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-精神障害者の就職・職場定着状況-

資料シリーズ No.86
障害者職業センターの支援を受けた精神障害を有する求職者の就職・職場定着状況等に関する調査研究 -精神障害を有する求職者の実態に関する調査研究 Ⅱ-

  • 発行年月

    2015年04月

  • キーワード

    精神障害 就職・職場定着状況 広域・地域障害者職業センター

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害者雇用の状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
加賀 信寛 (障害者職業総合センター 主任研究員) 概要、第1章、第2章、第3章、第4章
松浦 兵吉 (障害者職業総合センター 研究員) 第2章、第3章
大石 甲 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第1章、第2章、第3章、第4章

活用のポイント

広域・地域障害者職業センター等、職業リハ機関の支援担当者が、精神障害者の就職及び職場定着支援を進めていく上での留意事項を確認する際、参考資料として活用できる。

研究の目的と方法

広域・地域障害者職業センターを利用した精神障害者の障害状況・就職及び定着状況、支援状況等を把握するため、同センターに対してアンケート調査を実施し、結果について量的分析を行うことによって精神障害者の効果的支援に資する参考資料を作成することを目的とした。

研究の結果得られた知見

①広域・地域職業センターを利用する精神障害者像について

気分障害圏にある者の利用が多く、その中には、病態がより複雑な者もいる。広域・地域職業センターの支援スタッフは、精神医学的、臨床心理学的な知識を獲得し、就労支援の困難度が高いと考えられる者に対する支援に反映させていくことが肝要である。

②フォローアップの展開を意図した機関連携

就職後のフォローアップを分担できる、近隣エリアの関連機関と連携を維持・強化することによって、フォローアップ支援の頻度を一定程度、確保していくことが、精神障害者の職場定着促進に寄与すると思われる。

③障害の自己管理スキルの習得支援について

広域・地域職業センター利用前に、就労継続支援等の福祉的サービスやデイケア等の医療的サービスの利用がなされていない者が約半数を占めている。これらの者については、業務遂行力の向上を図るためのトレーニングと同時平行して、障害に対する自己管理スキルの習得支援を進めていく必要がある。

④職場定着状況について

先行研究であるハローワーク調査による精神障害者の職場定着率は、3ヵ月時点で53.7%、1年(12ヵ月)時点で34.6%、3年(36ヵ月)時点で22.4%となっている。これと比較し、職業準備支援受講後、就職した精神障害者の職場定着率は、就職後3ヵ月時点で92.8%、1年(12ヵ月)時点で82.7%、3年(36ヵ月)時点で50.3%となっており、3年経過時点における職場定着率を比較すると、おおよそ2倍の開きが見られる(図表1)。

図表1

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