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-採用後障害者の休復職の実態と効果的な対応-

調査研究報告書 No.142
採用後障害者の職場復帰の現状と対応に関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
小池 眞一郎 (障害者職業総合センター 主任研究員) はじめに、第1章第1節、第2章第1~2節、第3章、第5章第1~4節・第6節、おわりに
岩佐 美樹 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章第2~5節、第2章第3節~11節、第5章第5節、「採用後に障害者になった人の職場復帰ガイド」
宮澤 史穂 (障害者職業総合センター 研究員) 第4章

研究の目的

本研究では、特定の障害に限定せずに、採用後に障害者となった人の職場復帰の全般的な現状を把握した上で、効果的な支援の方法や配慮に関する情報の提供を行うことを目的としています。この報告書により職場復帰の支援が一層活発になることを期待しています。

活用のポイントと知見

本研究では、企業へのアンケート調査やヒアリング調査等を実施し、採用後障害者全般に係る職場復帰の現状や課題、配慮や対応の実際を把握し、今後の就労継続・職場復帰支援のあり方などを調査研究報告書に取りまとめています。職場復帰に関する効果的な対応や配慮を取りまとめた「採用後に障害者になった人の職場復帰ガイド」(リーフレット)もあわせて活用してください。

休職の開始時点から、復職時、復職後のフォロー時など採用後障害者への対応に対する課題は幅広いもので、比較的制度が充実していると考えられる規模の大きい企業でも課題が多く認識されていました。また、新規に雇用した精神障害者と比較すると多くの項目で職場復帰した採用後精神障害者に関して課題を指摘する割合が高く、今後必要となる支援や配慮の方向性を示すことができました。

職場復帰時の課題として最も多く選択されていたのはどの程度仕事ができるか分からなかったという項目であり、企業規模別の集計で84.4~87.4%の企業に選択されていました。本人の状態に関する正確な医療情報が得られなかったという課題は22.4~28.9%、本人に合う適当な業務がなかった、は20.8~49.4%、本人が障害を受容できず、休職前の職場に復帰することにこだわった、は9.4~21.2%、職場復帰に関する就業規則の規定が無かった、は9.4~13.3%の企業に職場復帰時の課題として選択されていました。
企業からみた復帰時の課題(規模別、上位5項目)
職場復帰後の課題として最も多く選択されていたのは、復帰後の仕事の与え方や配置が難しいという項目であり、企業規模別の集計で69.5~81.9%の企業に選択されていました。再発防止が難しいという課題は33.6~54.5%、代替要員の確保が難しいは34.1~39.7%、上司・同僚の理解が困難であるは13.7~30.7%、休職期間中の給与の保障が難しいは15.3~31.3%の企業に復職後の課題として選択されていました。
企業からみた復帰後の課題(規模別、上位5項目)
企業344社の回答によると、職場復帰時に行った対応や配慮としては、作業改善、職種転換、勤務時間短縮・勤務時間帯の変更及びリワーク支援が多いことがわかりました。この他の支援については、多い方から順に、通院のための特別な有給休暇の許可、通勤時間短縮のための勤務地変更、能力開発のための訓練実施、支援機器導入や施設整備、親族同居のための勤務地変更となっていました。
職場復帰時に行った対応や配慮
精神障害者の雇用において企業が課題とする項目を採用後に精神障害者となった者のみを雇用している企業と、新規雇用した精神障害者のいる企業に分けて項目ごとの割合を表示しています。採用後精神障害者のみを雇用している企業29社と、新規雇用した精神障害者のいる企業127社を比較したところ、総合的に見て課題があるとした企業の割合は、前者の方が高い傾向が認められました。同様に、職務遂行の正確さや報告・連絡・相談をするといった課題も、前者の方が高い傾向が認められました。一方で、新規雇用した精神障害者のいる企業において割合の最も大きい課題はとっさの事態に対する判断力でしたが、採用後精神障害者のみを雇用している企業との間に大きな差はありませんでした。
精神障害者の雇用において課題とする割合(新規雇用、職場復帰別)

令和2年度地方研究発表会資料

【テーマ】

採用後障害者の職場復帰の 現状と対応に関する研究

※発表資料は、研修に参加された方向けの補助資料として作成したものです。
※本資料のご利用にあたっては、研究企画部企画調整室へご連絡いただくとともに引用元の明記をお願いいたします。

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