実践報告書 令和7年3月 No.42 高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援技法の開発 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター はじめに 障害者職業総合センター職業センターにおいては、高次脳機能障害者の就職、雇用の安定、復職等に資するため、個別の特性に応じた支援プログラムの実施を通じ、高次脳機能障害者の自己理解の促進、補完手段の習得及び事業主支援を目的とした支援技法を開発し、その開発成果の伝達・普及を進めています。 近年の医療技術の進展や診療報酬の改定等により、脳卒中や頭部外傷等により高次脳機能障害と診断を受けた方が、入院してから退院するまでの期間が短くなっています。これに伴い、就職や職場復帰に向けてのリハビリテーションに取り組む場や期間、内容も多様化しています。このような変化によって、職業リハビリテーションの分野においても、様々な状態を呈する高次脳機能障害者に対し、より個別的な支援が求められるようになってきています。 本実践報告書では、高次脳機能障害者の就職、復職等において、多くの支援現場で支援者が取り組んでいる、高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援について、本人に寄り添い、本人の納得感を大事にしたアプローチ方法について検討し、実践した内容をご報告します。 本実践報告書が、高次脳機能障害者の就職、雇用継続、職場復帰等に向けた支援の現場で活用され、職業リハビリテーションサービスの質的向上の一助となれば幸いです。 令和7年3月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業センター 職業センター長    那須 利久 高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援技法の開発 目 次 第1章 技法開発の背景 1 技法開発の背景 3 2 自己理解を進めるための支援とは 4 3 開発の目的 6 4 用語の定義 7 第2章 グループワーク 1 支援プログラムの構成 11 2 グループワークの概要 11 3 「働き方」をテーマとしたグループワークの開発 12 4 高次脳機能障害の特性をふまえたキャリア講習の工夫点・留意事項 34 5 事例紹介 36 第3章 作業場面 1 作業支援の概要 41 2 「振返り・工夫検討シート~作業編~」の作成 42 3 「振返り・工夫検討シート~作業編~」の活用のポイントと留意事項 46 4 事例紹介 48 第4章 振返りの工夫 1 プログラムでの振返り 53 2 事例(振返りの際に活用したツールの紹介) 54 3 グループミーティングを活用した振返り 59 第5章 まとめと今後の課題 65 資料集 67 第1章 技法開発の背景 障害者職業総合センター職業センター(以下「職業センター」という。)では、高次脳機能障害者の就職、雇用の安定及び復職に資するため、高次脳機能障害者に対する支援プログラム(以下「支援プログラム」という。)を実施しています。 支援プログラムにおいては、高次脳機能障害者の自己理解の促進、補完手段の習得及び事業主支援を目的とした技法の開発等を行なうとともに、地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)等で実施する高次脳機能障害に対する就労支援に資するため、その開発成果の伝達・普及を行っています。 1  技法開発の背景 支援技法の開発にあたり、令和5(2023)年度に地域センターを対象とした支援技法の開発ニーズ等に関するヒアリング調査を実施したところ、「自己理解や病識の乏しさのある高次脳機能障害者への効果的な支援方法が知りたい」「自己理解を深めるための支援技法を開発してほしい」等、高次脳機能障害と診断され、就職や復職、職場定着等に向け何らかの支援を希望する者(以下「本人」という。)の自己理解に関する課題へのアプローチに難しさを感じるという意見が挙げられました。このような意見が挙がる理由の一つとして、家庭や職場、支援場面等で、高次脳機能障害者にかかわる周囲の人は困っていても、本人には困り感が乏しく、自分の課題と捉えていないことが挙げられます。このような状況のままだと失敗を繰り返したり、周囲との関係に影響が出る等社会適応上の困難につながりやすいと考えられます。支援者は、この状況を改善し、補完手段の獲得や支援の活用等課題の解決に向けた取組につなげるために、本人が周囲の困り感を理解し、自分の課題として受け止める(受容する)よう促します。 一方、高次脳機能障害は認知機能の低下が生じる障害であり、自身の状況を認知することの難しさが伴います。また、受障後、自分のことを知る機会(経験)が積まれていなかったり、経験があっても受障前の自己像が強く残っていることや認知機能の低下により、障害の症状や課題の自覚が難しい場合が少なくありません。その際、支援者が無理に自己理解を深めようとアプローチを図ることで、本人との信頼関係が構築できず支援が途切れてしまったり、本人の心理的な負荷を高め、症状悪化につながることも危惧されます。 そこで、本実践報告書では、高次脳機能障害者の状況に応じて、自己理解の程度を柔軟に捉え、支援プログラムという限られた期間において実践できる支援について検討した内容を報告します。 2  自己理解を進めるための支援とは 高次脳機能障害者に対し、自己理解を進めるための支援技法を開発するにあたり、文献調査や専門家へのヒアリングを行い、前提となる考え方、留意点、支援方法の整理を行いました。 (1) 自己理解の支援を行う際に、前提として持っておくべき考え方・取組  高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援を行う際に、前提として必要となる考え方や取組について、調査研究報告書No.162「高次脳機能障害者の障害理解と職業リハビリテーション支援に関する研究-自己理解の適切な捉え方と支援のあり方―(2022)」(以下「報告書No.162」という。)では、表1のようにまとめられています。また、専門家へのヒアリングからは表2のような意見がありました。 表1 「自己理解」の支援を行う際に、前提として持っておくべき考え方・取組方 考え方・取組方の内容 具体例(第1次FG、第2次FG) 信頼関係、協働関係の構築 ・気持ちに寄り添った支援により信頼関係を構築する ・問題や目標に向けて一緒に考える姿勢を持つ 支援対象者の目標達成に向けた支援 ・パフォーマンスの向上や社会参加を目標にする ・ターゲット行動の解決に目を向けた支援をする 残存能力や「できるようになったこと」に焦点 ・補完手段の活用によりできるようになったことが分かるようフィードバックする ・就職(復職)先に「できていること」「こうすればできる」を伝える 多角的な視点でアプローチ ・家族、医療機関、同じ障害のある仲間など支援対象者にとって重要な他者との関わりを通じて「自己理解」を深められるように、社会資源等を活用する 長期的な視点をもち支援体制を整える ・「自己理解」の支援は長期的に見ることが必要との認識を持ち、支援機関との連携を図る 支援内容や活動の記録を見える化して共有 ・相談内容は紙面に書いて共有。次回相談時に、書いた内容を一緒に確認してから相談を始める 出典元:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 調査研究報告書No.162「高次脳機能障害者の障害理解と職業リハビリテーション支援に関する研究-自己理解の適切な捉え方と支援のあり方-」(2022)、p120より引用 表2 「自己理解」の支援に対する専門家からの意見 ・「気づき」とはとても深く、どこまでいっても気づきはある。周囲が気づかせることはできず、自分で気づくしかない。周囲は期待していると思うが、経験を積まないと難しく、押し付けになってはいけない。 ・「うまくいかなかったこと」と「できていること」を対として捉え、本人の目標達成に向け、できそうなところを本人自身に見つけていってもらうことが支援の目標となる。 ・(本人が、周囲の人から「自らの病気や障害を自覚してほしい」と課題を示されることについて)周囲の人から何を自覚してほしいと言われているか、本人が自らの言葉で出力してもらうことが大切であり、「自覚がないと言われている」ことを認識できているだけでもよい。 (2) 自己理解の支援を行う際の留意点 自己理解の支援を行う際には、支援効果だけでなくリスクについても留意しておくことが必要です。  報告書No.162や専門家へのヒアリングでの意見について、表3のとおり整理しました。支援効果の限界や支援を行うことで生じる心理的リスクについて考えておく必要性等が示唆されています。 表3 留意点に関する文献調査・専門家からの意見 支援効果の限界について 【報告書No.162における所見】 ・ある程度の障害認識がなければ、支援効果が見られない。 ・抽象的な推論能力や記憶に著しい障害がある場合は、「自己理解」を深めることは難しい可能性がある。 ・訓練によりセルフモニタリングや自己調整能力の向上は一定の効果が見込めるが、練習した場面と類似性の低い課題への般化はエビデンスが十分でない。 ・問題や課題を事前に予測し対処するという理解ができるようになるためには、一定のメタ認知的知識(長期記憶に保存されている理解)が必要である。 【専門家からの意見】 ・理解力が高い方だと教材を用いた心理教育が有効な場合があるが、困っている実感がない方は、本人が困るのを待つことが必要な場合がある。 心理的リスクについて 【報告書No.162における所見】 ・障害の否認が要因として考えられる場合、「自己理解」の深化に焦点をあてる教育的支援が、敵意や怒り、防衛反応を引き起こす可能性がある。 ・「自己理解」が深まることで抑うつ、不安をもたらす可能性がある。 【専門家からの意見】 ・自己への気づきに焦点をあてると、心理的抑制が効かなくなり周囲を巻き込む又は抑うつをもたらす可能性があるため、気づきの支援を無理に行わず、別の視点に目を向けて支援を行うこともある。 ・周囲がどう自分のことを評価しているか不安があり、自己の特性が分かっても、あえて効果的な対処方法を取り入れない人もいる。 (3) 支援方法について  自己理解の支援方法については、報告書No.162で述べられている選択する支援方法の例や専門家へのヒアリングでの意見について、表4のとおり整理しました。高次脳機能障害者の状況に応じて、自己理解の深化に焦点をあてた支援だけでなく、自己理解の深化に焦点をあてない支援も検討し、選択や併用していくことによって、長期的、総合的に自己理解を進めていくことの必要性が示唆されています。 表4 文献調査・専門家からの意見で挙がった支援方法の例 自己理解の深化に焦点をあてた支援の例 【報告書No.162における所見】 ・日常的(職業的)な場面に即した課題や状況の中で直接的にフィードバックする。 ・障害や補完手段に関する心理教育を行い、実際の場面で起きていることと障害とを結びつける。 ・対象者が課題実行中にセルフモニタリング・自己調整できるよう課題設定やフィードバックを行う。 【専門家からの意見】 ・準備の段階では気づきが生まれにくいが、復職や就労後に、様々なことに気づいていく人が多い。 ・受障前と現在との変化を感じる経験が気づきになり、セルフ・アウェアネス(自己認識)を進める動機づけとなることはある。 自己理解の深化以外に焦点をあてた支援の例 【報告書No.162における所見】 ・習慣化形成に重点を置く。 ・心理的側面を考慮する。 ・支援等への動機を高めるアプローチを行う。 ・環境・周囲のネットワークへのアプローチを行う。 【専門家からの意見】 ・客観的データを動機づけに役立てて目標設定を行う。 ・気持ちの波がある場合等、トラブル時に支援が途切れないように、支援者を限定せず地域で多角的な支援を検討する。 ・周囲からの期待や、自分がどうありたいかについて、本人自らが言葉で出力し、出力できたことに対し肯定する。 ・環境調整は重要な要素。自己理解に課題があっても職場で定着している事例もある。 ・職場の環境を確認し、受入れ側の環境(受け入れる土壌)を作っていくことが大切であり、そのための支援を考える。 3  開発の目的  以上のように、文献調査や専門家の意見から、「自己理解を進める」ための支援を行うにあたっては、自己理解の程度や心理的リスクを考え、自己理解の深化に焦点をあてた支援とそれ以外の支援を選択したり、併用する必要性が示されています。 今回の技法開発では、自己理解を進めるために、本人が①就職や復職等の目標達成に向けて、自己の特性、求められる職務や働き方等についての知識を得ること、②自ら主体的に職務遂行に必要な補完手段を活用すること、③力を発揮しやすい作業環境を知るための体験をすること等が可能な場面を活用して、様々なアプローチを試行しました。  これら①~③の場面に沿って、試行した内容について、以下の章で説明します。 ①    就職や復職等の目標達成に向けて、自己の特性、求められる職務や働き方等についての知識を得ること  ⇒ 第2章及び第4章 ②    自ら主体的に職務遂行に必要な補完手段を活用すること ⇒ 第3章 ③    力を発揮しやすい作業環境を知るための体験をすること ⇒ 第3章 1       用語の定義 (1) 高次脳機能障害 「高次脳機能障害」は、病気や怪我で脳に損傷を受けたことにより生じる認知機能の障害に関する言葉ですが、用いられる文脈により、主として「注意障害」「記憶障害」「遂行機能障害」及び「社会的行動障害」を指す場合と、「失語症」「失行症」「失認症」等を含め広く捉える場合があります。 職業センターで実施するプログラムにおいては後者の意味で捉えています。 (2) 記憶障害 記憶の定義は様々で記憶障害の定義も一律ではありません。職業センターのプログラムでは、前向性健忘(受障以降、新しいことを覚えにくい状態)の日常生活の中で記憶に関する問題を総合的に捉えた日常記憶(everyday memory)について、対処方法を検討しています。 (3) 注意障害 注意の定義も様々で注意障害も様々な分類方法や定義がありますが、職業センターのプログラムでは、主に全般性注意を取り上げ、「持続性注意」「選択性注意」「分配性注意」「転換性注意」の4つの機能に整理して注意の特性を個別に捉えています。 (4) 補完手段 「受障によって低下した認知機能を補うための道具の使用」「注意を喚起しやすくする、記憶を想起しやすくするための環境の調整」「認知機能の低下によるミスを予防するための日課や作業の手順等の確立」を表す言葉として、「代償手段」や「対処手段」等が、ほぼ同意味で使用されることがあります。 【引用文献】 障害者職業総合センター:調査研究報告書No.162「高次脳機能障害者の障害理解と職業リハビリテーション支援に関する研究-自己理解の適切な捉え方と支援のあり方」(2022)、p.120-123 第2章 グループワーク 1 支援プログラムの構成  支援プログラムは、「作業課題」「個別相談」及び「グループワーク」で構成され、それぞれで得られた体験や結果等を有機的に関連付けながら、目標達成に向け、支援を行っています。利用期間は、13~16週間で設定されます。支援プログラムは、求職者、休職者または在職者のいずれの方も受講可能です。  なお、利用期間終盤に、支援者や事業所担当者、公共職業安定所担当者等を交えた「連絡会議」を行うため、会議で使用するプレゼンテーション資料は本人が作成します。 図1 高次脳機能障害者に対する支援プログラムの概要(例:求職者の場合) 2 グループワークの概要 支援プログラムでは、週に1回程度、表5のようなグループワークを実施しています。グループワークは、障害に対する基礎的知識を各テーマ・内容に沿って説明する講義、演習、参加者間の意見交換等から構成されています。自己の特性に対する気づきを促し、補完手段の活用に対する動機づけを高めることをねらいとして実施します。 表5 グループワークの内容 テーマ 内容 障害特性を理解する 記憶障害の学習カリキュラム(全6回) 注意障害の学習カリキュラム(全5回) 感情のコントロール(全5回) 【New】働き方を考える キャリア講習(高次脳機能障害者版) 「自分らしく働く」を見つける講座(全3回) なお、支援マニュアルNo.5「高次脳機能障害者の方への就労支援~職場復帰支援プログラムにおけるグループワーク~(2010)」では「ピアモデルとの意見交換により障害認識・障害受容が促進されやすい」「ミスに対する補完方法を互いに助言しあう」等グループワークの実施による効果が報告されています。 3 「働き方」をテーマとしたグループワークの開発 障害特性を理解することを目的としたテーマの場合、上記のような効果が期待できる一方、障害に対する否認、障害への理解が深まることで心理的な影響が生じるといったリスクが高まる可能性があります。