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-双極性障害を有する者の職場復帰のために-

資料シリーズ No.99
企業における双極性障害を有する者の職場復帰及び支援状況の実態調査

  • 発行年月

    2018年04月

  • キーワード

    双極性障害 リワーク 職場復帰

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    就労支援に関する状況等の把握

執筆者

執筆者
戸ヶ崎 文泰 (障害者職業総合センター 統括研究員)

研究の目的

地域障害者職業センターでのリワーク支援の支援開始者を疾患別にみると「そううつ病」に区分される利用者の数が年々増加しています。そこで、リワーク支援の専門家や双極性障害を有する者の復職支援に取り組む企業に対してヒアリング調査を実施し、リワーク支援に当たっての留意点や企業における支援、復職の現状を調査し、双極性障害を有する者に対するリワーク支援に係る技法開発に必要な基礎的な知見を得ることを目的としました。

活用のポイントと知見

精神障害のうちでも双極性障害については、復職支援の技法開発が十分ではなく、今後行われるであろう双極性障害を有する者の復職支援の技法開発のために役立つことが期待されます。

研究で得られた知見は次のとおりである。双極性障害を有する者のみを対象としたリワーク支援は有効である。しかし、実施機関の体制の問題がある。また、単極性うつの診断を受けた者の中に双極性障害の者が存在するため、単極性うつと双極性障害を一緒にリワーク支援していくのが現実的である。留意点は次のとおりである。
・躁状態・軽躁状態になったときにリワーク支援から外れてもらう基準が必要
・単極性うつの診断を受けている者の中にいる双極性障害の可能性のある者を見極める仕掛けが必要
・単極性うつの診断を受けている人が実は双極性障害ではないかと疑われる場合、主治医との密接な連携が不可欠
・双極性障害の場合、気分の波の兆候を早期に把握することが必要である。活動記録表、ライフチャート、自分研究などが有効である。また、自分の脆弱性を理解し、自分を見つめる自分(リワークアイデンティティ)が必要である。
・双極性障害を有する者の職場復帰が難しい要因として「診断の困難さ」「セルフコントロールや病状受容の問題」「企業の認識不足」等が挙げられる。

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