(ここから、本文です。)
-地域関係機関・職種による障害者就労支援の取組の実際と課題-

資料シリーズ No.95
保健医療、福祉、教育分野における障害者の職業準備と就労移行等を促進する地域支援のあり方に関する関連データ・資料

  • 発行年月

    2017年03月

  • キーワード

    多職種連携 人材育成 関係機関への助言・援助 障害種類別の就労支援課題

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    就労支援に関する状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
清野 絵 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章、第2章
野元 葵 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第1章
山本 美奈子 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第1章
三輪 のり子 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第3章
春名 由一郎 (障害者職業総合センター 主任研究員)  

研究の目的

保健医療、福祉、教育分野の地域関係機関による就職前から就職後にわたる障害者就労支援の取組の実態と課題について、①これら関係機関・専門職を対象とした郵送調査結果の機関・職種別の集計、②地域障害者職業センターの関係機関への助言・援助業務についてのヒアリング調査、③多様な障害者本人を対象とした郵送調査結果の再分析により明らかにすること。

活用のポイントと知見

地域関係機関・職種における障害者就労支援についての共通認識の促進のために活用できる。第1章では、障害者就労支援に関する課題、取組、役割認識が機関・職種により非常に多様であることが、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、職業訓練校等、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所(A型、B型)、特別支援学校(高等部、中学部)、発達障害者支援センター、難病相談支援センターの機関別、また、ジョブコーチ、精神保健福祉士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、作業療法士、保健師の職種別の集計により理解できる。また、第2章や第3章は、これら多機関・職種の専門性や役割認識を踏まえ、多様な障害種類別に、障害者本人のニーズに沿った就職前から就職後にわたる効果的支援の役割分担と連携のあり方の検討の参考になる。

図中では、5つの項目がある。図の上部には(1)「職場での支援」があり、下部には(4)「本人への支援」がある。(1)と(4)の間には、左に(2)「就職前の支援」右に(3)「就業継続の支援」がある。4つの項目の中心部には、(5)「特徴的な課題に対する効果的な支援」がある。(1)「職場での支援」の要因としては、ジョブコーチ支援、企業への同行支援、キャリアアップのための職業スキル習得の支援、個別の職業相談・カウンセリング、職場介助者などの専門的支援者の配置、主治医・専門医と職場担当者を交えた仕事内容のチェック、上司や同僚の障害についての正しい理解がある。正しい理解については、必要に応じた同僚等の作業補助や通院への配慮、短時間勤務がある。(2)「就職前の支援」の要因は、就労相談(精神障害者地域生活支援センター)と(ハローワーク)、就職先のあっせん・紹介(トライアル雇用)、面接や履歴書作成、個別の職業相談がある。(3)「就業継続の支援」の要因には、障害によらずキャリアアップできる人事方針がある。(3)「就業継続の支援」は、(1)と(4)との間にあり、両方の支援から成り立っている。(4)「本人の支援」の要因は、職業能力の評価/自分に向く仕事のテスト、資格取得支援・技能訓練、就職後の日常・地域生活支援、地域の就労支援機関の見学、生活リズムや労働習慣の訓練、障害や病気の定期チェック・支援がある。(5)「特徴的な課題に対する効果的な支援」では、4つの項目がある。具体的には、(5-1)「就職活動時に必要な能力」、(5-2)「就職時の配慮」、(5-3)「就業中の配慮」、(5-4)「就業継続」がある。各項目の中で重要度が高いものには、★がついている。
(5-1)「就職活動時に必要な能力」は、以下の通り。会社の情報収集★、就職面接★、自己アピール★、能力を発揮できる仕事の検討★、企業への連絡・申し込み★、就労したい思いを伝える★、職場の見学・実習・体験★、応募書類の作成★、仕事に必要な能力の獲得(5-2)「就職時の配慮」は、以下の通り。必要な配慮等の伝達★、障害と共に生活する展望、障害の説明。(5-1)と(5-2)を行った後に(5-3)「就業中の配慮」がある。(5-3)「就業中の配慮」は、以下の通り。フルタイム労働★、適当な報酬★、課題達成、責任への対応★、能率を下げないための休憩★、
危険な事態への対処★、対人応対、意思の伝達、会話や議論、問題解決・判断、円滑な人間関係の維持、話や文書の理解、精神的ストレスへの対処、注意集中。(5-1)、(5-2)、(5-3)を行った後に、(5-4)「就業継続」がある。(5-4)「就業継続」は、以下の通り。身分安定、仕事継続★、昇進。これら5つの項目を取り上げた結果、就職前後における特徴的な課題と地域支援や職場の配慮などを明らかにした。
第3章の障害者本人への先行調査に基づく障害種類別の就職前から就職後の就労支援ニーズと効果的支援のあり方の再整理の例(統合失調症のある人の場合)

ダウンロード

全文

冊子在庫

あり

関連する研究成果物