第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会ご案内 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会を以下のとおり開催します。 ぜひご参加ください。 開催に関する最新情報は、ホームページをご確認ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.html 日時 令和6年11月13日(水曜日)13時00分から16時40分 令和6年11月14日(木曜日)9時30分から16時50分 発表会に先だち、基礎講座及び支援技法普及講習を行います(11月13日(水曜日)10時30分から12時00分)。 開催目的 職業リハビリテーションに関する調査研究や実践経験の成果等を広く周知するとともに、参加者相互の意見交換、経験交流等を行うことで、障害者の雇用を促進することを目的としています。 会場 東京ビッグサイト 会議棟(東京都江東区有明3-11-1) 国際会議場・レセプションホール・各会議室にて p.1 はじめに 第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会においては、障害者雇用をテーマとした「特別講演」、「パネルディスカッション」、分科会形式による「口頭発表」、発表者と直接意見交換や質問ができる「ポスター発表」を行います。今年度は開催規模を拡大し、口頭発表及びポスター発表の発表題数を増やして実施しますので、ぜひご参加ください。 このうち、「特別講演」、「パネルディスカッション」の開催模様については、同日動画を収録し、後日当機構ホームページにてオンデマンド配信します(12月下旬頃を予定)。なお、当日のライブ配信は実施しませんので、ご承知おきください。 また、研究・実践発表等の概要は、「第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会発表論文集」としてとりまとめ、開催前にホームページに掲載し、詳しい発表資料は開催後にホームページに掲載します。遠方のため会場にお越しになれない場合や、当日のご都合がつかない場合等には、ぜひご活用いただければ幸いです。 昨年度の動画や発表資料はこちらからご覧いただけますのでご参照ください。 https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/31kaisai.html p.2 1内容 研究・実践発表会 (1)第1日目:11月13日(水曜日) 開会挨拶(13時00分から13時15分) 輪島忍(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長) 特別講演(13時15分から14時45分) 「障害者を中心にした障害者雇用体制の構築~職場、家庭、地域の就労支援ネットワークによる支援とともに~」 講師 岡山弘美氏(奈良県立医科大学発ベンチャー認定企業 株式会社MBTジョブレオーネ 代表取締役) 奈良県立医科大学が除外率設定業種として障害者雇用に本格的に取り組み始めたのは、法定雇用率を達成しなければならないからでした。しかし人数を増やすことに重点をおいていたため、業務がない、障害者理解が進まない、障害者に起因するトラブルが起こる等、組織内では障害者雇用に対してネガティブなイメージがもたれていました。そこで奈良医大では、障害者の自立を目標にした雇用体制の構築を目指しました。業務を全て障害者のチームに任せることにより、職員同士による仕事の教え合いや、実習生への指導を実現しています。障害者の働きぶりは患者さんから大変好評で、今や病院業務にとってなくてはならない存在になっています。障害者を中心とした雇用体制をどのようにつくってきたか、当事者たちの生の声も交えてお話します。 パネルディスカッションⅠ(15時00分から16時40分) 「職場でのコミュニケーションの課題について考える」 コーディネーター 伊藤丈人(障害者職業総合センター 上席研究員) パネリスト(五十音順) 岡耕平氏(学校法人大阪滋慶学園 滋慶医療科学大学大学院 教授) 外谷渉氏(株式会社ラック サイバーセキュリティプラットフォーム開発統括部 開発部 第三グループ グループマネジャー) 辻敏彦氏(阪和興業株式会社 人事部 業務サポート課長) 平賀正樹氏(みずほビジネス・チャレンジド株式会社 企画部 職場定着支援チーム 定着支援コーディネーター) 職場における情報のやり取りについて、障害に起因する課題を抱える障害者が多く、近年、テレワーク等の広がりもあり、職場でのコミュニケーションのあり方は変化してきています。 このような変化の機会をとらえて、本パネルディスカッションにおいては、改めて障害者が、職場における情報のやり取りについてどのような課題に直面し、どのような配慮を必要としているのかを明らかにするとともに、職場において情報を共有するための取組や工夫等について意見交換を行います。 p.3 (2)第2日目:11月14日(木曜日) 研究・実践発表(口頭発表 70題)(第1部9時30分から11時20分、第2部13時00分から14時50分) 分科会毎に発表者による発表(15分)と質疑応答、意見交換(5分)を行います。「8 研究・実践発表」の発表テーマ名や発表概要をもとに、参加希望の分科会を選択してご参加ください(事前申込みが必要です。「2 参加申込」参照)。 研究・実践発表(ポスター発表 37題)(11時30分から12時30分) ポスター発表は発表者と直接意見交換や質問ができる発表形式です。「8 研究・実践発表」の発表テーマ名や発表概要をもとに、興味や関心のあるポスターを選び、発表者(発表当日は、緑色のタグをつけています)と討議を深めてください(事前申込みが必要です。「2 参加申込」参照)。 パネルディスカッションⅡ(15時10分から16時50分) 「障害者就労支援を支える専門人材を育てる~福祉と雇用の切れ目のない支援に向けて~」 コーディネーター 春名由一郎(障害者職業総合センター 副統括研究員) パネリスト(五十音順) 市川浩樹(障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 次長) 齊藤朋実氏(第一生命チャレンジド株式会社 ダイバーシティ推進部 課長) 藤尾健二氏(特定非営利活動法人全国就業支援ネットワーク 代表理事) 堀江美里氏(特定非営利活動法人WEL'S 障害者就業・生活支援センターWEL'S TOKYO センター長兼主任職場定着支援担当) 近年、多様な障害・程度の障害者の就労可能性が急速に拡大している一方で、ニーズの広がりや多様化に対応した福祉と雇用の切れ目のない支援、障害者本人と企業双方に対して必要な支援ができる専門人材の不足が指摘され、その育成・確保が課題となっています。 このような中で、本パネルディスカッションにおいては、就労支援の基本的なあり方、職場と障害者をつなぐ支援者に求められるスキル等について共有するとともに、その実施に必要な専門人材の育成・確保に向けて意見交換を行います。 p.4 基礎講座・支援技法普及講習 研究・実践発表会に先だち、1日目の11月13日(水曜日)(10時30分から12時00分)に、基礎講座及び支援技法普及講習を行います。受講を希望する場合は、次の4つの講座等の中から1つのみ選択してご参加ください。 基礎講座Ⅰ「精神障害の基礎と職業的課題」 講師 齋藤友美枝(障害者職業総合センター 主任研究員) 精神障害者の障害特性や雇用・就業状況等を紹介するとともに、支援者に求められる資質について解説します。 基礎講座Ⅱ「『就労支援のためのアセスメントシート』を活用したアセスメント」 講師 武澤友広(障害者職業総合センター 上席研究員) 障害者職業総合センター研究部門が開発した「就労支援のためのアセスメントシート」の概要やアセスメントシートを活用したアセスメントの実施方法などについて解説します。 支援技法普及講習Ⅰ「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」 講師 狩野眞(障害者職業総合センター職業センター 上席障害者職業カウンセラー) 高次脳機能障害者の復職支援における各種支援ツールの内容や活用方法等をご紹介します。本ツールは障害特性や支援課題に係る情報収集と整理、自己理解の促進、支援方針の策定、事業主との連絡調整等様々な場面で活用できます。 支援技法普及講習Ⅱ「発達障害者の強みを活かすための支援」 講師 上村美雪(障害者職業総合センター職業センター 障害者職業カウンセラー) 発達障害者の自己肯定感を高めることを狙いとし、開発した支援技法です。発達障害者ご本人と支援者が「強み」に目を向け、「強み」を伸ばしていくことを目的とした支援の内容についてご紹介します。 2 参加申込 (1)申込方法 当機構ホームページにアクセスの上、「第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会の参加者募集について」のページ内の「参加申込はこちらから」をクリックすると、参加申込事務局(株式会社ステージ)の申込フォームに移りますので、所定事項を入力の上、お申し込みください(ライブ配信は実施しませんので、ご承知おきください)。 ホームページからの申込みが難しい場合に限り、別添(Excelファイル)の「参加申込書」に所定事項を記入し、「第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会参加申込事務局(株式会社ステージ)」まで郵送してください(「6 お問合せ先」参照)。 (郵送で申し込む際のご注意) ①現在の空席状況を参加申込事務局(株式会社ステージ、「6 お問合せ先」参照)までお問合せの上、次の表を参考に参加希望のプログラムを選択してください。 ②定員に達した場合、ご希望に沿えないことがあります(参加申込事務局(株式会社ステージ)より連絡します)。 ③手話通訳・要約筆記(ノートテイク)・会場内誘導等の介助を希望される方は、必要事項を具体的に記載し、希望するプログラムの番号(①~⑦)を選択してください(特別講演・パネルディスカッションについては、手話通訳及び全体投影による要約筆記を実施します)。 ④申込内容を忘れないよう各自で控えてください。 p.5 11月13日(水曜日) ①特別講演(13時15分から14時45分)参加の有無を選択してください ②パネルディスカッションⅠ(15時00分から16時40分)参加の有無を選択してください 11月14日(木曜日) ③口頭発表第1部(9時30分から11時20分)第1分科会から第8分科会より1つ選択してください ④ポスター発表(11時30分から12時30分)参加の有無を選択してください ⑤口頭発表第2部(13時00分から14時50分)第9分科会から第15分科会より1つ選択してください ⑥パネルディスカッションⅡ(15時10分から16時50分)参加の有無を選択してくださいス 11月13日(水) ⑦基礎講座・支援技法普及講習(10時30分から12時00分)受講希望の場合は、「基礎講座Ⅰ・Ⅱ」または「支援技法普及講習Ⅰ・Ⅱ」より1つ選択してください (2)申込期限 令和6年10月2日(水曜日)13時まで(郵送は10月1日(火曜日)必着) 先着順。