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調査研究報告書 No.1
OECD加盟国における障害者雇用・職業リハビリテーション対策の動向(各国編)

執筆者(執筆順)

執筆者
安井秀作 (障害者職業総合センター 企画部長)
藤浪竜哉 (障害者職業総合センター 企画部企画調整質企画調整班長)

はじめに

わが国をはじめ、世界各国の障害者雇用・職業リハビリテーション対策は、1981年の「完全参加と平等」をテーマとする国際障害者年以降、理念的にも、また、現実の政策手段についても大きく変わりつつある。このような時期にあって、OECD(経済協力開発機構 Organization for Economic co-Operation and Development)の雇用、労働、社会問題委員会(Emp-loyment Labour and Social Affairs Committee)は、1988年4月、加盟各国の障害者策、特に障害者を労働市場へ統合(integrate)し、その雇用を維持するための政策手段を評価することを目的として、加盟国の専門家による会議(Manpower h(easures Evaluation Programme(第12パネル))を設置することを決定した。

専門家会議は、1989年11月及び90年5月、パリにおいて開催され、各国が提出した報告書を基礎として最新時点での対策と問題についての共通理解を得ながら討議が深められた。その後、事務局によって作成された報告書についてさらに討議が重ねられ、結果は、「Employment Policies for People with Disabilities」としてOECDより公表される予定となっている。同報告は、障害者を社会に統合するに当たっての共通的な問題とこれに対応するために加盟各回で講じられている主要な施策の現状と今後の方向を記述したものとなっているが、ここでは、各国がOECDに提出した報告書に基づいて、その主要な動向を簡潔に取りまとめ、OECD報告書の理解促進に資することとした。

各国の障害者雇用。職業リハビリテーション対策は、それぞれの国の歴史的、文化的背景を基礎として発展してきていることから、その方法論は、必ずしも同一ではない。しかしながら、そのような差異を前提としても、障害者の雇用・職業問題は、人間の尊厳に係わる基本的な問題故に、各国の報告は、わが国の今後の対策の展開に大きな示唆を与えてくれるとみられる。

わが国においても、国連障害者の10年の終期を迎えるにあたって、「障害者職業総合センター」を中核とする職業リハビリテーションサービスの実施体制の強化などの措置が講じられたが、さらに、新たな視点に立って、障害者の職業・雇用問題の抜本的な解決策が構築されなければならない時、本報告が、関係者の研究推進に資するものとなることを期待する。

なお、取りまとめは、OECD専門家会議に出席し、関係資料を入手した安井 秀作(総合センター企画部最)が担当したが、イギリス(その二)については、その後、イギリス政府から人手した資料に基づいて、藤浪 竜哉が担当した。

また、アメリカについては、「障害をもつアメリカ国民法」の制定を忘れることができないが、全国コロニー協会事務局次長 久保 耕道民がすでに「職リハネットワーク」('90.10.NO.10)ほかに詳細を報告しているので、ここでは割愛した。

目次

  • はじめに
  • 第1章 フランス
  • 第2章 ドイツ
  • 第3章 イギリス(その一)
  • 第4章 イギリス(その二)
  • 第5章 スウェーデン
  • 第6章 ノルウェー
  • 第7章 オランダ
  • 第8章 オーストラリア
  • 第9章 アメリカ

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