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調査研究報告書 No.35
在宅就労を中心とした障害者の就労促進に係るインターネットの活用に関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者
戸ヶ崎文泰 (障害者職業総合センター研究員)

(概要)

本研究においては、 最近の普及が著しいインターネットを活用して、 障害者の就労促進を図っていくという目的の下、 この分野でインターネットを活用している事例の調査やその試行による検証を行った。

なお、 第1章と第2章は、 インターネットを利用しての在宅就労の現状と課題の検証、 第3章と第4章はインターネットの特徴を利用しての情報提供・交換システムの検証を行っている。

第1章

障害者の在宅就労の全般的な経緯や現状とその課題について、 その調査・検証を行っている。

ここでは、 最近10年の在宅就労推進に係る経緯と、 最近の特徴である地方自治体が支援する形での在宅就労推進の枠組み、 あるいは既存の障害者就労の枠組みへの在宅就労の導入等の事例を検証し、 就労前の在宅講習の必要性、 企業と在宅就労 (希望) 者を仲介する機能の必要性を指摘している。

第2章

在宅就労に必要な技術習得の場として、 在宅講習の必要性を筆者の行った試行を元に検証を行っている。

また、 在宅就労推進の前提として、 在宅講習をより一層拡大していく必要性を指摘するとともに、 自学自習型やマンツーマン型といった同じ在宅講習でも、 異なる2つの方法について、 その検証を行っている。

そして、 自学自習システムは、 対象者の数を増やすことはできるが、 技術の習熟度は講習受講生の志気に影響されること、 マンツーマン方式は、 受講生の確実な技術習得を可能にするが、 講師の負担が大きいこと等の特徴を指摘している。

第3章

筆者が参画している CWF (Challenged Working Forum) における各種活動の報告とその有効性を検証している。

この活動では、 インターネットを利用して、 障害者就労関連情報 (事例、 助成制度等) データベースの作成、 企業と在宅就労を希望する障害者をマッチングさせるための情報登録・検索システムの開発、 在宅就労等障害者就労に関心がある人たちの自由な意見交換の場の設置とその運営、 障害者就労に係る相談コーナーの設置を行っている。

第4章

上記 CWF の1つのサブプロジェクトであり、 筆者が運営・管理している障害者の就労関係の相談に対応するためのメーリングリストの状況と、 その有効性についての検証を行った。

特に、 障害の重度化等の理由で在宅就労に向けて第一歩を踏み出そうという人たちへの的確な情報提供、 あるいは問題点の論点が明確である事案に対する対応において、 有効にその機能を発揮している。

また、 相談内容については、 在宅就労を目指す身体障害者のみならず知的障害者や精神障害 (回復) 者にも適用可能であることを示唆する事例もあり、 今後の本格的な運用が待たれる。

目次

  • 序章
  • 第1章 在宅就労の現状と課題
  • 第2章 在宅教育訓練の思考と今後の方向性について
  • 第3章 障害者の雇用促進のための情報提供・交換システムについて
  • 第4章 CWF-CONSULについて
  • 第5章 結論
  • 文献リスト
  • 資料

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