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調査研究報告書 No.48
障害者の就業の多様化とセーフティーネット

執筆者(執筆順)

執筆者
工藤 正 (障害者職業総合センター 主任研究員)
舘 暁夫 (職業能力開発総合大学校 助教授)
依田 隆男 (障害者職業総合センター 障害者職業カウンセラー)
澤邉みさ子 (東北公益文科大学 講師)

(目的・方法)

重度障害者の雇用・就業機会の拡大をはかる上で、有力な選択肢と考えられている「雇用・就業形態の多様化」を中心に、事例等をふまえその論点や課題の整理を行った。

(結果の概要)

第1章では政府の障害者統計や先進諸外国を含む事例・文献から「多様化」のとらえ方を検討、その現状についても分析した。「多様化」は「柔軟な働き方の実現」と「職業生活の不安定化」という両面があり、自らの選択でそれを実現するには人的支援サービス及び金銭的支援サービスの整備(=セーフティネットの構築)の両面が不可欠であることを論じた。第2章では雇用・就業機会の確保や支援サービスという点で遅れている精神障害者にとくに焦点をあてて、いろいろな形態で「働く」工夫の具体例を提示した。第3章ではサービスを提供する専門技術スタッフの役割が、「権利擁護」などが強く求められるように変化してきていること、例えば、障害者の立場に立ち行為を代理したり、その意思を代弁し利益を守る立場の「Pタイプの援助者」の役割、新しい分野の専門性の開発などで公的セクターの専門技術スタッフが果たす役割がより重要になってきていると指摘している。第4章では経済(金銭)的に障害者の生活を支えながら、障害者が多様な就業に積極的にチャレンジできる仕組みを、先進諸外国を含め所得保障政策の視点から検討、「所得保障給付への依存か、雇用支援サービスの提供か」という二者択一でない社会参加の促進を念頭においた障害者雇用支援のあり方がこれからは重要だと結論づけている。

目次

  • 概要
  • 序章 課題・方法とこれまでの研究
  • 第1章 障害者の就業の多様化
  • 第2章 精神障害者の障害特性にあった「働くこと」の模索~多様な「働く」形態
  • 第3章 支援サービスと専門技術スタッフ
  • 第4章 障害者の就業と所得保障

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