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-パートナーと働く場を作り、地域を活性化-

資料シリーズ No.83
企業と非営利法人等との協業による障害者雇用の可能性を検討するための研究 ~全国的な実態の把握と可能性の検討~

  • 発行年月

    2014年04月

  • キーワード

    パートナーシップ 働く場作り 地域の活性化 障害者雇用 課題解決

  • 職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目

    社会政策・制度に関する状況等の把握

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
内木場 雅子 (障害者職業総合センター 研究員) 第1章~第4章

活用のポイント

障害者の就労支援をする非営利法人(団体)と企業等の営利法人(相手)とのパートナーシップによる障害者等の雇用や働く場作りを検討するために、団体とその就労支援の現状、パートナーシップによる取り組みに対するニーズ・必要な要件等について調査した。

今後、障害者等の働く場作りを考える団体、障害者雇用や雇用率の達成を要する民間企業、地域で障害者等の働く場作りを考える地方自治体等に参考にしていただきたい。

研究の目的と方法

団体と相手のパートナーシップによる障害者雇用の達成や障害者等の働く場を作りでは、互いを補い合い単独では困難なことを成し得る、課題解決に貢献する新しい手段として有益な部分が多く、推進されるべき取り組みということがすでに明らかになっている。そこで、パートナーシップの考え方をどのように推進するかを検討するために、本研究では、障害者の就労支援を行う団体のアンケート調査と働く場作りに取り組む団体にヒアリング調査を実施することで、団体とその就労支援の現状、パートナーシップのための働く場作りのニーズや必要とされる取組み等について明らかにした。

研究の結果得られた知見

アンケート調査では、2,044件の回答があった。何らかの働く場作りを行う団体は、約70%超である。そのうち約20%が「企業から情報・技術の提供」で働く場作りを行っている。働く場作りを行っていない団体は、非雇用型で職員数の少ない団体に多いが、就労支援機関を活用し利用者の就職者数・就職率は高い。

相手と働く場作りに取り組む団体は約35%である。相手と取り組まない団体は、非雇用型の年収が1,000万円~5,000万円未満の団体に多いが、団体の職員数に関係ない。また、相手と取り組まない理由は、「パートナー探しが困難」、「職員の負担が大きい」が各20%前後あげられている。

団体と相手による働く場作りという考え方については、「積極的に進めるべき」、「ひとつのあり方としてあってもよい」が全体の95%近くを占めている。また、相手との働く場作りに取り組まない約半数の団体がその理由に「パートナー探しが困難」、「職員の負担が大きい」をあげるが、そのなかの95%が、「積極的に進めるべき」、「ひとつのあり方としてあってもよい」としている。また、団体が考える、相手との働く場作りに最も必要な要件は、順に、「仲介者・機関」、「相手と出会える場」、「団体内推進者」、「制度」、「補助金・助成金」、「コンサルティング」等、80%以上の団体が何らかの要件により可能だと考えている。つまり、働く場作りを行っているか否か、相手と働く場作りに取り組むか否かに関係なく、パートナーシップによる働く場作りは、推進する必要があり、そのための環境を整える必要がある。

ヒアリング調査では、その事例の特徴をあげると次のようになる。①特定の農産物の生産・加工・販売による利用者の職業自立支援、②キーパーソンの存在、③次世代育成という長期的展望、④地域との繋がりと「せわやき隊」という農業の取組み、⑤農業系補助金の積極的活用、⑥地方自治体の参画とシステム化である。この事例には、行政の参画による地域システムを模索している点や次世代育成を視野に入れている点で、パートナーシップによる働く場作りにおける次なる課題が示されていると考えられる。

以上のことから、パートナーシップによる働く場作りを進める上でのポイントは次のとおりである。

①行政等が中心となり「相手と出会える場」を作る、②地域の中心的な就労支援機関等が「橋渡し役」を担う、③まずは、「橋渡し役」がパートナー間の対等なコミュニケーションを促す、④行政等が「団体内推進者」の育成や経営・運営支援を含めた後方支援をする、⑤必要に応じ地域支援の専門家に依頼し、パートナーシップの「推進者」を育成する、⑥「地域を巻き込む」という姿勢で臨む、である。

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