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-長期勤続を支える支障への対応とその波及-

資料シリーズ No.62
障害のある中高年齢従業員の加齢に伴う就業上の支障と対策に関する調査研究-特例子会社(主として設立20年以上)における配慮と工夫-

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
佐渡 賢一 (障害者職業総合センター 統括研究員) 概要、第3章2節1・2、第4章
沖山 稚子 (障害者職業総合センター 主任研究員) 第1章、第2章、
第3章1節、2節3・4・5、
巻末資料

活用のポイント

(1)中高年齢障害者の雇用促進及び雇用継続に係る対策の基礎資料とする。
(2)障害従業員の中高年齢化に伴う就業上の課題に関心をもつ事業所、及び中高年齢障害者の採用や雇用継続に不安を感じる事業所に対し、活用可能な配慮と工夫の事例を提供する。
(3)中高年齢の障害従業員や、この課題に関与し関心を持つ就労・就業支援者に対し、活用可能な範囲の取り組みから中高年齢化に伴う就業上の課題の発生を遅延させる例を示す。 

研究の結果得られた知見

本調査研究は、先行の成果物「高齢化社会における障害者雇用に関する調査研究-中高年齢障害者の雇用促進、雇用安定のために-」を補完する目的で実施された、設立20年以上の特例子会社41社からの聴き取り調査である。

聴き取りの主眼は「高齢化した障害のある従業員の就業上の支障と、雇用継続のための配慮や工夫の状況」への質問で、この質問への回答を主体に調査対象企業の取り組みを整理した。得られた主要な知見は次のとおりである。

(1)調査対象事業所において障害のある中高年齢(45歳以上)従業員は、障害のある従業員の2割から多いところで3分の1程度を占めていた。また、設立当初から勤続している者が相当数おり、これら従業員の勤続年数は20年程度あるいはそれ以上の長期にわたっている。
(2)加齢に伴う就業上の支障、雇用継続のための配慮や工夫に関する回答は作業現場におけるシステムや機器の改善、人的支援とともに、休憩取得への配慮、キャリア形成、健康管理等多岐に及んでいる。作業現場においては、発生した支障への対処として導入された配慮や工夫が他の従業員、他の部署へも拡がってゆく事例も確認できた。
(3)こうした波及の結果として、加齢に伴う支障の発生が遅延ないし回避できる、という効果を認めることができ、直接配慮や工夫として意識していないシステムや設備にも同種の効果をもたらすものがあり、これらが調査対象事業所において多数の長期勤続従業員が支障なく勤務できていることにつながる、との視点が得られた。
(4)また、労働時間の変更等処遇の変更を伴う形での就業の継続が図られている事例、加齢に伴う就業上の支障が持続している事例についても聴き取りの過程で多数収集されている。

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