期限内でも定員に達したプログラムより順次申込みを締め切ります。 (3)参加登録証 ①e-mailの添付ファイルにて参加登録証をお送りしますので、添付ファイルが受信できるe-mailアドレスを登録してください(e-mail不可の方のみ郵送します)。 ②参加登録証が届かない場合、参加申込事務局(株式会社ステージ)まで必ず連絡してください(「6 お問合せ先」参照)。 ③参加登録証に記載されている「QRコード※」を、発表会当日に受付で提示してください(携帯電話・スマートフォン等、または参加登録証をプリントアウトしたもの)。 ④参加登録証に「QRコード※」が表示されていない場合は、参加申込事務局(株式会社ステージ)まで必ず連絡してください。 ⑤この参加登録証はご本人のみ有効となります。 3 参加費 無料です。 4 参加の諸注意 ①受付は、東京ビッグサイト会議棟(逆三角形の建物)の6Fロビーです。ご来場の際は必ず受付を済ませてから事前に申し込んだプログラムや分科会等の会場にお入りください。会場は受付でお渡しする「プログラム」でご確認ください。 ②発表会場内・ロビー等での食事はお控えいただき、会場周辺の飲食店をご利用ください。東京ビッグサイト内の飲食店は、イベントの開催状況により営業日、営業時間が変更になる場合がありますので、東京ビッグサイトのホームページ(https://www.bigsight.jp/)等でご確認ください。 ③宿泊施設・交通機関の手配は各自でお願いします。 ④障害等により駐車場が必要な方は、東京ビッグサイト駐車場管理担当へお問い合わせください(03-5530-1111(代表))。障害者手帳等の提示により割引が受けられる場合があります。 p.6 ⑤感染症への対応、その他の状況等により開催方法・実施時間帯を変更する場合は、当機構ホームページでお知らせしますので、随時確認をお願いします。 5 個人情報の取扱い 申込時に頂戴した個人情報は、職業リハビリテーション研究・実践発表会に関する事務処理のみに利用し、当機構の個人情報の取扱いに関する規程等に基づき適正に取り扱います。 なお、公衆衛生の向上等のために特に必要のある場合であって、保健所等からの求めがある時には、参加者の個人情報を提供します。 6 お問合せ先 参加申込事務局(株式会社ステージ) 「第32回職業リハビリテーション研究・実践発表会」参加申込事務局(株式会社ステージ内) 〒108-0022東京都港区海岸3-5-1 Tel 03-3554-5039 (受付時間:9:00~17:00土日・祝日を除く) e-mail jeed2024@stage.ac 株式会社ステージはプライバシーマーク制度認定事業者で、当機構と参加申込業務に関する委託契約を結び「個人情報保護に関する事項」に基づく厳重な情報管理を行っています。 事務局 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター研究企画部企画調整室 〒261-0014千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 Tel 043-297-9067 e-mail vrsr@jeed.go.jp ホームページ https://www.nivr.jeed.go.jp/vr/vrhappyou-index.html p.7 7 プログラム 研究・実践発表会 第1日目 令和6年11月13日(水曜日) 12時30分 受付(6Fロビー) 13時00分 開会挨拶(輪島忍 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長) 13時15分から14時45分 特別講演「障害者を中心にした障害者雇用体制の構築~職場、家庭、地域の就労支援ネットワークによる支援とともに~」 講師 岡山弘美氏(奈良県立医科大学発ベンチャー認定企業 株式会社MBTジョブレオーネ 代表取締役) 14時45から15時00分 休憩 15時00分から16時40分 パネルディスカッションⅠ「職場でのコミュニケーションの課題について考える」 コーディネーター 伊藤丈人(障害者職業総合センター 上席研究員) パネリスト(五十音順) 岡耕平氏(学校法人大阪滋慶学園 滋慶医療科学大学大学院 教授) 外谷渉氏(株式会社ラック サイバーセキュリティプラットフォーム開発統括部 開発部 第三グループ グループマネジャー) 辻敏彦氏(阪和興業株式会社 人事部 業務サポート課長) 平賀正樹氏(みずほビジネス・チャレンジド株式会社 企画部 職場定着支援チーム 定着支援コーディネーター) 第2日目 令和6年11月14日(木曜日) 9時00分 受付(6Fロビー) 9時30分から11時20分 口頭発表第1部(第1分科会から第8分科会) 分科会形式で8つの会場に分かれて同時に行います。 11時20分から12時30分 ポスター発表 発表者による説明、質疑応答を行います。 ポスターは11時30分から15時10分まで展示しています。 12時30分から13時00分 休憩 13時00分から14時50分 口頭発表第2部(第9分科会から第15分科会) 分科会形式で7つの会場に分かれて同時に行います。 14時50分から15時10分 休憩 15時10分から16時50分 パネルディスカッションⅡ「障害者就労支援を支える専門人材を育てる~福祉と雇用の切れ目のない支援に向けて~」 コーディネーター 春名由一郎(障害者職業総合センター 副統括研究員) パネリスト(五十音順) 市川浩樹(障害者職業総合センター 職業リハビリテーション部 次長) 齊藤朋実氏(第一生命チャレンジド株式会社 ダイバーシティ推進部 課長) 藤尾健二氏(特定非営利活動法人全国就業支援ネットワーク 代表理事) 堀江美里氏(特定非営利活動法人WEL'S 障害者就業・生活支援センターWEL'S TOKYO センター長兼主任職場定着支援担当) 16時50分 閉会 基礎講座・支援技法普及講習 令和6年11月13日(水曜日) 上記の研究・実践発表会に先だち、下記の基礎講座及び支援技法普及講習を行います(4つの会場に分かれて同時に行います)。 10時00分 受付(6Fロビー) 10時30分から12時00分 基礎講座Ⅰ「精神障害の基礎と職業的課題」 講師 齋藤友美枝(障害者職業総合センター 主任研究員) 基礎講座Ⅱ「『就労支援のためのアセスメントシート』を活用したアセスメント」 講師 武澤友広(障害者職業総合センター 上席研究員) 支援技法普及講習Ⅰ「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」 講師 狩野眞(障害者職業総合センター職業センター 上席障害者職業カウンセラー) 支援技法普及講習Ⅱ「発達障害者の強みを活かすための支援」 講師 上村美雪(障害者職業総合センター職業センター 障害者職業カウンセラー) p.8 8 研究・実践発表 口頭発表第1部 11月14日(木曜日)9時30分から11時20分 タイトル及び概要は、発表者からいただいた内容を掲載しています。共同研究者については省略しています。 第1分科会「企業における採用・定着の取組Ⅰ」 1 特例子会社における障がい者の組織適応課題:インタビュー調査を通じた実証分析 福間隆康(高知県立大学 社会福祉学部 准教授) 本研究は、障がい者の組織への適応課題を明らかにすることを目的とした。調査は特例子会社の障がいのある従業員8名(身体、知的、精神、発達)を対象にインタビュー調査を行った。分析の結果、以下の発見事実が得られた。①新しい部署への移行時に人間関係の不安が生じる。②コミュニケーションの違いによる認識のズレやトラブルが発生しやすい。③過去の嫌な経験が継続的に心理的な影響を及ぼしている。 2 地域社会と連携した障がい者雇用 坂井博基(ASKULLOGIST株式会社 人事総務部 人財開発課 課長) 会社だけではなく、学校、支援機関、家族、医療と連携しながら成長促進して、戦力化を推進。○日次の振り返り、○支援会議実施、○コミュニケーションノートの活用(当事者、管理職、家族の連絡帳)、○家族会の開催。会社主導で支援計画を立て、就労支援を実施。高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長努力賞(2020年)、東京都エクセレントカンパニー賞(2022年)受賞。 3 精神障がい者0(ゼロ)からのスタートと他部署での活躍~サポートスタッフの雇用と定着のイニシアティブ~ 関根理絵(株式会社IHI人事部 アシスタントマネージャー) 2018年から精神障がいのある社員の雇用を開始した。パートタイマーを含めた5名から始まり、今までに30名を採用。現在では23名が体調を崩すこと少なく継続して勤務し、また、そのうち5名が他部署にて役割を担って活躍している。雇用継続できたポイントとしては医療系資格を有するサポートスタッフの配置と成長と活躍に資する環境整備だと考えている。今回は現状の紹介と現時点で感じている課題について報告する。 4 活躍できる人材の採用と機会創出に向けた取り組み~仕組化による価値の創造~ 原沙織(株式会社SHIFT 人事本部 人事総務統括部 ビジネスサポート部) 株式会社SHIFTは、2024年5月1日現在、182名の障がい社員(内、精神障がい8割超)が所属している。障がい者雇用を推進するビジネスサポート部では『日本一才能と能力を活かせる会社を目指す』をミッションに、年50~60名の採用による組織拡大、累計639以上の多様な業務により各々の才能や能力を生かせる環境の調整、希望するキャリアに合わせた役割の配置など、弊社の取り組みと今後の展望について発表する。 第2分科会「キャリア形成・能力開発」 1 それぞれのキャリアデザインを一緒に考える~自己実現に向けて~ 星希望(株式会社あおぞら銀行 人事部人事グループ 主任調査役/精神保健福祉士/2級キャリアコンサルティング技能士) 当行では「仲間の多様な生き方、考え方、働き方を尊重し、仲間の成長を支援する」という経営理念として定めた「あおぞらアクション(行動指針)」に則り、様々な障がいのある行員が活躍している。障がいのある行員が安心して働ける環境づくりはもちろんのこと、仕事を通じて、あるいは仕事をきっかけに、自分らしく生きることを一緒に考えるキャリアデザインの取り組みについて発表する。 2 キャリア開発・モチベーションアップを促す制度と挑戦の場の提供 青木美恵子(三菱自動車ウイング株式会社 事業部 事業部長兼岡崎事業所長) 榊原裕子(三菱自動車ウイング株式会社 岡崎事業所 チーフ) クエラクエラ紀乃(三菱自動車ウイング株式会社 事業部 アシスタントリーダー) 長期勤続による習熟度向上に報いた制度制定とモチベーションアップを促すタイムリーな制度実行、またこれまで会社で実施したことのない未知の出来事への挑戦の場を経て得たものについて紹介いたします。 