-ワークサンプル幕張版(MWS)の既存課題の改訂・新規課題の開発-
調査研究報告書 No.130
障害の多様化に対応した職業リハビリテーション支援ツールの開発 -ワークサンプル幕張版(MWS)の既存課題の改訂・新規課題の開発-
-
発行年月
2016年03月
-
キーワード
障害の多様化 ワークサンプル幕張版(MWS) 基準値
-
職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 | 執筆箇所 |
---|---|
加賀 信寛 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 概要、第Ⅰ部第1章、第Ⅱ部第1章~第3章、総括 |
森 誠一 (障害者職業総合センター 主任研究員) | 序章、第Ⅰ部第2章、第Ⅱ部第3章 |
鈴木 幹子 (障害者職業総合センター 研究員) | 第Ⅰ部第1章 |
松浦 兵吉 (障害者職業総合センター 研究員) | 第Ⅰ部第1章~第2章、第Ⅱ部第2章 |
八木 繁美 (障害者職業総合センター 研究員) | 第Ⅰ部第1章~第2章、第Ⅱ部第2章 |
前原 和明 (障害者職業総合センター 研究員) | 第Ⅰ部第1章~第2章、第Ⅱ部第1章~第2章 |
活用のポイント
職業リハビリテーション支援を効果的に実施するためのワークサンプル幕張版(MWS)は、「職場適応促進のためのトータルパッケージ」を構成する中核的ツールである。今回、MWSを活用する支援者に対する基礎調査(ニーズ調査)の結果を踏まえ、多様な障害に対する支援の充実に向けMWSの「既存課題の改訂(5課題)」及び「新たなワークサンプルの開発(3課題)」を行い、評価・訓練機能の拡充を図ることとした。本報告書は、これらの現状と課題、改訂ワークサンプルの基準値の再設定等について整理・分析したものであり、MWSを活用する支援者の基礎資料として活用されることが期待される。
研究の目的と方法
目的
多様な障害に対する支援の充実のために、MWS既存課題の改訂及び新たなワークサンプルの開発を行った。
方法
改訂・開発に当たっては、①作業部会等での課題内容の検討、②研究協力機関での改訂及び新規開発ワークサンプルの一般成人・障害者への試行、③基準値再設定のための一般成人データの収集、等を行った。
研究の結果得られた知見
- 基礎調査の結果を踏まえ、MWS既存課題のうち5課題(OAWork:「数値入力」「検索修正」、事務作業:「数値チェック」「物品請求書作成」、実務作業:「ピッキング」)を改訂対象とし、「レベル(難易度)の増設」及び「ブロック(問題数)の増量」を行った。なお、改訂ワークサンプルの障害者への試行結果について質的な分析を行ったところ以下の知見が得られた。
①障害種別によっては、レベルの増設によって障害特性が顕在化し、妥当な支援計画の策定に繋がる可能性が拡大している。②障害特性の補完手段及び補完行動の習得が得られやすくなるため、課題に対するモチベーションが喚起され易い。③ブロック数の増量によって、簡易事務作業等を中心とした作業遂行能力の向上を図るための反復トレーニングに役立つ。 - 知的障害を伴わない発達障害、気分障害のある者を中心とした対象者の中には、既存MWSに比べ知的・認知的・精神的負荷がより高いワークサンプルの開発ニーズがあることから、MWSの基本構造を踏まえた新たなワークサンプルの開発を行った。現時点では開発課題(プロトタイプ)の一般成人・障害者への試行までを行っており、障害種別ごとの活用効果の分析や実施上の留意点の検討、基準値設定のための一般成人データの収集等の作業は、次期の研究(平成28年度~平成30年度)において実施することとしている。
ワークサンプル名 | 開発課題の内容 | |
---|---|---|
OAWork | 給与計算 | (作業内容) 社員の給与計算を行う。PC画面上に問題(社員情報)が表示され、サブブックに従って回答を算出し、その回答をPC画面に入力する。 (把握できる能力) 社員ごとの条件に応じて、サブブックに示された計算ルールを正しく適用することや、表中の正しい行・列から数値を特定すること等が求められる。 |
事務課題 | 文書校正 | (作業内容) 事務書類、報告書等の印刷物を用いて、文書を校正する。原稿と校正刷の文字等を引き合わせ、校正記号を用いて誤りを修正する。 (把握できる能力) 文書の誤字、脱字、体裁等を正確に確認し、正しく修正する能力が求められる。 |
実務課題 | 社内郵便物仕分け | (作業内容) 葉書や封書の社内郵便物を仕分ける。会社に届いた葉書や封書等の郵便物を、宛先に書かれている部署(部・課)ごとにファイルケースに仕分ける。 (把握できる能力) 決められた規則通りに、正確に各部・課ごとに仕分けることが求められる。 |
ダウンロード
冊子在庫
あり