-精神障害者に対する支援技法の実践的研究-
資料シリーズ No.91
精神障害者に対する「自己理解の支援」における介入行動に関する基礎調査
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発行年月
2016年04月
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キーワード
自己理解の支援 精神障害者 フォーカスグループ・インタビュー
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
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前原 和明 (障害者職業総合センター 研究員) | 第1章~第5章 |
加賀 信寛 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 第1章~第5章 |
活用のポイント
精神障害者に対する「自己理解の支援」については、職業リハビリテーション(以下「職リハ」という。)の実践現場において、その必要性と重要性が指摘されながらも、具体的な介入の指針や内容が体系的に整理されているとは言い難い状況にある。本研究は、「自己理解の支援」を円滑に実施していくための基礎資料として、職リハの実践現場での活用が期待される。
研究の目的と方法
目的
精神障害者に対する「自己理解の支援」における具体的介入行動について、フォーカスグループ・インタビューを用いて把握し、「自己理解の支援」の実態を明らかにすることにより、効果的な支援に繋げていくための参考資料を作成する。
方法
- (1)文献調査
- (2)障害者職業カウンセラーに対するフォーカスグループ・インタビューの実施
- (3)インタビュー結果の質的分析
研究の結果得られた知見
分析の結果、自己理解の支援は、下表として整理できた。障害者職業カウンセラーは、職リハの代表的専門職であり、この結果は、職リハ領域において一般化が可能である
また、自己理解支援の実施上の留意点として、次のことが示唆された。
- ① 職リハ機関と精神科医療機関間の連携の視点:精神科医療機関に対し、職リハ機関が展開する支援の現状と連携の必要性について説明し、対象者への負荷水準に関する共通認識を形成すること。
- ② 企業側の視点に立脚した支援方針の検討:企業の視点に立脚した思考の積み重ねに基づき支援していくことが重要であり、職リハ支援者自身が企業側の視点に立脚した思考を習慣化していくこと。
要素 | 内容 | ||
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介入 | 対象者支援 | 支援における主体性の重視 | ・インフォームド・コンセントの支援 ・自発的活動の引き出し |
現状認識のための支援 | ・課題への直面機会の設定 ・対象者と関係性が醸成されている者からの助言 ・振り返りの実施 ・病前自己とのイメージギャップの修正 ・状態(体調)の変容過程の記録 ・症状の具体的エピソードの収集 ・同様の障害を有する者との情報共有 ・他者視点での自己評価 |
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時期に応じた支援 | ・発達段階を考慮した自己理解の捉え方 ・強みに着目した支援 ・スモールステップの目標設定 |
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機関連携 | 医療機関との協働 | ・日常生活や就業面に及ぼす症状の影響の確認 ・支援方針の共通認識と支援体制の構築 ・主治医との連携 |
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企業との協働 | ・企業との役割分担 ・企業にとってのメリットの提案 ・企業側の障害に対する認識変更支援 |
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冊子在庫
なし