実践報告書 令和7年3月 No.41 ジョブデザイン・サポートプログラム 職場復帰に向けた調整のための 効果的なアセスメントの 実施方法 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター はじめに  障害者職業総合センター職業センターにおいては、気分障害等の精神疾患により休職中の方々の職場への再適応を支援し、離職の防止と雇用の安定を図るための精神障害者職場再適応支援プログラム(JDSP :Job Design Support Program)を実施し、職場復帰に向けて必要となる各種スキルの習得等に係る効果的な支援技法の開発・普及に取り組んでいます。  精神障害者の職場復帰支援を効果的に実施するためには、支援の準備段階において、休職者と事業主が捉えている課題やリワーク支援で取り組む目標等をすり合わせ、共通認識を持つことが重要です。しかし、職場復帰支援の開始段階で行うアセスメントの実施方法は、休職者の状況にもよりますが地域センターごとに様々な手法が用いられ、体系的に整理されているとは言えない状況です。  そこで、本実践報告書では、事業主と休職者が職場復帰に向けた合意形成を行う際のポイント、合意形成後の円滑な支援や職場環境の調整等につなげるための支援ツール等を整理し、取りまとめることとしました。 厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査」の結果によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は、50~99人規模の事業所では28.2%、1000人以上規模の事業所では91.2%となっています。円滑な職場復帰及び職場復帰後の再休職を予防するための有効な手段の一つとして、事業場外資源による職場復帰支援が挙げられますが、地域障害者職業センターが実施するリワーク支援のみならず、医療機関におけるリワーク支援の拡大や、障害福祉サービス事業所での取組等、リワーク支援の裾野が広がってきています。  このように、円滑な職場復帰を支える支援が今後さらに必要とされることが見込まれる中にあって、本実践報告書が、様々な機関の職場復帰支援において活用され、職業リハビリテーションサービスの質的向上の一助となれば幸いです。 令和7年3月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 職業センター 職業センター長    那須 利久  職場復帰に向けた調整のための効果的な アセスメントの実施方法 目 次 第1章 JDSPの全体構成と開発の背景  1 職業センターにおける気分障害等のある方のための職場復帰支援  3 2 JDSPについて  4 3 開発の背景と目的 (1)地域障害者職業センターに対するニーズ調査結果  5 (2)開発の目的  7 第2章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメントの際に活用できる 支援ツールとその活用方法  1 支援目標の設定、支援計画作成に活用できる支援ツール  (1)休職者との調整    ア 情報共有シート(2024版)  11    イ 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版)  15    ウ 復職に向けた行程整理シート(2024版)  17    エ 生活記録表  20    オ 復職に向けた取組整理シート  23  (2)事業所との調整   ア 情報共有シート(2024版)  25  (3)医療機関との調整    ア 主治医の意見書(JDSP版)  25    イ 主治医の先生へ確認をお願いしたいこと  28  (4) 支援者間での方針検討    ア 支援計画を立てるための情報整理シート  31 2 支援方針の検討に活用できる支援ツール  (1) 休職の経緯と対処方法の整理シート  34  (2) 復職者の集い~受講者の動機づけの機会としての活用~  35  (3)ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版)  36 3 事業所との職場復帰の調整に活用できる支援ツール   (1)復職レポート(様式例)  41  (2)復職者の集い~修了者のフォローアップとしての活用~  45 第3章 地域センターにおけるアセスメントの工夫例  1 グループヒアリングにより把握した工夫例の紹介   (1)支援計画を立てるためのアセスメントの方法・工夫例  52    ア 休職者からの情報収集の工夫  52    イ 事業所からの情報収集の工夫  53    ウ 主治医からの情報収集の工夫  56  (2) コーディネートの手順や考え方、実施にあたっての工夫例  57  (3)休職者や事業所に対する説明の工夫例  59  (4) リワーク支援への動機づけ・積極性の促進の工夫例  60  (5) 事業所との職場復帰に向けた調整の工夫例  61 第4章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメント実施の際のポイント     及び留意点  1 職場復帰に向けた調整のためのアセスメント実施の際のポイント   (1)休職者本人の持っている力を活かし、「主体性」を尊重する   65  (2)個別性・多様性の把握  65  (3)三者で支援目標を共有しベクトルを合わせる   66  (4) 職場復帰に向けた行程の可視化・見通しの共有   67  (5) 情報の可視化~シートを活用する良さを活かす~   67  (6) 休職者の納得性を高める~体験と振返り~   68 2 職場復帰に向けた調整のためのアセスメントにあたっての留意点   (1) 個人情報の取扱い   69  (2) 休職者、事業所担当者、主治医との関係構築にあたっての留意点 69 (3)休職者や事業所との「相談」にあたっての留意点   70 第5章 まとめ   73 付録 資料集   77 第1章 JDSPの全体構成と開発の背景 第1章 JDSPの全体構成と開発の背景 1 職業センターにおける気分障害等のある方のための職場復帰支援  障害者職業総合センター職業センター(以下「職業センター」という。)では、平成6(1994)年度から精神障害者の新規の雇用を進めるための支援技法の開発に取り組んできました。 その一方で、在職中に精神症状が悪化する等により休職となった精神障害者に対する職場復帰支援については、職業リハビリテーションの観点に基づくノウハウが構築されておらず、精神障害者の雇用を促進していく上での課題となっていました。