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-障害者の職場定着を進めるためのヒントを提供-

調査研究報告書 No.107
企業に対する障害者の職場定着支援の進め方に関する研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
鴇田 陽子 (障害者職業総合センター 主任研究員) 概要、序文、第1章~第4章

活用のポイント

障害者雇用に先進的に取り組む企業に対するアンケート調査、障害者の職場定着に積極的に取り組む企業と就労支援機関に対するヒアリング調査を実施。調査結果に基づく、就労支援機関向け資料「障害者の職場定着支援のために」は、障害者の職場定着支援を進めるうえでのヒントを提供。企業における障害者の職場定着の取り組みにおいても活用が大いに期待される。

研究の目的と方法

目的

職場定着支援の課題を、①障害、②時期、③課題の質、④取り組む主体という4つの枠組みをもって分析し、企業が行う職場定着の取り組み及び就労支援機関が行う支援の現状と課題を明らかにして、就労支援機関に期待される職場定着支援の進め方について提示する。

方法

職場定着に関する障害者雇用関連の統計データ及び先行研究の分析、専門家で構成される研究委員会における検討、企業に対するアンケート調査、先進的取り組み企業及び就労支援機関に対するヒアリング。

研究の結果得られた知見

  • ○入職間もない頃は「障害に対する従業員の理解」「職場内の協力体制」が主たる課題となっており、一定期間経過後は「コミュニケーション」が主たる課題となっている。一定期間が経過すると社内体制が変化し、障害者に対する職場内の協力体制に変化が生じている。
  • ○職場内の課題は一定期間経過後は事例件数が減少 しているが、長期になると「家族との連絡・連携」「健康面の自己管理」「職場における生活トラブルの対処」など生活面、家庭面の課題が増加。
短期(入職間もない頃)と長期(入職から一定期間経過後)という時期別に調査対象の企業のうちどれくらいの割合がどのような課題に取り組んでいるのかを調べました。職場内の協力体制への取組は短期の場合が65%、長期の場合が34%でした。同様に、障害に対する従業員の理解への取組は短期が81%、長期が31%、コミュニケーションへの取組は短期が51%、長期が55%、職務内容への取組は短期が50%、長期が39%、勤務時間への取組は短期が48%、長期が26%、家族との連絡・連携への取組は短期が28%、長期が31%、健康管理への取組は短期が19%、長期が33%でした。
  • ○課題への取り組みの中心は、職場内では、職場管理者、次いで総務・人事の担当者、同僚。外部では、入職時はジョブコーチの支援、一定期間経過後は生活面・家庭面の課題の増加に伴い障害者就業・生活支援センターの支援が増加。
  • ○企業が外部機関に対して支援を期待している課題は、生活面・家庭面の課題、周囲の従業員の理解、健康管理、職場のコミュニケーション。
  • ○職場定着支援を進める上で就労支援機関に望まれる事項は、①施設・設備の改善好事例の情報収集、②障害者に適した職務の切り出し等ソフト面の環境整備への支援、③生活面、家庭面の課題への対応、④障害に対する理解とその継続のための支援、⑤職務のレベルアップへの対応、⑥障害特性を的確に把握した対応、⑦日頃からの関係作りと支援における意見のすり合わせ、⑧企業同士が情報交換できるような支援、⑨障害状況の重度化、家庭環境の変化、加齢への対応。
  • ○以上の内容を就労支援機関向けに分かりやすく、「障害者の職場定着支援のために」として提供。

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