3 スタッフのキャリア形成と職位設定について 土居健太郎(株式会社かんでんエルハート鳴尾アシストセンター リーダー) 神田耕太郎(株式会社かんでんエルハート鳴尾アシストセンター スタッフ) 当社では、肢体障がい、発達障がい、知的障がいのある従業員が同じ職位で業務に取り組んでいます。長期的な勤続を目指し、職位設定を通じて、スタッフのキャリア形成と成長にアプローチしました。スタッフがどのような成長を遂げたのか。またスタッフを管理する責任者の負担はどう変化したのかをご紹介します。 4 特例子会社における障がいのある社員の個別支援計画の導入-「働く態度の階層構造」理論による社員育成・支援の仕組み化- 小笠原拓(株式会社ドコモ・プラスハーティ事業運営部 担当社員) 障がいのある社員が働き続けるためには、個々の多様なニーズに応じつつ、社会人としてのキャリア形成を支援する必要がある。特に変化の大きい現代社会で生きていくために、課題を見出し・自ら学び続ける「態度」の醸成が重要であると考える。本発表では「働く態度の階層構造」理論(菅野2015)をもとにした、社員の育成評価の導入と、社員個々の成長段階に応じた体系的な育成・支援の試みについて報告を行う。 5 岡山県庁における障害者雇用の実態調査-就労パスポートの活用とチャレンジ雇用に着目して- 宇野京子(岡山県総務部人事課人事班 職場定着支援トータルアドバイザー) 地方公共団体においては「守秘義務」の規定や流動的な人的環境などの要因が重なり、雇用ノウハウの蓄積が難しい状態にある。令和5年度、岡山県知事部局では「就労支援アドバイザー」を配置して、実態を把握することを目的に調査を行った。専門職が、上司らへ障害特性や対応策を解説することにより、当事者職員のキャリア形成の意義を確認した。本研究の知見は、地方公共団体の雇用の質向上を動機づける一助になると考えられる。 p.9 第3分科会「福祉から一般雇用への移行Ⅰ」 1 活躍し続ける就労を目指して就労移行支援事業所が考えておくこと~就労したASD者のケースの振り返りから~ 中村大輔(特定非営利活動法人クロスジョブクロスジョブ草津 管理者兼サービス管理責任者) 厚労省の「令和5年障害者雇用状況の集計結果」において、民間企業における雇用障害者数、実雇用率は過去最高を更新したと報告されているが、障害のある方にマッチしている企業か求人票だけで判断することは難しい。本事例では、就労移行支援を活用し、自身の得手不得手を整理して就労に至った事例を、「就労支援のためのアセスメントシート」をもとに振り返り、雇用につながった要素や活躍し続けるため必要なことを考察する。 2 就職なんてどうでもいいからの変化~自己効力感を高める支援~ 柴田友弥(社会福祉法人聖隷福祉事業団 聖隷チャレンジ工房浜松学園 就労支援員) 聖隷チャレンジ工房浜松学園の主な利用者は、中学校の発達支援級や特別支援学校の高等部などを卒業してくる若い世代の人たちであり、就労移行支援・就労継続支援B型・施設入所支援の取り組みを行っている。ここではA氏が、当学園での支援を通して、就職意欲が高まり就職するまでに至った経緯と、職員がA氏に対して行った支援について報告する。 3 文脈的行動科学のアプローチを用いた就労支援と今後の展望 下山佳奈(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 研究員) わが社では文脈的行動科学について社員全員が研修を受け、その知識と技術をもとに障害のある方の就職や安定就労のためのサポートを行っています。それらのサポートの一つには、就労移行支援事業所における職業リハビリテーションサポートも含まれています。本発表では、実際に取り組んでいる支援技術や内容について紹介し、支援を受けたことで利用者の方にどのような変化があったのか、また実際の利用者の声も紹介します。 4 キャラバン企業説明会3年間の成果と今後について~障害者職業能力開発プロモーターの活用事例~ 稲垣良子(名古屋市健康福祉局 障害福祉部障害者支援課 課長補佐(就労支援の推進)) 令和3年7月より、毎月企業説明会を開催しています。障害者の就労を推進するには、求職者が、求人企業の業務概要を知る機会が必要であると考えたことがきっかけです。1社30分で4社を迎えてのスクール形式と、2社を迎えてのディスカッション形式の2タイプを用意しています。今年度は、企業説明会の延長として合同面談会を開催するなど、福祉的就労から一般就労への移行を目指し、機会創出に重点を置いた取組を行っています。 5 各機関と連携を生かした一般就労に向けての取り組みについて~ジョブコーチ支援を通して~ 角智宏(社会福祉法人清流苑 法人本部 本部長) 就労継続支援A型事業所を退所し、自宅で過ごしていた方が就労に向け動き出したが、取り巻く環境に多くの課題があり、なかなかうまくいかなかった。生活面・就労面、多くの皆様の協力とご尽力があり就労に結び付き、継続に至った経緯をまとめた。 第4分科会「地域におけるネットワーク、連携」 1 質の高い就労定着支援を目指すための就労定着支援事業所の現状と課題 山口明乙香(高松大学 発達科学部 教授) 本発表は、全国の就労定着支援事業所を対象に実施した調査の結果から、質の高い就労定着支援を実現するための取り組みとしての現状とその課題について報告する。定着支援事業所を取り巻く課題として、優先度の高い課題としては、「報酬単価と事業所の安定運営に関する課題」がもっとも優先度の高い課題となっており、次いで「利用者の確保に関する課題」が示された。 2 障害のある方が「戦力として働き続けるために必要なこと」を企業と共に考える-『企業連携会議』からの学び- 伊藤真由美(特定非営利活動法人クロスジョブクロスジョブ札幌 管理者兼サービス管理責任者) 「就労定着支援」がスタートして5年が経過。企業は法定雇用率の段階的な引き上げに加え、障害特性に合わせた新たな雇用管理の視点が求められている。改めて『雇用の質』が問われる時代、就労移行支援事業所は企業へバトンを渡して終了ではなく、採用後も企業と協働して一人一人に合った環境を作り上げていくことが必要である。今発表では、その視点に立ち独自の取り組みである企業と共に考える『企業連携会議』について報告する。 3 自立支援協議会はたらく部会における企業開拓~関係機関との連携による取組を通じて~ 野村聡(柏市役所 福祉部障害福祉課 副参事) 八木原直彦(障害者就業・生活支援センタービック・ハート柏 主任) 久保千穂子(LITALICOワークス柏西口 管理者) 柏市では、令和4年度から障害者雇用未達成企業を主な対象とした企業向け相談会「キックオフミーティング」を自立支援協議会はたらく部会一般就労連絡会と開催している。本取組は、市内の就労支援機関やハローワーク等と連携し、企業が個別に抱える課題をヒアリングした上で関係機関が連携・協力して企業開拓に取組んでおり、これまでに8名の雇用を創出している。今回は本取組を通じて得た成果や今後の課題について発表したい。 4 シロイルカの調餌作業を受託して~水族館と複数就労継続支援事業所の挑戦~ 山本 直紀(社会医療法人清和会 ヴィレッジせいわ 通所サービス課 就労継続支援A型・B型事業所「はまかぜ」 通所サービス課長) 水族館のシロイルカ調餌作業(餌作り)を複数の就労継続支援事業所で共同受託して2年が経過しました。この試みの大きな特徴は調餌作業終了後、シロイルカとのふれあいの時間があり、それにより様々な良い効果が波及しています。全国でも珍しいこの取り組みを地域で連携している好事例としてご紹介したいと思います。キーワードはアニマルセラピー、主体性・協調性の向上、人出不足の解消、地域連携です。 p.10 第5分科会「就労支援を支える人材育成」 1 就労支援機関管理者に対するWeb研修の開発-研修プログラムの実施と効果- 大川浩子(北海道文教大学/NPO法人コミュネット楽創) 就労支援機関の人材育成には管理者や運営法人の在り方が大きな影響を与えると思われる。以前、我々はリスニングアワーを基盤とした管理者へのWeb研修プログラムを試行し、一部質的な変化が認められたが、自身の話した内容へのフィードバックや参加者同士の交流が課題となった。今回、情報提供と互いの経験を語る形で再編したWeb研修プログラムを新たに実施した。その概要と研修の前後による参加者の変化について報告する。 2 障害者雇用で必要と考えられる職業準備性-移行支援事業所の支援者と雇用者の認識より- 河合静夏(株式会社綜合キャリアトラスト SAKURA杉並センター 支援員) 長徳涼(株式会社綜合キャリアトラスト SAKURA長野センター 支援員) 就労支援事業所SAKURAセンターは、全国で16センター展開している。特色として親会社(人材派遣業)のノウハウを活かした研修提供や就活のサポートを行っている。今回の調査の目的は、支援の効果検証と、障害者雇用で必要なスキルを知ること。現在SAKURAセンターが定着支援を実施している、企業担当者と当センターの支援者に質問紙調査を行い、結果について分析する。得られた結果を今後の支援提供に活かしていく。 3 職業リハビリテーションの現場における支援スーパーバイザーの導入と効果の検証 菊池ゆう子(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 主任研究員) 弊社は、障害者及び事業主の双方に対して、文脈的行動科学を基盤とした支援技術による職業リハビリテーションサービスを提供している。障害者雇用促進法の改正により、事業主の責務として明記された「雇用の質の向上」をより一層推進するため、弊社のサポートの現場で発生している事象全体に対して、スーパーバイズ機能を持つ『支援スーパーバイザー』を社内に配置した。本発表では、その取り組み内容と効果について報告する。 4 エビデンスに基づく実践に向けた人材育成の取り組み~支援者の働きがいがより良い実践へ~ 田中庸介(一般社団法人キャリカ) 当法人はエビデンスに基づいた実践を行い、利用する皆さんが安心し、一人一人の夢が叶えられる事業所を目指している。しかし、先行研究で示されている通り、福祉分野は未だ根拠に基づいた実践が少ない現状が窺われている。当法人は根拠に基づく知識・スキルの習得は質の高い実践に繋がるだけでなく、支援者の働きがいに影響を与える重要な要素だと捉えている。そこで、本発表では今年度の人材育成の取り組みと展望を発表したい。 第6分科会「発達障害」 1 第四の発達障害 -定着できない境界知能者- 梅永雄二(早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授) 「境界知能者」とは、知能指数が70以上85未満であり、定型発達者と知的障害の間に位置する。