調査研究報告書 No.184
企業における障害者雇用の質の向上に向けた取組の現状と課題に関する調査研究
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発行年月
2026年03月
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キーワード
障害者雇用の質 障害者雇用の質の向上 雇用管理 業務とのマッチング 能力開発 教育・訓練 人事評価 処遇 キャリア形成 合理的配慮
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
| 執筆者 | 執筆箇所 |
|---|---|
| 中山 奈緒子 (障害者職業総合センター 上席研究員) | 概要、第2章、第4章 |
| 大谷 真司 (元障害者職業総合センター 統括研究員) | 第1章 |
| 桃井 竜介 (障害者職業総合センター 統括研究員) | 第1章、第3章第1節、第3節 |
| 永登 大和 (障害者職業総合センター 研究協力員) | 第2章第4節、第5節 |
| 高木 啓太 (障害者職業総合センター 上席研究員) | 第3章 |
研究の目的
本調査研究は、企業における障害者雇用の質の向上に関する取組の現状と課題及び必要な支援の内容を明らかにするとともに、企業の具体的な取組事例を紹介することで、障害者雇用の質の向上に資するための政策の検討や、地域障害者職業センター等の支援機関による企業への支援等に役立つものとすることを目的としました。
概要
企業アンケート調査の結果、障害者雇用の質の向上に向けた取組の実施状況は正社員/非正社員、一般企業/特例子会社、企業規模別、雇用障害種別等によって異なっていました。障害者を雇用する企業が「自社における質の高い障害者雇用」に関して抱いている考えやイメージに関する自由記述は、8つのグループに分類・整理できました。
加えて、企業ヒアリング調査を通じて、障害者雇用の質の向上に向けた取組を積極的に実施している企業の取組事例について詳細に把握しました。
あわせて、上記の調査を通じて把握された内容を踏まえた障害者雇用の質の体系化を行いました。
活用のポイントと知見
- 本調査研究は、企業における障害者雇用の質の向上に向けた取組の実施状況、取組の効果、課題、必要な制度や支援等についてまとめています。
- 企業における障害者雇用の質の向上に向けた取組の現状を知るための基礎的資料としてご活用いただけます。また、支援機関が障害者雇用の質の向上に取り組む企業を支援する際の参考資料としてご活用いただけます。
- 企業アンケート調査の集計・分析結果や、企業ヒアリング調査で把握された取組事例をまとめたパンフレット(「障害者雇用の質の向上に向けて」)を作成しましたので、ご活用ください。

調査研究の方法
- 企業アンケート調査は、2024年10月~11月に、一般企業(特例子会社以外の企業)10,000社及び特例子会社598社の計10,598社を対象として実施しました。
- 企業ヒアリング調査は、2025年2月~5月に、企業アンケート調査においてヒアリング調査に「協力可能」と回答があった企業等の中から、障害者雇用の質の向上に向けた取組を積極的に実施している企業13社(一般企業8社、特例子会社5社)を対象として実施しました。
障害者を雇用する企業にとっての障害者雇用の質のイメージ
- 企業アンケート調査の有効回答数は一般企業2,100社、特例子会社195社、有効回答割合は一般企業21.1%、特例子会社32.6%でした。
- 企業アンケート調査における「質の高い障害者雇用」に関する考え・イメージの自由記述の分析結果からは、障害者を雇用する企業は、特性に応じた業務配置、支援体制の整備、健常者と同等の処遇の実現、障害者のやりがいや安定就労、能力の発揮や社会貢献等に加え、健常者と同じ場所で共に働くインクルーシブな職場環境や、障害の有無によらず誰にとっても働きやすい風通しの良い職場風土等も「質の高い障害者雇用」を構成する要素として認識していることが示唆されました。
- 企業ヒアリング調査からは、「障害者にとっての雇用の質」、「企業にとっての雇用の質」という視点が見出だされました。
障害者雇用の質の向上に向けた取組
