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資料シリーズ No.20
諸外国における職業上の障害に関する情報

  • 発行年月

    1999年05月

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    評価/支援ツールの開発

執筆担当(執筆順)

執筆者
小畑 宣子 (障害者職業総合センター統括研究員)
三木ひろみ (元障害者職業総合センター研究協力員 現筑波大学体育科学系講師)
長谷川恵子 (障害者職業総合センター研究協力員)

(結果の概要)

1.研究目的

わが国では障害の程度(障害等級)の判定を、主として機能障害(Impairment)に基づいて行っている。しかし、職業に就く上での困難度は、必ずしも現行の障害等級と一致していない場合があること、また、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下、「障害者雇用促進法」という)に基づく各種雇用支援措置の対象となっている障害の範囲に含まれていないが職業につく上で困難度の高い人々が少なからず存在すること、現行制度上の重度障害と就職困難度とは乖離している場合があり職業につく上での障害(以下、「職業上の障害」という)の重度判定が必要ではないかということが地域障害者職業センターのカウンセラー等から指摘されている。

職業上の障害の基本的な考え方や判定方法が、わが国では十分に確立されているとはいえない状況にあり、各種の雇用支援サービスの対象となる職業上の障害をどのような方法で判定するかが重要な課題となっている。

そこで、諸外国では、障害者の労働能力(以下、work abilityという)をどのように定義し把握しているか、いいかえれば、「職業上の障害」をどのような方法で判定しているかについて情報収集を行うこととした。

2.研究の方法

情報収集の方法は、海外の政府機関等への郵送によるアンケート調査、国内における各種研究調査報告書や文献による情報収集、インターネット等、多様な方法を採用した。

第1回調査は13ケ国34機関を対象に、1996年7月から10月の間に郵送により実施した。調査目的は、諸外国における社会保障制度および雇用サービスを受けるための資格認定システムと、それらにおいてwork abilityをどのような方法で判定しているかについての情報を収集することである。 調査項目は以下の6項目である。

①障害の法律上の定義
②労働能力を考慮した障害の等級判定の有無、労働能力が考慮されている場合にはその評価方法
③労働能力の評価システムあるいは労働能力を考慮した障害判定がある場合には、その関連法案、条文、評価・判定機関名
④障害者を対象とした雇用プログラムの資格要件
⑤障害者を対象とした雇用プログラムの資格を判定する機関
⑥障害者を対象とした福祉プログラムの資格要件

第2回以降の調査は、第1回調査回答国の中からオーストラリア、オランダ、ドイツ、デンマークに対してそれぞれ情報収集を行った。 また、インターネットを活用して諸外国の政府機関のホームページ、ILOのネットワークシステムGLADNET等から情報を収集した。

目次

  • 第Ⅰ部 研究目的および結果の概要
  • 第Ⅱ部 諸外国における職業上の障害者の判定に関する調査結果の概要
  • 第Ⅲ部 オーストラリアにおけるWork Ability Tablesに基づく障害判定方法(試案)
  • 第Ⅳ部 Valpar System 2000による職務遂行能力の測定
  • 第Ⅴ部 英国障害者差別禁止法 : 障害定義に関する問題解決のために考慮すべき事項の手引き(仮訳)
  • 第Ⅵ部 英国障害者差別禁止法 : 雇用における障害者と障害歴をもつ人に対する差別撤廃のための実践規約(仮訳)
  • 第Ⅶ部 オランダにおける障害と労働可能性の判定システムの概要

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