学校教育では特別支援教育の対象となってはおらず、成人期に達した境界知能者は、就労が定着できず離職することが多いといわれている。しかしながら、境界知能者は、適切なサポートがなされ、具体的で予測可能な仕事を与えられるとうまくいく可能性が高くなる。本発表ではどのようなサポートが必要なのかについて報告する。 2 発達障害のある学生への就労準備プログラム働くチカラPROJECT~ライフスキル、ソフトスキルの支援と今後の展望~ 渡辺明日香(株式会社エンカレッジ エンカレッジ早稲田駅前 主任) 高橋亜希子(株式会社エンカレッジ エンカレッジ早稲田駅前 取締役) 本発表では、発達障害の学生への早期からの働くための土台づくりの重要性について知ってもらうための取り組みとそのアプローチを解説し、ライフスキル(生活リズムや健康・体調管理等)とソフトスキル(対人コミュニケーションや職場でのルール・マナーや基本的な労働習慣)を学び、育むためのプログラム内容と実践結果を紹介する。また、卒業後の進路や今後の展望・課題についても報告したい。 3 自閉スペクトラム症の傾向がある精神障害者の雇用継続におけるソフトスキル支援の必要性について -離職事例より振り返る- 立川未樹子(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 就労支援員) 高機能ASD者の就労問題は、仕事そのものの能力であるハードスキルより日常生活や余暇などのソフトスキルの問題が上回っていると指摘している(梅永,2018)。本発表では、精神障害の診断ではあるものの、自閉スペクトラム症の傾向が見られた人の離職事例を通じ、雇用継続のために必要なソフトスキルの検証と、就労移行支援事業所利用時に必要であったアセスメントおよび支援について報告する。 4 発達障害者の障害特性を踏まえた相談の進め方 我妻沙織(障害者職業総合センター職業センター 上席障害者職業カウンセラー) 障害者職業総合センター職業センター「ワークシステム・サポートプログラム」では、発達障害者に対する様々な技法開発に取り組んでいる。本発表では、同プログラムにおける、発達障害者の自らの特性や課題に係る認識や理解を深化させることの困難さを踏まえ、経験の振り返り、職業的課題の把握、課題の改善に向けた目標設定と適切な対処方法の選択等を効果的に行うための相談の進め方についての開発経過について報告する。 p.11 第7分科会「精神障害」 1 精神障害者と働く上司・同僚の負担感の悪影響およびポジティブな意識変化に関する研究 金本麻里(株式会社パーソル総合研究所 シンクタンク本部 研究員) 精神障害者の雇用では、業務のコントロールやコミュニケーション等に課題が生じることが少なくない。本研究から、これらの課題が精神障害者の配属現場の上司・同僚の負担感を増大させ、偏見の強化と支援行動の減少をもたらしていた。他方で、精神障害者を戦力化できる職場では、偏見の解消や多様性包摂の対応力・意識向上といった波及効果が確認された。本研究知見は、精神障害者の雇用の質向上に企業を動機づけるものと考える。 2 デイケアにおける就労という目標を通した自己肯定感のレジリエンスの事例紹介 泊裕子(愛知県精神医療センター デイケア 精神保健福祉士) 当院デイケアは長期利用者が多く、就労等を目指すことに自信がないという方が多くありました。そこで就労のための準備とした動機付けプログラムの実践を試みました。ようやく始めたところでコロナ禍という状況となり、見通しのできない社会情勢の中で、集まった参加者同士で励ましあいながら続けてきました。就労という目標を通して、障害により失いつつあった自己肯定感を回復させていく事例を紹介したいと思います。 3 自然を利用したリハビリテーションによる職業準備性ピラミッドへの影響-事例マトリックスを用いて- 中塚智裕(NPO法人えんしゅう生活支援net ワークセンター大きな木 作業療法士/生活支援員) 就労支援継続事業B型を新規利用する者は、気分変調により通所が不安定になりやすい現状がある。本研究の目的は自然を利用したリハビリテーション(以下「NBR」)を実施し、日常生活管理等の改善を探索した。対象は精神障害者で通所頻度が週3日以下の者とした。結果、対象者は通所頻度が改善し、また通所に対して前向きな発言が聞かれ、生活が安定した。NBRによって対象者自身の日常生活管理等を改善したことが示唆された。 4 複数の先行研究から考察される「障害者手帳を所持していない精神障害者・発達障害者の就労実態等」について 髙木啓太(障害者職業総合センター 上席研究員) 障害者職業総合センターでは2024年度から2025年度にかけ、精神障害又は発達障害を有して診断を受けているが障害者手帳を所持していない者に対する就労支援機関における効果的な支援方法や課題への対処等の検討に資することを目的に「障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者の就労実態等に関する調査研究」を行っている。本発表は先行研究から把握した就労実態等について取りまとめた結果を報告し、考察する。 第8分科会「難病/諸外国の取組」 1 難病 ダイバーシティ研修の取組み~企業及び就労支援者への研修等による取組みによる考察~ 中金竜次(就労支援ネットワークONE 就労支援 代表) 増加する難病患者・難治性な長期慢性疾患患者への支援機関や企業の直面している昨今の状況に対応すべく、企業、支援関係者等への研修の取組みから得た参加者の感想、意見などもふまえ、難病ダイバーシティ研修の意義・及びその必要性を考察し、共有する。 2 慢性の痛み患者への就労支援の推進に資する研究 橘とも子(国立保健医療科学院 保健医療情報政策研究センター 特任研究員) 丸谷美紀(国立保健医療科学院 生涯健康研究部 特任研究官) WHOのICD-11に追加された慢性疼痛(Chronic Pain)をもつ多様な人々の自己管理を、全人的に就労支援できる活力ある包摂社会体制の構築が目的。全人的な実態調査及び対策の方策を探り、症状に注目できるパーソナルヘルスレコード(PHR)活用調査方法及び慢性の痛みを持つ方の就労支援方法を作成した。成果は慢性疼痛の実態/就労支援対策だけでなく、未来投資戦略2017への貢献も期待できると考えた。 3 難病患者の就労困難性に関する調査研究(1)-患者調査(特に障害者手帳のない難病患者について)- 春名由一郎(障害者職業総合センター 副統括研究員) 全国Web調査の回答によると、障害者手帳を申請していない難病患者3,410名の44%が身体・知的・精神の障害認定基準に含まれない「その他の心身機能の障害」等により、「かなり」以上の社会生活上の支障を経験し、特に、病状の進行の可能性や少しの無理での体調の崩れやすさ、体調の変動等は、職務遂行や業務調整等、職業準備や就職活動等の困難につながるが、職場や支援者等の理解や配慮が得られにくいものであった。 4 難病患者の就労困難性に関する調査研究(2)-事業所調査及び支援機関調査- 大竹祐貴(障害者職業総合センター 上席研究員) 難病患者に対して現実的に実施可能な企業・職場の合理的配慮や地域専門支援のあり方を明確にするため、企業と支援機関へのアンケート調査を実施した。調査結果より、①難病患者に係る事業主への正しい理解の啓発や合理的配慮の提供の推進の課題、②難病患者の雇用のより一層の促進のための障害者雇用支援分野、産業保健分野、保健医療分野等の効果的な連携のあり方の課題が明確となった。 5 我が国と諸外国での障害者雇用施策の共通性と相違点を明確にする共通比較枠組みの試案 下條今日子(障害者職業総合センター 上席研究員) 我が国の近年の政策課題(障害者手帳のない障害者等の就労困難性の捉え方、障害者雇用の質の捉え方、障害者雇用と福祉就労のあり方、医療・福祉・教育等の関係分野との連携強化や障害者就労支援人材の育成等)について、諸外国の近年の総合的な施策である、障害者の多様なニーズに対応するための支援体制の強化や、持続可能な雇用機会の創出等の取組みを比較しやすくするため、仮説的に12項目からなる共通比較枠組みを提案する。 p.12 口頭発表第2部 11月14日(木)13時00分から14時50分 第9分科会「企業における採用・定着の取組Ⅱ」 1 社内支援技術向上を目的としたワーキンググループの取り組み 豊崎美樹(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 主任研究員) 菊池ゆう子(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 主任研究員) 弊社は、障害者及び事業主の双方に対し、応用行動分析・文脈的行動科学に基づく専門的な知識・技術で職リハサポートを行っている。我々は、近年注目を集めているプロセスベースドセラピーを有効な理論として捉え、支援職が現場で活用できるよう、社内サポート職員を中心とした『PBTワーキンググループ』を設置した。当発表では、グループの活動と、メンバーによって収集されたPBT活用事例から得られた結果を発表する。 2 OCRデータ転記・PC入力課題による業務適性把握と業務配置転換への活用 志村恵(日総ぴゅあ株式会社 人財戦略室 企業在籍型職場適応援助者) 当社では、職場実習生(障害者)の職業能力を把握するためOCR(Optical Character Reader)データの文字(英数漢字・ひらがな・カタカナ)転記課題を取り入れている。昨年度(第31回)研究・実践発表会では、本課題が実習生の職能判定として活用できるという結果を報告した。今年度は当社の障害者社員に課題を実施し、業務適性の把握に活用する取り組みを行ったので、その結果について報告をする。 3 企業で働く障害者のウェルビーイング(Well-being)を高めるプランド・ハップンスタンス理論の実践 梅澤馨(東急住宅リース株式会社 人事部勤労グループ マネージャー) 企業で働く障害者のウェルビーイングを高めるには、個々の好きなことや得意なことを伸ばす環境作りが重要です。心理的安全性の高い職場を提供し、障害に過度に配慮せず挑戦を促すことで成長を促します。人とのつながりをつくり、会社や社会に貢献することも欠かせません。プランドハップンスタンス理論を実践し、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心を育むことで、偶然を活かし、生産性向上や離職率低下の効果も期待されます。 4 「障害者雇用の取り組みから拡がるポジティブな意識変革」~当事者意識から生じたアクションに焦点をあてて~ 木村昌子(社会福祉法人聖テレジア会 本部事務局 主任) 当法人は、障害児者・介護施設、回復期・急性期病院、在宅部門を有す。障害者雇用の行政措置対象の可能性をきっかけに、当事者意識が芽生え活動を開始した。アクションは、①人脈開拓・説明会、②情報共有・意思疎通、③会議活性化・発信、④雇用率可視化を実施した。成果は、1年で法定雇用率を達成し、採用活動の推進・人財は経営資源・仲間の尊重・職場づくりなどポジティブな意識変革が生じたので、その経過と課題を報告する。 