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調査研究報告書 No.15
知的障害者のための職業情報提供システムに関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
梅永 雄二 (障害者職業総合センター研究員) :はじめに・第1章・第4章・第5章・おわりに
中西 郁 (東京都立王子養護学校教諭) :第2章
泉 忠彦 (神奈川県総合リハビリテーションセンター
職業前指導課主査)
:第3章

(概要)

1.研究の趣旨

障害者が職業を選択し、職場に適応して行くためには、職業適性を正しく認識するとともに、いろいろな職業や職場で必要となるマナー等についての十分な知識を持つことが重要である。障害者の場合、職業についての理解が著しく不足したり、片寄ることが少なくないにも拘らず、障害者向けの職業情報はほとんどなく、特に知的障害者向けの職業情報はきわめて少ない。そこで、本研究では、知的障害者が必要とする職業情報の内容等を検討し、それを踏まえて職業情報ビデオを作成し、教育、職業リハビリテーション等の現場における知的障害者に対する効果的な職業情報の提供方法についても検討することとした。

2.方法

知的障害者の職業情報提供システムについて検討するため、障害者職業総合センターの研究員以外に、地域障害者職業センター(以下「地域センター」)の障害者職業カウンセラー、及び外部の専門家として、養護学校高等部の進路指導教諭、総合リハビリテーションセンターの職業前指導課の職員等を含めて研究会を設置し研究を実施した。

3.研究結果のまとめ

研究の結果を以下の報告書に取りまとめた。

第1章では、地域センターでの実態調査を通じて、知的障害者に対する職業情報が不足していることが明らかとなり、またその重要性が認められたことを述べている。

第2章では、養護学校高等部で実践されている、知的障害者に対する職業情報提供を基本にした進路指導の例を示した。ここでは、養護学校で仕事紹介にビデオを使用して効果を上げている実例が紹介されており、地域センターで用いるための職業情報として、仕事紹介用のビデオを作成する際に有効に応用できることが示された。

第3章では、総合リハビリテーションセンターの職業前指導課で訓練生に対し実践されている、社会的スキル訓練の中でビデオ教材を使った事例が紹介されている。ここでの事例では、ビデオ教材をモニタリングして対象者に学習させることにより効果をあげている状況が把握でき、地域センターで実施されている職業準備訓練においても有効であろうという示唆が得られた。

第4章では、第2章の職業紹介ビデオをモデルとし、「いろいろな仕事」というビデオを、また第3章の社会的スキル訓練ビデオをモデルとし、「職場のマナーやルール」というビデオを作成した経過を説明した。

最後に、第5章では、職業情報提供システムとして作成した2本のビデオの有効性について、職業センターの準備訓練生等を対象としてビデオの効果を検証したところ、効果的であることが示された状況を報告している。

目次

  • 概要
  • はじめに
  • 第1章 知的障害者の就労と職業情報
  • 第2章 職業情報提供を基本にした精神薄弱養護学校高等部の進路指導の実例
  • 第3章 総合リハビリテーションセンターの社会的スキル訓練の実践
  • 第4章 職業情報提供ビデオの作成経過
  • 第5章 職業情報提供システムにおけるビデオ教材の有効性の検討
  • おわりに
  • 文献
  • 資料

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