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-メンタルヘルス対策でひらく精神障害者雇用-

調査研究報告書 No.128
精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方策に関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
遠藤 雅仁 (障害者職業総合センター 統括研究員) 序章、終章
宮澤 史穂 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章
田村 みつよ (障害者職業総合センター 研究員) 第2章~第3章
笹川 三枝子 (障害者職業総合センター 研究員) 第4章

活用のポイント

企業における精神障害者の雇用とメンタルヘルス不調による休業者の職場復帰についてそれぞれの雇用面や職場定着における課題を探るとともに、メンタルヘルス不調者への対応と精神障害者雇用の関係について調査研究し、これらの分析を基に精神障害者の雇用促進に際して企業を支援する方策の提案を試みた。

なお、それらを事業主支援の実務場面で活用いただけるよう、冊子『「企業からみた」精神障害者雇用のポイント』を作成した。課題傾向を導くチャートや社内ですぐに利用できる支援ツールを紹介している。

研究の目的と方法

目的

ここ数年、精神障害者の雇用が大幅に増加し、企業への支援の充実が求められる一方でメンタルヘルス不調者の増加も著しく、2015年12月にはストレスチェック制度が開始されるなど対策が進められている。そこで本研究では精神障害者雇用と職場復帰支援の関係性という切り口から精神障害者雇用促進のうえでの課題と制約を整理し、その解決方策を探ることで企業支援の一助とすることを目的とした。

方法

  • 1 研究委員会を設置し、意見助言等を求めながら研究を進めた。
  • 2 企業にアンケート調査を行い、2,099社から回答を得た。
  • 3 関係機関にヒアリングを行い、精神障害者の雇用と定着を促進する方策を収集した。

研究の結果得られた知見

企業の職場復帰状況と精神障害者の採用方針から、精神障害者の雇用促進に関し以下の課題解決方策が得られた。

採用方針 職場復帰は安定している 職場復帰は安定していない
精神障害者採用可 ダイバーシティマネージメントに関心のある企業が多いので高齢者などで取り組んでいる事例を精神障害者雇用にも活かす。 交替制勤務などの社内制度を変えるには限界があるので、精神障害者自身が配慮を要求できる力を付けるプログラムが有効。採用は前向きなので職場定着支援が必要。
精神障害者採用否 各種の助成金、支援措置を活用して企業負担の軽減を図る。対象となる障害者を発達障害者まで広げる。 過去に精神障害者雇用をして失敗したことで拒否感を持つ企業が多いので、面接場面への同行や職場実習、他社の取り組みの紹介などが有効
精神障害者の採用方針なし 職場復帰時の社外の情報収集、支援の活用から取り組むことを始める。 休職期間が短い、職場復帰時の配慮も少ない。また、過去の経験から精神障害者採用への拒否感を持つ会社が多いので、比較的困難感の少ない職場復帰者への対応から始めて、職場環境の改善に結びつける。

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