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-地域における障害者就労支援の現状と課題-

資料シリーズ No.94
地域の就労支援の現状把握に関する調査研究Ⅱ -障害者就業・生活支援センターの現状把握と分析-

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
松本 安彦 (障害者職業総合センター 統括研究員) 概要、第1章~第4章
武澤 友広 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章2節、第2章1~3節
浅賀 英彦 (障害者職業総合センター 主任研究員) 第2章1~2節、第2章2~3節
森 誠一 (障害者職業総合センター 主任研究員) 第2章1節

活用のポイント

地域の就労支援ネットワークにおける障害者就業・生活支援センターの現状と課題に焦点をあて、アンケート調査やヒアリング調査等を行い、結果を分析した。同センターや地域の就労支援ネットワークの在り方について考える際の材料やヒントとなるだろう。

研究の目的と方法

目的

地域の就労支援ネットワーク全体を視野に入れつつ、アンケート調査・ヒアリング調査により就業・生活支援センターの状況についての把握を行うことにより、26年度研究(資料シリーズNo.89「地域の就労支援の現状把握に関する調査研究-障害者就業・生活支援センターの活動に着目して-」)における数値分析結果とあわせて、地域の就労支援ネットワークとその中での障害者就業・生活支援センターの現状・課題を包括的に提示する。

方法

  • ① 障害者就業・生活支援センターに対するアンケート調査及びヒアリング調査
  • ② 26年度研究で行った数値分析の再分析・追加分析

研究の結果得られた知見

  1. 就業・生活支援センターに対する地域ニーズの量とセンターが供給できるサービス量とのギャップは、大都市圏域を中心に大きくなっているが、これを埋めているのは、母体法人による種々のバックアップ(人材・ノウハウ等のソフト面、スペース等のハード面など)、自治体の独自措置(独自の就労支援センターの設置、就業・生活支援センターへの上乗せ措置など)、就労系福祉サービス事業所・医療機関・教育機関・ハローワーク等との関係構築(業務分担の調整、就労支援を促進するための他機関のアクティベーション(活性化)・ネットワーキングなど)である。
  2. 就業・生活支援センターとしての業務・連携面での課題や悩みは、サービスの入り口(アセスメント)と職場定着支援(生活支援や職場のナチュラルサポートの育成を含む)の段階において特に顕著に認められた。
  3. 他機関に対するアクティベーションやネットワーキングについては、使命感や役割意識を持って取り組んでいる就業・生活支援センターが少なからず把握された。具体的には、他機関に対するセミナーや個別的な助言のほか、共通シートによる情報交流の促進や、ネットワークによるマッチングシステム構築の例もあった。
  4. 就業・生活支援センターの分化は、受動的なものと能動的なものに大別される。受動的なものは、母体法人や地域・社会資源の状況によってセンターの業務・体制が決まっていく部分であり、能動的なものは、地域の社会資源に対する関わり方によってその後のセンターの地域での存在感や重点の置き方が変わってくる部分である。能動的な働きかけによって地域の就労支援ネットワークの底上げを図ることは、長期的には地域におけるセンターの存在感の高まりや就職準備性の高い登録者の増加等を通じ「就職」「定着」という成果指標に反映されると思われるが、このような努力の現況を相互に把握し交流することも有意義であると考えられる。

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