5 障害者雇用の促進と社員満足度向上を図るカフェスペースの設置~超短時間労働の業務創出から始める本業のキャリアへの接続~ 工藤賢治(株式会社ゼネラルパートナーズ 事業サポートグループ シニアコンサルタント) 長尾悟(株式会社JBSファシリティーズ ダイバーシティ・マネジメント事業部 部長) 障害者雇用率2.7%を迎え、精神・発達障害者の雇用、社内理解、業務切り出し、職業準備性に不安がある方の採用、定着と課題が山積みなのが企業の現状です。従業員の福利厚生、ドリンクの受け渡しを通して障害者を知ってもらう、企業文化に慣れてもらう、就業することで自信をつけてもらう、双方にとって意味ある雇用に繋げるための企業内caféを始めました。福利厚生×ポジション創出×認知向上⇒価値ある障害者雇用を! 第10分科会「職域拡大」 1 障害者の職域拡大~福祉職員だった私が、当事者になって今できる事②~ 岩﨑宇宣(社会福祉法人相模原市社会福祉事業団障害者支援センター多機能型事業所 福祉サービス課 主任) 杉之尾勝己(社会福祉法人相模原市社会福祉事業団障害者支援センター多機能型事業所 生活介護事業 利用者) 井澤幸夫(社会福祉法人相模原市社会福祉事業団障害者支援センター多機能型事業所 生活介護事業 利用者) 峯村深(社会福祉法人相模原市社会福祉事業団障害者支援センター多機能型事業所 福祉サービス課生活サービスチーム 主任) 生活介護や重症心身障害者が仕事を行う上での課題等を、昨年度(第31回)発表した経過を踏まえ当事者が感じたこと、職員が支援していることを報告します。 2 誰もが、楽しく、誇りをもって ~男性育休職場支援「みなチャレ」開始とニューロダイバーシティ推進チーム編成・稼働~ 小谷彰彦(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 人事部ダイバーシティ推進室 推進役) 本体直接雇用により、精神・知的が10年間で計100人(WT3割)在籍し定着・活躍。特別支援学校から事務補助採用の「地域密着モデル」(36人在籍)、東名阪4ヵ所展開の「事務サポートセンター(JSC)」(精神・発達、知的44人在籍)では、JSCによる男性育休職場の業務支援「みなチャレ」の開始、4JSC横断で編成の「ニューロダイバーシティ推進チーム」によるDX推進など、活躍領域が更に拡大展開している。 3 障害者雇用の戦力化に向けたスキルアッププログラム~当事者同士で創りあげるゼロベースからのデジタル人材育成~ 松尾明(株式会社マイナビパートナーズ パートナー雇用開発事業本部 パートナー雇用開発事業部 パートナー雇用開発2部 部長) 弊社は障害者の戦力化を重視しており、その一環としてデジタル人材育成に取り組んでいる。ゼロベースからでも始められ、障害当事者同士で教え合うというコンセプトのもと、2023年4月より独自のプログラミングスキル育成プログラムを作成。現在まで55名の当事者メンバーが参加し、業務効率化の推進に加え、データ分析など新たな領域の業務に着手できるようになった。今回は、学習プログラムの設計と成果について発表する。 4 視覚障害者主体の珈琲焙煎による新たな就業の可能性の検討 加藤木貢児(NPO法人みのり 領家グリーンゲイブルズ 施設長) 視覚障害者は、視覚を頼りに業務を行うことは困難であると考えられ、触覚を頼りにした按摩関係の職業などが選択される傾向にある。しかし、一般に晴眼者においても、聴覚に重きをおいて従事する職業であれば、視覚障害者も能力を発揮することは十分に可能である。本研究では、視覚障害者の珈琲焙煎への職域拡大のため、対象施設において実践した珈琲焙煎事業において、準備と手順、当事者の実施内容、支援者の補助内容を報告する。 5 デジタル技術を活用した障害者の業務に関するヒアリング調査結果の報告 -デジタル関連業務の4つのパターン- 中山奈緒子(障害者職業総合センター 研究員) 障害者がデジタル技術を活用した業務に従事している企業16社に対しヒアリング調査を実施し、障害者が従事するデジタル関連業務を4つのパターンに分類・整理した。加えて当該業務に取り組むこととなったきっかけやデジタル化の影響、デジタル関連業務に従事する障害者の採用やスキルの習得方法、障害者が円滑に業務に従事できるようにするための業務分担や人的サポート等に関する取組、及び課題・今後の見通しについて整理した。 p.13 第11分科会「福祉から一般雇用への移行Ⅱ」 1 授産取引関係を通じた福祉的就労から雇用へのアプローチ 眞保智子(法政大学 現代福祉学部 教授) 授産取引で構築した品質や支援力等の信頼をベースに、民間企業A社から就労継続支援B型事業所であるC事業所に発注されている製品の製造に習熟したC事業所の職員と利用者をA社が採用し、雇用が拡大する事例である。C事業所とA社は建物賃貸借契約を締結し、C事業所敷地内にA社の支社を設立している。課題は、A社の基幹的な社員が常駐せずに今後付加価値が高く、能力開発に資する商材を製造する職域拡大が可能かである。 2 多機能型事業所の就労への取組について 長峯彰子(公益財団法人新宿区勤労者・仕事支援センター 福祉部 わーくす ここ・から サービス管理責任者) 当事業所は、就労移行支援事業所、就労継続支援B型事業所、定着支援事業所と3つの機能を持つ多機能型事業所である。そして、就労移行支援事業所と就労継続支援B型事業所のそれぞれから就労者を輩出している。その細やかな支援と個別対応について成功事例を交えて発表していく。 3 企業と福祉の協働による知的障がい者の就業定着への挑戦~「キヤノンウィンドモデル」の実践を通して~ 丹羽信誠(社会福祉法人暁雲福祉会 「八風・be」 施設長) 2008年に大分キヤノン株式会社と社会福祉法人暁雲福祉会は合弁に基づく特例子会社を設立。2009年に開催された第17回職業リハビリテーション研究発表会にて「福祉的就労から一般雇用への移行」をテーマとした分科会にて発表を行いました。それから早15年。知的障がいのある社員が安定して就業定着できるように「職域の拡大」や「合理的配慮」の実践を継続して取り組んできました。私たちの挑戦について発表します。 4 就労選択支援で職業訓練を選択する際のポイント~職リハにおけるSDM(Shared Decision Making)~ 柳恵太(国立職業リハビリテーションセンター 職業指導部職業評価課 障害者職業カウンセラー) 「就労選択支援」(就労アセスメント[障害者との協同による就労ニーズの把握や能力・適性の評価及び就労開始後の配慮事項等の整理]の手法を活用して、障害者の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援するサービス)が令和7年10月から施行される予定であるが、就労選択支援を利用した際の選択肢に職業訓練も含まれている。本発表では、就労選択支援で職業訓練を選択する際のポイントについて報告し、選択の一助とする。 5 完全在宅就労移行支援による、在宅勤務就労事例 木村志義(一般社団法人ペガサス 代表理事) 在宅勤務を希望する障害者の方のための、フルリモート就労移行支援における、就労事例をお話します。 第12分科会「職業評価・アセスメント」 1 継続的な就労に課題のある就労移行支援事業所に通所する成人に対する刺激等価性/関係フレーム理論に基づく訓練の実施とその効果 岩村賢(株式会社スタートライン CBSヒューマンサポート研究所 研究員) 言語・認知能力に課題のある障害児・者に刺激等価性/関係フレーム理論に基づく訓練を実施すると、言語・認知能力の上昇や適応行動が改善することが明らかになっている。継続的な就労が難しく、就労移行支援事業所に通所する発達障害のある男性1人を対象に、刺激等価性/関係フレーム理論に基づく訓練を実施した結果、適応的な行動の増加が見受けられた。訓練の概要や訓練前後の量的及び質的な変化について報告する。 2 就労継続支援A型で「厚生労働省編一般職業適性検査」を用いて自己理解を深め、一般就労へ向けた支援の一事例 中島実優(ヴィスト株式会社 ヴィストジョブズ金沢入江 職業指導員) Aさんは双極性障害という診断を受けており、一般就労につきたいという思いはあるが、Aさんが自身の適性が分からないという思いから一般就労には至っていない。石川障害者職業センターで厚生労働省編一般職業適性検査を用いて検査を行い、その結果「手腕に適性がある」が「うっかりミスが多い」特性があることが分かった。それらを踏まえAさんが自身の適性を理解し、力を発揮できるよう一般就労に向けて実施した支援を報告する。 3 一般校からの就労相談にTTAP・BWAP2を活用したケース~アセスメントを通じての、家庭・関係機関との連携~ 酒井健一(社会福法人釧路のぞみ協会自立センター くしろジョブトレーニングセンターあらんじぇ 職業準備・職場定着係長) 一般校からの就労相談は年々増加傾向にある。またそれに伴い、一般校でも障害者手帳を有している方については増加傾向であり、相談の件数も同様の状況がみられている。今回は一般校より相談のあった、障害者手帳を有している方についての進路等についてTTAP・BWAP2のアセスメントを行い、現在の本人のハードスキル・ソフトスキル等の整理を行い、その結果を共有することにより、進路選択の一助となったケースとなる。 4 MWS社内郵便物仕分(簡易版)による応用的アセスメント法の検討~健常者データの詳細な項目分析を通じて~ 知名青子(障害者職業総合センター 上席研究員) MWS新規3課題のうち「社内郵便物仕分」は活用率が最も高く(地域センターで75.3%、地域センター以外の機関で62.5%)、職業評価、職業準備支援、就労アセスメントの一環として利用されている。しかし同時に難易度の高さにより実施時間を要することなど利用上の難しさが指摘されていた。そこで本発表では、簡易版の有効性を高めることを目的に、健常者データを再分析し課題の項目特性について検討した結果を報告する。 5 「実行機能」の視点を用いた効果的なアセスメント及び支援に関する研究-実行機能に困難のある対象者の支援に関する調査から- 宮澤史穂(障害者職業総合センター 上席研究員) 発達障害、精神障害、高次脳機能障害では職場において、仕事の手はずや段取りが悪い、時間内・期限内に仕事を終えられない、といった困難が生じている。本発表では、このような困難について、実行機能に注目し、全国の地域障害者職業センター等を対象に実施した、実行機能に困難が生じている対象者への支援に関するアンケート調査の結果について報告する。 p.14 第13分科会「知的障害」 1 エージェントサービスからの企業就労と定着支援について 矢嶋志穂(株式会社ゼネラルパートナーズ クライアントパートナー部門) 昨今、知的障がい者においてもネットからのエージェントサービス登録を経て企業就労というパターンも増えてきました。どのような職種・定着・取組がなされているのか事例を基に紹介していきます。 