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調査研究報告書 No.45
知的障害者の心身機能の加齢に伴う変化と職業能力への影響─障害者の加齢に伴う職業能力の変化と対策に関する実証的研究報告書2─

  • 発行年月

    2001年04月

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    障害特性/課題の把握

執筆者(執筆順)

執筆者
田谷 勝夫 (障害者職業総合センター 主任研究員)
春名 由一郎 (障害者職業総合センター 研究員)
田中 敦士 (障害者職業総合センター 研究員)

(目的・方法)

知的障害者の中高年齢期の職業能力の低下への対策として、知的障害者のライフキャリアを見据えた教育、生活支援、職場環境改善のあり方を明らかにするため、以下の点について実証的な検討を行った。

  • 様々なタイプの施設を横断して、様々な年齢階層の知的障害者の心身機能を測定し実態を把握すること。
  • 知的障害者の加齢による心身機能の変化について、その原因疾患や機能障害、また、環境要因の影響を分析すること。

(結果の概要)

従来、福祉施設に所属してきた知的障害者の心身機能の多くは、青年期から全年齢層にわたってわが国の平均的水準に比較して低いレベルにある者が多く、特に男性ではその傾向が強いかった。その原因として、知的障害者の日常生活活動の低さなどの環境要因の影響が強く示唆されるが、一方で環境要因の改善にも関わらず、筋力、全身持久力、平衡機能などの身体機能が健常者よりも劣る者が知的機能の重度判定や原因疾患に独立して高率で存在しており、境界域の運動機能の脳発達障害の合併の影響が示唆された。

一般雇用の実情に近い標準化された肉体労働や単純作業の成績で評価すると、知的障害者で加齢とともに顕著な作業成績の低下があった。その一方で、授産施設においては、身体能力の低下にも関わらず職業能力が向上することが特に女性で示された。これには知的障害者の職域制限の影響が大きく、職業能力と心身機能の関連については、職務内容についての考慮が不可欠であることが明らかとなった。

目次

  • 第Ⅰ部:目的と方法
  • 第Ⅱ部:年齢別の知的障害者の心身機能
  • 第Ⅲ部:作業能力と心身機能の関係
  • 第Ⅳ部:追加的実験
  • 第Ⅴ部:総括議論と結論
  • 付録統計表:知的障害者身体機能データブック

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