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-関係機関の支援実態と障害認定の課題を探る-

調査研究報告書 No.99
高次脳機能障害・発達障害のある者の職業生活における支援の必要性に応じた障害認定のあり方に関する基礎的研究

執筆者(執筆順)

執筆者 執筆箇所
川村  博子 (障害者職業総合センター 統括研究員) 概要
望月  葉子 (障害者職業総合センター 主任研究員) 序章第1節、第2節1・3、第3節~4節
第1章第1節・3節・4節、
第2章第1節・2節・5節、
第4章第1節~3節・5節、第5章
田谷  勝夫 (障害者職業総合センター 主任研究員) 序章第2節2、第1章第2節、
第2章第3節
知名  青子 (障害者職業総合センター 研究員) 第2章第4節・第3章
永吉 美砂子 (福岡市社会福祉事業団心身障がい福祉センターリハビリテーション 課長) 第4章第4節

活用のポイント

医療機関調査・公共職業安定所調査・職業リハビリテーション機関調査を通して、診断から求職登録を経て紹介就職に至る過程における高次脳機能障害・発達障害のある者の現状と課題を把握した。就労支援に携わる者のみならず、多様な機関において、障害認定のあり方を検討するための基礎資料としての活用が期待される。

研究の目的と方法

本研究の目的は、高次脳機能障害、発達障害の診断における障害認定の現状を把握したうえで、求職活動において問題となる診断の有無、手帳取得の有無、障害の開示・非開示等の現状を明らかにすることにある。あわせて、こうした知見を踏まえて、問題の所在を明らかにし、障害認定のあり方について検討するための基礎的研究を行うこととし、アンケート調査や専門家ヒアリングを実施した。

研究の結果得られた知見

高次脳機能障害・発達障害に共通する課題として以下の知見が得られた。

  • ①  効果・効率的な就労支援の展開にとって、「障害の診断」及びまたは「障害者手帳の交付」による障害認定が必要となる。しかし、障害者手帳の取得が難しい背景として、診断の困難さや診断できる医療機関並びに専門医の不足、障害者手帳の理解が課題となっている。
  • ②  「障害者手帳の交付」においては地域差の問題が指摘されており、都道府県・政令指定都市・市区町村内での情報共有の必要性が課題となっている。地域支援体制における障害者手帳の認定のあり方について検討が求められており、機会不平等の解消が必要である。
  • ③  障害認定の際に、職業上の困難に関する問題についても検討・確認することが職業リハビリテーション機関において期待されており、医療機関と職業リハビリテーションにおける「問題の共有」及び「連携」が課題となっている。
  • ④  医療機関を中心とした利用状況からみると、福祉・教育・職業リハビリテーション機関等との連携が図られているとはいえない状況があり、各支援を担当するそれぞれの専門領域の人材育成や配置について、量的な拡大及び質的な充実を図り、密接な連携を図る必要がある。

その他、障害別の課題についても検討した。

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