また、「記憶障害がある」等高次脳機能障害の主な症状は理解していても、日常生活や職業生活において生じやすい課題は認識できていないことがあり、グループワークを受講した感想を、「自分には当てはまらないと思う」と述べる方もいます。このような状況の方に対し、限られた期間における支援の場合、自己の特性に気づくことへ焦点を当てる支援のみでは、支援が行き詰ってしまう可能性があります。 そこで、本人の「働きたい」「働き続けたい」という希望や目標達成に向けて、自分らしい働き方を考えることができるよう、新たなグループワークの開発に向けて検討を行うこととしました。 (1) 開発の背景・目的  新たなグループワークの内容を検討するにあたり、職業センターが、休職中の気分障害等のある方のための職場復帰支援であるジョブデザイン・サポート・プログラム(以下「JDSP」という。)において実施しているキャリア講習を参考としました。しかし、このキャリア講習を、高次脳機能障害者に適応するにあたっては、地域センターから表6のような意見が挙がっていました。  そのため、専門家からの助言を得て、JDSPで実施しているキャリア講習の内容を基にしながら、高次脳機能障害者の特性や就労経験等の個別性を考慮した「キャリア講習(高次脳機能障害者版)」を開発しました。 表6 高次脳機能障害者のキャリア講習に関する地域センターの意見 ・過去の振返りを行うことで、受障前にできていたことに焦点があたってしまい、今後の働き方を検討することにつなげにくい。 ・受障後に、復職や再就職の経験がない場合、今後どのような働き方が考えられるのかというイメージが共有しづらい。 ・職場復帰の場合、復帰後、会社で自分のポジションを確保できるかわからず不安を抱えている。 ・失語症のある人等は、講習で使う言葉の意味や内容の理解が難しい場合がある。 (2) 内容と改良のポイント 新たに開発した「キャリア講習(高次脳機能障害者版)」は、受講者が講習内容のイメージを持ちやすいように、「『自分らしく働く』を見つける講座」と名付けて実施しました。 講習内容は、JDSPで実施しているキャリア講習全5回のうち、気分障害等のある方の支援では重点を置いている、過去の働き方を省みる部分を削り、全3回の構成としています。全体を通して、プログラムを受けている「今」を「転機」と捉え、自分らしく働くことについて前向きに考えられる内容としました。 また、他の高次脳機能障害者が今感じていることや考えていることを知ることで疑似的な経験を積む機会とし、意見交換をこまめに設定する構成としました。 表7 キャリア講習(高次脳機能障害者版)の構成 キャリア講習(高次脳機能障害者版) 【参考】JDSPキャリア講習 第1回「興味関心を見つけよう」 第1回「キャリアを理解しよう」 第2回「強みを確認しよう」 第2回「強みを確認しよう」 第3回「価値観を確認しよう」 第3回「価値観を確認しよう」 ※役割について(期待されていることやサポートの確認等)、今後の働き方の検討は個別に実施 第4回「役割について整理しよう」 第5回「今後の働き方を考えよう」 (3) 実施方法 受講者は、職場復帰を目指す方、就職を目指す方及び在職中で職場適応を目指す方とし、少人数のグループで実施しました。 実施に当たっては、受講者のおかれている状況や状態(失語症等コミュニケーション面での配慮の必要や疲労具合等)に応じて、言葉を置き換える、休憩を多くとる等、柔軟に実施しました。 P14~P32に第1回~第3回までの実施方法の例を示します。 第1回「興味関心を見つけよう」 1 「自分らしく働く」を見つける講座です。 このグループワークでは、講義や演習を通じ、これからの働き方を考えていく内容となっています。 2 今、皆さんは、職業センターのプログラムに参加されていますが、プログラムが終わったら、こんな生活がしたいなぁと考えることはありますか?」「はい!あります!」と思いつく方もいると思います。一方、「まだ、何も考えていない」「まだちょっと想像がつかない」という方もいると思います。 このスライドは、皆さんと同じように、就職や復職、会社で継続して働くことを目指してプログラムに参加された方に、質問したときに出てきた答えの一部です。 ・「社会に復帰して、周りを安心させたい」と思っている方 ・「しっかり働いて、会社に貢献したい」と思っている方 ・「 家族や友人との時間を持ちながら、働きたい」と思っている方 ・「 新しい趣味等、これまでやっていなかったことにもチャレンジしたい」と思っている方 これは一例なので、これ以外にもあるかと思います。また、一つだけではなく、複数答えた方もいます。この講座では、プログラムを終えた後の皆さんの生活を考えるための材料を集めていきたいと思います。 3 これは、未来に向けて、自分らしく働くことを考えるための図です。過去は、これまでのキャリアとし、「自分らしく、納得感のある働き方・人生」を送っている未来に向けて、横軸に見ていきます。 ここで注目していただきたいのが「転機」です。私たちは、さまざまな転機に遭遇します。この「転機」は、自分の進む方向を検討することができる機会でもあります。そして、もう一つ注目していただきたいのが、「今(現在)」の部分です。皆さんが、プログラムに参加している「今」を「転機」と捉え、これからの職業生活や人生を自分で決めていこうとすることが重要です。 Q:皆さんは、「転機」ときくとどんなイメージがありますか?(受講者に問いかけてみる) 4 本日の内容です。 ※スライドを読み上げる。 5 6 グループワークは、全3回の構成です。 第1回は「今の自分の興味・関心」、第2回は「今の自分ができていること・工夫していること」をテーマに取り組みます。 これらは、ご自身の強みを発見・再確認するという側面があります。興味や関心を持つことが注意や記憶のしやすさに影響したり、今の自分が工夫していることは今後働く上での強みにつながります。このような強みは、会社の方にとって仕事の内容や環境の検討を進める際に有効な情報にもなります。強みを発見・再確認したうえで、第3回で「今の自分が大切にしたいこと」を考えていきましょう。 7 皆さんには安心して、かつ効果的に受講をしていただきたいのでグループワーク参加のルールを確認していきましょう。 ※「グループワーク参加のルール」内容を読み上げる 8 まず、キャリアの定義です。 キャリアの語源は諸説ありますが、そのうちのひとつに、ラテン語の「轍(わだち)、車道」という説があります。「轍(わだち)、車道」が転じて、人がたどる足跡(そくせき)や経歴等を意味するようになり、職業や生涯の仕事、職業上の出世等を表すようになりました。 一方、今は小学校や中学校でも「キャリア教育」が始まり、自分の興味や関心、こうなりたい、こんなことが必要といったことを学ぶ機会が増えています。このグループワークでは、キャリアは「職業」という狭い意味だけではなく、「職業生活を中心とした、人生全体を含むもの」として進めていきます。人生の中で、「働く」に関して何かを選択したり、困り迷うことがあったときに、自分にとって納得した働き方を考えるヒントになると嬉しいです。 9 出来事によっておきる人生の変化を、「キャリアの転機」といいます。シュロスバーグは、キャリアの転機のタイプを「自分で選んだ転機」「突然の転機」「ノンイベント型の転機」に分類しています。 1つめの、自分で選んだ転機とは、自分の意思決定に基づく転機で、このタイプの例としては、進学、就職、結婚等が挙げられています。 2つめは、突然の転機です。たとえば、事故や病気、法律や人事制度の変更等によって引き起こされる予想していなかったような転機です。不幸な出来事であっても幸福な出来事であっても、感情的な動揺は避けられず、変化に対応するスキルが試されます。とくにネガティブな「突然の転機」が生じた場合、転機に直面した際に受けるショックは大きく、怒りや悲しみを感じることがあります。それゆえ、ネガティブな「突然の転機」に直面すると、それを自分の人生に起こった出来事として心理的に受け入れるのに時間を要することがあります。 3つめは、ノンイベント型の転機です。予想していた出来事が起きないことから生じる人生の変化です。例えば、転職活動がうまくいかずに今の仕事を続けていたり、管理職になれると信じてなれなかった場合、予想していた留学が何らかの事情で実現しなかったこと等がこれにあたります。ノンイベント型の転機は、出来事が起こらないために、それをリアルタイムに把握することが難しく、人生に対してじわじわと影響を与えると言われています。 これまでプログラムを受けた方が挙げた転機の例を並べてみました。さらに、皆さんがプログラムに取り組んでいる「今」も一つの転機と言えます。 Q:皆さんは、どんな転機が思い浮かびますか?(受講者に問いかける) 10 それでは、ここで皆さんと1つめの演習をやってみたいと思います。 演習のテーマは、「プログラムに参加している皆さんが、今気になっていることは?」というものです。 今も転機です。今後の人生を決めるため自分で考える時期ですとお伝えした今、自分の体のこと・家族のこと・仕事のこと・始めたいこと・やめたいこと・続けたいこと等、考えたいことを沢山挙げていきましょう。 11 1. 今気になっていることを、書いてみましょう。たくさん挙げてください。 2. 今気になっていることを書いたら、次に気になり始めたきっかけについて書いてみましょう。 例えば、病気になったことをきっかけに、病気になる前から気になっていた、SNS 等で情報を見た、人から言われて気になり始めた、今この演習がきっかけで等。 12 皆さん、どのようなことが挙がりましたか?すぐに思いついた方や悩まれた方もいらっしゃるかもしれません。皆さんが思いついたことが、ほかの方のヒントになったり、さらなる興味を広げるきっかけになるかもしれません。是非、皆さんで共有をしたいと思います。もちろん、「言いたくないな」という方は、ルールどおりパスも可能です。先ほど確認したルールに沿って意見交換をしてみましょう。ほかの方の意見を聞いて、「自分にも当てはまるな」ということがあれば、是非追記してください ※はじめに、講師から発表すると、受講者が発言しやすくなります。 13 では、ここからは、皆さんの興味関心を発見・再確認していきます。 14 先ほど行った演習で「自分は何が気になっているんだろう」と自分について考えたと思います。自分のことについて知るためのヒントをご紹介します。 自分を理解するためには、①興味・関心(欲求)、②強み(能力・できること)、③価値観(大切にしたいこと)の3つの観点で分析することが重要だと言われています。 先ほど皆さんに挙げていただいた「今、気になっていること」は、この中の①興味・関心に含まれる内容となります。そして、この3つの重なる部分は、キャリア・アンカーと言われます。キャリア・アンカーとは、皆さんが職業上の重要な選択や意思決定をする際に、絶対に譲れない軸となるもので、職業生活の拠り所となるものを意味します。 15 それでは、次の演習を行います。先ほどの演習と似ていますが、自分の興味・関心があることを見つける演習です。 1.今、あなたが夢中になっていること、わくわくすることはありますか?それは何でしょう? 例えば、鉄道が大好き、パソコンを最近頑張っている、旅行に行くとしたら●●に行きたい等、考えると楽しいことを挙げていきましょう。 2.普段から積極的に集めている情報はありますか?それはどのような方法で集めていますか?集めるルートや媒体は?例えば、動画や新聞から情報を得る、また専門雑誌を読んでいますという方もいるかもしれません。 3.興味や関心をもった理由やきっかけは何ですか? 例えば、入院中時間があったので見るようになった、昔からの習慣、昔趣味でやっていたことを再開したい等いろいろなきっかけがあると思います。 16 意見交換を行います。 皆さん、どのようなことが挙がりましたか? すぐに思いついた方や悩まれた方もいらっしゃるかもしれません。皆さんが思いついたことが、ほかの方のヒントになったり、さらなる興味を広げるきっかけになるかもしれません。 是非、皆さんで共有をしたいと思います。もちろん、「言いたくないな」という方は、ルール通りパスも可能です。先ほど確認したルールに沿って意見交換をしてみましょう。また、ほかの方の意見を聞いて、自分にも当てはまるということがあれば、是非追記してください。 ※はじめに、講師の例から発表すると、受講者が発言しやすくなります。 17 それでは、本日の講座のまとめです。 18 私たちは、さまざまな転機に遭遇します。この「転機」は、自分の進む方向を検討するための機会でもあります。そして、もう一つ注目していただきたいのが、「今(現在)」の部分です。皆さんが、プログラムに参加している「今」を「転機」と捉えて振り返り、これからの職業生活や人生を自分で決めていこうとすることが重要です。 自分を理解するためには、興味・関心(欲求)、②強み(能力・できること)、③価値観(大切にしたいこと)の3つの観点で分析を進めていくことが重要だと言われています。今日は、そのうちの①興味・関心について、見ていきました。第2回では、②強みについて見ていきます。 19 それでは、次のグループワーク(講座)までのタスク(宿題)を説明します。 次のグループワーク(講座)では、強みについて考えます。しかし、いきなり「あなたの強みは?」と聞かれても、困ってしまうかもしれません。そこで、「今の自分シート」を使い、裏面を事前に書いて参加してください。 ※今の自分シート【おもて面】【裏面】を読み上げ ※スライド「※タスクの進め方」を読み上げ <宿題用資料> 資料1 今の自分シート(おもて面・裏面) 第1回 ~高次脳機能障害版への改良のポイント 今の興味・関心を考える~力が発揮できる環境を見出すため~ 気分障害等のある方を対象とした職場復帰支援であるJDSPのキャリア講習では、自分の興味や関心を見つめることは、「やりたいこと、やりたかったこと、粘り強く取り組んできたこと」と仕事のつながりを思い出す機会となり、肯定的な自己イメージを思い出す、成功体験や強みに目を向けやすくなる機会として有効です。 一方、高次脳機能障害者の場合、「やりたいこと、やりたかったこと、粘り強く取り組んできたこと」といった「過去の振返り」では、「できなくなったこと」に焦点があたる傾向があり、講習実施後の落ち込みが懸念されていました。  しかし、興味・関心があることや情報は、実践報告書No.38「記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介」や支援マニュアルNo.24「注意障害に対する学習カリキュラムの開発」において、記憶のしやすさに影響することや、注意機能における内的環境を整える要素として有意であると、紹介しています。受講者が意欲をもって取り組めることや力を発揮できることが何かを知ることは、就職や復職にあたって、職務や配置を検討する際の貴重な情報となります。  そこで、JDSPでの「今までに夢中になったこと、わくわくしたこと」について、過去の経験や今の仕事との関連を振り返る演習から、「今、夢中になっていること、わくわくすること」や、普段から積極的に見ている情報は何か?これらに興味を持った理由は何か?といったことを考え発表する演習に改良しました。 <参考>   JDSPのキャリア講習で使っているスライド →高次脳機能障害者版で使っているスライド 第2回 「強みを確認しよう」 1 「自分らしく働く」を見つける講座の 2 回目は「強みを確認しよう」です。 2 本日の内容です。 ※スライドを読み上げる 3 今回も、皆さんには安心して、かつ効果的に受講をしていただきたいのでグループワーク参加のルールを確認していきましょう。 ※「グループワーク参加のルール」内容を読み上げる 4 前回(第1回)の内容の復習です。 ※スライドを読み上げる 5 前回、このような図をご紹介しました。これは、未来に向けて、自分らしく働くことを考えるための図です。過去は、これまでのキャリアとし、「自分らしく、納得感のある働き方・人生」を送っている未来に向けて、横軸に見ていきます。ここで注目していただきたいのが「転機」です。私たちは、 さまざまな転機に遭遇します。この「転機」は、自分の進む方向を検討することができる機会でもあります。そして、もう一つ注目していただきたいのが、「今(現在)」の部分です。 皆さんが、プログラムに参加している「今」を「転機」と捉え、これからの職業生活や人生を自分で決めていこうとすることが重要というお話をしました。 6 また、この図では自分を理解するためには、興味・関心(欲求)、②強み(能力・できること)、③価値観(大切にしたいこと)の3つの観点で分析を進めていくことが重要だと言われていること、そのうちの①興味・関心について、前回意見交換等を行いました。 7 本日の内容は「強みについて」です。 8 はじめに、「強み」とはなにか、確認しましょう。 9 強みは、人生全体を含んだキャリアにおける、今の転機を乗り越えていく際に活用でき、資源にもなります。