調査研究報告書 No.20
重度障害者の職域拡大のための総合的就労支援技術の開発—その3—視覚障害者用Windows95画面読み上げソフトウェアの開発
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発行年月
1997年10月
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職業リハビリテーション活動による課題領域の体系図・ICFによる課題領域の体系図 該当項目
執筆者(執筆順)
執筆者 |
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岡田伸一 (障害者職業総合センター 主任研究員) |
渡辺哲也 (障害者職業総合センター 研究員) |
(概要)
第1章
本視覚障害者用Windows画面読み上げソフトウェアの第二次試作にあたって、対象基本ソフトをWindows3.1から、普及がめざましい最新のWindows 95に切り替えた経緯と、第一次試作の評価の結果指摘された開発課題を説明する。それら課題とは、読み上げスキップ機能、話速高速化、言葉遣い等の読み上げ辞書の整備、汎用日本語入力システムへの対応、対応マシンの拡大など多岐にわたる。
第2章
第二次試作ソフトウェアの要件仕様の概要を説明する。これらの仕様は、
- (1)スタートメニューやタスク切り替えの読み上げ等Windows 95の基本操作関連、
- (2)無声音の有声音化・読み上げの高速化・文字種の言葉または音質による区別などの読み上げ関連、
- (3)かな漢字変換時の音声ガイドなど日本語入力システム関連、
- (4)音声ガイドにより能率的に文書を作成・編集するためのエディタ機能関連
- (5)表計算などの一般アプリケーション音声化のためのマクロ関連、そして
- (6)点字使用者のための6点点字入力プログラムなどのユーティリティ関連である。
第3章
第二次試作ソフトウェアの具体的な構造や機能を説明する。本ソフトウェアは、Windows 95の各種イベントを取得するフック機能プログラム、取得情報をユーザーに理解しやすい形に加工し音声ドライバに送る読み上げ基本プログラム、送られてきた情報を日本語解析して音声出力する音声ドライバ、そして個別アプリケーション対応マクロから構成される。これらによって、マウスを使わず、かつ画面が見えなくても、キーボードだけでWindows 95及びアプリケーションを使用できる操作環境が実現される。
第4章
本ソフトウェアが「95Reader」の商品名で製品化が図られること、そして、本ソフトウェアによって、職場で視覚障害者も同僚と同一のハードウェア・ソフトウェア環境(Windows環境)で職務遂行が可能になってきたことを指摘する。しかし、急速に進化するWindows環境で、視覚障害者を支援していくためには、今後さらに通信対応など本ソフトウェアの機能充実が求められていることも事実である。
なお、資料編には第二次試作ソフトウェアの詳細な仕様を掲載し、障害者のための支援機器・ソフトウェア開発者等の参考に供している。
目次
- 第1章 第一次試作から第二次試作へ
- 第2章 要件仕様
- 第3章 機能
- 第4章 まとめ
- 謝辞
- 参考文献
- 資料編
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