2 体操、座学、畑作業を組合せた学習プログラムが知的障がいのある青年の認知発達に与える影響についての継続的な研究 外山純(NPO法人ユメソダテ 理事/よむかくはじくLLP 代表) 夢育ては2022年から知的障がいのある青年を対象に体操・座学・畑作業を組合せて認知身体機能の発達を促すプログラムを開講している。前回の職業リハビリテーション研究・実践発表会では、当プログラム受講生の認知機能の発達をコース開講前と開始約6ヶ月後の2回のアセスメントで考察した。今回は、前回の論文を踏まえつつ受講生の認知発達を2023秋冬と2024春夏に実施した2回のアセスメントの比較を通じて報告する。 3 体操、座学、畑作業を組合せた学習プログラムの概要と知的障がいのある青年の行動変化及び生涯学習法としての活用可能性について 前川哲弥(株式会社夢育て 代表取締役/NPO法人ユメソダテ 理事長) 夢育て農園では、人を育てる畑事業において、農作業と、体操、座学、夢語りを組合せ、週1回2時間半程の学習プログラムを通じて、成人した知的障がいのある青年が認知的に成長できることを職業リハビリテーション研究・実践発表会で2度にわたり発表した。本発表では人を育てる畑事業にて実施している学習プログラムの概要と受講生の行動変化、そして生涯学習法として学校、福祉、企業における活用可能性についてご提案する。 4 能力に応じた業務の選定に関する検討①~ジョブマッチングシートの作成~ 横川拓也(株式会社ドコモ・プラスハーティ 事業運営部 主査) 業務の切り出しや職域拡大、新たなスキルへの対応には、社員一人ひとりの能力を把握し、その強みを活かしていくことが重要となる。本発表では、企業と福祉機関が連携して作成した「ジョブマッチングシート」について報告する。「社員の能力」と「業務に求められる能力」を可視化し、ミスマッチの防止や新たな職域へのチャレンジを支援するツールとして活用を想定している。 5 能力に応じた業務の選定に関する検討②~ジョブマッチングシートの活用~ 佐藤資子(社会福祉法人武蔵野千川福祉会 チャレンジャー 所長) 福祉機関から企業へ繋げるための「利用者の能力」と「業務に求められる能力」を可視化し、一人ひとりの能力を把握し、その強みを活かしていくことが重要となる。本発表では、企業と福祉機関が連携して作成した「ジョブマッチングシート」の活用について報告する。 第14分科会「復職支援」 1 実践事例報告)視覚障害者の復職支援初期相談~雇用管理サポート~職業訓練・就労移行支援の活用 星野史充(社会福祉法人名古屋ライトハウス 情報文化センター) 熊懐敬(認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 副理事長) 松野裕一(社会福祉法人名古屋ライトハウス 名古屋東ジョブトレーニングセンター) 視覚障害者の復職を支援してきた当事者団体(タートル)が日本眼科医会とともに中途視覚障害者の初期相談を行い、地域の就労支援機関として名古屋ライトハウスを紹介。名古屋ライトハウスは愛知・岐阜の障害者職業センターとともに雇用管理サポート事業(視覚支援パソコン導入他)、愛知障害者職業能力開発校の委託訓練(パソコン業務スキル)、自治体の就労移行支援(パソコン業務スキル)を活用、中途障害者の復職に貢献した。 2 リワークプログラムにおけるメタ認知療法の活用:再発防止への新たなアプローチ 松石勝則(キャリアコンサルタント2級技能士、公認心理師、社会福祉士、精神保健福祉士) うつ病などメンタルヘルス不調により休職は増加傾向にあり、復職しても再発する事も多い。さらに休職中に医療デイケア等でリワークプログラムを受けても再発するケースも散見しており、訓練プログラムが実際の職場環境のストレスに対応できていないと考えられる。再発防止策としてメタ認知療法のリワークプログラムへの活用に焦点を当て、その有効性について、これまでの知見を論文としてまとめ発表を行っていくものである。 3 職場復帰に向けた調整のための効果的なアセスメントの実施方法 古野素子(障害者職業総合センター職業センター 主任障害者職業カウンセラー) 障害者職業総合センター職業センターでは、JDSPにおける実践を通じて、気分障害等の精神疾患による休職者を対象とした復職支援技法の開発、改良に取り組んでいる。本発表では、復職支援において休職者・事業主・主治医の基本情報を的確に把握・整理するとともに、円滑な職場復帰や職場再適応に向けた課題や目標に関する共通認識を形成するための効果的なアセスメントの進め方等の検討及び試行状況について中間報告を行う。 4 理学療法士として働いていたが脳腫瘍を発症し、自分が同職場に復帰した後に思う、療法士業務の捉え方 岡本拓真(千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション科 理学療法士) 理学療法士として現職中に脳腫瘍が発覚し、再び理学療法士としての復帰を強く願望したうえで約1年の闘病生活を通して左下肢の麻痺とコミュニケーション障害を残したまま退院し、その後同職場に復帰できた。だが、1単位20分という診療報酬上の規定に則った業務をこなす中で支援された業務と支援によっても困難と感じた業務を理学療法の制度に基づいて考察した。 5 脳卒中患者の職業復帰 -通勤,自動車運転について- 中村優之(医療法人のぞみ会 のぞみリハビリテーション病院 リハビリテーション課 公認心理師) 社会復帰、職業復帰は回復期リハビリテーションの重要な目標の一つである。特に若年脳卒中患者の職業復帰は経済的問題のみならず、障害受容やQOLの向上のためにも大切な意味を持つ。しかし復職においては身体機能の回復や作業能力の獲得に加えて通勤手段の確保が重要な課題となる。今回比較的円滑に異動や配置転換、自動車運転が可能となった若年脳卒中患者の職業復帰支援を経験した一例について報告したい。 p.15 第15分科会「高次脳機能障害」 1 高次脳機能障害のある方の就労に向けて支援者が担う役割について考える ~支援者の立場から~ 角井由佳(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ札幌 就労支援員(作業療法士)) 高次脳機能障害は見えない障害と言われている。高次脳機能障害のある方の就労は、本人だけではなく企業の理解と協力があることで成り立つことが言える。今回、高次脳機能障害のある方の新規就労を進める上で、企業との採用前からの密な連携を行ったことで就労定着が実現した事例を経験した。支援者の立場から、障害の見える化・企業の障害理解促進へ取り組んだことを事例を通して報告し、支援員が担う役割について考察した。 2 高次脳機能障害のある方の就労に向けて支援者が担う役割について考える ~企業の立場から~ 梅坪千晴(株式会社ファミリーマート A店 ファミマートレーナー) 高次脳機能障害は見えない障害と言われている。高次脳機能障害のある方の就労は、本人だけではなく企業の理解と協力があることで成り立つことが言える。今回、高次脳機能障害のある方の新規就労を進める上で、企業との採用前からの密な連携を行ったことで就労定着が実現した事例を経験した。企業の立場から、障害の見える化・企業の障害理解促進へ取り組んだことを事例を通して報告し、企業が担う役割について考察した。 3 複合的な要因を抱え難渋した復職支援における就労継続支援B型の包括的な関わりについて ~家族支援と定着支援を含めた取り組み~ 伊藤裕希(NPO法人コロポックルさっぽろ クラブハウスコロポックル 支援コーディネーター) 脳出血により右片麻痺、構音障害、高次脳機能障害が残存した40代男性。発症後約1年が経過した状態でかかりつけの医療機関からは高次脳機能障害を指摘されず、家族相談がきっかけでB型の通所利用となる。易怒性や易疲労性が強く、高次脳機能障害の拠点病院での検査を含め短期間でのサービス利用の為、他の就労支援機関との連携を図ることが難しい中で家族支援と復職支援を並行して行った実践と課題について報告する。 4 就労希望のある亜急性期脳損傷患者データベースによる復帰群と外来移行群の比較 中村滉平(浜松市リハビリテーション病院 リハビリテーション部 作業療法士) 当院では作業療法士が主に脳損傷患者の就労支援を行っている。2021年より就労希望患者をデータベースに管理してきた。今回、亜急性期の入院病棟から退院後すぐに職場復帰した患者78名と外来移行し、就労に向けたリハビリテーションを継続した患者100名の差違を検証した。疾患や記憶検査の結果に優位差はなく、年齢と上肢麻痺の程度にのみ有意差を認めた。量的研究だけでは外来移行基準を明確に出来ない事が示唆された。 5 高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援技法の開発 狩野眞(障害者職業総合センター職業センター 障害者職業カウンセラー) 障害者職業総合センター職業センターでは、就職、復職および職場適応を目指す高次脳機能障害者への支援に役立つ技法の開発に取り組んでいる。本発表では、支援対象者自らが職務遂行上必要な補完手段を活用することや力を発揮できる環境を知ること、今後の働き方を考えること等、自己理解を促進するためのより効果的な支援方法を検討するとともに実際の試行状況について中間報告を行う。 p.16 ポスター発表 11月14日(木)11時30分から12時30分 1 当事者団体が取り組む視覚障害者の就労支援 -活動実績と課題- 中村太一(認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 理事) 熊懐敬(認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 副理事長) 山田尚文(認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 運営委員) 認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル)は、1995年の発足以来視覚障害者の就労拡大と定着を目的に全国規模で就労支援を行っている。令和5年度の相談実績は延べ665件(209人)であり、電話、メール/SNSでの相談のほか、日本眼科医会との連携によるオンライン相談会などを実施している。本発表では、令和5年度の相談実績を分析し、近年の視覚障害者の就労環境の変化と課題を明らかにする。 2 社会への復帰を就労移行支援での立場から考える~交通事故から復職を諦め、新規就労までの道のり~ 古瀬大久真(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ福岡 就労支援員(作業療法士)) 2023年3月、福岡市中央区にクロスジョブ福岡が開設。脊髄損傷による四肢麻痺を抱える方の社会復帰を支援した。事故後、手術とリハビリを経て徐々に回復。クロスジョブでの訓練を受け、通信業界の店員補助として就職に成功した。