方法における優先度や、人材育成における取組や課題等も明らかにしました。
人材育成に関する組織的取組の具体的内容の把握・整理について
従来、十分に体系化されず、関係者の共通認識となってこなかった人材育成の組織的な取組(効果的な就労支援のための知識・スキル等の習得のための研修、OJT、事例検討・情報共有等)について、それらを実施している就労支援機関8機関の人材育成担当者から具体的な取組内容を聞き、地域の就労支援機関において就労支援の知識・スキル等の習得を効果的に促進するための参考となる、具体的な研修、OJT、実務での情報交換等の取組の事例をとりまとめました。
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あり