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-支援者でも人事でもない従業員の意識を探る-

資料シリーズ No.105
障害等により配慮が必要な従業員の上司・同僚の意識に関する研究

  • 発行年月

    2022年03月

  • キーワード

    障害者の上司・同僚  職場定着  雇用継続 サポートの提供  合理的配慮  社会的統合 web調査 

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害者雇用に対する企業の意識等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
宮澤 史穂 (障害者職業総合センター 研究員) 概要、第1章、第2章、第3章、第4章
佐藤 敦 (障害者職業総合センター 研究協力員) 第2章、第3章

研究の目的

障害者の上司・同僚は、障害者の雇用継続に重要な役割を果たしていると考えられますが、これまであまり注目されてきませんでした。本研究は障害者の上司・同僚を対象とした調査を実施し、障害者と働くことに対する意識や行動について明らかにすることを目的としています。

活用のポイントと知見

  • 障害者の上司・同僚の意識や行動の中でも、障害者が受けている配慮に対する認識や、サポートの提供状況に着目した調査を実施し、その結果をまとめています。
  • 障害者雇用に対する職場の理解を促進する際の基礎的資料として活用いただけます。
  • 障害者が受けている配慮に対する認識(図1)、上司・同僚が障害者に提供しているサポートの内容(図2)に関する結果を以下に示します。

障害者が職場から受けている配慮に対する認識について

先行研究から、職場において障害者に適切に配慮を提供する上で、上司・同僚の配慮に対する反応は重要であり、配慮に対して不公平を感じる人もいることが指摘されています。このような知見を踏まえ、本調査では、障害者が受けている配慮の適切さについて回答を求めました。その結果、全ての配慮項目において「適切に受けられている」の選択率が80%以上であり、配慮が過剰であったり、不足しているとする回答は多くありませんでした(図1)。したがって、上司・同僚は、障害者が受けている配慮は概ね適切であると考えていることがうかがえます。

帯グラフ。縦軸は障害者が受けている配慮10項目に対して「適切な配慮が提供されている」が選択された割合が多い順に並んでいる。
項目名と、「適切な配慮が提供されている」が選択された割合は以下の通りである。通勤に関する配慮(93.2%)、作業の負担を軽減するための配慮(91.6%)、通院・体調等への配慮(91.5%)、業務遂行を容易にするための配慮(90.0%)、職場内移動の負担を軽減するための配慮(87.1%)、業務遂行を可能にするための配慮(84.6%)、集中しやすい環境にするための配慮(84.5%)、相談に関する配慮(81.8%)、疲労やストレス等に対する配慮(81.7%)、その他(73.7%)。
図1 障害者への配慮に対する認識

障害者へのサポートの提供について

先行研究から、上司・同僚からのサポートが就労継続に影響を及ぼしているという知見が得られています。本調査では、障害者に提供しているサポートについて回答を求めました。その結果、半数強の回答者に障害者に対してサポートを提供した経験がありました(図2)。サポートを行った理由については、サポートの内容による違いはあまり見られず、どのサポート内容においても、「今までにサポートしたことがあったから」の選択率が上位でした。この結果から、サポートの提供には過去の経験が影響を及ぼすことが示唆されます。

横棒グラフ。縦軸は障害者に対して提供したことのあるサポート8項目が選択された割合が多い順に並んでいる。
項目名と選択率は以下の通りである。障害のある方に声をかけている(31.2%)、障害のある方の話し相手になっている(18.1%)、障害のある方の仕事に関してアドバイスをしている(16.3%)、障害のある方を認めており、それを伝えている(14.8%)、障害のある方の仕事を手伝っている(14.7%)、障害のある方の相談にのっている(12.6%)、その他(1.2%)、特に何もしていない(43.7%)。
図2 障害者に対して提供したことのあるサポート(複数回答)

令和4年度地方研究発表会資料

【テーマ】

障害等により配慮が必要な従業員の上司・同僚の意識に関する研究

※発表資料は、研修に参加された方向けの補助資料として作成したものです。
※本資料のご利用にあたっては、研究企画部企画調整室へご連絡いただくとともに引用元の明記をお願いいたします。

※ 本書はダウンロード版のみであり、印刷物の配布は行っておりません。

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