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- 一般校を卒業した知的障害者の就職実態 -

資料シリーズ No.97
専門的な雇用支援が必要な若年軽度知的障害者の実態把握に関する基礎調査

  • 発行年月

    2017年04月

  • キーワード

    軽度知的障害者 一般高校

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害者雇用の状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
遠藤 雅仁 (前 障害者職業総合センター 統括研究員) 概要、第1章、第2章、第3章、第5章
浅賀 英彦 (障害者職業総合センター 主任研究員) 第2章、第4章
武澤 友広 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章(図表)、第3章(図表)

研究の目的

一般高校に進学した軽度の知的障害者については特別支援学校のような手厚い支援が受けられず、離転職を繰り返し、安定した雇用に結びつかない等の課題があるといわれている。このため、若年の軽度知的障害者の職業・生活等の状況を把握し、適切な雇用支援の方法、関係機関の連携のあり方等について検討するための材料をとりまとめる。

活用のポイントと知見

本研究は、ハローワーク、地域障害者職業センターに対する質問紙調査、ヒアリング調査により、一般校を出た軽度の知的障害者がどのような就労状況にあり、どのような課題があるかを調査したものである。学校、ハローワークの一般窓口、若年者向け支援機関において、それらを利用する軽度知的障害者の現状を把握することに活用されたい。

  • 障害が軽度のため、障害に気付かなかったり、療育手帳を取得していなかったりして、一般高校やその後の進学先へ進み、就職に際して困難に直面する知的障害者が一定程度存在する。
  • 軽度知的障害の若者は継続就業期間が短く、安定した雇用に結びつきにくい傾向にある。
  • 一般高校やその後の進学先では知的障害向けの就職指導を受けられず、就職に際して困難に直面したり、就職しても短期間に離職してしまうこともある。
  • 本人・親の気付き、理解を促し、特別支援学校進学という選択肢もあることを理解することが必要。就職に困難を抱えている人たちの声を察知し、「気付き」に誘導する指導機会が必要である。
療育手帳の取得について尋ねたところ、手帳取得年齢は「15歳から19歳」が他の年齢層よりも多かった。取得理由は「就職に有利」が「生活に便利」「その他」よりも多かった。取得のきっかけは「関係機関の勧め等」が「自分で判断」「親などの判断」よりも多かった。「15歳から19歳」は高卒等の就職時期に当たることから、就職に関連して取得することが多いと思われる。
本調査と若年者雇用実態調査の結果を比較した図。本調査では離職者の半数近くが0から5か月で離職していたことから、軽度知的障害者は安定した雇用に結び付かないことが多いことが推察できた。
ヒアリング結果調査から、就職の困難さ及び離転職のしやすさについて、次のことがわかった。
・一般高校でも毎年1~2人の軽度知的障害者を受け入れている学校では、対応の仕方を比較的理解しているが、初めて受け入れた学校や進路指導の経験の浅い教員の場合は、対応に苦慮しており、結果としてハローワークの就職支援に委ねがちになる。
・知的障害の軽度な者は、全体的に就職しても早期に離職する傾向がある。感覚に走りすぎて、よそがいいと思うと、先のことを考えずに辞めてしまうこともある。

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