プログラムを受講している今の自分が、今持つ強みを整理しておくことは、今後の働き方を考え決めていく際にも有効です。 10 今回、タスクとして、「今の自分シート」を記入してきてくださいとお伝えしました。皆さん記入はできましたか?なお、今の自分シートでは、補完手段を使っていることも含め、プログラムや日常生活でできていること、スタッフや他の受講者から褒められたり、認められたことを「強み」として書き出してみましょう、というものでした。 11 「あまり悩まずに書けました」という方もいると思いますが、これまでこのシートを書いていただいた方の感想で、「強みと呼べるものなんて見つからない」という声がありました。強みというと、ほかの人と比べてできていることを想像することが多く、自分には、そういうことは見つからないということが背景にあります。 ただ、人と比べるだけでなく、「達成できた」「できるようになった」「継続してできている」等は誰もが日々そういった体験を増やしています。 ・メモリーノートを活用して通院の日を思い出せた。 ・グループワークでワークシートをもとに、良い意見が言えた。 ・ルーラーを活用して、数値チェックがミスなくできた。 ・メモをもとにメモ通りに買い物することができた。 といったこともその一例です。新入社員の方が、日々ひとつひとつできるようになったことを、上司や先輩が見つけていくように、人と比べると目が向きにくい日々の経験に目を向けていくと、強みがたくさん見つかるはずです。 12 では、そういった目線で、今皆さんに書いてきていただいたシートを見てみましょう。 これから意見交換を行いますが、その前に、「強み」の説明を聞き、ワークシート「今の自分シート」の追加があれば、書き足しましょう。 (記入時間を少し設ける) 皆さん、書けましたか?それではこれから意見交換を行います。 13 では、強みについて意見交換ができたところで、せっかくなので、今回シートを書いてみて、少し心配になったことはありませんか? 例えば、「こういうこともできるようになりたいんだけど、ほかの人はどうやっているのだろう」「今こんなことで悩んでいるけど、他の人はどうやって対処しているのだろう」そういったことも、この場で意見交換したいと思います。少し時間をとるので、考えてみてください。 (考える時間を設ける) それでは、意見交換してみましょう。 14 それでは、本日の講座のまとめに入ります。 15 今日は、自分を知る要素の2つめとして「強み」について、皆さんで意見交換等を行いました。強みは、キャリアにおける転機を乗り越えていく際に活用できるものです。誰でも必ず「達成できた」「できるようになった」「継続してできた」等を日々の体験で増やしています。今持つ強みを整理しておきましょう。またこれからも、自分の強みを沢山発見していきましょう。 16 第2回 ~高次脳機能障害版への改良のポイント  「今の自分」の強みに目を向けて整理する JDSPのキャリア講習では、過去の成功体験を振り返ることで、うまくいかなかったことやストレスにより、休職し、自信を喪失している方が、「できていたこと」や「強み」に目を向け、自己肯定感の向上を図るねらいがあります。 一方、高次脳機能障害者の場合、過去の成功体験を振り返ることで、受障前との現在を比較し、できなくなってしまったことに焦点があたってしまい、落ち込みや葛藤等の心理的リスクを深める可能性があります。 そこで、強みを「今の自分ができていること、工夫していること、周囲から認められたり褒められたこと」と設定し、「今まで」の振返りではなく、今、頑張っていることや、プラスのフィードバックを受けたことに目を向けて、整理できるよう改良しました。また、工夫していることを挙げてもらい、意見交換することで、補完手段の活用も含めて自分が工夫していることが他の受講者から認められ、補完手段を活用することを強化し自己肯定感を向上するといったねらいもあります。 <参考>第2回で使う資料「今の自分シート」 「今」の自分の状況について 〇作業や講座を振り返ったメモやシートを見てみること 〇家族や友人、主治医、支援者から言われたこと等をもとに材料を集めるようにアドバイスをしています。 第3回 「価値観を確認しよう」  1 「自分らしく働く」を見つける講座の3回目は「価値観を確認してみよう」です。 2 本日の内容です。 ※スライドを読み上げる 3 今回も、皆さんには安心して、かつ効果的に受講をしていただきたいのでグループワーク参加のルールを確認していきましょう。 ※「グループワーク 参加のルール」内容を読み上げる 4 前回(第2回)の内容の復習です。 ※スライドを読み上げる 5 このような図を毎回ご紹介しています。これは、未来に向けて、自分らしく働くことを考えるための図です。過去は、これまでのキャリアとし、「自分らしく、納得感のある働き方・人生」を送っている未来に向けて、横軸に見ていきます。ここで注目していただきたいのが「転機」です。私たちは、 さまざまな転機に遭遇します。この「転機」は、自分の進む方向を検討することができる機会でもあります。そして、もう一つ注目していただきたいのが、「今(現在)」の部分です。皆さんが、プログラムに参加している「今」を「転機」と捉え、これからの職業生活や人生を自分で決めていこうとすることが重要というお話をしました。 6 また、この図では自分を理解するためには、①興味・関心(欲求)、②強み(能力・できること)、③価値観(大切にしたいこと)の3つの観点で分析を進めていくことが重要だと言われていること、そのうちの②強みについて、前回意見交換等を行いました。 7 本日の内容です。 ※スライドを読み上げる 8 はじめに、「価値観」とは何か、確認しましょう。 9 「価値観」という言葉を辞書で調べると、「何に価値を認めるかという考え方」とか、「ある物・物事にどういう価値を認めるかということについてのそれぞれの人の考え方。またそれぞれの人の行動決定の基になっている主観的な考え方」と定義されています。 私たちは、生活の中で様々な選択や決断をしていますが、その基準となるのが、自分自身の価値観です。どのようなことに意味や価値を感じるのかということが価値観には反映されます。 身近な例で考えてみましょう。 たとえば旅行先で、どのように過ごして楽しむのかということにも、それぞれの人の価値観が表れます。そこでしかできない体験に挑戦する人もいれば、美術館を巡って芸術に触れる人、ひたすらのんびりと過ごすという人もいるでしょう。 いくつも選択肢がある中から、その行動を選んでいるベースに、その人が大切にしている価値観があるのです。 10 同じ出来事を経験しても、よい経験だったと認識するのか、あまりよい経験ではなかったと認識するのかは、その人の価値観によって異なります。 職業生活で発生する「異動」という出来事で見てみましょう。A さんは異動を「新しいことに挑戦できるモチベーションが高まるよい出来事」と捉える人だとします。A さんは、「変化」や「新たなこと」「出会い」等といった価値観を持っていると考えられます。 一方、B さんは異動を「新しい人間関係の構築が必要で、これまで実績を作ってきた仕事から離れなければならないモチベーションが下がる出来事」だと捉える人だとします。この場合 B さんは、「安定」や「絆」(同じ仲間とのつながりを大切にすると解釈)といった価値観を持っていると考えられます。このように、人によって価値観は様々で、価値観がキャリアに対する満足感、充実感に影響を与えることが分かります。自分はキャリアにおいて何を大切にしたいと考えているのか、自らの価値観を確認し自己理解を深めましょう。 11 それではここで、ワークシートを記入します。 ※ワークシート②「働く上で大事に思うこと」 1.枠内のキーワードから、働く上で自分が大事にしたいと思うことに「〇」を付けます(複数回答可能)。  このキーワードは、これまでプログラムを受講された方が挙げた項目ですが、該当するキーワードが入っていなければ、その他のところに書いてみましょう。 2.「〇」がついたもののうち、大事にしたいという思いが強い上位5つを選び、書き出しましょう。 3.2で挙げた上位5つのキーワードの合計を 100%として、各キーワードがどれくらいの割合を占めているか、円グラフで表しましょう。 12 それでは、これから意見交換を行います。 ※スライドを読み上げる 13 ここまで、自分を理解するための3つの要素として、 ①興味・関心(欲求)、 ②強み(能力・できること)、 ③価値観(大切にしたいこと) の3つの観点から見てきました。 それでは、最後に、これまでの講座を受けて、発見したり、整理したことをまとめていきましょう。 14 ワークシート③「自分らしく働くための整理シート」を使います。手元に準備してください。 第1回~第3回までを振り返って、各項目を書いてみましょう。前回までの記入内容と変わっていても構いません。今までの資料を参照しながら書いてみましょう。 15 では、最後の意見交換です。 ※スライドを読み上げる 16 17 ※スライドを読み上げる 以上で、この講座はすべて終了です。皆さんお疲れさまでした。 <第3回講座活用資料> 資料2 ワークシート②「働く上で大事に思うこと」 <第3回講座活用資料> 資料3 ワークシート③「自分らしく働くための整理シート」 第3回 ~高次脳機能障害版への改良のポイント  「これから働くうえで大事にしたいこと」に目を向ける JDSPのキャリア講習では、いろいろな価値観があることを知ったり、これまでの職業生活を振り返ることを通して、自分の大事にしたい価値観やキャリアアンカーを確認し、それらに基づいて自分らしく納得感の持てる今後の働き方を考える機会としています。また、再休職予防の観点からも今後取り組みたいことを考えてもらっています。 高次脳機能障害者の場合、受障により、それまでの働き方が突然変わってしまうことや今までできていた働き方が難しくなってしまうこともあるため、これまでの職業生活の振返りや、これまで大事にしてきた価値観の振返り等が辛くなったり、これからの働き方について考えることで不安になることもあります。 そこで、これまでの職業生活を振り返って考える方法以外で、自分の大事にしたい価値観を考えられる方法がないか、いろいろな価値観があることを知る方法はないかを検討しました。第3回の演習では、「これまでの受講者が述べていた価値観」を例示し、考えるヒントにしました。また価値観は個別性があり、変化してもよいこと、ライフイベントやライフステージによっても価値観は変わる可能性があることを伝えられるよう、工夫しました。 4 高次脳機能障害の特性をふまえたキャリア講習の工夫点・留意事項 (1) 工夫点 ア 「今」「これから」に目を向けて考える 前述した「キャリア講習(高次脳機能障害版)」への改良のポイント(P20、26、33)に共通していることは、「過去の振返り」ではなく「今」の興味・関心や強み、「これからの働き方」に目をむける視点です。また、この方法は、過去の出来事等振り返ることでネガティブな思考に陥ることを防ぐほか、多くの高次脳機能障害者に見られる記憶障害のある方にも実施できるよう、工夫しました。 イ 平易な言葉への言いかえ キャリア講習では、「キャリア」「転機」「キャリア・アンカー」等、日常生活ではあまり使わない言葉が登場します。JDSPで実施しているキャリア講習でも、用語の定義や解説を行っていますが、今回の試行では、その解説を聞いても受講者が言葉の意味を捉えられず、演習場面で何をすればよいのかわからず困惑される様子がありました。そこで、受講者にとって理解しやすい平易な言葉を用いるようにしました。これにより、言葉の理解が難しい失語症の方への負荷の軽減にもつながりました。 ウ 解答例や選択肢を設ける ワークシートで自由に記述する部分には、解答例や選択肢を記載しました。これにより、失語症により、言語表現や書字が困難な受講者が、無理なく最後まで参加できるようになりました。 エ 情報量を見直す 情報量が多いことで、注意が一定方向に向きにくくなる、集中力が維持できない、情報処理に時間がかかり疲れやすくなるといった特性がある受講者を想定し、グループワークで使用する資料のスライド数や、スライド1枚あたりの情報量を減らすよう、工夫しました。 オ 予習や復習の時間を設ける 失語症や記憶障害、遂行機能障害等がある方の中には、グループワーク内で行う意見交換や講師からの質問に対し、何を考えるのか、どこからその情報を引き出せばよいのか、何を話せばよいのか等悩んでしまい、それが脳疲労につながり、時間がかかることがあります。そのため、個別相談で、次回のグループワークの内容を簡単に紹介し、それに向けて必要な情報の集め方や何を伝えるのかについて予め考える時間を設定しました。また、必要に応じ、グループワーク後の個別相談で、内容を復習することで、次回のグループワークに不安なく参加できるようにしました。 (2) 留意事項 キャリア講習を進めるにあたり、高次脳機能障害の特性をふまえて、以下の点にも留意しました。 ア 実施時期 キャリア講習の実施にあたっては、専門家から、自己の適切な評価から外れて、「自分はできている」という認識を強めてしまうことが危惧されるという意見がありました。その背景として、高次脳機能障害により認知機能が低下しており、病前の自己像のまま、キャリア講習を受講することで「自分はできている」という認識を強めてしまうことがあるためです。このような状況を避けるため、キャリア講習の実施時期について検討しました。  プログラムでは、集中支援期後半に、支援者や事業所担当者、公共職業安定所担当者等を交えた「連絡会議」を行います。連絡会議に向け、作業課題で取り組んだことや個別相談で振り返り、自分の状況についてとりまとめるプレゼンテーション資料の作成等を行う受講開始から8週目頃を目安に、グループワークを実施することとしました。 イ 個別対応が望まれるケース グループワークによって、他の受講者の意見や取り組んでいることを見聞きすることは、自分と他者との共通項を見出し、今取り組んでいることへ安心感を持つことにつながります。また、自分と他者を照らし合わせることにより、自己理解が進んだり、再考する機会にもなります。これまでプログラム内で実施してきたグループワークでは、障害についての知識がなくても学習意欲が高い方や日常生活や職業生活を通じて困っている実感がある方は、意欲的に参加する様子が確認されました。  一方、障害の状況により、情報量や進行速度に追いつけず、グループワークに対する負荷を感じる方は、グループワークの形式にこだわらず、個別に対応しました。その際、本人の負荷を考慮し、内容を分割する等、本人の状況に応じて無理のない範囲で実施することとしました。 事例1 キャリア講習が復職に向けた会社との調整に役立った Aさん 40代・男性 ・大学の薬学部を卒業後、同じ会社で20年以上薬剤師として勤務。・薬局をコンサルティングする会社に転職して1年ほど経過した頃、脳の病気の影響により高次脳機能障害と診断。・1年程、入院治療を行った後、自立訓練(半年)、就労移行支援(1ヶ月)利用した後、復職に向けた調整・支援を希望し地域センターを利用。その後、職業センターの復職支援プログラムを勧められ受講することになった。 開始時 ・医療情報提供書には、「注意障害、記憶障害、遂行機能障害、徐々に改善」との記載あり。自立訓練・就労移行支援担当者からは「身体に関する障害認識はあるが、高次脳機能障害についてはほとんど認識がない」との記載あり。・Aさんの認識は「以前と変わって困ることは左手が動きづらいことのみ」とのことだった。 プログラムの様子 ・作業場面では「(自分は)大丈夫」と考え、手順書の活用、定規等道具の利用が抜けることがあった。他者の配慮(歩行について適切な場所で止まれない時には周囲が避ける、作業でわからない所は質問したら教えてもらえる)が得られるため、「問題ない、大丈夫」と捉えていた。〇質問する、謝辞を伝える等、サポートを得ることへの抵抗は少なく、サポートを得るために必要なスキルがある点はAさんの強み。 グループワーク ・自分のことを発表したり、他者へ質問する等、グループワークには積極的に参加。「注意」のグループワークを通じて、同時に複数のことに注意を向けることが苦手であることを実感し、作業工程を分けて手順通りに行う方がやりやすいとの発言が聞かれた。・「キャリア講習」では、価値観について考え、これまでは「専門性を高める」ことに価値をおいてきたが、今後は「仕事と家庭の両立を目指していきたい」との発言があった。 復職に向けた調整 ・Aさんは、復職に向けた会社との調整を前に、脳の病気の影響についてどこまで会社に伝えるか?あまり伝えすぎると復職や給料に影響が出るのではないかと懸念されていた。・しかし「キャリア講習」で、今後の働き方について、自分は「専門性を高める働き方でなく、これからは家庭生活とワークライフバランスをとりながら働いていくことを一番大事にしたい」と言っていたことを思い出し「配慮やサポートが欠かせない部分は依頼する」ことに決めて、プログラムの状況やお願いしたい配慮を伝えることになった。 ↓ 会社もAさんから今の状況・特性や対応策について聞けたことで、対応方法がわかり、現場の不安感が軽減でき受け入れに前向きになった。 【参考文献】 畔柳修:ライフキャリアデザイン研修 実践ワーク集、金子書房(2018) 古田克利:キャリアデザイン入門、ナカニシヤ出版(2019) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.5「高次脳機能障害者の方への就労支援~職場復帰支援プログラムにおけるグループワーク~」(2010) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.38「記憶障害に対する学習カリキュラムの紹介」(2021) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.23「ジョブデザイン・サポートプログラム気分障害等の精神疾患で休職中の方のための仕事の取り組み方と働き方のセルフマネジメント支援」(2023) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.24「注意障害に対する学習カリキュラムの開発」(2023) 第3章 作業場面 1 作業支援の概要 高次脳機能障害によって認知機能が低下すると、できていること、できていないことを認識しにくくなったり、周囲からの指摘を客観的な事実として捉えられないことがあります。例えば、本人が「病気の前にやっていた仕事であれば今も問題なくできる」「できているのに、なぜ間違っていると周りは言うのか?」等と発言し、会社の方等が困惑したとのエピソードはよく聞かれます。 作業支援では、実際に作業を体験することで、作業上の障害の現れ方や課題を本人と支援者が一緒に把握します。補完手段や疲労への対処等を試み、自己の特性や補完手段の有効性を考えます。また声掛け、指示の出し方、関わり方等本人が力を発揮しやすい環境を考える支援を行います。 図2 高次脳機能障害者に対する支援プログラム 1週間のスケジュール  作業支援では、主に「ワークサンプル幕張版」(以下「MWS」という。)を活用しています。MWSは、当機構で開発した職場適応促進のためのトータルパッケージのツールの一つで、簡易版と訓練版があります。OA作業、事務作業及び実務作業の3種、16課題で構成されています。詳細は、「トータルパッケージ学習テキスト/伝達プログラム講師用手引き」を参照ください。 表8 MWSの実施目的 様々な作業の体験 作業特性の把握 作業遂行力の向上 ストレスや疲労への対処 2 「振返り・工夫検討シート~作業編~」の作成 (1) 開発の背景と目的  MWSの作業場面で得られた情報は、本人と共有し、本人自身の気づきを大切にしながら取り組むことが重要です。 表9 MWSを活用した場面における振返りの設定と工夫について ・定期的な振返りの機会は、少なくとも1週間に1回程度は企画されていることが効果的 ・①目標や取り組むべき対処方法を検討すること ⇒②決定した目標や対処方法を実際の日常生活や作業遂行場面で実践すること ⇒③その体験をもとに振り返る というサイクルを回す ・「よりよくしたい点」があれば、具体的な対処方法を検討して実践することを繰り返す ・相談と相談の間に、本人の「よかったことは何か」「獲得できたことや身についたことは何か」といった点について、支援者からフィードバックし、次の目標設定と達成への意欲につなげる ・「どのように考えているか」「どのように感じているのか」等の本人の話をよく聞く ・本人が、「しっかりできたこと」「しっかり考えていること」等について、プラスのフィードバックを行う ・作業結果票やグラフは、単なるエラーや間違いの数、スピードや作業量だけのフィードバックではなく、どの時点で、どのような対処手段を行ったときに、作業がどのように変化したかを本人にフィードバックし、対処方法の効果を可視化できるように工夫する ・段階的に目標を設定する ・環境要因との関連性を整理する (トータルパッケージ学習テキスト/伝達プログラム講師用手引きを参考に作成) 作業支援では、作業を始める前に、MWSを行う目的や方法についてオリエンテーションを行います。次に、訓練版の内容を圧縮し、短時間で一通りの作業体験ができる「MWS簡易版」を支援者の介入なしで行い、実施後に、本人と振返りを行います。     「MWS訓練版」では、振返りを基に検討した、効果的だと思われる対処方法を試したり、環境を調整する等の必要な介入を行っていきます。 体験する作業課題は、本人の障害状況や遂行能力、興味のほか、休職者の場合は復職後に想定される職務内容等に基づき、本人と相談しながら選定します。 また、作業課題を実施した後は、エラーの内容、発生頻度、要した時間及び本人が自ら試した工夫等について振り返ります。作業支援ではこれまで、表10に示す3つのチェックシート等のツールを活用し、本人と振返りを行っていました。 表10 作業課題実施中および実施後に使用していたツール MWS簡易版のまとめ(オリジナルで作成) ・MWS簡易版実施時・各作業課題実施後に「実施日」「結果」「難易度」「興味」「コメント」(色掛け部分)を本人が記入・全作業課題実施後に聞き取った内容を、「感想」「訓練版作業順」に支援者が記入 ・後日の振返りが難しい記憶障害のある方等の補完ツールとして活用する・補完手段の試行や必要な介入を行うMWS訓練版への移行に向け、作業課題の検討に役立てる MWS簡易版 結果整理票(MWS付属シート) ・MWS簡易版実施時・全作業課題実施後に出力し、個別相談で使用 ・各課題のデータ(正答数、正答率、正答率のパーセンタイル順位、作業時間、作業時間のパーセンタイル順位)を確認する MWS訓練版結果入力シート(MWS付属シート) ・MWS訓練版実施時・各作業課題実施中、実施後に出力し、個別相談で使用 ・課題のレベル、ブロック数による作業時間、正答率やデータを確認し、エラーの出方(時間、頻度、レベル等との関連)の検討に役立てる・自ら試した工夫と照らし合わせて、有効な補完手段の検討に役立てる  「自分のできることを知りたい」「ミスの傾向や作業遂行上の課題を知り対処法を検討したい」と考えている方には、MWSの作業体験を表10のツールを使って振り返ることで、客観的な事実や状況を共有し、その方の傾向や特性を分析したり、対処を検討することに活用できます。 一方、「ミスをしてしまった」「時間がかかってしまった」等ネガティブな結果に焦点があたりやすい方や、「手順書がよくない」「わざとミスが起きるように設定されている」と他の原因に目が向く方には、振返りがうまく進まないことがありました。  そこで、自己の特性や補完手段の有効性を考えることに焦点を当てて作業体験と振返りを行うこと、作業を通じて達成したい目標やできる工夫について検討することを目的に、「振返り・工夫検討シート~作業編~」を作成しました。 (2) 「振返り・工夫検討シート~作業編~」について ア 構成 「振返り・工夫検討シート~作業編~」(資料4参照)は、作業課題で生じるエラーの内容等を踏まえ、MWSの作業課題ごとに1シート作成しました。 「おもて面」は、本人が自らの取組を振り返るために「この作業で心がけたこと」「やってみて感じたこと」という項目を設定しました。 また、「参考」として、該当の課題に取り組む上で注意する点や、注意障害や記憶障害等の影響から生じやすい状況について「他の受講者によくある状況」として紹介することとしました。 「記憶や注意障害のグループワーク」(P11参照)を受講している方に対しては、グループワークで確認した自分の傾向や効果のあった対処方法等について、シートを基に振り返りました。また、同グループワークを経験していない方に対しては、支援マニュアルNo.27「高次脳機能障害者の就労に役立つ視聴覚教材(2024)」の「記憶の機能」「注意の機能」の教材を使い、それぞれの機能について知り、体験する機会を設けました。 資料4 振返り・工夫検討シート~作業編~(おもて面) 資料4 振返り・工夫検討シート~作業編~(うら面) 表11 「振返り・工夫検討シート~作業編~」の構成及びねらい 構成 項目 ねらい おもて面 ・心がけたこと ・本人が自らの取組を振り返る 「振返り」 ・やってみて感じたこと ・知識と経験をつなげる機会とする ・他の受講者によくある状況 ・他の受講者の状況を知り、作業課題に 対する不安や落ち込みを減らす うら面  ・今後取り組むとしたら?(目標) ・本人が自らの目標を設定する 「今後の目標と工夫」 ・工夫できることを考えてみよう ・どのような工夫ができそうか、検討しやすくする ★=やってみたもの 〇=これから試したいもの  イ 記入方法  はじめてシートを活用する際は、記入方法等を伝えつつ、支援者と本人が相談しながら記入していきます。2回目以降は、記入方法がわかり、自ら記入が可能な方は、おもて面のみ本人が記入を行い、うら面は支援者と一緒に相談しながら記入することとしました。  記入を含めた振り返りの時間は、過度な負担感を与えないよう、30~60分程度を目安としました。  ウ その他のツール  表10に示す「MWS簡易版のまとめ」「MWS簡易版結果整理票」「MWS訓練版結果入力シート」に加え、「振返り・工夫検討シート~作業編~」を活用して振返りを行う際には、「対処策リスト255」を併せて使用しました。 表12 「振返り・工夫検討シート~作業編~」と併せて使用するツール ツール名 活用するタイミング 目的 対処策リスト255 ・「作業を進める工夫の検討シート」うら面を活用して振返りを行う際・作業場面で工夫を思いつかない時の介入時 取りうる対処の工夫を幅広く考えるヒントとして活用する 3 「振返り・工夫検討シート~作業編~」の活用のポイントと留意事項 (1) 活用のポイント  ア 他の高次脳機能障害者によくある例を紹介する  地域センターでは、高次脳機能障害者が複数同時にプログラムを受講することが少なく、他の高次脳機能障害者がどのようなことでつまづくことがあるのか、どのような工夫をしているのか等を、当事者から直接見聞きする機会が少ない状況にあります。そこで、グループを形成できなくても、過去にプログラム内で同様の課題に取り組んだ他の高次脳機能障害者で見られた作業結果や行動等を紹介する項目を設定することで、他者の例を知ることができるようにしました。この項目を設けることで、作業課題に取り組む不安や落ち込みを減らし、安心して進められる効果をねらっています。  また、作業を進める上での工夫の仕方が具体的には思いつかない場合は、同様の目的・ねらいで「対処策リスト255」を活用することもできます。  イ 本人自身が目標を設定する  専門家からは、「自分がどうありたいか」について、「本人が自ら言葉で表現し、表現できたことを肯定することが重要である」という意見がありました。これを受け、本シートでは、作業課題を通じ、本人が「今後どのように取り組みたいか」を考える項目を設定しました。また、そのために取りうる方法は選択肢から選べるようにし、さらに支援者との相談を通して、加筆できるよう自由記述欄も設定しました。なお、選択肢を選ぶ際には、「自分の考えにより近いと感じるものは?」という説明を加えることで、本人が選択しやすくしています。 支援にあたっては、本人が自ら目標を決めたという感覚を得られるようにすること、そのことを肯定し、一緒に悩み、応援するスタンスが伝わるように対応することが重要です。 (2) 留意事項 ア 本人が取り組みたい方法を尊重する  検討した対処手段(工夫)を実際に行動に移すのは、言うまでもなく本人です。課題への対策の検討において、本人が工夫したり対策を講じることに躊躇することや、「工夫せずにやってみたい」と希望し、支援者の提案が採用されないことがあります。その場合、支援者はまず本人の意思を尊重し、その選択を肯定することが重要です。そのうえで、本人が、その後取り組んだことや考えたことを、さらに振り返り、次の目標を検討できるよう繰り返し支援していきます。 また、本人が立てた目標の下、取り組んだ結果、効果が十分に得られない場合もあります。その場合、本人が工夫することに不安を感じたり、意欲が下がる可能性もあります。支援者は、取り組んだ行動に対し、肯定的に評価していることを本人に伝えます。支援の際、検討した工夫がすぐに効果につながることばかりではありません。試す順番を変えたり、課題のレベルによって複数の工夫を組み合わせたり、環境調整を優先して検討する等、本人の考えを尊重し、気持ちに寄り添いながら、支援者は様々なアイディアを提案していくことが求められます。 イ 支援者の思いや考えだけで推し進めない  振返りを行っていると、本人が心がけたことや感じたことと、支援者が考えてほしいと期待する部分が異なっていることがあります。支援を少しでも先に進めたい支援者にとっては、「どうやったら気づいてもらえるだろう」と焦ってしまう場面です。しかし、気づきのスピードやきっかけは、人それぞれ異なります。  本人が、自らの思いや考えを支援者に話す等の変化が見られるのは、往々にしてプログラム期間の後半です。プログラム中に変化が見られなかった方が、プログラム最終日の振返りで自分のこれまでの気持ちを話されることもあります。本人からは「自分ができないということを、自分の言葉で言うのはつらかった」「考えを伝えることで、その後どうなってしまうのだろうという思いがあった」等が聞かれました。専門家からも、「準備の段階では気づきが生まれにくいが、復職や就労後に、様々なことに気づいていく人が多い」という意見も伺いました。支援者は、気づきのヒントとなるような体験ができる機会を設定したり、他の取組事例を紹介したり、環境に目を向け調整するといったことを継続しながら、本人の意思を尊重した支援を進めていくことが大切です。 ウ 記入する順番、取り組む順番にこだわらない(やれることからやる)  本シートは、作業課題の振返りから始め、注意の機能や記憶の機能について知識を得て、自らの目標設定のもと、作業遂行等に係る工夫の仕方を検討する流れで構成されています。しかし、記憶障害の影響等から、振返りが難しい場合があります。そのような場合は、うら面の今後の工夫を考える部分だけを活用し、うまくいった経験を重ねることで目標達成につなげていくことができます。  また、すべての工夫に取り組む必要はなく、取り組みやすいところから始めることができます。「やってみようかな」「やってみてもいいかな」というステップにつなげることが大切です。 4 事例紹介 事例2 「振返り・工夫検討シート」を活用し、補完行動の定着につながった Bさん 30代・男性 ・大学卒業後、建築会社へ勤務。勤務中に、脳の病気により高次脳機能障害を受障。・半年間のリハビリ病棟でのリハビリを経て、外来リハを週1回継続。主治医の紹介で、復職に向けた支援を希望し、地域センターを利用。職業センターの復職支援プログラムを勧められ受講することになった。 開始時 ・医療情報提供書には、「失語症」「注意障害」と記載あり。失語症については、聴覚理解は良好だが、意味を介したやりとりや文書入力は課題が大きいという意見が添えられていた。・Bさんに、脳の病気の後遺症として残る症状等を尋ねても、「うーん、なんですかね…」という言葉のみであった。 作業の様子 ・作業場面では、MWSを実施すると、参照箇所の間違いや転記ミスが数か所確認された。「注意障害」について対処を考えていくことを提案したが、「大丈夫です」と支援者からの提案は採用されなかった。 シートの活用 ・その後も作業(MWS)ではエラーが続いたため、作業難易度のレベルアップが進まない状況が続いたため、「振返り・工夫検討シート~作業編~」を用い、振返りを実施した。(エラーなく続けて試行できたらレベルアップをすることとしていた。)・Bさんからは、「早く次のレベルに進みたい」という目標が確認されたため、そのために「工夫できそうなこと」を選択してもらったところ、「見直しを徹底したい」という方法をBさん自らが選択された。・その後、作業においては、Bさん自ら選択された対処の工夫「見直し」が習慣化し、エラーが続くことが減りレベルアップすることができた。 ポイント 支援者からの提案は「大丈夫です」と言って採用されない方も、ご自身で考えた工夫であれば実行される方、他の受講者が実施している方法であれば「やってみようかな」と思われる方もおられます。そのような方に「振返り・工夫検討シート~作業編~」の活用は有効です。 事例3 「視聴覚教材」+「振返り・工夫検討シート」を活用した例 Cさん 40代・女性 ・短大卒業後、サービス業で商品開発を担当。・在職中に脳の病気により高次脳機能障害を受障。受障後も継続して働いていたが、短期記憶障害から業務遂行に課題が生じていた。・会社から業務遂行力の向上を目指して地域センターの利用を提案された。職業センターの支援プログラムを勧められ受講することになった。 開始時 ・医療情報提供書には、「注意障害」「記憶障害」と記載あり。・Cさんは、「メモは追い付かないのであまり使えていません」「職場はいろいろなことが同時多発的に起きる環境なんです」と話していた。 