資料シリーズ No.101
障害者雇用の質的改善に向けた基礎的研究
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発行年月
2018年04月
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キーワード
障害者雇用の質 質の視点 質の改善 質の評価 能力の発揮 キャリア形成 企業価値
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
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小池 眞一郎 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 序章、第2章の1 |
大石 甲 (障害者職業総合センター 研究員) | 第1章、第2章の2、3 |
浅賀 英彦 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 第2章の2 |
木野 季朝 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 第2章の2、第3章の1 |
松浦 大造 (障害者職業総合センター 統括研究員) | 第3章の1、2、終章 |
研究の目的
我が国の障害者雇用は、雇用者数が着実に増加し、並行して多くの企業で職場定着、能力の発揮、キャリア形成といった一層の雇用の質的な改善につながる工夫や取組が行われている。しかし、障害者雇用の質的な改善の状況の把握については、様々な視点や評価の手法があるものとみられ、本研究を通して、これらの視点や評価の手法を整理・分類して明らかにすることにより、障害者雇用施策の企画立案、職業リハビリテーション研究の推進、企業自らが取り組む障害者雇用等に資する資料を提供する。
活用のポイントと知見
本研究では、そのような障害者雇用の質的改善に関わる様々な視点等について、先行研究、専門家ヒアリング、企業からのグループインタビューを通して整理・分類した。整理・分類する過程の中で、見えてきたものは主に「誰から見たものか」という立場であった。これらは、経営者・雇用管理担当者等の雇用者側、雇用される障害者側、共に働く労働者側という社内のものに加えて、障害者の入職や雇用関係の維持を支援する就労関係の支援機関、さらには、消費者・顧客、株主といったステークホルダーとしての立場であり、企業の社会的な関わりの中で生じるものであった。
これらの立場から質的要素を、①社会からの期待への対応(より良い働き方、企業経営等)、②障害者雇用の位置づけと全社的な取組、③障害者のキャリア形成と能力の発揮(戦力化)、④障害理解に基づくきめ細かな対応、⑤働く価値や意味-賃金、自己実現等(障害者から見た雇用の質)、⑥障害者雇用の波及効果(障害者雇用と企業経営・共に働く労働者の雇用との相互作用)の6分類とその他の計7つに分類した。また、収集整理する中で、障害者を雇用する企業は、極めて多くのステークホルダーとの関わりの中で、その期待に応えて社会的責任を果たしつつ、事業を継続させ、成長させていく構造を、実践的な取組と併せて見てとることができた。
結果として、今回収集した情報から見た障害者雇用の質的な要素は、7分類、233視点、392の捉え方となった。
なお、本研究は、何人かの専門家、企業の方々や先行文献の中から、障害者雇用の質を見る視点を、いわば事例的に収集し、見出しを付けて整理をした段階のものである。今後、これらの視点の妥当性、有用性を検証しつつ、有効な評価の方法や障害者雇用に取り組む企業、労働者、支援者等関係者のための実用的・実践的なノウハウの検討など、本研究が「障害者雇用の質」の向上に向けた更なる検討の1つのきっかけになればと考えている。
※発表資料は、研修に参加された方向けの補助資料として作成したものです。
※本資料のご利用にあたっては、研究企画部企画調整室へご連絡いただくとともに引用元の明記をお願いいたします。
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