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テーマ6 アセスメント、支援ツールの開発、実践

※ 発表資料を掲載していない方については、発表論文を参照してください。

1 「障害の多様化に対応した職業リハビリテーションツールの効果的な活用に関する研究」における利用者アンケートから

発表者

田村 みつよ(障害者職業総合センター 研究員)

発表概要

職業リハビリテーションの分野で多様化する障害種により的確に適用できるツールとなるよう、既存のOAワークの難易度を高めたMWS改訂版を作製し、トータルパッケージとしてリリースした。今後の発展的活用を検討していくうえでの基礎資料を収集するため、これまでに購入実績のある事業所に対して、活用方法等についてのニーズ把握を目的としたアンケート調査を実施した。今般、その回答について分析結果を報告する。

2 「障害の多様化に対応した職業リハビリテーションツールの効果的な活用に関する研究」におけるヒアリング調査結果について

発表者

山科 正寿(障害者職業総合センター 主任研究員)

発表概要

本調査は、MWS等のトータルパッケージツールの効果的な活用を行うための伝達方法を検討するにあたり、MWS等のトータルパッケージツールの理論を活用している支援機関から、①発生している支援課題、②支援スキル向上のための要望等を聞き取ることにより、伝達試案作成の参考となるべき事象の把握や、伝達方法を検討するうえでの問題点及び課題の抽出を行った。今回そのヒアリング調査の分析結果の概要を報告する。

3 ワークサンプル作業検査(神奈川県版)等による支援機関への支援を目的とした職業能力評価の取組みについて

発表者

佐藤 守(神奈川県障害者雇用促進センター 雇用促進課 主任専門員)

発表概要

当所の前身は昭和47年に設置され、障がい者等からの相談、就労へ向けた直接支援の一環として職業能力評価等を行ってきた。評価ツールのうちワークサンプル作業検査(神奈川県版)は、財団法人労働科学研究所(当時)に委託して開発した30項目以上の作業で、平成9年度から実施している。平成29年度に組織改編され、現在は支援機関に対して支援する事業となった。3年間で約400名受付けており、その取組みを発表する。

4 ACT(アクト)マトリックス・カードを用いた定着支援の事例について

発表者

小倉 玄(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 所長)

発表概要

ACTとは、不快な思考や感情に上手く対応し価値に向かう行動を増やすことを目的とした、科学的に実証された心理的アプローチである。当社は、就労している障がい者の方々の定着支援のために、ACTを活用している。ACTマトリックス・カードは、ACTの概念やメタファー(比喩)をイラストにした52枚のカードから構成されている。本発表では、カードの概要とカードを用いた支援の事例を紹介し、その効果について検討する。

5 就労移行支援機関を利用する精神及び発達障がい者における一般就労へ至るまでの心理的指標の変化とその要因に関する検討

発表者

香川 紘子(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 研究員)

発表概要

本研究では、就労移行支援機関に所属する精神および発達障がい者を対象にし、入所時から訓練期間中及び一般就労に至るまで、数か月に渡って記録された心理的指標の変化を解析する。そして、それぞれの障がい特性別にどの程度の心理的指標の向上が一般就労を促進するのかについて検討する。また、それぞれの対象者が行った心理的エクササイズ(ACT)や行動の変化が心理的指標へ及ぼす影響についても検討していきたい。

6 関係フレームスキル(RFS)アセスメントシートの開発とその試行について

発表者

岩村 賢(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 研究員)

発表概要

昨今、文脈的行動科学の根幹である関係フレーム理論(Relational Frame Theory)が注目されている。関係フレームスキル(RFS)の学習は、様々な知的行動についてポジティブな影響が研究されており、学習のための学習とも言われている。そこで、本研究では、RFSのアセスメントシートの開発を試みた。また健常者数十名への試行的な実施による結果からRFSの一般的傾向について検討を試みる。

7 屋内型農園ファーム『IBUKI』におけるワークサンプルの開発とIBUKI-EIT研修の実施及び結果について

発表者

伊部 臣一朗(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 研究員)

発表概要

㈱スタートラインでは屋内型農園ファーム『IBUKI』を運営しており、そこでは約500名以上の障がい者が日々働いているが、業務内容が多岐に渡るため各作業の理解度に個人差が出ることが課題であった。そのため屋内型農園ファームにおける各作業に基づいたワークサンプルを開発し、それを用いたIBUKI-EIT研修を行った。今回は開発したワークサンプルの内容と障がい者と管理者に対し行った研修の結果を発表する。

8 EIT研修における就労支援・メンタルサポートとその効果

発表者

下山 佳奈(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 CBS研究員)

発表概要

㈱スタートラインでは就労移行支援機関の利用者等を対象に、約2週間のEIT(Employability Improvement Training)研修を行っている。EIT研修では職場適応促進のためのトータルパッケージに加えて、ACTの心理教育やエクササイズなどを行っている。今回の研究ではEIT研修による効果について、様々な心理尺度や研修後の就職率等からの検討を試みる。

9 元気回復行動プラン(WRAP)を応用したセルフマネジメントツールの開発

発表者

玉瀬 恵(東京都ビジネスサービス株式会社 ハートフルリレーション課)

発表概要

医療機関や福祉施設等において、主にリカバリーを目的として活用されている「元気回復行動プラン(WRAP)」を応用し、障がい者雇用に取り組む企業内での職場定着の一助として活用できるセルフマネジメントツールを開発した。本発表では、ツールの構造や活用方法について、事例を交えながら紹介する。

10 発達障害者の運転免許取得におけるソフトスキル面に対するアセスメント開発の試み

発表者

高橋 幾(早稲田大学大学院 教育学研究科 博士後期課程2年)

発表概要

発達障害者の運転免許の取得ではソフトスキルの問題が指摘されている。本研究では発達障害者の運転免許取得において求められるソフトスキルについて整理を行い、障害のある学生に対してアセスメントとして運用することで「教習生活における実態に合わせたソフトスキルへの支援の必要性」と「教習所での実態に合わせた支援によるソフトスキルの向上」を明らかにすることを目的とした。

11 レジリエンス力に着目した就労支援について〈2〉 ~「体験学習で利用者が学んだこと」~

発表者

青塚 幸(NPO法人アシスト 就労移行支援事業所Conoiro 就労支援員)

発表概要

Conoiro(コノイロ)では利用者が仕事も含め、主体的な社会生活を送ることができるようにレジリエンス力を高める支援を行っている。「利用者が主体的に課題をみつけ解決できるようになる」こともその方法の一つである。ワークや支援に体験学習の理論を取り入れることでレジリエンス力が高められることが、支援者も利用者も実感値として感じられている取り組みについて紹介したい。

12 食事評価・労働効率換算表を用いた身体障害者の労働生産性、就労支援創出の研究

発表者

田代 雄斗(京都大学大学院 医学研究科人間健康科学系専攻 運動機能開発学分野 プロジェクト研究員)

発表概要

本研究においては、食事動作指標と作業能率指標を用いて食事能力及び作業能力を可視化し、さらに両者の相関関係を明らかにする換算表を開発することで、身体障害者の食事動作、作業動作の向上を促進すると共に就業を促進することを目的とする。今回の研究では主に上肢機能を簡易的に評価できる指標が新たに作成されたが、これによって製造業や事務作業など上肢の活動が主な業務とのマッチングが促進される可能性がある。

(注)発表概要は、各発表者から提出していただいた内容を転記しています。