視聴覚教材の活用 ・業務遂行に影響がある課題に対し、具体的な対策方法のイメージを持つため高次脳機能障害者の就労に役立つ視聴覚教材(支援マニュアルNo.27)の「対処手段」を支援者と一緒に視聴した。・視聴にあたり、視聴覚教材の中で紹介されているツール(画面読み上げ、ルーラー等)を体験できるよう準備し、Cさんにも実際に体験をしてもらったうえで、試しに使ってみようと思えたものや、取り組めそうなことがないか尋ねたところ、「ルーラーはよさそう」と話していた。 作業の様子 ・MWSのパソコン作業を行うこととしたが、作業場面では、作業手順が思い出せない、休憩後にどこまで課題を行ったかわからなくなるといったことが確認された。Cさんからは、「わからないと頭がパニックになってしまう」と話していた。 シートの活用 ・今後の作業で取り組みたいことを、「振返り・工夫検討シート~作業編~」を用いて相談した。「今後取り組むとしたら?」の目標例の中から、「手順を間違えないようにしよう」をCさん自ら選択した。・「工夫できることを考えてみよう」の項目では、「道具(ふせん・手順書)」を「〇(これから試したいもの)」に選び、作業場面で実施することとした。・その後、作業において、Cさん自ら選択した対処のための方法「道具(ふせん・手順)」を活用し効果が見られた。継続して行えるよう、忘れているときはスタッフから声をかける、手順書に盛込む等の環境調整も行った。 ポイント 困っていることはあるが、何から始めたらよいかわからない方には、「視聴覚教材」を活用し、取り組める手立てがいろいろあること、対処手段の例を紹介するところから始めるのも一つの方策です。「振返り・工夫検討シート~作業編~」は視聴覚教材を見て気づいたことをもとに、試し、振り返る際にも活用できます。 【参考文献】 障害者職業総合センター:「職場適応促進のためのトータルパッケージワークサンプル幕張版 実施マニュアル」(2008) 障害者職業総合センター:トータルパッケージ学習テキスト/伝達プログラム講師用手引き(2022) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.40「高次脳機能障害者の職場復帰におけるアセスメント」(2022) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.27「高次脳機能障害者の就労に役立つ視聴覚教材」(2024) 第4章 振返りの工夫 1 プログラムでの振返り  第2章で述べたように、プログラムは、「作業課題」「個別相談」及び「グループワーク」をそれぞれ有機的に関連付けながら進めていきます。支援マニュアルNo.5「高次脳機能障害者の方への就労支援~職場復帰支援プログラムにおけるグループワーク~」では、各場面で共通する留意事項として、①受講者自身の自己決定を尊重する働きかけを行うこと、②問題解決能力の向上を図るために、課題となる事実を確認の上で、対処方法については受講者自身の考えを引き出すよう配慮すること、③必要なタイミングで正のフィードバックを行い適切な行動を強化すること(リアルフィードバック)、④適切に休憩を取り疲労を溜めさせないことが挙げられています。  また、プログラムの受講を検討するきっかけが、支援機関や医療機関、または会社からの提案によることも多く、「働きたい」「復職したい」といった希望がすぐには叶わない、まだ早いと言われた等の思いを受講者が抱えていることがあります。その場合、プログラムで取り組む目標や支援内容への同意を得ていても、プログラムを受けることに納得できていなかったり、想定外の事態になったことへの不安から、プログラムに対し意欲的に取り組めない場合があります。 そこで、プログラムで行う「振返り」のための個別相談では、上記の①~④に留意しつつ、受講者自身が納得感を持てる目標を設定し、受講者と支援者がアイディアを出し合いながら、目標達成に向けて進めていけるよう工夫しています。 本章では、効果的な支援を進めるための「振返り」の方法について、具体的な事例を通してご紹介します。 2 事例(振返りの際に活用したツールの紹介) 事例4 特性の理解・対処を検討することを目標に設定できた事例 Dさん 50代・男性 ・主な症状は注意障害・記憶障害 ・医療機関から「注意障害への対策を習得した上で復職したほうがよい」と復職準備に取り組む場として職業センターのプログラム受講をDさん、ご家族に提案されていた。 開始時 ・復職に際し不安なことをDさんに尋ねると「特に不安はない」と答え、プログラムで取り組みたいことも「特にはない」との回答だった。病気によって変化したことについては「以前と変わった点はないと思う」と答えていた。 基礎評価期の様子(開始4~5週目頃) ・復職後の職務と関連のあるパソコン作業を中心とした作業課題を実施すると、転記ミスや手順の漏れ等が多く、作業速度、正確性ともに低調だった。・プログラム2週目に課題の進捗状況を尋ねると「ケアレスミスはあるが、気をつければ防ぐことはできる」との返答があり、翌週の目標は「ミスしないよう気をつける」と自ら設定した。 基礎評価期の振返り ・「ミスしないよう気をつける」と目標設定し取り組んだが、ミスは減らなかった。Dさんは「おかしいな…」と言いながら、徐々に表情は暗く、ため息をつく様子が見られた。・スタッフから「ミスしないよう気をつける」という目標はとてもよい目標であり、今後も継続していけるとよい」とを伝えつつ、「目標には、ミスを減らすためにできそうな工夫も入れてみてはどうでしょう?」と提案した。Dさんは「そうですね」と言いながら、「でも何をしたらよいのか…」と不安げな表情を浮かべた。 振返りに使えるツールの活用 1)高次脳機能障害特性チェックシート 2)プログラム中間時アンケート ・スタッフより、「Dさんにとって有効な方法を検討するために、ご自身の傾向を一緒に確認してみませんか?」と伝え、「高次脳機能障害特性チェックシート(ツール1参照)」の活用を提案。Dさんから同意が得られた。・スタッフとともに確認してみると、「注意障害」や「易疲労性」の項目で、「ときどき」を自ら選択し、記入された。・チェックシート記入後に、「プログラム中間時アンケート(ツール2参照)」を用い、これからのプログラムで、「知りたい」「確認したい」「試したいこと」について、自分の気持ちや考えと近い項目があれば選んでみてほしいとスタッフより伝えた。Dさんは「ミスを減らす」「疲れず続けられる工夫」を選択。 振返り後の支援 ・Dさんのプログラム後半の目標は「ミスを減らす」とし、そのために「疲れず続けられる」具体的な方法はスタッフとともに、検討し、実践で試すこととした。また、効果のあった方法は復職後も継続できるよう、連絡会議で会社にも伝え、職場の環境調整につなげていくこととした。 表13 事例4(Dさんへの支援)で活用していた振返りに活用できるツール ツール 内容・活用方法 ツール1 高次脳機能障害特性チェックシート ・高次脳機能障害特性チェックシートは、注意障害や記憶障害等の高次脳機能障害の主な症状別に、障害特性が職業生活場面においてどのように現れるか、具体的な事象を質問項目として複数用意し、それに本人が、自分に当てはまるかどうか「はい」「ときどき」「いいえ」の3件法形式で回答するものです。・プログラムでは、文字情報だけではイメージが捉えにくい受講者に対して、支援マニュアルNo.27「高次脳機能障害者の就労に役立つ視聴覚教材」を支援者とともに視聴しながら、回答を促すこともあります。・回答結果を確認しながら、自ら行う対処方法や、望ましい環境調整を検討する際の手がかりとしています。 ツール2 プログラム中間時アンケート ・プログラムでは、開始時、中間時、終了時のタイミングでアンケート用紙を用い、振返りを行います。開始時、中間期、終了時を通じた捉え方の変化も追えるよう、同一内容の選択肢としています。・アンケートでは、「プログラムに参加する中で、「知りたい」「確認したい」「試したい」ことはありますか?」という設問に対し、選択肢を20個設定しています。選択肢は、これまでのプログラム受講者が、日々の振返りの中で挙げた目標を参考にしています。・右半分の選択肢は「就職や復職に向けた準備を進めたい」という内容に、左半分は「特性や状態像について把握し、対策を考えたい」という内容にし、プログラムへの意欲や関心がどこにあるのかを把握できるよう工夫しました。 ポイント 基礎評価期の振返りは受講者ごとに個別に行います。 個別相談は、集中しやすい環境として個室で行うことを基本とし、原則本人と支援者のマンツーマンで行います。相談の前日までに、事前の準備物や話す内容を伝え、当日は相談の見通し・全体像を示すため、支援者がホワイトボードに話す内容を箇条書きにしておきます。相談中に話した内容は視覚化し、相談終了時には書いたものを共有するようにしています。 相談時に使用するホワイトボード(記入例) 相談前 相談後 事例5 関心のあることに目を向け、自ら目標設定ができた事例 Eさん 50代・男性 ・主な症状は注意障害・記憶障害・遂行機能障害・復職を希望し、会社との復職面談を実施したが、産業医から「病識が乏しい」、「焦らないように」と言われ、Eさんの意向に反し、復職には至らなかった。産業医と主治医が相談を行った結果、復職準備に取り組む場として、職業センターのプログラムの受講が主治医より提案された。 開始時 ・Eさんからは、プログラムを積極的に受けたいという意思は聞かれなかったが、「復職をするためにできることはしたい、前に進めたい」と参加理由を述べられた。・復職後の生活で不安なことを尋ねると「特に不安はないし、できると思う」と話し、プログラムで取り組みたいことについては「会社に復職ができる状態だとわかってもらいたい」との回答だった。病気によって変化したことについては、「病院のリハビリの時にはあったが、今は回復しており、問題ない」と答えた。 基礎評価期の様子(開始4~5週目頃) ・会社から、復職後はパソコン入力等の事務業務に従事する可能性が示されていたため、作業課題としてパソコン作業を実施した。受障前は、パソコン作業は部下が担っており、Eさん自身は苦手意識があった。実際の作業では、手順書を使っても手順を読み飛ばしてしまったり、作業が想定以上に進まない状況が見られ「できない」「やったことがない」と落胆した様子で話されていた。・一方で、人へ話しかけたり、相手から話題を引き出す力は維持されており、作業以外の時間は、Eさんからスタッフや他の受講者に積極的に話しかけ、会話が弾む様子がみられた。 基礎評価期の振返り ・作業状況を振り返ったところ「パソコン作業はこれまでやってきたことがなく、うまくいかない。でも、復職後の仕事で必要だと言われており、会社に大丈夫だと思ってもらうためには、やるしかない…」と答えた。「これからのプログラムで特にやりたいことはない」と、自発的な目標設定ができなかった。・作業以外の場面では、スタッフや他の受講者との会話が弾んでいたことを伝えると「自分は物を相手にするより、人と話すことが楽しい。これまでも「人に関心がある、人が好き」というところを活かして仕事をしてきた」と語られた。・関心があることについて本人が語ったことをきっかけに、スタッフから「これまでご自分が会社で取り組んだ仕事の内容を振り返り、自分の興味や大切にしたいこと、強みについて整理をしてみてはどうですか?」と提案したところ、「ぜひ、やってみたい」と意欲的な反応が見られた。 振返りに使えるツールの活用 2)プログラム中間アンケート ・「プログラム中間時アンケート(ツール2参照)」を用い、これからのプログラムの中で「知りたい」「確認したい」「試したいこと」について、自分の気持ちや考えと近い項目があれば選んでみてほしいとスタッフより伝えた。Eさんは「自分ができそうな仕事の内容」「自分が働きやすい職場の環境」「復職までに準備すること」を選択。 振返り後の支援 ・Eさんのプログラム後半の目標は「自分ができそうな仕事や働きやすい環境を整理する」とし、そのための取組として、高次脳機能障害版キャリア講習(第2章参照)やグループミーティング等、「人と話す」プログラムに参加できるようにした。・また、整理した結果をまとめる際には、パソコンを使用し、パソコンに触れる機会がなくならないよう工夫した。 ポイント 当初のニーズが、「特性を知りたい」「自己理解を深めたい」ではない受講者が、意欲的に取り組めること、関心のあること、できる・得意と感じていることを把握し、何かを体験してもらう等、関心のあることと結びつけて支援することが大事です。 3 グループミーティングを活用した振返り  これまで受講者から、「自分以外の同じ症状の人とじっくり話したことがない」「他の人は、困ったときにどのように対処しているのか聞いてみたい」「復職に向けて以前にプログラムを受けていた人の話を聞いてみたい」という意見や要望が聞かれていました。開始時に行うプログラムアンケートでも、取り組みたいこととして「同じ障害のある人との意見交換」を挙げる方が多くみられます。 グループ形式で行う支援には、グループワークがありますが、第2章で述べたように、これまでは障害特性や対処手段に焦点を当てたテーマで実施していました。そこで、今回新たな試みとして、自分の思いや考えを言葉にして他者に話してみる、他者からの意見を参考に自分がどうなりたいか、どうすればよいのかを考えるヒントとする機会として、グループ形式で振返りを行いました。  また、先の事例Eさんのように、関心のあることがプログラムに対する意欲につながる場合、障害特性や対処方法といったやや抽象的な話題より、就職や復職といった具体的なイメージが湧きやすいテーマの方が参加意欲につながり、参加することで他者の意見を聞く機会にもなると考えました。 グループミーティングの実施方法 (1)参加者 それぞれが十分に発言する時間がとれるよう、最大5名までの参加とする。プログラム開始時期等の参加条件は設けず、本人の希望を確認し、留意事項を説明した上で同意が得られた方を対象。 (2)グループミーティングに向けた事前準備 ・事前に「グループミーティング開催のご案内」を参加を希望する受講者に手交し説明した。・ご案内には、「事前アンケート」の欄を設け、グループミーティングで他の人に聞いてみたいことや伝えたいことを選択肢から考えられるようにした。 グループミーティングのご案内 (3)ミーティングの実施  実施時間:30分~120分(人数、受講者層、話したい話題の多さ等によって前後する)  実施体制:進行(1人)、板書係(1人)  進行:事前アンケートにおいて、「他の人に聞いてみたいこと」「伝えたいこと」として挙がっていたテーマをもとに話題をふっていく。  <グループミーティングの様子(例)> Aさん 残業はしたいと思っている。でも周りのことを考えると、やめておいたほうがいいのかな。 Bさん 分かる。自分も残業をやりたいという気持ちはある。でも会社から制限がかかることは間違いないだろうな Cさん 私は、はじめから残業はしないかな。何年後かにはやれるようになるだろうし。体調にも無理なく、まずは基本の流れを固めたいと思います。 Aさん 確かに。復職したら仕事の内容も変わると思うし。ただ周りは仕事が沢山あって残業している人はたくさんいるから・・・。 Cさん ・・・・・・・・・・ Bさん ・・・・・・・・・・ 【スタッフ】Bさんが、「会社から制限がかかる」と思ったのは、何か会社からお話があったのでしょうか? Bさん 会社からは、疲労、特に脳の疲労を心配していると言われた。復職当初は新生活で気分も高揚するので、そこでやりすぎちゃうと後々不調になるという話があった。これにはなるほどな~と思ったよ。そこで、はじめは残業はなしですという話だった。 Aさん そういう話もあるんですね。少し考えてみたいと思います。 (4)進行にあたっての留意点 ア 支援者の介入は、受講者の自主性を妨げないよう必要最小限にとどめる ・グループミーティングは、知識付与や気づきを増やすといった目的のグループワークと異なり、プログラムの受講者がお互いに話し、情報交換をすることを大切にする。 ・支援者が「伝えたい」「知ってほしい」「気づいてほしい」と考えて発言した内容は、受講者が聞きたいことの答えとして捉えてしまう可能性があるため、最小限の介入に留めるよう留意している。 ・支援者が具体的に介入する場面は、意見交換がスムーズに始まるよう「事前アンケートで話したいというリクエストが多かったことの紹介」や、情報交換のヒントとなるように「支援者がこれまでに関わってきた高次脳機能障害者の取組の情報提供」、「発言するタイミングが取れていない参加者への声掛け」等が挙げられる。 イ 疲労への対処 ・自分の思いや考えを言葉にする、他者の意見を聞く等、グループミーティングでは、集中力や持続力が必要となる。また、自分の意見は他の人とは違っているのではないか、自分の意見が他の人に良くない影響を与えてしまうのではないかといった不安を感じる方もいる。 