(ここから、本文です。)

第5分科会 知的障害

※ 発表資料を掲載していない方については、発表論文を参照してください。
※ タイトル及び概要は、発表者からいただいた内容を掲載しています。
  また、共同研究者については省略しています。

1 知的ボーダーライン者に対する就労支援の必要性

【発表者】

梅永 雄二(早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授)

【発表概要】

障害者雇用率の対象となるには障害者手帳を取得していなければならない。しかしながら、障害者手帳を取得できない知的ボーダーライン者も就労においては支援が必要である。知的ボーダーラインとは、IQが70~85の間であり、統計学的にはわが国には約1,700万人が存在することになる。本研究では、知的ボーダーライン者が就労上抱えている問題、およびその必要な支援対策について報告を行う。

2 知的障害者雇用の就労及び就労継続における促進要因と阻害要因

【発表者】

伊東 一郎(法政大学大学院 中小企業研究所 特任研究員)

【発表概要】

総務省発表の特別支援学校高等部の生徒数は、東京などの大都市圏でも減少傾向に転じはじめている。すなわち、労働人口の次の担い手となれる特別支援学校の生徒数も減る中で、障害者雇用率が5年毎に確実に上昇するとなると企業側としても手を拱くわけにはいかない。そこで、知的障害者の就労継続が上手くいっている企業では、先行研究で離職理由とされている処をどのような視点に立って対処して来たのかを質的研究で明らかにする。

3 重度知的障がい者の就労/職場定着支援 -企業就労後、継続的に個別の移行支援計画を活用・更新を続けた支援事例-

【発表者】

大澤 淳一(トライフル鎌倉 就労移行支援 管理者/サービス管理責任者)

【発表概要】

重度知的障がい者の就労/職場定着支援を実施した。結果、以下のような支援の結果が得られた。① 個別の移行支援計画を媒介として、就労後も、職業・生活両面で、必要な支援が継続されたこと。② 立場によって異なる情報を、個別の移行支援計画に集約することで、共通した支援が可能となったこと。③ オンラインも含め、関係者が一堂に会する機会を設定することで、職業・生活両面を支えるチーム感が醸成されたこと。

4 畑作業と体操、座学を通じた学習が、知的障がいのある青年のストレスや心身の状態に与える影響について

【発表者】

前川 哲弥(株式会社夢育て 代表取締役/NPO法人ユメソダテ 理事長)

【発表概要】

順天堂大学千葉研究員、都城三股農福連携協議会岡元一徳代表理事、法政大学大学院吉廣氏と前川は畑作業等が知的障害者の心身状態やストレス状態に与える影響を計測するため、知的障がいのある青年を対象に畑作業と体操、座学を組合せて実施している人を育てる畑受講生を対象に活動前後の唾液を採取し、αアミラーゼ、コルチゾール等の変化を測定した結果、活動が受講生のストレスを下げ、心身状態を活性化していることが分かった。

5 畑作業と体操、座学を通じた学習が、知的障がいのある青年の認知発達に与える影響について

【発表者】

外山 純(NPO法人ユメソダテ 理事/よむかくはじくLLP 代表)

【発表概要】

夢育ては、2022年10月に知的障がいのある青年を主たる対象として畑作業と体操、座学を組合せて認知身体機能の発達を促す”人を育てる畑”を開講した。開講当初とその半年強後の2回の認知アセスメント(レイの複雑図形検査とレーヴン色彩マトリックス検査)を比較することで、視空間知覚・構成機能と非言語性視覚記憶等の成長を確認することができた。加えて、我々の方法論の課題や展望とその普及について考察する。