このため、職業センターでは、平成14(2002)年度から平成15(2003)年度にかけて、現職復帰を目的に、気分障害を主たる対象とした「在職精神障害者の職場復帰支援プログラム(以下「リワークプログラム」という。)」を実施し、支援プログラムの開発に取り組んできました。ここで培われたノウハウは、全国の地域障害者職業センター(以下「地域センター」という。)が、平成17(2005)年10月から精神障害者総合雇用支援の一環として開始した、精神障害者の職場復帰支援プログラムに引き継がれました。  職業センターにおいても、リワークプログラムの実践を踏まえ、平成16(2004)年度からキャリア再構築等の視点を取り入れた休職中の気分障害等のある方(以下「休職者」という。)のための精神障害者職場再適応支援プログラム「ジョブデザイン・サポートプログラム(Job Design Support Program)」(以下「JDSP」という。)を実施し、時代に応じた課題やニーズを踏まえて支援技法の開発、改良及び普及を行ってきました。  職業センター及び地域センターで実施する職場復帰支援は、休職者のスムーズな職場復帰とともに、復帰後に健康的で安定した職業生活が送れるよう、職場再適応を目指した職業リハビリテーションであり、休職者、事業主※1双方に対して、主治医の助言も得ながら必要な支援を行っています。また、支援の開始に向けた手続きとして、休職者、事業主または主治医のいずれかからの支援要請を受けた後、職場復帰に向けた支援の進め方、目標等の支援計画を三者に説明し、同意を得た上で実施することとしています。  本実践報告書における「職場復帰支援」は、職業センター及び地域センターで実施している三者の合意形成を経て行う支援のことを指します。精神障害者の職場復帰支援プログラムは、職場復帰に向けた活動についての合意形成を図るための支援(以下「職場復帰のコーディネート」という。)及び職場復帰支援の計画に基づく支援(以下「リワーク支援」という。)により構成されます(図1参照)。 図1 職場復帰支援の内容 2 JDSPについて  現在、JDSPでは、プログラムで習得を目指す知識やスキルを、①生活習慣、②ストレス対処、③コミュニケーション、④仕事の取組み方・働き方の4つのテーマに分類しています。それらのテーマを学びながら、受講者自身が自らの職業生活を多角的に分析し、休職要因を振り返り、再休職予防策が検討できるよう支援しています(図2参照)。 図2 ジョブデザイン・サポートプログラムの構成図 3 開発の背景と目的 (1) 地域障害者職業センターに対するニーズ調査結果  精神障害者の職場復帰支援を効果的に実施するためには、支援の準備段階において、休職者と事業主が捉えている課題やリワーク支援で取り組む目標等をすり合わせ、共通認識を持つことが重要です。  前述のとおり、地域センターで実施するリワーク支援では、支援開始の段階で、休職者・事業主・主治医の三者から職場復帰に係る必要な情報を収集します。職場復帰に向けた課題や目標等を整理する等のアセスメント結果に基づいて策定した支援計画を三者に説明し、同意を得た上で支援を開始する流れとしています。  令和5(2023)年に47の地域センター及び多摩支所の計48所を対象に「支援技法の開発ニーズ等に関するヒアリング調査」(以下「地域センターヒアリング」という。)を実施しました。職場復帰に向けて課題や目標等を整理するために、休職者・事業主・主治医から情報収集をする上で難しさを感じることの有無を確認したところ、「情報収集する上で難しさを感じることがある」及び「時々ある」といった回答が多くみられました(図3)。 図3 情報収集する上で難しさを感じることの有無(n=48)                   具体的には、休職者・事業主・主治医それぞれとのコミュニケーションの取り方や情報の把握の仕方、課題認識や職場復帰に対する考えが異なる際の共通認識の形成に向けた調整の仕方に難しさを感じるとの意見や苦慮しているとの意見が聞かれました(表1)。   表1 難しさを感じる・苦慮していること(抜粋) 難しさを感じる・苦慮している例 休職者との調整 <情報収集・整理の難しさ> ・初期の相談時に休職者本人が本音や事情、経緯等を話さない、自己開示しない  (具体的な状況がつかみきれないままリワーク支援が始まってしまうことがある) ・休職者本人の話だけでは事実が把握しづらい (客観的事実と主観や感情が入り乱れる等) ・言語化や表現が苦手  (自身の状況を把握できていない場合、発達障害の特性がベースにある等) <認識の不一致> ・休職者本人が認識している状態や課題認識、不調に至った原因の認識が事業主や主治 医と異なる  (事業主からの説明を意図とは異なる捉え方をしている又は説明がされていない等) ・他責的、他罰的な傾向が強い  (休職要因は全て職場環境側の問題であると訴える等) <動機づけ> ・事業主からリワーク支援を勧められたが、休職者本人は支援を受けることに消極的 事業主との調整 <事業所内の情報共有・情報収集への協力依頼> ・窓口担当者(人事、産業保健スタッフ等)が休職者の職場での状況や働きぶりを知らない ため、何につまずいているのか把握できていない(逆に窓口担当者が職場の上司のみの場合、制度を把握していないこともある) ・人事担当者、直属の上司、産業保健スタッフ、産業医等、それぞれの休職者に求める復職の条件や考えが異なり、目標設定が困難(苦慮する) ・事業主がリワーク支援に懐疑的、後ろ向き(情報提供の協力が得られにくい) <目標設定(期待との調整)> ・事業主の休職者への要求内容が高い、妥当でない(性格や特性の変容を求められる) 主治医との調整 <主治医との情報共有・協力の得方> ・主治医が多忙、診察時間が短く、考えを聞きづらい ・支援者の受診同行が認められず、対面で相談できない ・客観的な助言が得られない (休職者の希望を優先している、休職者の職場での状況が伝わっていない等) ・主治医がリワーク支援の利用に納得していない、積極的でない (職場の環境調整や改善 が優先等の理由でリワーク支援を受ける意味がないと感じている等) その他 <リワーク担当カウンセラーの不安> ・どのような情報を収集するといいのか整理できていなかったり、場当たり的な対応になってし まうことがある ・休職者、事業主双方の立場や考えを大事にしつつ、職場復帰に向けたイメージや目標をす り合わせていく「調整力」をどのように高めることができるか ・自死リスクのある方など、何かあった時のリスク管理に不安を感じる  さらに、令和6(2024)年に職場復帰支援を担当している16の地域センターの障害者職業カウンセラー及びリワークカウンセラー計31名に対して実施したグループヒアリングにおいても、概ね表1と同様の意見が聞かれました。  