トライアル雇用期間中は高頻度の訪問やリアルフィードバックを行い、正式雇用に至った。実習や第三者の意見の重要性を再確認し、包括的な支援の必要性を認識できたため時系列を追って報告する。 3 委託訓練事業を利用した就労支援に係る地域ネットワークの構築について 齋藤貴大(社会福祉法人岩手県社会福祉事業団 岩手県立療育センター 障がい者支援部 生活支援員兼理学療法士) 就労支援において他機関との連携は重要である。今回、障がい者雇用を目指した委託訓練事業を利用し、身体障がいや高次脳機能障がいを持つ方の支援を行った。結果として一般雇用に至るまでの他機関とのネットワークを構築するきっかけとなった。その途中経過を発表する。 4 肢体不自由特別支援学校における一般就労を見据えた支援の在り方に関する一考察 愛甲悠二(埼玉県立越谷特別支援学校 進路指導部 進路指導主事) 肢体不自由と一言で言っても、その実態は幅広く、個々人で全く異なる。肢体不自由単独校である本校では、全校児童生徒225名のうち卒業後の一般就労を見据えている児童生徒は全体の1割程度である。本発表では、本校において過去に一般就労に繋がった生徒等の就労に至るまでの過程を整理することで、肢体不自由特別支援学校における一般就労を見据えた支援の在り方について考察することを主な目的とする。 5 大阪府立支援学校におけるロボットを用いた遠隔就労体験実習に関する事例研究 西出一裕(大阪府立堺支援学校 進路指導部 教諭・進路指導主事) 本校は小学部、中学部、高等部の設置があり、肢体不自由のある生徒(小、中、高)と知的障がいのある生徒(高のみ)が通学している支援学校である。本校では中学部の生徒に就労体験ができる取り組みがなされていないことが課題であった。今回は大阪大学基礎工学研究科石黒研究室、および先端知能システム(サイバーエージェント)共同研究講座の協力を得て取り組んだロボットを用いての遠隔就労体験実習の事例を報告する。 6 模擬訓練を実施してからの企業への情報移行と就職への試み 堀田正基(特定非営利活動法人社会的就労支援センター 京都フラワー 事務局 理事長) 支援対象者に受け入れ企業が存在する場合、受け入れ企業の業務を就労支援事業所内に持ち込み模擬訓練を実施する。その後、受け入れ企業が求める技能水準に達してから支援対象者を企業実習に送り出すことで就職へつながる可能性も大きなものになる。模擬訓練で獲得したスキル獲得の経過を受け入れ企業に情報移行することで短期間の就労移行が可能になるかを応用行動分析で実験した。 7 障害者への就労支援者に対するPBT(プロセスベースドセラピー)を活用したサポート事例 四戸裕歩(株式会社スタートライン メンバーサポート東日本ディビジョン 東日本第1エリア コンサルティングサービスチーム サポーター) 診断名や病理名のみにとらわれず、人生におけるプロセスに着目して当事者へアプローチを行うPBTの手法は、当社のサポート現場においても取り組みが活発化している。また、当社は障害者への就労支援を行う管理者に対してのサポートも行っている。本発表では、管理者と障害当事者間の関係構築が十分でない問題に対し、管理者1名を対象に、PBTのEEMMグリッドを使ったサポートを実施した結果について検討し、発表する。 8 就労支援機関における精神障がい者への支援について~当センター卒業生への評価をもとにした一考察~ 古野智也(医療法人恵愛会 就労支援センター「緑の里」 サービス管理責任者) 過去3年間の間に当センターを卒業した8名を対象に、『精神障害者就労支援尺度:JSM-ICF』、『統合失調症認知機能評価尺度日本語版:SCoRS-J』、『就労アセスメント』、『各人への質問』の4つの評価を実施し、就労が継続できている群と継続できなかった群とで比較検討を行なった。統計学的な結論には至らなかったが、今回の結果を元に就労支援を行なっていく上で大切にしたいポイントについて考察していく。 9 活躍する人材を生み出す職場 -採用から職場定着に重要な要素とは- 渡邉貴宏(山田コンサルティンググループ株式会社 人事・総務部) 「障害者の就業状況等に関する調査研究」(NIVR,2017)では、精神障害者における障害者枠での1年後定着率は7割程度という報告がある中、当社で働く精神障害者の1年後定着率は10割である。当社における職場定着の要素を探る事を目的に、先行文献「働く障害者の職業上の希望実現度と職務満足度が離職意図に及ぼす効果」(若林功,2007)の質問項目を参考に、精神障害者10名にインタビュー調査を行った結果を報告する。 10 精神障害のある労働者の等級・疾患と就業状況との関連について(その1) 浅賀英彦(障害者職業総合センター 主任研究員) 障害者職業総合センターでは今後の障害者雇用率制度の検討に資するため、昨年度、精神障害者を雇用している事業所及びそこで雇用されている精神障害のある労働者を対象にアンケート調査を行った。今回の発表では、等級・疾患と、職場で受けている配慮・措置、希望する配慮・措置、離職理由等の就業状況との関連について報告する。 p.17 11 精神障害のある労働者の等級・疾患と就業状況との関連について(その2): 配慮等の実施有無を中心に 渋谷友紀(障害者職業総合センター 上席研究員) 障害者職業総合センターでは今後の障害者雇用率制度の検討に資するため、昨年度、精神障害者を雇用している事業所を対象にアンケート調査を行った。今回の発表では、等級・疾患の他、職場の取組等と、精神障害のある労働者が受けている配慮・措置の実施有無との関連について分析を行った結果を報告する。 12 職場復帰支援におけるキャリア再形成支援の実態調査 その1-医療機関、地域センターへのアンケート調査からの一考察- 齋藤友美枝(障害者職業総合センター 主任研究員) メンタルヘルス不調や高次脳機能障害によって休職に至った方に対して、復職支援実施機関がどのようなキャリア形成支援を行っているか実態を把握するため、アンケート調査を行った。本発表ではリワーク支援を行っている医療機関と地域障害者職業センターに実施したアンケートの結果を報告する。 13 職場復帰支援におけるキャリア再形成支援の実態調査 その2-医療機関、EAP機関、地域センターヒアリング調査からの一考察- 知名青子(障害者職業総合センター 上席研究員) メンタルヘルス不調や高次脳機能障害によって休職に至った者に対して復職支援実施機関がどのようなキャリア形成支援を行っているか実態を把握するため、ヒアリング調査を行った。本発表では、復職支援を実施する医療機関、地域障害者職業センター、その他復職支援に実績のあるEAP機関等を取り上げ、復職支援におけるキャリア形成支援についての特徴点を比較する。 14 精神障害のある対象者に向けたPBT・ACTアプローチの実践と結果について 市野安納(株式会社スタートライン メンバーサポート東日本ディビジョン サポーター) 弊社では、PBT で用いられるEEMM(拡張進化メタモデル;Extended Evolutionary Meta-Model)を実践するツールとして開発されたEEMM グリッドの日本語版を作成し、障害者雇用の支援現場で活用を行っている。本発表では、障害者雇用で働く方を対象にEEMMグリッドを作成・分析し、ACTアプローチに繋げた結果を報告する。 15 障害者職業センターにおけるソフトスキルのアセスメントの活用~BWAP2を用いた就職前から職場定着までの支援~ 乗田開(広島障害者職業センター 障害者職業カウンセラー) 発達障害者、精神障害者の離職要因として多く挙げられているソフトスキルの課題について、広島障害者職業センターの職業準備支援(通所支援)で実施したアセスメントおよび課題対処に向けた取り組み、就職後の職場定着支援での活用について事例の報告を行う。 16 能力開発施設を利用する配慮を要する受講者の就職支援について 石井尚希(山形職業能力開発促進センター 受講者係) 須藤仁志(山形職業能力開発促進センター 就職相談員) 山形職業能力開発促進センターでは6・7か月間のものづくりの訓練を実施している。入所した受講者のうち精神障害・発達障害・身体障害のある方、精神疾患があると想起される方が令和3年度には約18%在籍していた。受講が継続できず退所される方もいる。就職支援の担当者、職業訓練指導員が入所後早期から状況確認を行い、訓練の継続と就職支援を確実に行うことを目指しており、令和3年度から取り組んだ実践について報告する。 17 発達障害のある生徒の進路指導を支える機関連携の在り方①:発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センターへの調査から 榎本容子(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 主任研究員) 本研究では、地域の就労支援ネットワークの中で、高等学校への就労に関する相談支援を行うことが想定される発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センターを対象とし、発達障害のある生徒の進路指導に関して、両センターと高等学校の連携がうまく進んだ「好事例」と、連携が進みにくかった「課題事例」について報告する。これにより、発達障害のある生徒の進路指導に向けた、高等学校と両センターの連携の展望を述べる。 18 発達障害のある生徒の進路指導を支える機関連携の在り方②:特別支援学校への調査から 相田泰宏(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 インクルーシブ教育システム推進センター 主任研究員) 本研究では、特別支援教育に関する地域のセンター的機能として、高等学校への相談支援を行うことが想定される特別支援学校を対象とし、発達障害のある生徒の進路指導に関して、特別支援学校と高等学校の連携がうまく進んだ「好事例」と、連携が進みにくかった「課題事例」について報告する。これにより、発達障害のある生徒の進路指導に向けた、高等学校と特別支援学校の連携の展望を述べる。 19 高次脳機能障がい者に対する職場定着に向けた取り組み 安藤美幸(医療法人堀尾会 熊本託麻台リハビリテーション病院 熊本県高次脳機能障害支援センター 作業療法士) 厚労省は、2001年から高次脳機能障害支援モデル事業を開始し、2006年に高次脳機能障害支援普及事業を法的に位置づけ、全国に相談支援体制が整備された。当院は、2019年より支援拠点機関を担い、診断や治療、両立支援を行っており、職場定着に難渋することも多い。今回、小児期より高次脳機能障害を呈し診断や支援を受けず就労継続に苦悩していた事例について、長期的に支援した結果、職場定着に至った為、報告する。 20 キャリア中期の脳卒中患者の「働く意味」再構築のプロセス-復職に焦点をあてて- 日下真由美(医療法人社団輝生会 成城リハビリテーション病院 ソーシャルワーカー) 脳卒中により身体障害及び高次脳機能障害を呈した患者の復職支援においては、職場定着までの一定期間の支援が必要だが、その期間の当事者の心理的変容に焦点をあてた研究は少ない。