調査研究報告書 No.159
中高年齢障害者に対する職業生活再設計等に係る支援に関する調査研究
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発行年月
2021年03月
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キーワード
中高年齢 職業生活再設計 企業が行う配慮 残存する課題 企業調査 事例 身体障害 知的障害 精神障害 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 高次脳機能障害 発達障害 若年性認知症
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
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高瀬 健一 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 概要、序文、第1章~第5章、別章 |
永野 惣一 (障害者職業総合センター 研究員) | 概要、序文、第1章~第5章、別章 |
研究の目的
本調査研究は、在職中の中高年齢障害者固有の課題の実態、課題改善の取組について把握し、効果的な支援方策を検討することを目的に、企業への調査等を行いました。
活用のポイントと知見
本報告書は、中高年齢になったことによる障害そのものへの影響や環境等の変化に対する本人側の工夫とあわせて雇用企業側の配慮等に重点をおいて将来の職業生活を定めていくことを職業生活再設計として、企業へのアンケート調査等により実態を把握し、支援のポイントを整理しています。
アンケート調査結果を基にヒアリング調査結果を整理し、中高年齢障害者の雇用事例を中心に構成した「職業生活再設計のポイント」は、事業主団体及び事業主をはじめとして、行政機関、当事者団体、就労支援機関等において活用いただけます。
本報告書の知見の一つは、アンケート調査結果とヒアリング調査結果から職業生活再設計への支援のポイントを整理して、①仕事に対するモチベーションの維持、②仕事内容の工夫の推進、③健康管理の充実、④外部機関の活用の4点があると考察しています

「事例からみた中高年齢障害者に対する職業生活再設計のポイント」
中高年齢障害者に対する職業生活再設計等に係る支援に関する調査研究のポイント
中高年齢障害者の雇用状況
中高年齢障害者の職業生活再設計に関する企業へのアンケート調査は、1,239社から回答を得ました。
回答を得た企業のうち障害者を雇用している企業744社をみると、所在地・産業分類・企業規模に関わらず7割以上の企業に中高年齢障害者の雇用を確認しました。また、身体障害者については中高年齢の者の割合が高く、精神障害者、知的障害者の順に低くなっていました。
アンケート調査による配慮及び残存する課題の結果
アンケート調査により企業における中高年齢者及び中高年齢障害者に対する配慮(57項目)、配慮を行っても残存する課題(53項目)について回答を得ました。
本報告書は、この回答結果を基に、障害種別の特徴を整理し、分析を行っています。
その結果、中高年齢障害者及び一般の中高年齢者に共通して頻度の高い配慮は、「更なる仕事内容の工夫」「更なる健康管理」でした。
また、障害種に共通して課題が残存する割合が相対的に高い課題グループは、集中力、意思伝達、労働意欲等の課題項目により構成される「職業的基礎能力」、不安定さ、体調不良、ストレス、もの忘れ等の課題項目により構成される「精神的側面の支援」でした。
ヒアリング調査の結果
ヒアリングは、4社における雇用管理担当者及び在職中の中高年齢障害者(それぞれ聴覚障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者)を対象として行いました。加えて、退職事例のヒアリングを若年性認知症の者及びその家族を対象として行いました。アンケート調査の分析結果から、障害種に共通して課題が残存する割合が相対的に高い課題グループとなった「職業的基礎能力」「精神的側面の支援」に対する支援について、ヒアリング事例から対応のポイントを抽出しました。
その結果、職業生活再設計への支援ポイントを整理すると、①仕事に対するモチベーションの維持、②仕事内容の工夫の推進、③健康管理の充実、④外部機関の活用の4点があると考察しています。
別章として、アンケート調査結果から外部機関の相談状況、職場におけるソーシャル・キャピタルの状況について補足的な集計及び分析を行い考察しています。
※発表資料は、研修に参加された方向けの補助資料として作成したものです。
※本資料のご利用にあたっては、研究企画部企画調整室へご連絡いただくとともに引用元の明記をお願いいたします。
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