また、職場復帰支援を進める上で参考にしたいノウハウについてアンケートを実施したところ、表2のような事項があげられました。 表2 職場復帰支援を担当する者にとって参考にしたいこと 職場復帰に向けた調整において参考にしたいこと、工夫している点・留意点 ・支援計画を立てるための情報収集・情報共有の方法や工夫している点 ・コーディネートの手順や考え方、実施にあたって工夫している点 ・休職者本人や事業主に対する説明の際の工夫 ・休職者本人に対するリワーク支援への動機づけの工夫 ・事業主との職場復帰に向けた調整の際に工夫している点・留意点 (2) 開発の目的  これらの調査等を通じて、職場復帰支援の開始段階で行うアセスメントの実施方法は、休職者の状況にもよりますが地域センターごとに様々な手法が用いられ、体系的に整理されているとは言えない状況が窺えます。  そこで、本実践報告書では、職場復帰支援において、休職者と事業主が職場復帰に向けて合意形成を行う際のポイントや、合意形成後の円滑な支援や調整につなげるための支援ツール等を整理し、取りまとめることとしました。    ※1 第1章でいう「事業主」とは、労働関係の法律上で定義されている、労働者を雇用し事業を行う法人または個人のことを指します(事業を行う代表者を限定して指す意味ではありません)。 職場復帰にあたっては、さらにその事業活動が実際に行われる場所や担当者ごとに様々な確認を行っていくことから、第2章以後では、職場復帰を行う環境・拠点を指す言葉を「事業所」、その事業所で職場復帰の調整を行う者を「事業所担当者」と呼ぶこととします。 【参考文献】 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.20「精神障害者の職場再適応支援    プログラム実践集(2)~気分障害者に対する復職支援の実践~」(2007年) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.37「精神障害者職場再適応支援  プログラム ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成~プログラムの具体的内容と支援の実際~」(2021年) 第2章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメントの際に活用できる支援ツールとその活用方法 第2章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメントの際に活用で きる支援ツールとその活用方法 1 支援目標の設定、支援計画作成に活用できる支援ツール  JDSPは、休職者、事業所担当者、主治医等のいずれかからの支援要請を受けて支援を開始します。職場復帰のコーディネートの際には、休職者や事業所担当者からは、対面や電話、オンラインにより相談や情報収集を行っています。主治医からは書面(主治医の意見書)や電話により意見を伺い、これらの情報を踏まえて支援計画(案)を作成しています。支援計画(案)を作成したのちに、休職者、事業所担当者、支援者の三者面談の機会を対面あるいはオンラインで設ける、あるいは通院同行を行う等により三者(休職者、事業主及び主治医)の同意を得た支援計画に基づき、JDSPの支援を開始します。  職場復帰に向けた支援目標や支援計画はケースにより様々です。休職者の状態(病名や症状、自分自身の疾病やストレス対処に関する理解等)は個人差が大きく一人一人異なります。事業所についても職場復帰に関する制度や進め方、社内の体制や事業所の職場復帰対応の経験の有無等一社一社異なり、多様です。支援者は、休職者と事業所それぞれの個別性や多様性を踏まえて一ケースごとに個別に支援目標を設定し、支援計画を作成することが求められ、そのためのアセスメントが重要となります。  ここでは、支援目標の設定や支援計画作成のためのアセスメントの際に個別性・多様性を踏まえて活用できる支援ツールとその活用方法を紹介します。 (1) 休職者との調整  ア 情報共有シート(2024版)  JDSPにおいて「情報共有シート」は、休職者と事業所担当者間での職場復帰の調整における基本情報の共有を円滑に進めるために使用しています。休職・職場復帰に関する社内規程や制度、職場復帰可否の判断基準を可視化し整理するため、MSFAS第3版(Ⅳ)「事業所情報整理シート(支援者用)」※ や「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」※ を参考に平成31(2019)年に職業センターで作成したものです。  リワーク支援の受講に向けて、休職者が主体となって情報共有シートを用いて情報収集することは、休職者が社内規程等の職場復帰に向けた基本情報を確認する機会にもなっていました。事業所担当者にとっても、休職者が職場復帰を希望し、リワーク支援の受講に向けて具体的に動き出していることを知る、又は職場復帰に向けた流れ等を休職者へ伝える機会となっていました。  一方で、従来のシートでは社内規程等は把握できるものの、記載内容からは事業所担当者が休職者の職場復帰に対してどのように考えているのか等は確認しづらく、休職者や支援者から個別に電話等で確認する必要がありました。また、情報共有シートを活用する支援者からは、休職者と内容を共有することを前提とした表現にしてはどうか、記入しやすいように例を設けたらどうか等の声が聞かれました。  そのため、情報共有シート(2024版)は、職場復帰に向けた基本情報に加えて休職者と事業所担当者がそれぞれ考える、リワーク支援で取り組めるとよい課題等を共有できるよう、専門家の助言を得ながら項目の表現の見直しや記入例の追加等の改良を行いました。  JDSPでは、職場復帰のコーディネート期間に情報共有シートの使用目的や記入方法を休職者へ説明し、休職者が主体的に情報収集を進めるよう促し、休職者と事業所担当者で必要に応じて連絡を取り合い、情報共有シートを作成していただいています。休職者と事業所担当者それぞれの担当箇所を記入する、休職者と事業所担当者で面談を行い記入する等作成方法は様々です。 ※2「MSFAS」とは、幕張ストレス・疲労アセスメントシート/Makuhari Stress and Fatigue Assessment Sheetの略です。どんな時にストレスや疲れを感じる傾向があるのかを整理し、今後自分にあった対処方法を検討するために活用できるシートです。