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テーマ12 発達障害

※ 発表資料を掲載していない方については、発表論文を参照してください。

1 アスペルガー症候群に特化した就労支援プログラム -日本版BWAP2の開発に向けて

発表者

梅永 雄二(早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授)

発表概要

近年、就労支援機関ではアスペルガー症候群の相談者が増加しているものの、従来の職業リハビリテーションサービスでは成果が上がっていないという報告が数多くなされている(Hendricks,2010;Muller,2003)。よって、本報告ではアスペルガー症候群者に特化した就労移行支援プログラムT-STEPで使用されている就労アセスメントの日本版BWAP2の開発について報告を行う。

2 アセスメントに基づいたASD者への構造化による支援 -BWAP2によるソフトスキルのアセスメントから-

発表者

井出 春華(早稲田大学大学院 教育学研究科修士課程 学校教育専攻)

発表概要

ASD者の社会参加における課題として就労の困難性が挙げられる。本研究ではTEACCH Autism ProgramのT-STEPで使用されているBecker Work Adjustment Profile(BWAP)をアセスメントツールとして用い、ASD者の作業態度・習慣や対人関係の課題を抽出し、構造化による支援の有効性を検証する事を目的とする。

3 知的障害を伴うASD者の就労支援に必要なアセスメント~ソフトスキルのアセスメント

発表者

乗田 開(早稲田大学大学院 教育学研究科学校教育専攻 修士1年)

発表概要

ASD者は対人関係やコミュニケーションの困難性等から就職だけではなく、その後の定着も難しいことが指摘されている。本研究では、知的障害を伴うASD児に対し、TTAPアセスメントツールを用いて見出されたソフトスキルの課題とアセスメントに基づいた支援について報告する。

4 職場適応アセスメントBWAP2に基づいた就労支援 ~放課後等デイサービス利用するASD者を中心に~

発表者

島中 令子(NPO法人CCV CCV Epic(放課後等デイサービス) 主任)

発表概要

移行支援を目的とした就労準備型・放課後等デイサービス事業所において、高等特別支援学校で進級できずに中退し、後に引きこもりになったASD児に対して、事業所利用開始後、BWAP2アセスメントを行い障害特性に合わせた構造化の支援、コミュニケーションのツールの使用、職員対応の統一を図ることで、通信制高校へ通学、学習、余暇活動の参加につながった事例を報告する。

※ 「発表資料」および「発表論文」を差し替えました(令和3年2月16日)。

5 高機能ASD者の就労支援 ~ESPIDDで使用される職場内アセスメントに基づいて~

発表者

砂川 双葉(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 サービス管理責任者)

発表概要

ASD者の就職、職場定着にはハードスキルだけでなく、ソフトスキルやライフスキルのアセスメントが不可欠である(梅永,2018)。しかし、ソフトスキルはASD者の自己理解を促す難しさがある。そこで、梅永らが開発したアスペルガー症候群に特化した支援プログラムESPIDDで用いられている職場内チェックシートを活用して体験実習に取り組み、自己理解を深めた事例の報告を行う。

6 転職支援(チャレンジ雇用から一般就労)におけるTTAPアセスメントの活用

発表者

神山 貴弘(株式会社チャレンジドジャパン 八王子センター 東京エリア基幹センター長)

発表概要

就労移行支援事業所からチャレンジ雇用へ就労し、そこから更に一般就労へ転職する利用者に対して、TTAPのフォーマルアセスメントを実施した。事業所や就労先で課題となっていたソフトスキルを中心に、TTAPの6領域に基づいて特性を整理し、企業への申し送りシートを作成。強み・弱みだけでなく、「芽生え」スキルを「今後伸ばしていけるスキル」として、その関わり方を示した。

7 発達障害をお持ちの方のセールスポイントを見出すための職業アセスメントと準備性の取り組みについて

発表者

田村 俊輔(社会福祉法人釧路のぞみ協会 自立センター 就労支援係長)

発表概要

発達障害の方の就労支援では、具体的な行動に焦点をあて、個人の特性との関係を検討し働き続けるために共通して求められるスキルの向上を目指した「職業準備」、それを支える「サポート」、そして、企業が提供する「合理的配慮」を明らかにして職場適応・定着を目指します。事例を通じてアセスメントからスキル向上の取り組み、本人、企業、支援者の共通理解までを報告する。

8 発達障害児・者の就職・職場定着を支える学習内容 ~働くことへの意欲を高める取組、職場定着を促す取組~

発表者

清野 絵(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害福祉研究部 研究室長)

発表概要

発達障害のある生徒の就労準備支援の充実に資する知見を得るために、「就労支援者や教員を対象とした調査」において、「働くことへの意欲が高い人や、職場で適応している人の特徴」及び「そうした人を育成するための各取組」について尋ねた。発表では、この分析結果について報告する。

9 在職中又は休職中の発達障害者に対する作業管理支援の技法開発について

発表者

西脇 昌宏(障害者職業総合センター職業センター企画課 障害者職業カウンセラー)

発表概要

在職中又は休職中の発達障害者の中には、短時間の単一作業であれば対応可能だが、1日又は数日間にわたる複数の作業になると様々な課題が生じる方がいる。その結果、仕事の溜め込み、叱責や人間関係の悪化により二次障害の発症に繋がる事例もある。そこで、令和2年度より作業管理能力のアセスメント方法の検討、作業管理支援の技法開発に取り組んでいる。本発表では、技法開発の構想や今後の方向性について中間報告を行う。

10 自閉スペクトラム症(ASD)者とともに働く上司に求められるコンピテンシーの検討

発表者

川端 奈津子(群馬医療福祉大学 社会福祉学部 助教)

発表概要

ASD者を雇用している企業10社にヒアリングを行い、「管理者」のコンピテンシーとして既に示されている項目との合致性およびASD者の上司に固有のコンピテンシーの傾向を検討した。その結果、「人材育成」「チーム・リーダーシップ」「インパクトと影響力」「秩序・クオリティ・正確性への関心」「支援とサービス重視」の5つが求められる項目としてあげられた。

(注)発表概要は、各発表者から提出していただいた内容を転記しています。