そこで本研究は、キャリア中期の脳卒中患者が病前と同じ職場で働くことの肯定的な意味を見出すまでの心理的変容を質的分析により明らかにし、再びその方らしく働き続けられることを目指した復職支援について考察する。 p.18 21 就労移行支援事業所クロスジョブとなやクリニックの連携-医療機関と地域移行・就労の連携時の情報共有、タイミングについて- 谷口将太(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ堺 就労支援員) 医療機関で就労支援を行った先行研究では、継続した支援が困難なことから就労支援には就労支援機関との連携が必要であることが明らかにされている。しかし、医療機関から就労支援機関に連携する際にどのような情報をどのタイミングで共有するのか等は明らかにされていない。発表者がクロスジョブとなやクリニックの両方で働くことで見えてきた医療機関から就労支援機関へ紹介する際に必要な情報やタイミングについて報告をする。 22 現場実習の効果的な利用について ~就労支援事業所(就労移行支援 事業所・就労継続支援B型事業所)からの視点~ 長峯彰子(公益財団法人新宿区勤労者・仕事支援センター 福祉部 わーくす ここ・から サービス管理責任者) 当事業所は、多機能型事業所(就労移行支援事業所、就労継続支援B型事業所、就労定着支援事業所)であるが、毎年特別支援学校の生徒の現場実習を受け入れている。この現場実習では本人の適性・課題等の現状を考えることが主題である。しかし、実際は本人と家族に卒業後のプランを見せる大事な機会でもある。その実態を事例を交えて発表する。 23 社員のキャリア形成を考える ~キャリアアップを見据えた異動、活躍機会を創る業務付与やキャリア研修の取り組み~ 齊藤朋実(第一生命チャレンジド株式会社 ダイバーシティ推進部 課長) 雇用の質が問われている昨今、当社では社歴の長い社員のモチベーション低下、さらには離職が増えてきている。また、高齢化に伴う能力の低下といった課題もある。社員が長く働けるようにするためには、会社として社員のキャリア形成を考えていく必要があり、以下の取り組みについて紹介し考察する。①キャリア研修(年次別・45歳以上研修など)、②社員の活躍機会を作る業務付与の工夫、③業務の適性やキャリアプランを見据えた異動。 24 本社移転の取り組み 変化と進化 瀬戸博美(株式会社キユーピーあい 定着支援グループ) 会社設立21年目に初の本社移転を経験。特例子会社として、合理的配慮、障がい理解促進などの観点から2年をかけて準備、移転に臨む。この間の取り組みの過程、親会社の理解、苦労話、課題点要望事項などを分析し発表します。 25 公開空地の除草作業による在職障害者の健康への効果 長沼宏之(株式会社DNPビジネスパートナーズ 事業開発部 社会福祉士) 農業および農作業は障害者の健康に良い効果をもたらしていることが報告されている。除草作業は農作物の成長・収穫などの農作物を育てる作業やイベントがない。除草作業による在職障害者の健康への効果について報告する。 26 障害者雇用支援従事者に対するEEMMグリッド面談の実践 三國史佳(株式会社スタートライン 障害者雇用支援事業 東日本本部 サポーター) 弊社の屋内農園「IBUKI」にて勤務していた職員で、対人関係について課題感を感じていた方を対象に、EEMMグリッド面談による心理的柔軟性や行動面の変化に対するPBTの有効性の検証を目的として、面談を実施した。面談の実施により、ご自身の思考のフュージョン等に関する気づきを得られ、心理的柔軟性の改善が見られた。今後の展望として、さらに脱フュージョンやACT等の施策導入を検討している。 27 マジの就労支援 ~社訓「やってみよう!」でホントに色々やってみた!~ 井上渉(就労移行支援事業所INCOP京都 代表) 森玲央名(就労移行支援事業所INCOP京都 生活支援員) 企業就労を目指す障害のある方が就職するために実際に何が必要なのか。職業科の進路指導主事や京都市支援学校の進路まとめ役の経歴を活かして立ち上げた就労移行です。「やってみよう!」をスローガンに事業所内での講座よりも『ミニ実習』という近隣企業・団体と協力した実習に力を入れています。また、働くことだけではなく、自立に向けて、余暇、特にスポーツ活動など包括的に支援しています。これらの活動を紹介します。 28 鳥取県米子市における地方での就労移行支援の歩み~地域のニーズに合わせた取り組みからの学び~ 村岡美咲(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ米子 就労支援員) 松尾亜紀(特定非営利活動法人クロスジョブ クロスジョブ米子 就労支援員) 就労移行支援事業所は、2018年をピークとして漸減傾向にあり、2020年には3,301か所にまで減少している。もとより事業所数が少ない地方においては、就労移行支援事業そのものの存続が危ぶまれる事態が生じており、鳥取県西部圏域の就労移行支援事業所は2か所のみとなった。地域で事業を存続させるため、地域での就労に向けたニーズを把握し、ニーズに合わせた支援に取り組んで見えた現状と課題を報告する。 29 45大学×6社による障害学生向けキャリア教育プラットフォーム「家でも就活オンライン カレッジ」の取り組み 遠藤侑(株式会社エンカレッジ 大学支援事業部 サブリーダー) 小川健(株式会社エンカレッジ 大学支援事業部 サブリーダー) 増加の一途を辿る障害学生の社会移行支援の重要性はますます高まっているが、単独大学で十分なキャリア形成支援の機会を提供しきれていないという課題がある。そこで弊社では、2023年に6企業、22大学と障害学生向けキャリア教育プラットフォーム「家でも就活オンラインカレッジ(以下「家カレ」)」をスタートした。本発表では、家カレ初年度の活動内容と、活動を通じて見えてきた今後の課題、展望について報告を行う。 30 雇用・就労支援担当者のリカレント教育 松爲信雄(神奈川県立保健福祉大学 名誉教授) 障害者雇用の人材育成に向けて、企業、福祉、教育、医療、職業分野の実践者を対象としたリカレント教育の実践プログラムを紹介する。講座は、雇用就労支援の基盤となる職業リハビリテーションの知識・理論と技術の全体的体系を全13回(毎回、事前購読・オンデマンド配信・ライブ配信の3セット)で構成する。特にライブ配信時のディスカッションが特徴的であり、参加者自身の価値観の深化やネットワーク構築への有用性が高い。 p.19 31 疾病や障害により慢性的な痛みを持つ患者への就労支援の推進に資する研究 -患者への聞き取り調査より 丸谷美紀(国立保健医療科学院 生涯健康研究部 特任研究官) 本研究では「疾病や障害により慢性的な痛み」を持つ患者の、就労生活における工夫や配慮を聞き取り調査し、質的記述的に分析した。その結果【自立した生活に向けた就労と痛みの管理】【痛みの要因の自己分析に基づいた日常生活の調整】【自身から職場へ配慮を求める働きかけ】【職員全員をも見据えた職場からの配慮】等、患者自身の工夫に加えて、職場からの配慮という双方向の痛みの管理が行われていた。 32 軽度認知症の人の就労的活動に関する事業所職員の認識についてのインタビュー調査 加茂永梨佳(神戸大学大学院 保健学研究科 博士課程後期課程) 目的は、軽度認知症の人の就労的活動の導入に対する受け入れ事業所職員の認識を明らかにすることである。「実装研究のための統合フレームワーク」を用いた半構造化面接による質的記述的研究を行った。その結果、事業所職員の認識は、軽度認知症や就労的活動について知らない状態に加え、肯定的評価よりも否定的評価の方が大きかった。 33 地域の就労支援機関における就労支援実務者の専門性と支援力の向上への効果的取組に関するヒアリング調査結果 藤本優(障害者職業総合センター 研究員) 全国の就労支援機関における就労支援人材育成へのアンケート回答機関から、特徴的な人材育成の組織的取組を実施している多様な機関へのヒアリング調査を実施した。その結果、各機関では、効果的な就労支援のための幅広い知識・スキル等を組織方針等で明確にし、組織の条件、法人規模、地域の社会資源等を踏まえ、特に支援の基礎的な項目については研修とOJTを組み合わせ、多様な人材育成の取組の事例を見出すことができた。 34 職場における情報共有の課題に関する研究①-業務指示伝達に関するアンケート結果報告- 大石甲(障害者職業総合センター 上席研究員) 職場における情報のやり取りについて、障害に起因する課題を抱える者は多い。職場で共有される情報には、業務に関するフォーマルなものだけではなく、職業生活に不可欠なインフォーマルなものも含まれるが、インフォーマルな情報も含めた職場での情報共有のあり方は変化してきている。本発表では企業及び障害者へのアンケート調査により取得した結果のうち、業務指示伝達に関する困難の頻度、企業の配慮や障害者の工夫を報告する。 35 職場における情報共有の課題に関する研究②-業務指示以外の情報共有に関するアンケート結果報告- 伊藤丈人(障害者職業総合センター 上席研究員) 職場における情報のやり取りについて、障害に起因する課題を抱える者は多い。職場で共有される情報には、業務に関するフォーマルなものだけではなく、職業生活に不可欠なインフォーマルなものも含まれる。本発表では企業及び障害者へのアンケート調査により取得した結果のうち、業務指示以外の情報取得に関して障害者が感じる困難の頻度、インフォーマルな情報共有について企業が行っている配慮と障害者が行う工夫を報告する。 36 中高年齢障害者の雇用管理・キャリア形成支援に関する検討(その1)-障害者就業・生活支援センター調査の結果から- 武澤友広(障害者職業総合センター 上席研究員) 中高年齢障害者の地域での実際の支援ニーズを探索的に把握することを目的として、障害者就業・生活支援センターを対象にWeb調査を実施した。その結果、中高年齢障害者の就業継続支援のために、企業内や地域での支援の可能性が多く見出されている中、中高年齢での障害による本人や家族の生活・経済面への緊急の対応が必要となる状況で就労支援に時間をかけられず就職先の確保が困難となる状況が特に対応困難となっていた。 37 中高年齢障害者の雇用管理・キャリア形成支援に関する検討(その2)-事業所及び障害者調査の結果から- 梅原瑞幾(障害者職業総合センター 研究協力員) 中高年齢障害者の継続的な雇用に向けて、事業主が実施しているキャリア形成支援の内容を把握し、障害者と事業主双方に対する専門的支援を検討していくことは、職業リハビリテーションにおける課題の1つである。本研究では、「中高年齢障害者の雇用継続支援及びキャリア形成支援に関する研究」で実施した調査の中から、企業で実施されている中高年齢障害者へのキャリア形成支援の実態について分析した結果について報告する。 p.20 20ページ以降は割愛 以上