- 企業アンケート調査において、「能力開発、評価・処遇等の取組」(業務とのマッチング、教育訓練(OJT)、教育訓練(Off-JT)、評価・処遇、中長期的なキャリア形成に関する合計25項目)を実施した実績について、正社員、非正社員別に尋ねました。下記の棒グラフは一般企業の集計結果です。正社員と非正社員の比較では、大半の項目で、「正社員に対し実施したことがある」の方が「非正社員に対し実施したことがある」よりも回答割合が高い結果でした。
- 企業ヒアリング調査では、雇用の質の向上に向けたハード面(制度面)の取組として、職域の拡大に関すること、キャリアアップに関すること、昇給・昇格や手当制度に関することが多く挙げられました。雇用の質の向上に向けたソフト面(人的な関わりやサポート等)の取組としては、サポートに関すること、障害理解に関すること、採用前のマッチングに関すること、作業のステップアップに関することが挙げられました。





取組の効果
- 企業アンケート調査では、一般企業、特例子会社ともに、障害者の業務や職場に対する満足度の向上や、職業能力及びスキルの向上・発揮等が、取組の効果として比較的実感されやすい傾向が示唆されました。
- 職場全体への波及効果を感じている一般企業の数はまだあまり多くないという結果でしたが、企業ヒアリング調査では、一般企業において業務の見える化によって従業員全体が働きやすくなった事例や、障害者雇用のノウハウを外国人雇用に活用した事例等も把握することができました。
合理的配慮及び障害者の意向・希望の把握
- 合理的配慮の手続については、一般企業、特例子会社ともに多くの企業が「職場において支障となっている事情があれば申し出るように伝えている」、「相談に対応する担当者・部署をあらかじめ定め、当人に周知している」を実施していました。
- 職場において支障となっている事情を確認するための面談の実施や、配慮事項を申し出る方法についての当人への周知、配慮事項への対応についての外部機関への相談、合理的配慮に関する話し合いに障害者の希望に応じ支援者を同席させる等の取組については、特例子会社では半数以上の企業が実施している一方、一般企業ではいずれの取組も実施している企業は半数以下という結果でした。
- 企業ヒアリング調査で把握された、障害者の意向・希望を把握するための工夫としては、事例によって頻度や方法は異なるものの、全ての企業において面談が実施されており、面談において障害者の意向や希望の把握がなされていました。また、業務外のコミュニケーションの場を設けている事例も見られました。
障害者雇用の質の向上における課題、必要な制度や支援
- 障害者雇用の質の向上に取り組む上での課題については、一般企業、特例子会社ともに「配属先現場において障害者をサポートする上司・同僚の不足」の回答割合が高く、加えて一般企業では「職場において必要な環境整備を行うノウハウの不足」や「障害者の能力に関する社内の理解の不足」、特例子会社では「障害者のモチベーションの維持・向上のためのノウハウの不足」や「障害者の能力開発や能力発揮に有用な業務の安定的な供給の不足」等の回答割合が高い結果でした。
- 障害者雇用の質の向上に取り組む上でより実施が必要と感じている制度や支援については、一般企業、特例子会社いずれにおいても、配属部署や管理職への研修の実施、障害者本人のキャリアに関する支援、ジョブコーチ支援、健康管理に関する助言と回答する企業が比較的多いことが示されました。
- 企業ヒアリング調査では、障害者雇用の質の向上に取り組む上での課題点、必要な制度や支援としては、支援に関すること、人事評価制度に関すること、業務創出に関すること、研修に関することが挙げられました。
ダウンロード
サマリー
- ダウンロード (PDF/990.15KB)
全文
- 調査研究報告書 (PDF/9.65MB)
- 付録資料(本文に掲載していない集計表) (PDF/1.56MB)
分割
- 概要(PDF/735.61KB)
- 第1章 調査研究の背景・目的・方法(PDF/681.86KB)
- 第2章 企業に対するアンケート調査(PDF/6.18MB)
- 第3章 企業に対するヒアリング調査(PDF/894.14KB)
- 第4章 総括(PDF/756.78KB)
- 巻末資料(PDF/3.34MB)
冊子在庫
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