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資料シリーズ No.21
欧米諸国における障害者の雇用政策の動向

執筆・報告担当(執筆・報告順)

執筆者
工藤 正 (障害者職業総合センタ-主任研究員)
松井亮輔 (北星学園大学社会福祉学部教授)
池田 勗 (障害者職業総合センター特別研究員)
高木美子 (アビリティーズ総合研究所取締役)
澤邉みさ子 (障害者職業総合センタ-研究協力員)
山田文典 (国立職業リハビリテーションセンター主任障害者職業カウンセラー)
指田忠司 (障害者職業総合センター研究員)
大曽根寛 (愛知県立大学社会福祉学部教授)
吉泉豊晴 (労働省障害者雇用対策課)
高林昭子 (足立公共職業安定所専門援助第二部門)
所属先・職名は平成11年1月現在である。

(概要)

本書は、先進主要国の職業リハビリテ-ション及び障害者雇用政策関連の資料をとりまとめたものである。資料の性格から、本書は3部構成とした。

第Ⅰ部

平成11年1月にNIVR(障害者職業総合センター)で開催した「欧米主要国の障害者雇用政策報告会」の報告及び議論の記録である。

対象とした国は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、スウェーデン、ドイツ、フランスの7カ国である。

報告のベースとなっている主な資料は、イギリスのヨーク大学の『18カ国の障害者雇用政策に関する国際比較研究調査報告書』(Thornton,P.and Lunt,N.(1997)Employment Policies for Disabled People in Eighteen Countries :A Review,Social Policy Research Unit(SPRU),University of York)である。

また、上記の報告会では、国際機関であるILOの最近の動向についての報告も加えた。その報告のベースとなっている資料は、ILOの『障害者の職業リハビリテ-ションと雇用』<国際労働会議第86回大会での報告、98年6月>(ILO(1998)Vocational Rehabilitation and Employment of Disabled Persons,International Labour Coference 86th Session 1988)である。この報告会では、日本の現状評価との関係からみた活発な議論も行われ、いくつかの論点が明らかとなったが、その質疑内容についても掲載した。

第Ⅱ部

第Ⅰ部で掲載したILO報告のベースとなったILOレポート『障害者の職業リハビリテーションと雇用』の抄訳である。このILOレポートは、発展途上国を含む加盟国を対象として実施した、(障害者)職業リハビリテ-ションと雇用に関する条約(159号)及び勧告(第168号)に関する総合的調査研究を委員会がまとめ、国際労働会議・第86回大会で報告したものである。職業リハビリテ-ション施策の実施では、多くの国で中央政府の権限を地方や民間企業へシフトする動きがあること、社会保障制度と職業リハビリテ-ションとの関係が強化される動きがあることなど、グローバルな視点からの新しい潮流が描かれている。

第Ⅲ部

「アジア太平洋地域の障害者雇用システムに関する研究」の対象国ともなっているオーストラリアとニュージーランド、2カ国の障害者の就業状態と雇用支援サービスに関する3つの資料を掲載した。1つは、オーストラリアとニュージーランドを対象として、政府の最新の障害者統計を利用、労働年齢期における障害者の出現率、労働力率、就業率についてみたものである。2つは、民営化がすすんでいるオーストラリアの障害者雇用支援サービスの現状についてみたものである。一般就業をめざしてサービスを提供している「雇用支援オフィス」、障害者の訓練と雇用の場となっている「ビジネスサービス」、この2つをとくにとりあげて描いている。3つは、ニュージーランドの障害者雇用支援サービスについてみたものである。ここでは「ワークブリッジ」を中心とした職業支援サービスをとりあげている。また、「社会保障給付の受給者の自立支援」に向けての動きが活発化してきており、障害者の所得保障と就業支援プログラムの関係が強化されつつある。

目次

  • 第Ⅰ部 欧米主要国の障害者雇用政策報告会の記録
  • 第Ⅱ部 障害者の職業リハビリテ-ションと雇用(国際労働会議・第86回大会1998年6月)の抄訳
  • 第Ⅲ部 オーストラリアとニュージーランドにおける障害者の就業状態と雇用支援サービス

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