このような集中力や持続力、緊張感が生じることにより、普段以上にエネルギーを消耗し、疲れが顕著になりやすいため、休憩時間をとり、ストレッチ等を小まめに行う、受講者の状況によっては、グループミーティングの設定時間を短くする等、疲労への対処が必要となる。 ウ 視覚化する ・記憶障害等の影響から、受講者が、自他の発言内容を忘れてしまったり、情報が追えなくなってしまうことがある。板書係が発言内容をホワイトボードに書き、情報交換している内容が随時確認できるようサポートする。終了後は同意を得た上でホワイトボードを印刷したものを受講者に配付し、必要な時に見返せるよう工夫している。 エ 柔軟に時間を設定する ・グループミーティングは「これをしなければならない」というゴールは設けていない。そのため、時間は柔軟に設定し、参加者数や情報交換したい話題の量、受講者の集中力や疲労の状況に応じて、時間を短縮する、別日程を提案する等、スタッフ側が柔軟に対応する必要がある。 オ 失語等、その場で発言することが難しい受講者へのフォロー ・失語症により、話すことや理解することが難しい場合、グループミーティングに参加することで不安が高まる場合もある。参加する場合に、支援者が実施可能なフォローの方法を伝え、参加希望の有無を受講者に確認する。 【失語症のある受講者に対して行ったフォローの例は以下のとおり】 ・失語症のある受講者に、グループミーティングについて説明し、参加希望を尋ねたところ、「だめかもしれない。だけど、がんばります」と参加を希望された。 *(当日までの準備) ・事前アンケートをもとに、聞いてみたいことを確認したり推察しながら、当日のセリフを事前に一緒に考える。 ・あるとよいフォローについては、スタッフ間で検討し、受講者と共有した上でサポートする。 *(当日) ・スタッフが後方に待機し、発言時に読む箇所を指さす、発言が止まった際に言い出しの言葉を読み上げる等、状況に応じてサポートする。 ・終了後は、「わからなかった。だけどがんばった」「(聞きたいことは聞けましたか?の質問に対し)大丈夫」と感想が聞かれた。 ・グループミーティング前は、他の受講者から話しかけれると「うーん・・・」と頭を抱え込むことが多く、他の受講者から話しかけられる機会が減っていた。グループミーティング後は、他の受講者から話しかけられると「そうです」「わからないです」と答えようとする場面や、他の受講者から話しかける場面が見られるようになった。 【参考文献】 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.5「高次脳機能障害者の方への就労支援~職場復帰支援プログラムにおけるグループワーク~」(2010) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.40「高次脳機能障害者の職場復帰におけるアセスメント」(2022) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.27「高次脳機能障害者の就労に役立つ視聴覚教材」(2024) 第5章 まとめと今後の課題  本実践報告書では、高次脳機能障害者の「自己理解を進める」ための支援について、プログラムに参加している高次脳機能障害者個々の状況に応じて、本人の目標や関心のあることからアプローチしたり、できていることに目を向けることで、障害に対する理解を進める方法を検討しました。本実践報告書では、実践内容、その際に活用したツール等について紹介しています。 ある日突然、事故や疾病に見舞われ、一命はとりとめたものの、障害を有するということは、誰にでも起こり得ることです。高次脳機能障害は外見からは症状が分かりづらいことに加え、認知機能の低下により、自分や周囲の状況を理解することが困難になることがあります。また、在職中に受障した又は受障が原因で休職している場合、それまで従事していた業務への対応が困難になる可能性があります。生活面に目を転じれば、就業困難に伴う経済的な問題、育児や介護に対する家庭内の役割の変化、本人に対して家族のサポートが必要となるケース等もあり、本人だけでなく家族にも大きな影響が生じる場合もあります。このような背景を抱えながら、就職や復職等への支援を希望し相談に来られる本人に対し、障害の「自己理解」を前提とした支援の提案は、本人や家族にとってつらいことであることを、私達支援者は十分留意する必要があります。 支援者が、就職や復職、職場定着のために、自身の障害に対する理解や対処方法の習得に取り組むと良いと考え提案しても、本人が良い反応を示さなかったり、意欲的な取組が見られないことがあります。そのときに、「本人が自らの障害について理解できていない」「本人の障害受容に問題があるのではないか」と、高次脳機能障害者の自己理解に課題があるから支援が進まないと考えてしまってはいないでしょうか。本人に寄り添い、本人の納得感を大事にした支援のためには、なぜ自己理解を進める支援があるとよいと考えたのか、支援者自身の振返りも併せて必要になるのではないかと考えています。 支援者が高次脳機能障害者の支援を検討する際、本人の意欲的な取組につながる支援方法を、本人へ提案する一助として、この報告書を活用していただけると幸いです。  本実践報告書では、自己理解について、本人の目標や関心のあることからアプローチする方法を試行した取組をご紹介しました。とはいえ、就職を目指す方、復職を目指す方、就業中であるがうまく適応が図れていない方等、その方の状況によって、目標や関心は異なります。引き続き、それぞれの背景に対応できるグループワークの実施、振返りで活用できる技法やツールを検討していきたいと考えます。 本実践報告書で紹介した支援技法が、高次脳機能障害者の就職、雇用継続、職場復帰等に向けた支援の現場で、少しでも役立つことを期待しています。 資料集 グループワーク(キャリア講習(高次脳機能障害者版)) 資料No 資料名 ページ 1 【第1回・第2回】ワークシート①「今の自分シート」 P69-70 2 【第3回】ワークシート②「働く上で大事に思うこと」 P71-72 3 【第3回】ワークシート③「自分らしく働くための整理シート」 P73-74 作業場面 資料 No 資料名 ページ 4 振返り・工夫検討シート~作業編~ P75-76 5 【参考】振返り・工夫検討シート~作業編~(各課題別) P77-102 振返りの工夫 資料 No 資料名 ページ 6 (ツール1)高次脳機能障害特性チェックシート P103-112 7 (ツール2)プログラム中間時アンケート P113 【おもて面】 ワークシート① 今の自分シート 氏名:                     記入日:            今の自分が「できていること」「工夫していること」「少し心配なこと」を挙げていきましょう。  【材料集めのポイント】  「1日のまとめ」で、よく出てくるキーワード  「振り返り」(個別相談で使用するもの)に書いていること  「特性チェックシート」「リファレンスシート」に書いていること  家族や友人、主治医など、ほかの人から言われたこと 【書き方】  「作業時間」「作業以外の時間」に分けて、書いてみましょう。  「作業以外の時間」は、普段の生活なども含めます。  できるだけたくさん挙げてみましょう。 「こんなこと書いてもいいのかな~」という些細なこともOKです。  自分一人では思いつかない場合は、ほかの人に聞いてみましょう。 例:カウンセラー、支援スタッフ、家族、友人、主治医など  「少し心配なこと」は、同じプログラム参加者の方に聞いてみるとよいヒントがあるかもしれません。些細なことでも、思いつくものがあれば挙げてください。 【裏面】 作業時間 できていること 【例】時間通り行動する、質問をする 工夫していること 【例】見直しを必ずする、マーカーを使う 作業以外の時間 できていること 【例】毎日30分歩く、起床就寝時間は一定 工夫していること 【例】スケジュールはスマホで管理、提出物は前日に確認 (できていること、工夫していることを考えてみて)少し心配なこと 【例】最近できていることは増えていかないような気がする、工夫していてもうまくいかずに困っている、やり始めても長続きしない など グループワーク第2回では、このシートを使って意見交換します。 グループワーク第2回を受講する際に持ってきてください。 ワークシート② 「働く上で大事に思うこと」 1. 枠内のキーワードから、働く上で自分が何を大事にしたいと思うことに「〇」をつけます。 (上限はありません。) 健康 チャレンジ 人の役に立つ 収入 自由 業績 専門性 家庭 達成感 自己実現 ハイリスクハイリターン 安定 自分のペース リーダーシップ  能力を生かす 働く時間 自己成長 人間関係 創造性 会社の知名度 個性 昇進 コミュニケーション 調和 感謝 責任 向上 ポジティブ 慎重 勇気 プロセス スピード 仲間 貢献 サポート ユニークさ 信頼 その他(             ) 2. 1で「〇」をつけたもののうち、大事にしたいという思いが強い上位5つを書き出しましょう。 順位 キーワード 1 2 3 4 5 3. 2で挙げた上位5つのキーワードの合計を100%として、各キーワードがどれくらいの割合を占めているのか、円グラフで表しましょう。 【おもて面】 ワークシート③「自分らしく働くための整理シート」    年  月  日 氏名         自分を理解するための3つの要素 【興味・関心】今、私が興味を持っていること、関心を持っていることは です。 【強み】 ①今、プログラムの中で、できていること、工夫していることは です。 ②今、プログラム以外で、できていること、工夫していることは です。 【うら面】 【価値観】今、私が大切にしたいことは です。 「「自分らしく働く」を見つける講座」を受講した感想を書きましょう。 例:自分は、●●が大切と思っているのだと発見できた 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 行動・環境 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 行動・環境 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 物品請求書 作成 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                       ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・探す条件を見落としていた ・指定されていないものを書いた ・カタログ⇒請求書に書くときに、書き間違えた ・電卓での計算が違っていた ・記入していないところがあった ・違う品番を書いてしまった 行動・環境 ・どこの工程まで進んだのか、分からなくなった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 物品請求書 作成 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・探す条件を見落としていた ・指定されていないものを書いた ・カタログ⇒請求書に書くときに、書き間違えた ・電卓での計算が違っていた ・記入していないところがあった ・違う品番を書いてしまった 行動・環境 ・どこの工程まで進んだのか、分からなくなった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・書見台・ルーペ) レ点チェック 確認  (目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 数値チェック この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・修正するところを見落としていた ・修正した数字(金額)が間違っていた ・修正しなくてよいところを修正していた ・請求書ではなく、納品書を修正していた ・計算をしていた ・納品書と請求書で、違う行を見て修正していた 行動・環境 ・修正するところを見失った ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 作業名 数値チェック 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・修正するところを見落としていた ・修正した数字(金額)が間違っていた ・修正しなくてよいところを修正していた ・請求書ではなく、納品書を修正していた ・計算をしていた ・納品書と請求書で、違う行を見て修正していた 行動・環境 ・修正するところを見失った ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・書見台・ルーペ) レ点チェック 確認  (目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 日報集計 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・条件ではない日付や人を集計していた ・特定の日付や人を集計し忘れた ・集計表の記入欄を間違えた ・計算した数字を写し間違えた ・足し算を間違えた ・割り算を間違えた ・四捨五入を間違えた ・小数点第〇位を間違えた 行動・環境 ・手順がよくわからなかった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 日報集計 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・条件ではない日付や人を集計していた ・特定の日付や人を集計し忘れた ・集計表の記入欄を間違えた ・計算した数字を写し間違えた ・足し算を間違えた ・割り算を間違えた ・四捨五入を間違えた ・小数点第〇位を間違えた 行動・環境 ・手順がよくわからなかった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が近くなり、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・書見台・ルーペ) レ点チェック 確認  (目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 ラベル作成 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・文字の誤り、抜けがあった ・スペースの入力を忘れていた ・外枠、飾り字の設定を忘れていた 行動・環境 ・テプラの操作方法が途中からわからなくなった ・説明書のどこを読めばいいのか、困った ・説明書を読んだが、設定方法が分からなかった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 ラベル作成 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・文字の誤り、抜けがあった ・スペースの入力を忘れていた ・外枠、飾り字の設定を忘れていた 行動・環境 ・テプラの操作方法が途中からわからなくなった ・説明書のどこを読めばいいのか、困った ・説明書を読んだが、設定方法が分からなかった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・書見台・ルーペ) レ点チェック 確認  (目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 数値入力 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・キーを打ち間違えた(上下左右の数字を入力) ・数字を入れ替えて入力した(例:〇1234 ×1243) ・行がずれていた ・特定の位を見落とした(例:左 〇1234 ×234) ・作業の途中でOKを押してしまった 行動・環境 ・エンターキーを押さず、OKが出ず時間がかかった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 数値入力 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・キーを打ち間違えた(上下左右の数字を入力) ・数字を入れ替えて入力した(例:〇1234 ×1243) ・行がずれていた ・特定の位を見落とした(例:左 〇1234 ×234) ・作業の途中でOKを押してしまった 行動・環境 ・エンターキーを押さず、OKが出ず時間がかかった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・画面拡大・アラーム・タイマー) ルーラー・数字を読み上げる 確認 (目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 文書入力 