(ここから、本文です。)

テレワークを経験して良かった点と必要だと感じた職場の配慮

データの読み方・考え方


  • ここで紹介するのは、「テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査(調査研究報告書 No.171)」において、ICT(情報通信技術)を活用したテレワークに対する障害者のニーズを明らかにすることを目的として、障害者職業総合センターが2021年に実施した調査の一部です。
  • web調査会社が保有するモニター会員を対象に、スクリーニング調査で回収見込み件数を算出した上で、「雇用されている」人1,000人、「雇用されていない」人1,000人の合わせて2,000人の障害者を対象に本調査を行いました。
  • ここでは、「雇用されている」人1,000人の結果について、ご紹介します。
  • 「雇用されている」人1,000人の年代は、「40代」(31.9%)が最も多く、「40代」と「50代」で全体の6割程度を占めていました。
  • この1,000人のうち、テレワークの経験がある人(470人)に、テレワークを経験して良かった点を尋ねたところ、結果は図1のとおりでした。
「雇用されている」人1,000人のうち、テレワークの経験がある470人に、テレワークを経験して良かった点を尋ねたアンケート調査の結果を横棒グラフで示している。回答はグラフの上から順に、「通勤の負担軽減」74.7%、「体調に合わせて働く」33.2%、「周囲の目を気にせず作業」28.7%、「通院時間の確保」26.6%、「作業環境の設定」25.5%、「服薬がしやすい」17.2%、「介護を受けながら働く」5.1%、「通勤できない遠方の企業に就職」2.6%、「その他」1.9%、「無回答」2.1%となっている。
図1テレワークを経験して良かった点(複数回答)
  ※図の%値は各選択肢を選択した人の割合

  • テレワークを経験して良かった点は、「通勤の負担軽減」(74.7%)が最も多く、次いで「体調に合わせて働く」(33.2%)でした。
  •  次に、テレワークを経験して必要だと感じた職場の配慮について尋ねたところ、結果は図2のとおりでした。
「雇用されている」人1,000人のうち、テレワークの経験がある470人に、テレワークを経験して必要だと感じた職場の配慮について尋ねたアンケート調査の結果を横棒グラフで示している。回答はグラフの上から順に、「障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション」42.1%、「体調が悪い時の休暇取得や緊急時の対応」28.9%、「業務マニュアル作成や業務補助者の配置」27.4%、「通院や服薬、休憩等の柔軟な時間管理」23.0%、「孤独感・疎外感について」21.9%、「社内研修や教育、OJTの機会の確保」19.6%、「障害に応じた支援機器等の導入、貸与」16.8%、「その他」6.0%、「無回答」7.0%となっている。
図2テレワークを経験して必要だと感じた職場の配慮(複数回答)
  ※図の%値は各選択肢を選択した人の割合。
 
  • テレワークを経験して必要だと感じた職場の配慮は、「障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション」(42.1%)が最も多く、次いで「体調が悪い時の休暇取得や緊急時の対応」(28.9%)でした。

障害者雇用への示唆

  • 今回のアンケート調査では、テレワークの利点として「通勤の負担軽減」と「体調に合わせて働く」が多く選択されていました。移動の困難性や疲れやすさ(体調の不安定さ)といった障害特性がある人にとって、通勤の負担が軽減されたり、体調に合わせて働きやすいテレワークという働き方は、障害がある人の働きやすさに寄与するものと考えられます。
  • また、テレワークを経験して感じた必要な配慮については、「障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション」が最も多く選択されており、アンケートの自由記述でも、コミュニケーションに関する課題が指摘されていました。例えば、Web会議システムのようにテレワークで多用されるコミュニケーションツールが苦手な人もいますので、個々の障害特性に応じてコミュニケーションの方法や頻度が選択されることが望まれます。