合理的配慮を進める企業が自らの課題としていることは?

データの読み方・考え方
- この図は、「プライバシーガイドライン、障害者差別禁止指針及び合理的配慮指針に係る取組の実態把握に関する調査研究」の一環として、従業員数
40人 以上の民間企業の中から、従業員規模、産業分類、地域の別に層化抽出された5,000社 を対象として、2019年 に障害者職業総合センターが実施した調査結果のひとつです。
- 上図は、調査票の中で、事業主が実施している合理的配慮の内容を伺った後で、「合理的配慮の提供について、貴社の現状の取組を進める中での課題等についてお答えください。」と伺い、選択肢のうち該当するものをすべて選択する複数回答形式により、
1,138社 の人事管理担当者からご回答をいただいた結果です。
- 最も多くの企業が選んだ選択肢は、「社内のサポート体制の構築ができていない」「社内の周知が進んでいない」「配置転換や業務内容の切り出しが難しい」の3つでした。
- 先行する他の調査において、障害者雇用の課題を企業に訊ねた場合、多くは、障害者が担当する職務の選定・開発が、最大の課題となっていました。今回ご紹介した調査では、例えば、「配置転換や業務内容の切り出しが難しい」は第3位で、1位ではありませんでした。この理由は、この調査が、障害者雇用全体の課題ではなく、合理的配慮の課題に焦点を当てた点にあると思われます。
障害者雇用への示唆
- 雇用の現場で実際に障害者へ配慮を行う際には、社内の周知や理解、サポート体制の構築が必要であるとの認識を、比較的多くの事業主が持っていることがわかりました。
- 障害者への配慮の目的は、労働者としての障害者の能力の有効な発揮にあります(厚生労働省「合理的配慮指針」)。配慮すること自体が目的にならないよう、何のために配慮を行うかについて社内で十分に話し合うことも重要です。
- 障害者の募集・採用時、採用後に有効な合理的配慮を検討し実施することが、事業主に求められています。その際、有効な配慮は、障害者の障害特性、配属先の職場、担当職務によって異なりますし、配慮の実現可能性は事業主の事情によっても異なりますから、障害者と事業主とで意見を出し合い、話し合うことが求められています。
- 有効な配慮の工夫やヒントは、障害者の戦力化に成功した企業の雇用事例の中にも見ることができます。そのような障害者の雇用事例に関する記事や動画は、インターネットから無料で閲覧することができます。