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調査研究報告書 No.186
中高年齢障害者の雇用継続支援及びキャリア形成支援に関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
武澤 友広 (障害者職業総合センター 主任研究員) 概要、第1章、第3~6章
宮澤 史穂 (障害者職業総合センター 上席研究員) 第2章、第6章
中野 善文 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第1章、第3~4章、調査結果の集計・分析
山口 春夫 (障害者職業総合センター 研究協力員) 調査結果の集計・分析

研究の目的

本研究は、障害のある労働者が年齢を重ねる中で生じる困りごとや、事業主が直面する雇用管理上の課題、その対応として行われる配慮の実態と効果を明らかにすることを目的としています。中高年齢層の障害のある労働者の活躍を推進する上での雇用継続支援やキャリア形成支援のあり方を総合的に検討しています。

概要

障害者就業・生活支援センター、障害者を雇用する事業所、障害のある労働者を対象に、Web調査やインタビュー調査を実施しました。調査結果から、中高年齢層の障害のある労働者が経験する困りごとは加齢による機能低下だけでなく、家庭環境や職場環境の変化が複合的に影響すること、また、仕事のパフォーマンスの低下時に配慮が得られるかどうかに職場における信頼・互恵関係に対する障害のある労働者の評価が関連することが明らかになりました。

活用のポイントと知見

  • 中高年齢層の障害のある労働者が直面する困りごとの理解に向けた基礎的資料として活用できます。
  • 事業所や支援機関における中高年齢層の障害のある労働者の困りごとへの対応や相談体制、職場づくりの改善策等の検討に活用できます。
  • 収集したデータに基づき、企業にとって参考となる好事例や取組のポイントなどをまとめた事例集『取組事例から学ぶ「中高年齢障害者の雇用継続・キャリア形成支援」のポイント』を作成しました。
仕事のパフォーマンスが低下した際に行った職場の対応を職場のソーシャル・キャピタルが高いグループと低いグループで比較した棒グラフです。職場のソーシャル・キャピタルとはグループ内またはグループ間での協力を容易にする共通の規範や価値観、理解を伴ったネットワークのことを指します。評価が高いグループでは、上司・同僚への理解促進、作業環境・設備の整備などについて対応した割合が、評価が低いグループよりも全体的に高い結果となりました。一方で、評価が低いグループでは、特に対応はなかったと回答した割合が約41%となっています。
職場のソーシャル・キャピタルに関する評価が高いグループ(SC高群)と低いグループ(SC低群)別の
パフォーマンスの低下時における職場の対応

中高年齢層の障害労働者の困りごとにはどのようなものがあるのか

加齢に伴う心身機能の低下に加え、家庭環境や職場環境の変化が重なることで多面的に困りごとが生じることが明らかになりました。パフォーマンス低下の自覚時期は障害種類によって異なり、知的障害・発達障害・精神障害では身体障害よりも早い時期に自覚される傾向が認められました。具体的な困りごととしては、体力や集中力の低下、健康管理などがあり、介護や一人暮らしの開始、職場の上司の交代など家庭環境や職場環境の変化も困りごとに影響していました。

困りごとに対し、障害労働者や事業主はどのような対応を行っているのか

障害のある労働者は仕事のパフォーマンスが低下した際、自身の健康維持や疲労回復を図るセルフマネジメントを実施するとともに、上司や同僚、就労支援機関への相談など、他者への援助を要請するといった対応も行っていました。事業所においては、健康管理への配慮、就業時間や柔軟な休暇の取得に関する配慮、同じ部署内での業務内容の見直しなどが行われていました。また、職場のソーシャルキャピタルについて障害のある労働者の評価が高い職場ほど、困りごとへの具体的対応が行われる割合が高いことが確認されました。

キャリア形成のために、障害労働者はどのような支援を求めており、事業主はどのような支援を行っているのか

障害のある労働者は、定年延長や再雇用など働き続けるための環境整備への強いニーズがあり、また、退職後も社会とつながり続けるための居場所づくりへのニーズも確認されました。また、事業所においては、キャリアに関する相談や目標管理制度のほか、スキルアップ研修、キャリアプランニング・マネープランニング研修、自己啓発支援など多岐にわたる取組が実施されていました。

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