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-障害者と共に働くことが当たり前の社会へ-

資料シリーズ No.102
就労に必要な移動等に困難がある障害者の実状等に関する調査

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
岩佐 美樹 (障害者職業総合センター 研究員) 概要、第1章~第3章、第5章
浅賀 英彦 (障害者職業総合センター 主任研究員) 第4章

研究の目的

四肢障害や視覚障害等により、自力での通勤のための移動や移動についての介助なしでの就労に困難を抱える障害者(以下「移動等困難障害者」という。)については、従来、雇用労働者として働くことに課題を抱えてきたと言えます。障害に関わらず、「共に働くことが当たり前」の社会の実現への取組に向け、本研究では、移動等困難障害者の就労状況、これらを取り巻く社会環境や支援ニーズ等を把握することを目的としました。

活用のポイントと知見

本研究においては、移動等困難障害者を、移動困難をもたらす要因により、「交通制約者」、「移動制約者」及び「移動困難者」に分類し、移動等困難障害者に対する支援について、通勤支援、事業所内・事業所外での移動支援及びその他の支援に分けて整理しました。

研究成果として、移動等困難障害者の抱える課題に対し、様々な工夫や配慮、個別性に応じた支援に関する多くの示唆を得ることができました。また、これらの問題を、障害者だけの問題としてではなく、職場全体の問題、地域全体の問題として考え、解決を図っていくこと、十分なコミュニケーションをとりながら、障害者と共に働くことを当たり前と考える企業風土の醸成、心のバリアフリー化を図っていくことが何よりも重要であるというのが本研究で得られた最大の知見と考えます。

移動等困難障害者の雇用及び職場定着の促進に向け、本研究で得られた情報を活用いただければ幸いです。

移動等困難障害者を、移動困難をもたらす要因により、「交通制約者(交通不便地域・空白地域に住み、自家用乗用車を利用できないため主として通勤に困難を抱える移動等困難障害者)」、「移動制約者(移動に際し、身体的・精神的な要因によって何等かの困難を伴うが、その困難性は個人要因・環境要因により変化し、一定の条件の下、特別な支援を必要とする移動等困難障害者)」及び「移動困難者(移動に際し、常に特別な支援を必要とする移動等困難障害者)」に分類しました。
本研究での移動制約者、移動困難者と交通制約者の定義と関係

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