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調査研究報告書 No.41
グラフィカル情報提示のための触覚ディスプレイシステムに関する研究-視覚障害者に対する触覚と聴覚を用いた情報提示法に関する研究-

  • 発行年月

    2001年03月

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    就労支援機器の開発

執筆者(執筆順)

執筆者
渡辺 哲也 (障害者職業総合センター 研究員)
須貝 克美 (障害者職業総合センター 研究員)
為近 哲夫 (障害者職業総合センター 研究員)

(目的・方法)

パソコン利用により、重度視覚障害者も墨字処理能力を向上させ、事務系の職種への道を拓いてきた。ところが近年パソコンのマルチメディア化に伴い、文字以外のグラフィカルな情報を含んだ文書が増加してきており、その内容を視覚障害者が理解するための手段が必要となっていた。そこで、仮想現実感(バーチャルリアリティ)を応用した小型触覚ディスプレイである「触覚マウス」と、高密度触覚ディスプレイ素子(触知グラフィックセル)を利用した2次元触覚ディスプレイシステムを試作し、グラフィカル情報提示手段としての有効性を検討した。

(結果の概要)

触覚マウスとは、一般のコンピュータマウスに小型触覚ディスプレイを搭載した装置で、マウスの動きに応じた触覚情報を利用者の指先にフィードバックすることで図形情報を利用者に伝える。触覚マウスの操作においては触図形からの逸脱が問題点の1つであるが、パラメータを適切な値に設定することで触図形からの逸脱が少なくなり、かつ、高い正答率で図形を識別できることが見出された。さらに、ポインティング位置を音声で出力することで、簡単な地図情報を提示可能であることもわかった。

触知グラフィックセルを利用した2次元触覚ディスプレイシステムは、視覚障害者自身が作図可能な点でこれまでにない画期的なものである。本システムを10名ほどの視覚障害者に試用してもらったところ、文字、フローチャート、地図が書けるなどの用途が見出され、おおむね好評であった。

目次

  • 概要
  • 第1章 序論
  • 第2章 触図の作成と触覚ディスプレイシステム
  • 第3章 触覚マウスシステムの試作
  • 第4章 2次元松鶴ディスプレイシステムの試作
  • 第5章 研究のまとめ
  • 参考文献

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