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・入力を間違えた(例:〇「~は」×「~に」) ・漢字の変換を間違えた(例:〇「同様」×「動揺」) ・英語のスペルを間違えた(例:〇「input」×「imput」) ・文字サイズ(全角半角)を間違えた ・文字や記号、句読点が多い(少ない) ・スペースを入れてしまった(消してしまった) ・作業の途中でOKボタンを押してしまった 行動・環境 ・読めない漢字があり、困った ・ひらがな、カタカナ、漢字、英語でミスの頻度が違う ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 文書入力 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・入力を間違えた(例:〇「~は」×「~に」) ・漢字の変換を間違えた(例:〇「同様」×「動揺」) ・英語のスペルを間違えた(例:〇「input」×「imput」) ・文字サイズ(全角半角)を間違えた ・文字や記号、句読点が多い(少ない) ・スペースを入れてしまった(消してしまった) ・作業の途中でOKボタンを押してしまった 行動・環境 ・読めない漢字があり、困った ・ひらがな、カタカナ、漢字、英語でミスの頻度が違う ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・画面拡大・アラーム・タイマー) ルーラー・文書を読み上げる・IMEパッド・タッチキーボード 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 コピー&ペースト この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・コピーするセル、文書の範囲がずれていた ・ペースト(貼り付け)先が違っていた ・コピーや貼り付けの操作手順が分からなかった ・「ウインドウの切り替え」のやり方が分からなかった ・作業の途中で、OKを押してしまった 行動・環境 ・マウスがうまく動かせなかった ・コピー、貼り付けなどの言葉がよくわからなかった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 コピー&ペースト 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・コピーするセル、文書の範囲がずれていた ・ペースト(貼り付け)先が違っていた ・コピーや貼り付けの操作手順が分からなかった ・「ウインドウの切り替え」のやり方が分からなかった ・作業の途中で、OKを押してしまった 行動・環境 ・マウスがうまく動かせなかった ・コピー、貼り付けなどの言葉がよくわからなかった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・画面拡大・アラーム・タイマー) マウスの工夫(トラックボール等)・言葉の説明を貼っておく 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 検索修正 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・Personal IDを間違えて入力した ・修正した内容に誤りがあった(例 誤字、脱字、半角全角、スペース) ・修正する項目を修正していなかった ・備考欄を見落としていた ・データを検索せず、すべて入力してしまった ・作業の途中で、OKを押してしまった 行動・環境 ・修正箇所(太字斜体)がないと、修正箇所を見つける のが大変だった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした ・もともとのデータがでたらめで、腹が立った 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 検索修正 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・Personal IDを間違えて入力した ・修正した内容に誤りがあった(例 誤字、脱字、半角全角、スペース) ・修正する項目を修正していなかった ・備考欄を見落としていた ・データを検索せず、すべて入力してしまった ・作業の途中で、OKを押してしまった 行動・環境 ・修正箇所(太字斜体)がないと、修正箇所を見つける のが大変だった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした ・もともとのデータがでたらめで、腹が立った 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・画面拡大・アラーム・タイマー) ルーラー・マーカー・IMEパッド・タッチキーボード・レ点チェック 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 ファイル整理 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・ファイルの分類先を間違えた ・フォルダまで移動せず、「大項目」に移動した ・作業の途中で「OK」を押してしまった 行動・環境 ・マウスの操作がうまくいかなかった ・ファイル名だけで分類するのは難しかった ・ファイル名の漢字が読めなかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 ファイル整理 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・ファイルの分類先を間違えた ・フォルダまで移動せず、「大項目」に移動した ・作業の途中で「OK」を押してしまった 行動・環境 ・マウスの操作がうまくいかなかった ・ファイル名だけで分類するのは難しかった ・ファイル名の漢字が読めなかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・画面拡大・アラーム・タイマー) マウスの工夫(トラックボール等) 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 ナプキン折り この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・手順を飛ばしてしまった ・手順が分からなくなった ・幅がずれてしまった ・左右の分量が揃っていなかった ・ナプキンの裏表を逆にしてしまった ・折る方向が間違っていた ・折り方がよくわからなかった 行動・環境 ・ビデオが早すぎてよくわからなかった ・ビデオを見て聞きながら、手を動かすのが難しかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 ナプキン折り 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・手順を飛ばしてしまった ・手順が分からなくなった ・幅がずれてしまった ・左右の分量が揃っていなかった ・ナプキンの裏表を逆にしてしまった ・折る方向が間違っていた ・折り方がよくわからなかった 行動・環境 ・ビデオが早すぎてよくわからなかった ・ビデオを見て聞きながら、手を動かすのが難しかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・ストップウォッチを押し忘れた ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(厚紙(折り目の目印)・マス目の書いてある下敷き) 目印をつける・完成品を置いておく 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 ピッキング この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・注文書に書かれていない品物を選んだ ・注文書で書かれていた品物の個数より多かった(少なかった) ・注文書に書かれていた品物の量を間違った(例 〇mg) ・注文書に書かれていた品物を取り忘れていた ・品物の合計計算を間違っていた ・品物を入れるビニール袋だけを持ってきてしまった ・品物を探せなかった 行動・環境 ・ストップウォッチの押し忘れ ・コンテナは使わず手に持って動いていた ・品物の置く作業台を使わなかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 ピッキング 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・注文書に書かれていない品物を選んだ ・注文書で書かれていた品物の個数より多かった(少なかった) ・注文書に書かれていた品物の量を間違った(例 〇mg) ・注文書に書かれていた品物を取り忘れていた ・品物の合計計算を間違っていた ・品物を入れるビニール袋だけを持ってきてしまった ・品物を探せなかった 行動・環境 ・ストップウォッチの押し忘れ ・コンテナは使わず手に持って動いていた ・品物の置く作業台を使わなかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・ルーペ) ルーラー・マーカー・レ点チェック・商品を読み上げる 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 重さ計測 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・g数の範囲を忘れてしまった ・g数の範囲を勘違い(聞き間違い)をしていた ・電子スケールの操作を間違えた ・大中小いずれかのボルトが、なかった ・赤砂と白砂を間違えた ・重さを図らずに報告した 行動・環境 ・ストップウォッチの押し忘れ ・「+2g」の計算が難しかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 重さ計測 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・g数の範囲を忘れてしまった ・g数の範囲を勘違い(聞き間違い)をしていた ・電子スケールの操作を間違えた ・大中小いずれかのボルトが、なかった ・赤砂と白砂を間違えた ・重さを図らずに報告した 行動・環境 ・ストップウォッチの押し忘れ ・「+2g」の計算が難しかった ・どこまでやったか、分からなくなった ・机の上がごちゃごちゃになってしまった ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が近くなり、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・手順書・アラーム・タイマー・ルーペ) メモ・指示内容を復唱する 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋やパソコン画面の明るさ) "聴覚刺激への対処 (作業時のみ耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン・パーテーション)" 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【振返り】 作業名 プラグ・タップ組立 この作業で心がけたこと 手順を間違えないようにしよう 早く終わらせよう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) やってみて感じたこと 簡単だった ・ 難しかった もっと(               )すればよかった 好きな作業だった ・ 好きではない作業だった 疲れた その他(                      ) 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・部品の取り付け方向が違った ・部品の取り付け位置が違った ・部品を取り間違えた ・部品をつけ忘れた ・組立手順を忘れた ・組立手順を間違えていた ・組み立てた個数が違っていた 行動・環境 ・ドライバーをうまく使えなかった ・ネジがうまく閉まらなかった ・細かくて向きがよく見えなかった ・机の上がごちゃごちゃになってしまった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 振返り・工夫検討シート~作業編~ 【今後の目標と工夫】 作業名 プラグ・タップ組立 【参考】 他の受講者によくある状況 結果 ・部品の取り付け方向が違った ・部品の取り付け位置が違った ・部品を取り間違えた ・部品をつけ忘れた ・組立手順を忘れた ・組立手順を間違えていた ・組み立てた個数が違っていた 行動・環境 ・ドライバーをうまく使えなかった ・ネジがうまく閉まらなかった ・細かくて向きがよく見えなかった ・机の上がごちゃごちゃになってしまった ・目がチカチカしてきた ・周囲の動きや物音に気をとられた ・何か他の事が頭に浮かんだ ・頭がぼんやりとしてきて、集中しづらくなった ・作業の終了時間が迫り、焦った ・作業が進まずイライラした 【注意】・続ける・見つける・同時・切替 【記憶】・覚える・保持する・思い出す 今後取り組むとしたら?(目標) 手順を間違えないようにしよう スピードはやくやろう ミスを減らそう、なくそう 困ったとき、迷ったときは質問しよう その他 (                      ) 工夫できることを考えてみよう★=やってみたもの〇=これから試したいもの 道具(ふせん・色付きのコンテナ・写真付き手順書) 手順に沿って部品を配置・ドライバーの使い方練習 確認(目視・指差し・( )回確認・「確認」を手順に含める) 視覚刺激への対処(机上整理・部屋や机の明るさ・パーテーション) 聴覚刺激への対処(耳栓・ノイズキャンセリングヘッドフォン) 休憩(頻度・時間・タイミング) 作業時間の設定(午前・午後はじめ・午後終わり) 作業実施日の設定(週初め・週半ば・週終わり) 指示者の工夫(伝え方・確認頻度・メモやボード) その他(                          ) 高次脳機能障害 特性チェックシートについて 【チェックシートの目的】 このチェックシートは高次脳機能障害について、様々な特性が職業生活にどのように影響しているかを全体的に把握するためのものです。 特性別に項目を分類していますが、専門的に判定をしようとするものではなく、多様で個人差が大きく、とらえにくいと言われる高次脳機能障害の特性を、具体的な職業生活場面に応じて整理し、支援の方向性や手立てを考えるヒントを得ようとするものです。            【回答の仕方】 それぞれの項目を見て、普段の職業生活のなかで受障によって生じたと思われることについて、「はい」、「ときどき」、「いいえ」の3つから1つを選び回答してください。 現時点で、自分のことをどのようにとらえているかを教えてください。正しいとか、間違っているということはありませんので、思ったとおりに答えてください。 項目の意味がわからないときには、空欄のままでかまいません。   【留意して頂きたいこと】 高次脳機能障害は、障害の内容や症状の現れ方が非常に多様であり、このチェックシートの項目でその全てを網羅している訳ではありません。 ご自身で障害の特性を把握したり、ご自身と家族など周りの方との障害認識の違いを確認するための補助的手段として活用いただけます。 なお、ご自身の症状等の専門的な判定については、主治医や医療機関にご確認ください。   【その他】 特徴的な項目のみ抜粋した簡易版もありますので、適宜ご活用ください。 記入日 氏 名 記入者氏名(対象者と記入者が別の場合) (対象者との関係:             ) 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 注意を向けるべき対象に適切に注意を向けること(選択性)や注意を長時間維持することが難しい(持続性)。複数の対象に同時に注意を払うこと(分配性)や状況に応じて注意の対象を切り替えることが難しい(転換性)。 注意障害 全般性 何となくぼんやりしていることが多い。 はい ときどき いいえ 会話があちこちに飛び、話にまとまりがない。 はい ときどき いいえ 選択性 周りの音や声に注意が散って作業ができない。 はい ときどき いいえ 誤字・脱字や計算ミスに気づけない。 はい ときどき いいえ 動作への安全性への配慮が不足し、安全確保のないまま動作を開始する。 はい ときどき いいえ 持続性 1つのことに長く集中して取り組めない。 はい ときどき いいえ 家事や趣味を始めても、すぐに疲れたり、あきたりしてやめてしまう。 