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資料シリーズ No.35
視覚障害者雇用の拡大とその支援 -三療以外の新たな職域開拓の変遷と現状-

  • 発行年月

    2006年03月

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害者雇用の状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
犬飼直樹 (障害者職業総合センター統括研究員) 監修
指田忠司 (障害者職業総合センター研究員) 概要、第1章、第2章及び第3章の執筆、並びに資料3の翻訳
須賀一成 (障害者職業総合センター研究協力員) 第1章 第1節 表1-1-1~表1-1-20)
西岡宏 (障害者職業総合センター研究協力員) 第2章 第2節 表2-2-2
林ひろ美 (障害者職業総合センタージョブ・パートナー) 作表

(目的)

本研究は、「視覚障害者の職業的自立支援に関する研究」(平成14年度~16年度)の一環として実施されたものであり、視覚障害者の働く場の確保・拡大のための方策及び必要な就労支援策を明らかにすることを目的とする。

(方法)

本研究では、視覚障害者が伝統的に従事してきた三療分野、及び三療以外の分野における雇用・就業実態について調査を実施した(前者については、調査研究報告書No.69を参照されたい)。

三療以外の職業分野における視覚障害者の雇用・就業実態については、①職業能力開発(訓練)修了者、盲学校卒業者、大学等高等教育修了者など、視覚障害者が受けた教育・訓練の種別による側面、②全盲者、弱視者、中途視覚障害者など視覚障害の特性や経歴の種別による側面、③公務員、教職、福祉職、図書館員、弁護士等の専門職など、従事する職種の別による側面から、雇用・就業の実態及び課題を把握するよう調査を実施した。

調査方法としては、日本障害者雇用促進協会及び社会福祉法人日本ライトハウス、社会福祉法人視覚障害者支援総合センター等の関係団体が実施した調査結果を収集・分析するとともに、上記3側面を考慮しながら、障害者本人、事業主、就職支援機関、支援団体などの関係者10認の専門家にヒアリングを実施した。また、文献資料の収集及び専門家ヒアリングによって得られた知見を確認・補充するため、障害者職業能力開発校などの施設・事業所など7箇所を訪問し、関係者からの情報収集を行った。

(結果の概要)

第1章:視覚障害者の就業状況について、公的または私的に実施された各種調査結果をもとに、主として視覚障害者の雇用状況に関する統計データを中心に掲載する。
第2章:視覚障害者が伝統的に従事してきた三療以外の分野の職業について、職域開拓の変遷を踏まえながら、視覚障害者が従事している主な職種の状況についてその現状と課題を概観する。
第1節では、職業能力開発と職域拡大の変遷について、昭和40年代から現在までの経過と職業能力開発分野における取組みについて紹介する。
第2節では、国家・地方公務員への就職について、点字試験実施に至るまでの経過を含めてその背景を概観するとともに、視覚障害者に対する地方公務員試験の実施状況について最新のデータを収集してこれを掲載する。
第3節では、教職分野における職域開拓について、その背景とともに、視覚障害者に対する教員採用試験の実施状況に関する最近のデータを収集して掲載した。また、現に教職に就いている視覚障害者の状況についても、盲学校、普通学校、大学などに分けて概観するとともに、この分野では比較的前から事例のみられる中途視覚障害者の復職に関しても言及している。
第4節では、図書館で働く視覚障害者の状況について、昭和49年以降に事例がみられる公共図書館職員の状況と、それ以前から事例がみられる点字図書館職員の状況について、それぞれ全国規模の団体による調査結果をもとに概観する。
第5節では、福祉の現場で働く視覚障害者の状況について、福祉専門職公務員と、民間福祉施設職員の状況について概観する。
第6節では、民間企業への就職の現状と課題について概観する。まず、平成11年~15年までの就職状況について、情報処理系職業能力開発訓練・教育機関修了者の就職状況を中心に紹介する。次いで、平成15年に実施された「在宅視覚障害者のIT化に伴う情報アクセシビリティに関する調査」の結果から、民間企業で働く視覚障害者の状況と、視覚障害者を採用した事業所の状況の一端を紹介する。
第7節では、専門的職業に従事する視覚障害者の現状と課題について概観する。ここでは、事例としては少ないが、視覚障害者が従事しうる新たな専門的職業として、弁護士、医師、その他医療関係職の現状について、視覚障害者に対する国家試験の実施状況とともに、合格した人々の状況について紹介する。そして、その他の専門的職業についても、各種資格試験の受験事例などについてその一端を紹介する。
第3章:本書のまとめとして、視覚障害者の雇用支援における課題について、①職業能力開発と就職支援、②職場における各種の支援、③雇用継続における支援、④当事者団体による支援の4つの側面から今後の課題を提示する。
資料:最後に、本書の読者の便宜を考え、①全国盲学校一覧、②障害者重点ハロー・ワーク一覧、③全盲または弱視の事務系労働者と共に働く介助者の適正な実務に関するABAPSTAS指針、④職場における支援に関する助成金制度(平成17年10月現在)の4点の資料を付加した。③は、第3章において課題を提示した職場における支援に関する資料の一つで、英国の当事者団体が提案した職場介助者の業務遂行指針の翻訳である

目次

  • 第1章 視覚障害者の就業の現状
    • 第1節 平成13年身体障害児・者実態調査の結果から
    • 第2節 盲学校卒業生の進路
    • 第3節 大学卒業者の就職状況
  • 第2章 視覚障害者の職域拡大の変遷と現状
    • 第1節 職業能力開発と職域拡大の変遷
    • 第2節 国家・地方公務員への就職の現状
    • 第3節 教職への職域開拓とその現状
    • 第4節 図書館職員への就職とその現状
    • 第5節 福祉職への就職とその現状
    • 第6節 民間企業への就職の現状と課題
    • 第7節 専門的職業に従事する視覚障害者の現状と課題
  • 第3章 視覚障害者雇用に関する支援の課題
  • 資料

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