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-自己理解を促進するためには?-

調査研究報告書 No.140
職業リハビリテーション場面における自己理解を促進するための支援に関する研究

  • 発行年月

    2018年03月

  • キーワード

    自己理解の支援 職業リハビリテーション 精神障害者 統合失調症 気分障害 発達障害者

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    支援方法の把握/紹介

執筆者(執筆順)

執筆者
前原 和明 (障害者職業総合センター 研究員)

研究の目的

この研究は、職業リハビリテーションにおいて、支援対象者の自己理解を促進するために支援者が取るべき行動を整理し、自己理解の支援の特徴と工夫について明らかにすることを目的としています。

活用のポイントと知見

自己理解の支援を行う上で、以下のような特徴と工夫が明らかになりました。これらは、各機関が支援プログラムを作る際のヒントや支援者が自らの支援を振り返るための指針として活用できます。

  • 援行動は、精神障害者において①現状認識の促進、②実体験の提供、③現状整理の依頼、④情報収集機会の設定の4つ、発達障害者において①現状整理のための工夫、②現状認識の促進、③情報収集に基づく振り返りの3つに整理できました。
  • これらの支援行動を提供する際には、統合失調症の精神障害者に対し「具体的な体験を通じた現状の確認や気づきを促すこと」、気分障害の精神障害者に対し「体調や症状等の確認からセルフマネージメントに繋げていくこと」、発達障害者に対し「課題や特性整理に基づき対処方法を検討していくこと」を支援者は意識しているという特徴が明らかになりました。

本報告書では、上記の結果に加えて、自己理解の支援事例の収集と当事者にとっての支援の意味の整理を行い、支援提供上の工夫について示しており、自己理解を促進するための支援の提供にむけた資料になると考えます。

自己理解の支援の具体的方法を示した図。
精神障害者(統合失調症・気分障害)については次の①から④のとおり。
①現状認識の促進。対象者が自分の課題を把握できるように、働く中で経験した困難な状況等について確認。
②実体験の提供。様々な作業訓練に挑戦してもらったり、職場実習等の様々な経験の機会を設定。
③現状整理の依頼。現在の生活状況の記録を対象者に依頼。
④情報収集機会の設定。他者と意見交換することのできるグループワークの場面を設定。
発達障害者については次の①から③のとおり。
①現状整理のための工夫。現状や課題を整理する場面では、支援者が文字や図等を用いて示す等の工夫をする。
②現状認識の促進。対象者が自分の課題を把握できるように、働く中で経験した困難な状況等について確認。
③情報収集に基づく振り返り。対象者が働くことについて考えるために、働く上で必要な知識を得るための講習の設定。

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