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-障害者が働きやすい職場を広げるために-

資料シリーズ No.107
障害者が障害のない労働者とともに働く職場環境で醸成される価値と障害者とともに働く労働者の取組に関する研究

  • 発行年月

    2024年03月

  • キーワード

    障害者雇用の質  インクルーシブ  障害者とともに働く労働者  障害者雇用を前向きに捉える価値  合理的配慮  修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害者雇用に対する企業の意識等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
石原 まほろ (障害者職業総合センター 上席研究員) 概要、第1章、第2章、第3章

研究の目的

本調査研究では、障害者雇用の質を巡る近年の動向を踏まえ、国連の障害者権利条約の「インクルーシブ」の一般原則を勘案しつつ、障害者が障害のない労働者とともに働く職場環境において、障害者雇用を前向きに捉える価値が醸成されるプロセスを障害者の働きやすさを考慮した取組と関連付けながら明らかにすることを目的としました。

活用のポイントと知見

  • 障害者と初めて働くことになり戸惑いを覚えがちである労働者が、障害者とともに働いていく中で、障害者とともに働くことに対して肯定的な価値観を見出していくまでのプロセスを呈示しています。
  • 障害者とともに働く労働者や彼らを援助する支援者などが、障害の有無に関わらず労働者にとって働きやすい職場環境整備を目指す際に、ご活用いただけます。
当初は戸惑いを覚えていた労働者が、障害者のことを知ろうとし、障害者の働きやすさを考慮した取組を行う過程を経て、障害者を貴重な戦力としてみなしていくとともに、自らが障害者の自立の場を提供できることへのやりがいを実感し、障害者は一緒に働く仲間であるとの価値観を持てるようになっていくプロセスを示している。
結果図:非特例子会社である一般企業において、障害者とともに働くことになった労働者が、障害者とともに働くことに対して肯定的な価値観を持てるようになるまでのプロセス

本調査研究の意義と就労支援実践に向けた示唆

  • 本調査研究では、非特例子会社で障害者とともに働くことになり当初は戸惑いを覚えていた労働者が、障害者のことを知ろうとし、障害者の働きやすさを考慮した取組を行う過程を経て、障害者を貴重な戦力としてみなしていくとともに、自らが障害者の自立の場を提供できることへのやりがいを実感し、障害者は一緒に働く仲間であるとの価値観を持てるようになっていくプロセスを具体的に明らかにしました。
  • 今回明らかとなったプロセスの中には、労働者が障害者と働くことを通じて障害者の自立の場を提供できることへのやりがいを感じ、自立援助の喜びを感じていくことが含まれており、この結果は、従来、困難性を伴うこととして言及されることが多かった障害者とともに働くことが、労働者にとってのやりがいや意義につながることを示唆する重要な結果であると考えられました。
  • また、支援者は労働者に対して、障害者への関わり方に関する情報提供、労働者が障害者の課題に対峙した際の助言等の課題を解決するための役割を果たせることが示されました。
  • このため、得られた結果は、障害者とともに働く労働者や彼らを援助する支援者などが、障害の有無に関わらず労働者にとって働きやすい職場環境整備を目指す際に、ご活用いただけます。
※ 本書はダウンロード版のみであり、印刷物の配布は行っておりません。

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