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企業・組織のトップが、障害者雇用の取組方針、方向性、重要性等について社員に向けて言及することは、障害者雇用に影響しますか?

企業規模別 障害者雇用に対する方針のトップからの言及の有無及び障害者雇用の有無
10~49人  言及があった 障害者雇用あり42.9% 障害者雇用なし57.1%
       言及がなかった 障害者雇用あり25.9% 障害者雇用なし74.1%
50~99人  言及があった 障害者雇用あり66.2% 障害者雇用なし33.8%
       言及がなかった 障害者雇用あり51.9% 障害者雇用なし48.1%
100~299人 言及があった 障害者雇用あり90.3% 障害者雇用なし9.7%
       言及がなかった 障害者雇用あり88.2% 障害者雇用なし11.8%
300~999人 言及があった 障害者雇用あり99.7% 障害者雇用なし2.3%
       言及がなかった 障害者雇用あり99.6% 障害者雇用なし3.4%
1000人以上 言及があった 障害者雇用あり97.2% 障害者雇用なし2.8%
       言及がなかった 障害者雇用あり93.5% 障害者雇用なし6.5%
障害者雇用に対する方針のトップからの言及の有無と 障害者雇用の有無

データの読み方・考え方

  • ご紹介している図は、 常用雇用労働者40人以上の民間企業について、企業規模、業種、地域の別に層化抽出した10,000 社を対象として障害者職業総合センターが平成30年に実施した調査の結果の一部です。   
  • 1,772 社から回答がありました。上図は、社内外の「公式の場面(※)」において、トップ・マネジメント(※※)が、障害者雇用の取組の方針や方向性、重要性等について話したり、説明したりするのを聞いたり読んだりしたことがあるかを尋ねた回答と、障害者雇用の有無(※※※)との関連について、企業規模別に集計した結果です。回答者は、人事・労務管理、雇用管理について、その在り方の企画・検討、実施等の全般を担当する部署における「障害のある方の人事・労務管理、雇用管理の責任者」又は「その代理として本調査への回答を任された方」でした。
  • 結果は、 どの企業規模でも、企業トップから障害者雇用に対する方針等の言及があった企業群の方が、なかった企業群よりも、障害者を雇用している企業の割合が高いことがわかりました。特に、企業規模40人から49人と、50人から59人の企業では、障害者雇用の有無について、方針の言及が「あった」と「なかった」との間に統計的な有意差があり、方針の言及があった企業の方が障害者雇用をしている傾向が示されました。
  1. (※)「公式の場面」とは、「社内の会議、ミーティング、研修等」、「社内のメール、イントラネット、社内ネットワーク、社内広報(紙媒体)、等」、「株主総会」、「社外向けイベント等の会合」、「インターネットサイト、SNS、社外広報誌(紙媒体)、等」、「その他」で、これらのうち該当する場面が1つでもある場合に、上図では、言及が「あった」に含まれます。
  2. (※※)「トップ・マネジメント」とは、企業・組織の経営・運営の最高方針を決定する最高首脳部で、例えば、会長、副会長、社長、副社長、理事長、副理事長、代表等です。
  3. (※※※)週所定労働時間20時間以上の障害者が1人以上雇用されていれば、上図で「障害者雇用あり」にカウントされています。

障害者雇用への示唆

  • 企業のトップマネジメントが障害者雇用の方針を示すことには、障害者雇用に一定の効果が認められました。
  • 人事部門や配属先の上司等一部の社員だけが障害者雇用に取り組んでいる場合、その人事部門の担当者や上司等の異動・退職により、障害者雇用の継続が困難となる事例もみられます。経営者が率先して障害者雇用に取り組む姿勢、方針、具体的な計画を示す前向きなメッセージを、従業員に向け明示することにより、障害者の継続的な雇用を進めていくことが重要です。