詳細については参考文献 「幕張ストレス・疲労アセスメントシート MSFASの活用のために(2010)」を参照ください。 ※3「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」とは、厚生労働省、独立行政法人労働者健 康安全機構が発行しているガイドラインです(法的な規制ではありません)。 〔資料1〕 情報共有シート(2024版) 情報共有シート(2024版) ○○センター 担当:○○ TEL:000-000-0000 e-mail:○○@○○   職場復帰支援を行うにあたり、支援の方法や方向性を検討する参考にさせていただくために、ご本人様と事業所ご担当者様へ本シートの作成についてご協力をお願いいたします。 ◆事業所ご担当者様  項目により、複数の方にご記入いただいても構いません。  本シートへの記載事項や復職条件等に係る確認のため、当センター職員よりご担当者様あてご連絡させていただく場合がございます。 氏名 生年月日   年    月    日 (     歳) 住所 〒 連絡先(電話番号) 〔最寄り駅      線      駅〕 事業所名 所属部署 役職 事業内容 従事業務 勤務地 〒 通勤時間 移動手段 : 〔最寄り駅      線      駅〕         時間    分 勤務日数    週      日 勤務時間 :         ~          :           通院先 主治医 通院頻度 事業所 担当者 窓口となる方に「〇」 氏名・役職 連絡先 (電話番号) 備考 人事担当        健康管理スタッフ   上司          産業医         その他        休業開始日   年   月   日 現在の状況   有給休暇 ・ 病気欠勤 ・ 休職 ・ その他(            ) 事業主の定める休職期間     年   月   日 ~    年    月   日  (   年   か月間) 休職回数   回目  休職中の収入    休職前の収入の      % (受給期間      年     月まで) 備考 事業主の職場復帰に対する考え リワーク支援の利用 必須  ・  必須ではない リワーク支援の報告会 必須  ・  必須ではない 定期報告 必須  ・  必須ではない 中間 ・ 終了 復職前のリハビリ出勤 必須  ・  必須ではない  ・  制度なし その他 職場復帰後当面の間の取扱い 事業主の考え 備考     時間外勤務 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )           休日出勤 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )     宿泊を伴う出張 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )     勤務時間の軽減 ( 1日     時間から開始可能 ・ なし )     勤務日数の軽減 ( 週     日から開始可能 ・ なし )     部署等の異動 ( 可能性あり ・ 原則不可 )     職務調整 ( 調整の余地あり ・ 調整の余地なし )     その他 (                               ) 職場復帰 の流れ [例]主治医の職場復帰可能の判断→産業医面談→復職 職場復帰可否の判断基準 [例] リワークの出席率●%以上、十分な就労意欲がある、安全に通勤できる、疲労が翌日までに回復する、日中の眠気がない、業務遂行に必要な注意力や集中力が 回復している、その他達成して欲しいと思われることなど。 休職前の業務内容・業務遂行状況 [例]データ分析、提案書作成(PC使用)。Excelスキルはあり、図表を活用して提案書作成はできているが、締切間近の提出が続いていた。 リワークの中でご本人に 取り組んで欲しいこと [例] ①指示通りに業務を遂行できるようになる、②進捗報告、体調不良等不安なことについて相談ができるようになる。 ※ 複数の事項がある場合には、優先順位を記載してください。 ご本人の職場復帰に対する考え [記載項目例]復職時期、配属先、職務内容に関する希望など <構成> ※ 色は網掛けの色を指します。 ・灰色:休職者や事業所の属性等を記入する欄 ・黄色:職場復帰について事業所担当者の考えや事業所の制度等を記入する欄 ・水色:職場復帰についての休職者の考えを記入する欄 <使用目的> ・休職者と事業所担当者の間で職場復帰に関する情報を確認・共有できます。 ・支援者とも内容を共有することができ、リワーク支援で取り組む目標を検討する際等に役立てることができます。 <使用方法・活用のイメージ> ・情報共有シートの記入者は休職者と事業所担当者です。 ・一枚のシートを休職者と事業所担当者それぞれの方が記入するため、休職者と事業所担当者の間で職場復帰に向けたコミュニケーションを図る機会となります。 ・職場復帰に向けて、「自分で調整・情報収集する」という経験を通じて、休職者が主体的に取り組むことを意識づける効果もあります。 ・リワーク支援での目標設定は、休職者だけではなく事業所担当者や主治医の意見を踏まえる必要があります。情報共有シートは、事業所担当者の意見を確認する方法の一つとして活用できます。 <留意点> ・全ての情報を一度に集める必要はありません。空欄箇所については、リワーク支援を行う中でヒアリングを行う等随時収集します。 ・情報共有シートのみで事業所担当者の意見を全て確認できるわけではありません。支援者は、事業所担当者とコミュニケーションを図るきっかけとして情報共有シートを活用し、確認を行います。 <2024版への改良ポイント> ①説明文の追加 ・情報共有シートを作成する主旨の説明や担当者の連絡先の記入欄を設けています。事業所内でも項目によって人事・労務担当者や産業保健スタッフ、直属の上司等情報を把握している方が異なる場合もあります。事業所内で職場復帰に関わる方々同士のコミュニケーションを図る機会としても活用いただけるよう、「複数の方にご記入いただいても構いません」と文言を追加しています。 ②職場復帰後の当面の取扱い、制度上可能な配慮の確認 ・社内規程等の制度における時間外勤務や休日出勤等の取扱いについて確認しています。対応可能な取扱いについて、休職者、事業所担当者間で共有できると、職場復帰後の働き方の選択肢がイメージできるようになります。 ・リワーク支援中に制度を踏まえた休職者の希望を整理することにより、職場復帰に向けた調整段階でより現実的な希望を事業所担当者へ伝えることができます。 ③「職場復帰の流れ」欄を追加 ・リワーク支援終了以降の職場復帰の流れが明確になることで、休職者が職場復帰に向けた見通しを持つことができ、不安の軽減等につながります。 ④「休職前の業務内容・業務遂行状況」欄を追加 ・休職前の業務遂行状況は休職者の話だけでは客観性に欠けることも多く、多角的に情報を集めることでより正確な把握が可能になります。休職者だけではなく、事業所担当者からも状況を確認することで、職場復帰に向けた課題の抽出や目標のすり合わせがスムーズになります。 ・課題だけではなく、できていた部分や評価できる点等も記入いただくことで、休職者のリワーク支援の受講や職場復帰に向けたモチベーションが高まることが期待できます。事業所担当者にとっては、休職者の力が発揮できる業務や環境へ目を向けることができ、職場復帰に向け職務を再検討する際の活用が期待できます。 ⑤「リワーク支援の中で事業所として取り組んで欲しいこと」欄を追加 ・リワーク支援の中で取り組む目標を休職者、事業所担当者との間ですり合わせ、共通認識のもとで進めていくために、事業主の意見を記入いただく欄を設けました。 ・リワーク支援で取り組める内容には限りがあるため、優先順位も併せて確認できるようにしています。 情報共有シートを活用する効果  JDSPを利用する休職者の中には、職場復帰にあたり、社内制度や必要な手続きを詳しく知らない休職者も多くいます。情報共有シートの記入を通じて、職場復帰に向けて必要な事柄を休職者が自然に確認できる流れとなっています。  休職者の中には、事業所担当者から提出された情報共有シートを見て「初めてリハビリ勤務制度があることを知った」等今まで知らなかった情報が含まれていることもあります。支援者は、休職者と一緒に記載内容を確認することで、休職者が抱える不安等を共有しながら、事業所担当者に確認する事柄を具体化し、休職者が主体的に確認できるよう支援しています。  イ 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版)  「職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版)」(以下「目標チェックリスト」という。)は、休職者が職場復帰に向けて取り組む目標を明確にし、その達成度を確認するために作成したものです。支援マニュアルNo.19「気分障害等の精神疾患で休職中の方の職場復帰支援における事業主との調整」で紹介したものを、過去のJDSP受講者が職場復帰に向けて取り組んだ内容を踏まえて改良しました。  職場復帰に向けてリワーク支援で取り組む目標は、事業所担当者から示され、共有された職場復帰可否の判断基準をもとに設定することが多いと考えられますが、その項目は、そのまま目標とできる具体的なものの場合もあれば、曖昧な場合もあります。しかし、判断基準が曖昧なままだと、休職者、事業所担当者、主治医及び支援者が考えるリワーク支援終了後の状態像についての認識にずれが生じることや目標が明確に定まっていないことによって結果的に準備不足となり、職場復帰が不調に終わるおそれがあります。そのため、職場復帰に向けた調整においては、リワーク支援の目標を休職者、事業所担当者、主治医及び支援者との間ですり合わせていくことが重要です。  目標チェックリストは、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」における「職場復帰可否の判断基準の例」を参考にJDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)ごとに分類し、プログラム内で登場するキーワード、JDSP修了者やJDSPを利用した事業所担当者の声から項目を設定しました。加えて「その他」の欄を設け、特に個々の休職者にとって必要な個別の目標を記入できるようにしています。達成度が低く改善が必要な項目はチェックを入れ、意識づけを図ります。  JDSPでは、コーディネート期間中に休職者が現時点での目標の達成状況を目標チェックリストに記入します。項目を一つずつ確認していくことで、職場復帰に向けた記入時点での達成状況を個人で振り返り、休職者が職場復帰で求められる事柄を理解し、取り組むべき課題を具体的に意識できることをねらいとしています。 〔資料2〕 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版) 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版) 評価者氏名 :  〔 本人  ・  主治医  ・  事業主  ・  その他  (         ) 〕    記入日 :         年    月    日 ◇ 各項目について現時点での達成度を(%)で記入してください。 ◇ 達成度が低く改善が必要な項目は□にチェックを入れてください。 チェック項目 達成度 備考 生活習慣 生活リズム 勤務時間に合わせた規則正しい生活を維持できている %  毎日体を動かすことができる % 睡眠 適切な睡眠覚醒リズムが整っている % 昼間に眠気がない % 体力 疲労が翌日までに十分回復する % 通勤時間+勤務時間に合わせて行動ができる % 食生活 3食規則正しく食事をすることができる % 栄養バランスを意識して食事を選ぶことができる % 服薬 勤務時間に合わせて服薬調整ができる(主治医に相談できる) % 服薬している薬の作用・副作用がわかる % ストレス対処 ストレス対処     自分のストレッサー・ストレスサインを理解している %  自分のストレスサインに気づくことができる % ストレス対処法を身につけている % 体調管理 自分の疲労度・危険信号がわかる %  休職原因について自分なりに整理ができている % 自分の体調・症状への対処ができる % コミュニケーション 報連相 主治医以外に相談できる相手がいる %  困った時や悩んだ時に質問や確認、相談ができる %  職場から求められた連絡や提出物を提出することができている % 仕事の取組み方・働き方 意欲 十分な就労意欲がある %  復職に向けた情報収集や段取りができる % 通勤 公共交通機関を利用して移動ができる % 通勤時間帯に1人で安全に通勤ができる % 業務遂行 勤務時間に相当する時間は集中して作業に取り組むことができる % 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している %  書籍や新聞を読み、内容を要約できる % 仕事関連の書類・本を集中して読み、その内容をきちんと要約できる % その他 % % % <構成> ・生活習慣:生活リズム、睡眠、体力、食生活、 服薬管理について振り返ります。 ・ストレス対処:ストレスサインやストレス対処方法 の習得、疲労や体調管理について 振り返ります。 ・コミュニケーション:報告、連絡、相談について振り返 ります。 ・仕事の取組み方・働き方:就労意欲や通勤面、業務遂行面に ついて振り返ります。 ・その他:個々の休職者にとって必要な項目 があれば、個別に記入します。 <使用目的> ・職場復帰可否の判断基準の内容を具体的な目標として落とし込むことができます。 ・項目に対して記入時点での達成度を振り返り、確認することができます。 ・支援者にとっては、休職者が現時点で体調の回復や職場復帰に向けた準備をどのように捉えているかを把握することに役立ちます。 <使用方法・活用のイメージ> ・JDSPでは主に休職者がコーディネート期間中に記入しています。 ・各項目について、記入時点での達成度(%)を記入します。達成度が低く改善が必要な項目は左側の□にチェックを入れ、意識づけを図るとともに、意欲的に取り組める目標設定に役立てることができます。 ・記入したチェックリストをもとに、面談で内容を確認します。多数のチェックが入っている場合は、休職者が考える取組の優先順位を確認し、目標を絞っていきます。 ・目標チェックリストをリワーク支援の期間終了ごろに再度記入することで、その期間中の取組結果を示す資料としても活用できます。 <留意点> ・達成度は、記入時点での取組状況を確認しています。良し悪しを判断するわけではないこと、達成度が低い項目全てに取り組まなければならないわけではないことを記入者へ伝えましょう。 ・事業所担当者や主治医が記入し、目標設定の参考にすることもできます。  ウ 復職に向けた行程整理シート(2024版)  「復職に向けた行程整理シート(2024版)」は、休職者が職場復帰に向けた行程を時系列で整理するためのシートです。行程の視覚化によって、職場復帰までの流れをイメージしやすくなり、休職者が見通しを持って主体的に行動できるようになることをねらいとしています。  支援マニュアルNo.19「気分障害等の精神疾患で休職中の方の職場復帰支援における事業主との調整」において紹介した「行程整理シート」を改良し、作成したものです。「事業所関連」「主治医関連」「職場復帰支援関連」の欄を新たに設け、各担当者と適切なタイミングで手続きを進めるための情報を整理できるようにしました。また、「復職後当面の取扱い」等情報共有シート(2024版)(P11)と内容を連動させることで、情報共有シート等を通じて収集した情報を1枚のシートに時系列で整理しやすくなるようにしています。  なお、目安とする復職時期等は、支援の進捗状況等によって、当初記入したものから変更が生じる可能性があることを念頭に置き、必要に応じて修正を加えながら活用します。 〔資料3〕 復職に向けた行程整理シート(2024版) 復職に向けた行程整理シート(2024版) スケジュール 有休・病気休暇・病気欠勤・(        ) 休職 復職 (       年    月    日まで ) ( 休職期間満了日       年     月     日 ) 手続き 事業所関連 " 【復職前のリハビリ出勤の実施】 (  必須  ・ 必須ではない  ・ 制度なし  ) 〔期間〕 〔作業内容等〕 【復職後当面の取扱い】 ・時間外勤務    ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし ) ・休日出勤      ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし ) ・宿泊を伴う出張  ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし ) ・勤務時間の軽減 ( 1日     時間から開始可能 ・ なし ) ・勤務日数の軽減 ( 週      日から開始可能 ・ なし ) ・部署等の異動  ( 可能性あり ・ 原則不可 ) ・職務調整     ( 調整の余地あり ・ 調整の余地なし ) ・その他       (                         ) 【職場復帰可否の判断基準】" 主治医関連 職場復帰支援関連 <構成> ・横軸:職場復帰までの流れを時系列で示しています。休職に至るまでの取扱い(有休・    病気休暇・病気欠勤・その他社内制度等)、休職、復職といった各段階をブロック に分け、各時期に取り組む内容を記入します。 ・縦軸:手続き(職場復帰に向けて関わる場面、対象別に欄を設定) 「事業所関連」 : 事業所への定期報告、産業医面談等の事業所に関連する事項を記入します。【休職前のリハビリ出勤の有無・内容】、【復職後当面の取扱い】、【職場復帰可否の判断基準】は情報共有シートの「事業主の考え」に同様の記入欄があるため、転記します。ただし、職場復帰前のリハビリ出勤の内容については個別に確認する必要があります。 「主治医関連」 : 通院や診断書作成依頼の時期等を記入します。 「職場復帰支援関連」 : リワーク支援開始に向けて必要な準備(提出が必要な書類等)、リワーク支援の開始や終了時期等を記入します。 <使用目的> ・記入時点から復職後当面の流れを時系列で視覚化して整理することにより、職場復帰に向けて今何をすべきか、準備が必要なものは何か等を休職者が主体的に確認しやすくなります。 ・職場復帰に向けた行程をあらかじめ整理しておくことで、失念や漏れを防ぎ、時機を逃さず必要な手続きや準備を進める助けとなります。 ・事業所担当者や主治医と共有することで、職場復帰後当面の間までに必要な手続きや流れを共有することができます。 <使用方法・活用のイメージ> ・休職者あるいは休職者と支援者が一緒に記入します。 ・使用するタイミングは、初回相談で今後の流れを示す際、コーディネート期間中の面談や情報共有シート等で一定の情報が集まった際、リワーク支援開始後に今後の流れを改めて整理する際等様々です。休職者の状況に合わせて使用します。 ・事業所担当者が職場復帰支援を初めて活用する場合には、職場復帰に向け必要な手続き等を事業所内で確認していただくきっかけとして活用することもできます。 ・復職に向けた行程整理シートは、各時期に行う手続き等を確実に行うため、適宜見返します。 ・情報に追加や変更があった場合は、その都度修正を行います。 <留意点> ・一度に全ての項目を埋めなければならないわけではありません。しかし、不足している情報を早めに確認することで、休職者が先の見通しを持ち、段取りを組み各種手続き等を主体的に進めることが期待できます。 ・確認し、記入した内容から変更が生じる可能性があります。変更があった場合は必要に応じて加筆・修正を行います。 ・復職に向けた行程整理シートを使い、先の見通しを持つことで、職場復帰に対する不安感が高まる等プレッシャーに感じる休職者もいます。休職者の状況に合わせて、活用するかどうかや活用するタイミングを検討しましょう。 職場復帰に向けた行程の示し方は休職者に合わせて工夫する  復職に向けた行程整理シートは、職場復帰に向けて必要な取組を時系列で整理していくため、先の見通しが持てるメリットがあります。しかし、職場復帰を希望している一方で、職場復帰に向けた心の準備が十分にできていない休職者等にとっては、先の見通しが具体的に見えることで、プレッシャーに感じ、焦りや不安といった気分を増長させる場合もあります。  JDSPでは、休職者の状況や希望に応じて復職に向けた行程整理シートをあえて使用しないこともあります。また、「初回来所からリワーク支援終了まで」のみを示す等行程を区切って説明した方が望ましいと思われる休職者には、まずは「リワーク支援」に焦点化して行程を整理することもあります。 「復職に向けた行程整理シート(2024版)」を事業所担当者と共有する  窓口となる事業所担当者が、初めて職場復帰の調整を担当する等慣れていない場合もあります。その際、復職に向けた行程整理シートを事業所担当者とも共有することで、職場復帰後までの流れを視覚的に伝えることができ、双方の認識のずれを防ぐことができた事例もあります。  また、職場復帰後当面の間までに休職者が取り組む内容が一目でわかり、休職者と事業所担当者、支援者間で効率的に情報共有ができるといった効果も見込まれます。  エ 生活記録表  職場復帰の調整において情報共有のために活用する既存のツールとして、「生活記録表」があります。生活記録表は、休職中の生活リズムや日中活動の状況が把握できるツールであり、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」においても活用が推奨されています。産業医や産業保健スタッフから面談時の資料として提出を求められる場合や事業所担当者に休職中の取組実績を示すために活用する場合もあります。  JDSPでは、生活記録表により睡眠時間、食事の回数やタイミング、外出時間の長さ、服薬状況等を可視化し、生活リズムの振返りや生活リズムを整える手がかりとするためのツールとして活用しています。 休職者に対して、コーディネート期間中から生活記録表を記入するように促しています。コーディネート期間中の面談では、体調や日々の過ごし方を確認できます。JDSPの支援期間中も毎週提出し、週ごとの体調や気分の変化を個別面談で確認しており、次第に休職者が体調や気分の変化のモニタリング、不調に至った要因、休日の過ごし方等を自ら分析する力や見直す習慣が身についていきます。  生活記録表を記入することは、休職者が自身の状況を客観的にモニタリングする上で役立ちます。例えば、不調の前には睡眠時間が短くなっている、長時間外出した翌日は気分が落ち込みやすい、睡眠をしっかりと取れた日はプログラムに意欲的に取り組める等生活記録表の内容と体調の好不調との関連を見出すことで、体調を維持するための取組や留意点を検討する手がかりとなります。 〔資料4〕 生活記録表 月 生活記録表(前半)                                                  氏名(    ) 日付 曜日 睡眠・外出等の時間 疲労度 なし1←→5強い 気分・指数 良い1←→5悪い 備 考 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM PM AM PM <構成> ・横軸:時間軸です。睡眠・外出等の時間の長さを記入します。 ・縦軸:日付や曜日を記入します。 ・疲労度:起床時、リワーク支援開始・終了時、就寝時の疲労度を記入します。 ・気分・指数:疲労度と同様のタイミングで気分・指数を記入します。 ・備考:特記事項等を記入します。 通院等の外出先や用件、服薬量等を記入する方が多いです。「できたこと・よかったこと」を記入する方もいます。 <使用目的> ・休職者が生活記録表を毎日記入し、自分の生活リズムを可視化し振り返ることで、自分の体調等を客観的にモニタリングする、体調等を維持するための取組の検討に役立ちます。 ・その日の出来事とストレスとの関連やストレスパターンへの気づきにつながり、休職者自身で好不調の傾向を知る、不調に早めに気づき早めに対処することができます。 ・事業所担当者や産業医へ提出することで、生活リズムや体調等の現状を報告するツールとして活用できます。 ・診察時に主治医へ提出することにより、体調等の近況を短時間で報告することができます。 <使用方法・活用のイメージ> ・休職者が日々記入します。記入方法は、手書きやパソコン、アプリを用いる等様々です。 ・項目は、休職者の確認したいことや目的に合わせて工夫します。睡眠や外出時間を記録する、頭痛や倦怠感といった身体的な症状を記録する、躁・うつ状態のサインを記録する等休職者の目的に応じて体調の波が見えるもの、体調と関連がありそうな項目を設けて分析や検証に役立てる等項目を工夫することが大切です。その際は、休職者と相談しながら記録する内容や記録のつけ方(マーカーを引く、〇を塗りつぶす、マークを記入する等)も工夫できます。 <留意点> ・複数の要素を詰め込み過ぎると、記録が面倒になり、継続が難しくなります。休職者の確認したいことや目的に応じて、必要な情報を絞り、負担の少ない生活記録表へと工夫することが、取組を継続するコツです。また、書き方も矢印、蛍光マーカーを使用する等休職者にとって負担の少ない方法を選択します。 ・記録開始当初は、継続することへの負担があります。続けていることを労い、できているところ、良いところをフィードバックすることが、習慣化へのモチベーションにつながります。支援者は、肯定的なフィードバックを行うようにします。 ・提出時に記録ができていない、抜けている部分がある場合には、「できなかった理由」を聴き取り、記録する目的を改めて確認し、必要に応じて項目を再検討します。 「生活記録表」に「できたこと・よかったこと」も記録する  JDSPでは、休職に伴い自信を失っている受講者を多く見かけます。「今日は○○ができなかった」「○○ができない自分はダメだ」等できなかったことへ目を向けがちで、「できたこと」「よかったこと」を尋ねても答えが出てこないことがよくあります。また、「○○はできていた」とフィードバックしても、「できて当たり前」という考えが強く、なかなか受け入れられない、自分を認められない様子が窺えます。  しかし、今は当たり前にできていることであっても、最初からできていたものばかりではありません。