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-海外障害者雇用法制・施策の最新状況を詳解-

資料シリーズ No.58
欧米の障害者雇用法制及び施策の現状

  • 発行年月

    2011年03月

  • キーワード

    障害者雇用法制 差別禁止 雇用率 合理的配慮 保護雇用 職業リハビリテーション 海外情報

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    社会政策・制度に関する状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
苅部 隆 (障害者職業総合センター 特別研究員) はじめに、第1~4章 第6節
高橋 賢司 (立正大学法学部 専任講師) 第1章第1節、2節、3節
福島 豪 (関西大学法学部 助教) 第1章第4節、5節
永野 仁美 (上智大学法学部 准教授) 第2章第1~5節
長谷川 珠子 (障害者職業総合センター 研究員) 第3章第1節、2節、3節
寺島 彰 (浦和大学こども学部 教授) 第3章第4節、5節
小川 喜道 (神奈川工科大学創造工学部 教授) 第4章第1節、4節、5節
長谷川 聡 (中央学院大学法学部 准教授) 第4章第2節、3節

活用のポイント

雇用率制度のドイツ、フランス、差別禁止法制のアメリカ、イギリスの4ヶ国を取り上げ、関係各国の労働法及び障害者福祉に詳しい専門家により、障害者雇用法制、差別禁止法制、雇用率制度、保護雇用、職業リハビリテーション及び障害者統計の各項目を一覧表にまとめ、それらに詳細な解説を加えた。本書は、資料シリーズNo.41「諸外国における障害者雇用施策の現状と課題」の内容を全面的に更新したものである。

研究の目的と方法

障害者の雇用を通じての自立を促進することは、労働政策上の重要な課題であるだけでなく、福祉政策上も重要な課題となっている。欧米主要国においても、欧州連合(EU)の発布した「雇用と職業における均等待遇のための一般枠組み設定に関する指令」や国際連合の採択した「障害者の権利に関する条約」などを受けて、障害者に対する雇用差別を撤廃し、雇用促進を図るための国内法制度や施策の整備が進められている。

我が国としても、障害者雇用法制や施策の進んでいる欧米主要国の最新の情報を把握分析し、課題を明らかにして、我が国の法制・施策の見直し検討に資する必要がある。このため、欧米主要国の障害者雇用法制・施策、職業リハビリテーション等に詳しい専門家の協力を得て調査研究委員会を設置し、関連情報の収集整理、研究課題の検討、取りまとめ及び執筆を行うこととした。

研究の結果得られた知見

ドイツでは、これまでリハビリテーションと社会参画を重視する雇用率制度のもとで、障害者の雇用促進が図られてきたが、2000年の雇用均等一般枠組み指令を受けて、社会法典の整備を始め、障害者同権法、一般平等取扱法などが相次いで制定されており、障害者に対する就労支援と雇用差別禁止施策が充実強化されつつある。

同様に雇用率制度を持っていたフランスは、1990年に差別禁止原則を導入して以降、両制度を並存させてきたが、2000年EC指令以降の障害者差別禁止に対する社会的関心が高まる中で、雇用差別禁止法制の整備を行い、以降、雇用率制度と雇用差別禁止法制とを主軸とする障害者雇用政策を展開している。

アメリカは、1990年の障害をもつアメリカ人法(ADA)により障害者差別を包括的に禁止する制度を取ってきたが、国際的な潮流の中で、障害者差別禁止の実効性を高めるためのADAの改正を行う一方、専門の部局ODEPを創設して、障害者の就労支援にも力を入れている。

イギリスは、実効性の乏しかった雇用率制度から、1995年に障害者差別禁止法(DDA)により差別禁止法制へと転換する一方、障害者に雇用と所得保障のサービスを効率的に実施するための施策を実施しており、2010年には、DDAも含む包括的な差別禁止法である平等法を制定し、より効率的に障害者雇用施策を展開しようとしている。

なお、アメリカを除く3ヶ国及びEUは全て障害者権利条約を批准している(2011年3月現在)。

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