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-発達障害者の職業生活満足度に寄与する要因-

調査研究報告書 No.125
発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
鈴木 徹 (障害者職業総合センター 統括研究員) 概要、はじめに、第5章
鴇田 陽子 (障害者職業総合センター 主任研究員) 概要、はじめに、第1章~第5章
田川 史朗 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第4章

活用のポイント

発達障害者は、他の障害者及び一般の労働者より、現在の仕事に満足していない者が多いことが各種調査から窺え、職場定着が課題となっている。本研究では、就業中の発達障害者を対象として、職業生活に対する満足度と就業の実態、生活環境について調査結果をとりまとめ、職業生活の満足度に影響を与えている要因について明らかにした。発達障害者の職場定着を促進するための基礎資料として活用が期待される。

研究の目的と方法

目的

発達障害者の職業生活に対する満足度と職業生活に関する属性を把握することにより、満足度に影響を与えている要因を把握し、効果的支援や配慮のための基礎資料とする。

方法

障害者及び一般労働者の就業実態に関する資料の収集、学識経験者、当事者団体、就労支援機関等からなる研究委員会における検討、就業中の発達障害者を対象とするアンケート調査。

研究の結果得られた知見

  • 発達障害者の就業の現状は、賃金、賞与、就業形態、労働時間、勤続年数等の雇用形態・待遇等労働条件において、一般労働者と比較すると、厳しい状況に置かれており、離職率も高いことから雇用の安定という観点から様々な問題が内在し自立した生活が送りにくい状況にある。職業的自立が後退しないよう留意する必要がある。
  • 正社員の22.2%は障害者手帳等を所持していない者であり、就職先への提示にためらいがあること、一般社会での理解度・認識度が十分でないことが推測される。
  • 因子分析の結果、職業生活の満足度を構成する主要要素は、①「周囲の人たちの理解」、②「仕事のやりがい」、③「否定的な対応が少ない」の3因子が抽出された。
職業生活の満足度に関する質問項目の因子分析の結果について。横軸は、質問項目、因子の名前である。質問項目は18個ある。(1)困っていることがあると、まわりの人が助けてくれる、(2)職場の人は自分の話をきいてくれる、(3)相談にのってくれる人がいる、(4)職場の人のおかげで仕事を続けることができている、(5)分かりやすく説明してくれる、(6)職場の人は自分のことを受け入れてくれている、(7)ほめられる、(8)「仕事をしてくれて助かる」と言われる、(9)新しい仕事を任される、(10)仕事に行くのが楽しみだ、(11)この仕事は自分がやりたいと思っていた仕事だ、(12)仕事をしているとうれしいと思うことがある、(13)今の仕事を続けたい、(14)自分の仕事は会社や社会の役に立っている、(15)収入についてどのように感じているか、(16)よくミスを指摘される、(17)「仕事が遅い」と言われる、(18)言葉違いを注意される、である。因子の名前については、3つある。(a)周囲の人たちの理解、(b)仕事のやりがい、(c)否定的な対応が少ないことである。また、(1)から(9)の項目については、他の因子と比較した際に(a)の因子が高い傾向にあった。(10)から(14)においては、他の項目と比べると(b)の因子が高くなっている。(16)から(18)では、(c)の因子が高い傾向にあった。
  • 満足度を高めるようにするには、特徴や配慮してほしいことを職場の人に伝えることが第1歩であるが、対象事業所の個別性、事業所のどのような立場の人に伝えるか、伝える者の専門性により、結果は異なる。
  • 支援機関は円滑な作業遂行を支援するほか、発達障害者に替わって、困っていることや自身の特徴や配慮してほしいことを適確に事業所に伝える役割もまた重要である。
  • 事業主及び支援者は個々の発達障害者の特性について事前に把握し、職務遂行の指示や職場環境に関し、当該特性に応じた配慮を行うことが望まれる。
  • 職場内での配慮等受入体制整備に向け、発達障害の特性に関する正しい知識習得や理解の促進等啓発、相談・援助者の配置や当該者の専門知識・支援技術の付与、向上が必要であり、専門支援機関の支援を得ながら、個々の発達障害者の特性に合わせて配慮することが望まれる。また、これら配慮等は、多様性かつ個別性が高いものであることから、発達障害者の個々の事情と事業主との相互理解の中で提供されることが重要で、事業主は発達障害者等との相談・話し合いを踏まえ、発達障害者の特性、ニーズや意向を十分に尊重しつつ具体的な措置を検討し、講ずることが望まれる。
  • 行政機関、専門支援機関、教育機関、医療機関等の関係機関は、さらに連携を強化し企業等雇用主並びに発達障害者本人及びその家庭に対し一層きめ細く、適時適確な支援により対応できる体制を構築することが望まれる。

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