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-コミュニケーションが変わる15のスキル-

調査研究報告書 No.151
高次脳機能障害者の職場適応促進を目的とした職場のコミュニケーションへの介入-コミュニケーションパートナートレーニング-

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
土屋 知子 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章~第4章
松尾 加代 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第1章~第4章

研究の目的

高次脳機能障害者の職場適応を支援する上で、職場でのコミュニケーションに着目することは重要です。コミュニケーションパートナートレーニング(CPT)は、高次脳機能障害者の周囲の人に対して、適切なコミュニケーションについての情報提供や助言を行い、練習機会を提供する介入方法です。本研究では、高次脳機能障害者の職場の人的環境(上司や同僚、企業在籍型JCなど)を対象とするCPTを開発し、その効果を検討しました。

活用のポイントと知見

高次脳機能障害者の上司や同僚、企業在籍型ジョブコーチ等は、CPTに参加することで高次脳機能障害者とのコミュニケーションに関する知識、自信、そして意欲が向上することが確認されました。本研究は、職業リハビリテーション支援者が高次脳機能障害のある人を雇用する事業主への助言等をする際の参考として、また、事業主が高次脳機能障害のある人との職場でのコミュニケーションを考える際の参考としてご活用いただけるものと考えます。

この図には、プログラムで使用したスライドから、6枚が抜粋して掲載されています。上段左のスライドは、会話に集中できる環境づくり・態度に関する内容です。ポイントとして、静かで気が散るものが少ない環境であること、落ち着いた雰囲気であることが挙げられています。上段中央のスライドは、話す前に相手の注意を引くことに関する内容です。ポイントとして、名前を呼ぶこと、互いの顔が見える位置関係であること、自然なアイコンタクト、相手の注意が会話に向いていることを確認してから本題に入ることが挙げられています。上段右のスライドは、わかりやすい言葉を選ぶことに関する内容です。ポイントとして、その人にとって身近な言葉をつかうこと、伝わらないときは別の言葉に言い換えること、「あれ」「それ」などの指示語ではなく具体的に言うことが挙げられています。下段左のスライドは、ゆっくり話すことに関する内容です。ポイントとして、自分のペースではなく、相手のペースを意識することが挙げられています。下段中央のスライドは、簡潔な文で話すことに関する内容です。ポイントとして、一文に一つの内容にすること、シンプルな文構造にすること、質問も一度に一つずつにすることが挙げられています。下段右のスライドは、話す内容を整理することに関する内容です。ポイントとして、順序だてて伝えること、すなわち、相手が頭の中で情報を並べ変えたり、更新したり、分類整理したりしなくて済むように話すこと、また、重要度が低い情報は省くことが挙げられています。
本研究のCPTプログラムで使用したスライドの一部

令和2年度地方研究発表会資料

【テーマ】

高次脳機能障害者の職場適応促進を目的とした職場のコミュニケーションへの介入~コミュニケーションパートナートレーニング~

※発表資料は、研修に参加された方向けの補助資料として作成したものです。
※本資料のご利用にあたっては、研究企画部企画調整室へご連絡いただくとともに引用元の明記をお願いいたします。

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