はい ときどき いいえ 分配性・転換性(同時処理・切替) 作業手順の抜け、見落とし、誤字脱字、入力ミス、計算ミスなど、いわゆるケアレスミスが多い。 はい ときどき いいえ  複数のことを同時に行うと、どちらかがおろそかになる。(例:電話しながらメモを取る、作業している最中に指示されると抜ける) はい ときどき いいえ ひとつのことから他のことへ切り替えることができない。 はい ときどき いいえ 文書作成中に電話がかかってきたら、文書作成をいったん中断して、電話対応することができない。 はい ときどき いいえ 物事に熱中して他のことに気がつかない。 はい ときどき いいえ 2つ以上の指示をまとめて伝えると、いくつか抜ける。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 情報を覚えたり、保持したり、必要な時に引き出すことが難しい。 記憶障害 記憶障害全般 作業の手順が覚えられない。 はい ときどき いいえ  休憩時間をはさむと、どこまで作業してたのかわからなくなる。 はい ときどき いいえ  自分が話したこと、言われたことを忘れる。 はい ときどき いいえ  ある作業を指示された後に、別のことをすると、先に指示されたことを忘れる。 はい ときどき いいえ  何度も同じまちがいを繰り返す。 はい ときどき いいえ  2つ以上のことをまとめて伝えると、いくつか抜ける。 はい ときどき いいえ  前向性健忘 受障後に経験したことが思い出せない。(例:受障後に知り合った人の名前や顔がなかなか覚えられない) はい ときどき いいえ  新しいことを効率よく学習できない。 はい ときどき いいえ  逆向性健忘 受障前に経験したことが思い出せない。(例:家族や上司の名前を思い出せない) はい ときどき いいえ  エピソード記憶 発症前の仕事内容や思い出の記憶があいまいである。 はい ときどき いいえ  展望記憶 頼まれたことや予定・約束・日課を忘れる。(例:薬の飲み忘れ、相談日時を忘れる。) はい ときどき いいえ 約束があったことは覚えているが、何であったか思い出せない。 はい ときどき いいえ 意味記憶 言葉の意味が分からない。(例:日本の総理大臣は?と聞かれても総理大臣とは何かが分からない。) はい ときどき いいえ 手続記憶 意識せず、体が覚えているようなことはできる。(例:自転車に乗れる、タイピングができる、楽器の演奏、水泳など) はい ときどき いいえ ワーキングメモリ 話しているうちに、何を話しているかわからなくなる。 はい ときどき いいえ レジでお金を支払おうとしているうちに、いくらかわからなくなる。 はい ときどき いいえ 顔と名前 人の顔や名前を覚えられない。 はい ときどき いいえ 想起の困難 ヒントがあれば思い出せることが多い。 はい ときどき いいえ 道順 今いる場所がわからなくなる。道順がわからなくなる。(例:休憩中にトイレに行くと、さっきまでいた場所に戻れなくなる) はい ときどき いいえ 道具と場所 必要な道具の種類や置き場所が覚えられない。どこにしまったかわからなくなる。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 計画的に段取り良く行動したり、目標や予定を達成したり、変化にうまく対応して行動することが難しい。 はい ときどき いいえ 遂行機能障害 計画性の困難 手順が明確な作業はできるが、段取りや手順を自分で考えることができない。 はい ときどき いいえ 自分で1日の生活や作業などを計画して、過ごすことができない。 はい ときどき いいえ 「行き当たりばったり」な行動をする。 はい ときどき いいえ 行動の開始困難 周囲からの声掛けがないと、自分から物事を始めることができない。 はい ときどき いいえ 優柔不断で物事をなかなか決められない。 はい ときどき いいえ 時間の見積もりの困難 時間を見積ることができず期限に間に合わない、約束の時間に遅れる、または、早く着き過ぎる。 はい ときどき いいえ モニタリングの困難 計画変更の困難 行動修正の困難 1つの作業にこだわり、時間内にやるべき仕事が終わらない。 はい ときどき いいえ 目の前の出来事に気を取られて、やるべき事がおろそかになる。 はい ときどき いいえ 作業の進捗管理ができない。 はい ときどき いいえ 新しい規則やルールに柔軟に切り替えられない。(例:一度失敗したやり方でまたやろうとする) はい ときどき いいえ 普段と違うことが起きたり、急な予定変更があったときに、どう対処してよいかが分からず、必要以上に慌てたり混乱する。 はい ときどき いいえ 段取り・要領が悪い 効率的・効果的な問題解決の困難 家事や作業を行うとき、段取りや効率が悪い。 はい ときどき いいえ 新しい仕事の習得に時間がかかる。 はい ときどき いいえ スピードや正確さを向上させるための工夫を自分で考えることが難しい。 はい ときどき いいえ 複数の担当作業があると、優先順位の判断が難しい。 はい ときどき いいえ 先を見越した行動がとれない。 はい ときどき いいえ 試行錯誤をするが、結果として同じことを繰り返してしまう。 はい ときどき いいえ 困った時に、誰かに相談することができない。 はい ときどき いいえ 整理整頓の困難 持ち物や道具の整理整頓ができない。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 事物や空間の左右どちらかに注意が向きにくくなる(多くの場合は左側)。 はい ときどき いいえ 半側空間無視 左側にある人や物を無視する。(例:ドアの左側にぶつかったり、左側にある食べ物に気づかないなど)  はい ときどき いいえ 自分の左側に置いた持ち物を置き忘れる。 はい ときどき いいえ 作業上の見落としが特に左側に多い。(例:清掃作業で左側のゴミの取り残しがある) はい ときどき いいえ 左から話しかけられても気がつかない。 はい ときどき いいえ 横書きの数字を1桁読みまちがえる。(例:12,800円→▮2,800円、14時→▮4時) はい ときどき いいえ 左の道を見落として道にまよう。 はい ときどき いいえ 横書き文章の文頭の文字や単語を見落とす。 はい ときどき いいえ 読書のときに、改行して読めず、意味がわからない。 はい ときどき いいえ 8と3(6と5)を見まちがえる。 はい ときどき いいえ パソコン画面の左側にある文字を見落とす。 はい ときどき いいえ 文字を書くときに、文字が紙の右側による。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 感覚には問題がないが、ある特定の感覚(視覚、聴覚など)を通した時だけ、それが何なのか分からなくなること。 はい ときどき いいえ 失認 視空間失認 見えているはずなのに手探りで探すことがある。 はい ときどき いいえ 鍵を鍵穴に差し込むのに手間取る。 はい ときどき いいえ アナログ時計が読めない。読みまちがえる。 はい ときどき いいえ 地誌的障害(道順障害) 方向・方角をよくまちがえる。よく知っているはずの場所で道にまよう。 はい ときどき いいえ 地誌的障害(街並失認) よく知っているはずの風景や建物を見てもわからない。 はい ときどき いいえ 地図や、展開図、見取り図が理解できない。 はい ときどき いいえ 物品を目視で数えられない。 はい ときどき いいえ 目分量で半分や3等分に分けることができない。 はい ときどき いいえ 清掃作業において、「どこまで済ませたか」がわからなくなる。 はい ときどき いいえ 表計算などの作業において、行と列の関係が理解しにくい。 はい ときどき いいえ 形の似た部品、左右対称形の部品をまちがえる。  はい ときどき いいえ 「右」「左」「手前」「奥」など空間関係を表す言葉を含む指示に対応できない。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 慣れているはずの動作や行為が、麻痺などの運動障害や感覚障害がないのにスムーズにできなくなる。 はい ときどき いいえ 失行 構成障害 着衣障害 失行 歯ブラシやハサミ、爪切りなど、使い慣れた道具の持ち方や使い方にまよう。 はい ときどき いいえ 手を振るなどのちょっとした動作やジェスチャーがうまくできない。 はい ときどき いいえ 構成障害 文字の形が崩れる。仮名よりも画数の多い漢字を書くことが難しい。 はい ときどき いいえ 絵がうまく描けなくなった。簡単なパズルができなくなった。 はい ときどき いいえ 図表の作成や文章のレイアウトが難しい。 はい ときどき いいえ 組立作業に時間がかかる。誤って組み立てても気づかない。 はい ときどき いいえ 着衣障害 身支度を整えるのに時間がかかる。 はい ときどき いいえ 服の前後や裏表をまちがえたり、袖にうまく腕が通せない。 はい ときどき いいえ 主な症状 通常より疲れやすい。あまり活動をしていないのに心身に疲労を感じる。 はい ときどき いいえ 易疲労 一定時間作業を継続すると、ミスが増えたり、話を理解しにくくなる。 はい ときどき いいえ 一定時間作業を継続すると、集中力、注意力が低下する。 はい ときどき いいえ 長時間座っていることができない。 はい ときどき いいえ 反応したり、対応する余裕がなくなりやすい。 はい ときどき いいえ 疲れていることに自分で気づかない。 はい ときどき いいえ 日中の眠気が強い。 はい ときどき いいえ 主な症状 自分の病気や障害を理解している。 はい ときどき いいえ 気づき 自分の障害の内容、状態を理解できている。 はい ときどき いいえ 以前と同じように作業も生活もできると思う。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 会話や読み書き、計算など、言語を使う行為に困難が生じる。 はい ときどき いいえ 失語 聴く 口頭のみの説明では、作業手順を十分に理解できない。 はい ときどき いいえ 会議などの複数の相手のいる場面では、話についていけない。 はい ときどき いいえ 相手の話がよくわからなくても「うん、うん」と言ってしまうことがある。 はい ときどき いいえ 複雑な話や抽象的な話題は、理解が追いつかない。 はい ときどき いいえ 耳で言葉を聞いてわからなくても、文字を見ればわかることがある。 はい ときどき いいえ 電話などの言葉以外の手がかりがない状況での会話が難しい。 はい ときどき いいえ 話す 言葉が出づらかったり、言いまちがえをする。 はい ときどき いいえ 「えーっと」と言いよどんだり、「あれ」、「それ」や回りくどい表現になる。 はい ときどき いいえ 同じ言葉でも、その時々で言えたり言えなかったりする。 はい ときどき いいえ 錯語がある。(例:机を見て、椅子と言うなど) はい ときどき いいえ 読む 文字・文章を読むことが難しい。 はい ときどき いいえ 文字のみの手順書では、十分に理解できない。 はい ときどき いいえ 新聞記事や小説など、長い文章の理解が難しい。 はい ときどき いいえ 平仮名やカタカナよりも、漢字の方がわかりやすいことがある。 はい ときどき いいえ 文字や文章を見てわからなくても、耳で聞いたり、指で文字をなぞるとわかる。 はい ときどき いいえ 自分で書いた文字が読めないことがある。 はい ときどき いいえ 書く 書いて表現することが難しい。 はい ときどき いいえ まとまった文章を書くことが難しい。 はい ときどき いいえ 文章を書くときに、助詞(てにをは)など、文法的なあやまりが生じる。 はい ときどき いいえ 漢字が思い出しにくい。 はい ときどき いいえ 話しながらメモを取ることが難しい。 はい ときどき いいえ コンピューターのキーボードを使った文字入力が難しい。 はい ときどき いいえ 計算 以前にできた簡単な計算ができない。 はい ときどき いいえ 九九が思い出せない。 はい ときどき いいえ 計算式を立てることが難しい。 はい ときどき いいえ 数字そのものの概念が理解できない。 はい ときどき いいえ 高次脳機能障害 特性チェックシート 下記の障害特性について自分に当てはまるかどうか、次の三択で回答してください。 主な症状 行動や言動、感情をその場の状況にあわせてコントロールすることが難しい。 はい ときどき いいえ 社会的行動障害 意欲・発動性 自発的に行動できない。何事にもやる気がないように見える。 はい ときどき いいえ 頭が働かず、考えや言葉が思い浮かばない。 はい ときどき いいえ 欲求コントロール 待つことができない。落ち着きがなく、じっとしていられない。 はい ときどき いいえ 欲しいものが我慢できずに、無計画にお金を使う。 はい ときどき いいえ 間食や嗜好品(タバコ・アルコール)を過剰に摂取する。 はい ときどき いいえ 日常生活に支障が出るほど、パチンコなどのギャンブルがやめられない。 はい ときどき いいえ セクハラ的な言動をする。  はい ときどき いいえ 感情コントロール 少しの刺激でイライラして、すぐに機嫌が悪くなる。 はい ときどき いいえ 攻撃的な言動をしたり暴力をふるう。 はい ときどき いいえ 腹が立ったことをなかなか忘れられない。 はい ときどき いいえ 急に泣く、笑う、怒るなど感情の起伏が激しくなる。 はい ときどき いいえ 対人技能 他者に過度なおせっかいをする。嫌がられてもやめない。 はい ときどき いいえ 他者の気持ちを傷つけたり、場の雰囲気をこわすような発言や行動をする。 はい ときどき いいえ 誰にでもなれなれしい態度をとる。 はい ときどき いいえ 依存性退行 自分でできるようなことでも、すぐ他人に頼ろうとする。 はい ときどき いいえ 年齢や立場に合わない子供っぽい言動をする。 はい ときどき いいえ 固執性 ひとつの物事にこだわる。作業の手順やルールの変更に対応できない。 はい ときどき いいえ 何か気になることがあると、そのことばかり言う。 はい ときどき いいえ 「社会は、~であるべき」というような自分の価値観を他者に押しつける。 はい ときどき いいえ 周囲からの助言を聞かない。 はい ときどき いいえ 気分が落ち込む 気分が落ち込んでいる。気持ちが沈んで暗い。 はい ときどき いいえ 自分は価値のない人間だと考える。 はい ときどき いいえ Ⅱ プログラム中間時アンケート Q プログラムを参加する中で、これから「知りたい」「確認したい」「試したい」ことはありますか(複数回答可)? ☐ 働くための基礎体力 ☐ 自分ができそうな仕事の内容 ☐ 作業工程を覚えるための工夫 ☐ 自分にとって働きやすい職場の環境 ☐ できる作業、苦手な作業の洗い出し ☐ 自分にとって働きやすい雇用条件 ☐ ミスを減らす、スピード向上の工夫 ☐ 就職(復職)までの準備すること ☐ 忘れない、見落とさないための工夫 ☐ スケジュールの管理方法 ☐ 集中できる時間や環境の確認する ☐ アピールポイントの洗い出し ☐ 疲れず続けるための工夫 ☐ 職場でのコミュニケーションの練習 ☐ 自分の特性を確認する ☐ 特性、症状について職場への説明方法 ☐ イライラや不安が出た時の対策 ☐ 作業計画を立てて行う(自立性) ☐ 生活リズムを整えるための工夫 ☐ 同じ障害のある方との意見交換 ☐ その他(            ) ☐ その他(            ) プログラムを開始したときと今(中間)で、違いを感じることはありますか? 【自分で、自分自身が変わったと思うこと】 【自分では思わないが、家族や友人、主治医等から言われること】 プログラムを受講している中で、心配なことはありますか? 職員の対応やプログラムの環境について気になることはありますか? ご協力ありがとうございました。 障害者職業総合センター職業センター実践報告書No.42 高次脳機能障害者の自己理解を進めるための支援技法の開発 発 行 日 令和7年3月 編集・発行 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター 所在地:〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 電話:043-297-9043(代表) URL:https://www.nivr.jeed.go.jp 印刷・製本 株式会社 コームラ この成果物の著作権の取扱いについては、著作権法及び当機構の規程(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページを参照) の定めるところによるものとし、ご利用なさる方は著作権法で認められている範囲を逸脱しないように、文化庁の著作権に関するサイト等をご確認いただき適切なご利用をお願いします。 当機構ホームページ「著作権・免責・リンク」 https://www.jeed.go.jp/general/copyright/index.html ISSN 1881-0381