(ここから、本文です。)

資料シリーズ No.34
米国における障害者雇用への社会的支援の動向に関する資料

執筆・翻訳担当

執筆者 執筆箇所
春名 由一郎 (障害者職業総合センター 社会的支援部門 研究員) 緒言、第Ⅰ~Ⅲ部監訳
東明 貴久子 (障害者職業総合センター 社会的支援部門 研究協力員) 第Ⅰ、Ⅲ部監訳

(目的)

特別研究6「職業的視点からみた障害と、地域における効果的支援に係る総合的研究」において、特に「社会的課題としての障害」を考察する際に、世界に先駆けて包括的な障害者差別禁止法である「障害のあるアメリカ人法(ADA)」を施行している米国における障害者雇用支援の現状を把握することが必要となった。その資料収集の一環として翻訳した文書のうち、特に、米国連邦政府が作成し、ADA試行の10年の歴史を反映しつつ、今後の進む方向を示唆すると思われる文書を紹介することを目的とした。

(方法)

最近の米国の動向を詳しく知るうえで最適の以下の3つの文書を翻訳した。

1.「障害のある成人の雇用に関する大統領タスクフォース最終報告書」

タスクフォースは、1998年クリントン大統領の命令により設立され、労働長官を議長とし、関係省庁の閣僚レベルのメンバーにより、「障害のある人の雇用率を、障害のない人の雇用率に限りなく近づけるための、これまで最も徹底した政策の見直しと提言を行うこと」を任務とした。

2.「ADAに基づく合理的配慮及び過度の負担に関する施行ガイダンス」

雇用機会均等委員会が定期的に改定している通知の現時点で最新の版である、2002年10月17日に出されたものである。

3.「New Freedom Initiative」

ブッシュ大統領が2001年2月に発表した、障害者政策についての基本計画である。上記、タスクフォース最終報告書で頻繁に引用されているため、その理解を助けるために、翻訳して本書に収めた。

(結果の概要)

米国における障害のある人への雇用支援の制度は、わが国のものとは大きく異なっている。しかし、重度障害者の雇用支援、精神障害者への支援、脱施設化と地域への移行、在宅就労を含む多様な就労形態の活用、教育と雇用の連携、福祉と雇用の連携、医療と雇用の連携、事業主支援、職業リハビリテーションサービスの転換など、取り組むべき課題には両国で多くの共通点があることがわかった。世界初の包括的障害者差別禁止法であるADAの10年以上の施行、及び、他国に類を見ない政府のトップレベルでの障害者雇用を中心課題としたタスクフォースの活動、という米国の貴重な経験とそれから得られた情報は、わが国においても有益であることは疑いない。

目次

  • 緒言
  • 第Ⅰ部 障害のある成人の雇用に関する大統領タスクフォース最終報告書(2001)
  • 第Ⅱ部 ADAに基づく合理的配慮及び過度の負担に関する雇用機会均等委員会施行ガイダンス(2002)
  • 第Ⅲ部 New Freedom Initiative (2001)

ダウンロード

冊子在庫

あり