資料シリーズ No.27
障害者雇用に係る作業・職場環境改善等に関する調査─障害者雇用の職場環境整備の現状とその効果の検証─
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発行年月
2002年08月
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆・報告担当(執筆・報告順)
執筆者 |
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春名 由一郎 (特性研究部門 研究員) |
岡田 伸一 (雇用開発研究部門 主任研究員) |
坂尻 正次 (雇用開発研究部門 研究員) |
(目的・方法)
障害者と事業主のニーズ志向性の観点から、これまでの職業上の重度障害者雇用事例に基づき職場環境整備のあり方を実証的に検討するために郵送質問紙調査を実施した。全国の4,395事業所の事業主/人事労務担当者、障害者本人及びその上司を対象として調査票を送付した。
(結果の概要)
第Ⅰ部「わが国の職業上の重度障害者の雇用の概況」
現在、障害者雇用率制度の効果として、多くの重度障害者が一般雇用の対象となって働いている。本研究の分析対象は、このようなわが国の一般的な障害者雇用事業所とその中の特に職業的観点から障害程度が重度である障害者である。
第Ⅱ部「障害者雇用企業における問題と取り組み」
制度上の障害程度に関わらず、問題や制約がなく働いている障害者が半数以上となっていたが、それは、事業所内で発生している問題に対して、事業所が試行錯誤的に支援や配慮を行った結果によるところが大きい。しかし、知的障害者など職場適応が不十分な場合もあった。障害者雇用のために必要な環境整備項目については、障害種類等により事業所間でもコンセンサスが得られやすい状態となっている。しかし、その必要な整備が必ずしも実行できていない場合もあった。
第Ⅲ部「職場環境整備の効果の検証」
これまでの障害者雇用企業における個々の職場環境整備について、それらの効果を実証的に検証した。障害者上司による必要な環境整備項目は、雇用者と従業員の立場での意識のずれはあるものの、障害者本人のニーズにかなりの程度一致し、さらに、それらを実際に整備することで障害者の職業生活の満足度が高められている場合が見出された。また、障害種類に応じた特定の職場環境整備項目によって、実際に障害者の職業上の問題や制約が大きく改善されている対応関係も明確にすることができた。企業負担感は、これら環境整備の項目によって異なっており、外部資源の活用は特定の環境整備の実行を容易にする効果があるものの、現時点では、企業負担を軽減するには至っていないことも明らかとなった。
目次
- 概要
- 序章:調査の目的と方法
- 第Ⅰ部:わが国の職業上の重度障害者の雇用の概況
- 第1章 障害者雇用事業所の概況
- 第2章 職業上の重度障害者の概況
- 第Ⅱ部:障害者雇用企業における問題と取り組み
- 第3章 障害者の職業生活上の問題や制約の状況
- 第4章 障害者の作業・業務上の問題と解決状況
- 第5章 障害者雇用企業における環境整備
- 第Ⅲ部:職場環境整備の効果の検証
- 第6章 障害者ニーズへの対応と満足度の向上
- 第7章 職場環境整備による問題・制約の軽減・解消
- 第8章 企業負担感や障害者雇用課題の構造
- 第9章 外部資源の活用の効果
- おわりに
- 参考資料
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