例えば、「約束した時間通りに面談に行けた」等些細なことであっても、毎日「できたこと」を見つけることはできます。  JDSPでは、面談で「できたこと・よかったこと」を毎日探すこと、それを生活記録表の備考欄に記入してみることを提案しています。併せて、面談で「できたこと・よかったこと」を振り返るステップを挟んでいます。支援スタッフからも、「できたこと・よかったこと」を積極的にフィードバックしています。  「できたこと・よかったこと探し」に毎日取り組んだ受講者からは、「できたことへ目を向ける習慣ができた」「できなかったこともあるけどできていることもあると思えるようになった」等効果があったと感想が聞かれています。  できたことが「見つけられない」と困っている受講者に対しては、「今日もプログラムに来ることができましたね」「提出をお願いしていた書類を出せましたね」等実際にできていたことを伝えながら、「当たり前に感じることであっても、当たり前ではない」ことを繰り返し説明しています。  オ 復職に向けた取組整理シート  「復職に向けた取組整理シート」は、職場復帰に向けた課題や今後リワーク支援の中で取り組みたいこと等を整理するシートです。  JDSPでは、コーディネート期間中の2週間のプログラム体験利用の中で、休職者が記入し、休職者自身がその時点で考えている「職場復帰と再休職予防策を考える上での課題」や「今後取り組みたいこと」を把握することに役立てています。記入したシートをもとに個別面談を行い、JDSPで取り組む課題や目標を休職者と一緒に検討し、支援計画に反映させています。 〔資料5〕 復職に向けた取組整理シート ◇◆ 復職に向けた取組整理シート ◆◇ 年  月  日 (氏名:         ) 1:プログラムの体験に参加した感想 ◆体調や疲労について ◆見学内容について 2:今後のリワーク支援の受講希望 ※〇を付けて下さい。 ・有       ・無         ・その他(                 ) 3:職場復帰と再休職予防策を考えるうえでご自身の【課題】と思われることを書きましょう。現時点で書ける範囲で今後【取り組みたいこと】について書きましょう。 <構成> 1.プログラムの体験に参加した感想(体調や疲労について、見学内容について) 2.今後のリワーク支援の受講希望 3.職場復帰と再休職予防策を考える上での課題と今後取り組みたいこと JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)に沿って、課題と取り組みたいことを整理します。 <使用目的> ・プログラム体験利用での感想等を踏まえ、リワーク支援の受講を希望するか否かを改めて確認することができます。 ・休職者が記入時点で考えている、職場復帰に向けた課題や再休職予防策を考える上での課題を整理し、視覚化することができます。 ・休職者が考える課題を踏まえたリワーク支援での取組目標を検討することができます。 ・リワーク支援計画の作成に役立ちます。 <使用方法・活用のイメージ> ・コーディネート期間中に休職者が記入します。 ・記入したシートをもとに面談を行います。特に、課題の要因や背景、具体的なエピソードを重点的に聴き取り、リワーク支援での取組目標を休職者と一緒に整理します。 ・【取り組みたいこと】の優先順位を休職者へ確認し、リワーク支援で重点的に取り組みたい目標を絞っていきます。 ・復職に向けた取組整理シートを用いた面談内容を踏まえ、リワーク支援での目標や具体的な支援内容を検討し、リワーク支援計画へ反映させます。 <留意点> ・課題や取り組みたいことをどの欄に書いたらよいか悩む場合は、適当と考える欄に記入し、面談で整理することを記入者へ伝えます。 ・空欄があってもかまいません。無理に課題を絞り出すのではなく、現時点で自分が課題だと思うこと、取り組みたいと思うことを記入するよう促します。 ・リワーク支援の全体像が理解できていない等の理由から、【取り組みたいこと】が課題解決につながっていない場合もあります。その際は、「○○というプログラムでも取り組めそうですね」と具体的なプログラム名やその内容を紹介していくことも効果的です。 ・休職者が考える課題と事業所担当者や主治医が想定している課題が異なる場合もあります。その際は、例えば「職場の方は○○と言っていたけれど、どう思いますか?」等休職者の考えを確認することも有効です。また、支援者が見立てている課題と異なる場合は、支援者が見立てた理由や背景について伝えた上で、休職者がどのように捉えているかを聴き取り、休職者の課題認識や捉え方を把握します。 (2) 事業所との調整  ア 情報共有シート(2024版)  事業所との調整においても、情報共有シート(2024版)を活用しています。詳細は、「(1)ア 情報共有シート(2024版)」(P11)を参照してください。 事業所担当者から「支援者にだけ伝えたい」と言われたとき  事業所担当者から、「支援者にだけ伝えたい」等休職者と共有していない内容を話される場合があります。その場合、休職者の課題を聞いたとしても、休職者と共有しない限りは支援目標として設定することはできません。  JDSPでは、リワーク支援で取り組んで欲しいと事業所担当者が考えている内容の場合は、支援開始時の三者同意のタイミングや中間報告会といった休職者も含めた事業所打合せの機会に、事業所担当者から直接休職者へ伝えていただくよう助言しています。  また、「リワーク支援での取組目標にする必要はないものの、支援者には知っておいて欲しい」といった場合もあります。その情報は、事業所担当者、休職者の上司や同僚等の困りごとの場合も多くあります。職場復帰にあたっては、復帰を受け入れる事業所の方々が困っていること、不安なことを聴き取り、対応方法や解決策について支援者が一緒に考えていくことも大切な支援の一つです。だからこそ、事業所担当者が伝えたかったことを、リワーク支援の目標や取組内容に含めて休職者、事業所担当者、支援者が一緒に取り組んでいけるよう、伝え方を助言し、休職者と共有することを提案しています。 (3) 医療機関との調整 ア 主治医の意見書(JDSP版)  リワーク支援の実施にあたり、主治医の意見は休職者の受診に同行し、主治医に目的を説明した上で確認できることが望まれますが、時間的な制約等もあります。  JDSPでは、利用にあたって「主治医の意見書」※ (以下「意見書」という。)の取得について、初回来所時に休職者へ説明し依頼しています。  JDSP版の意見書(資料6)では、診断名や服薬内容等の基本的な項目に加えて、リワーク支援の利用による症状悪化を防ぐこと、より効果的な支援としていくために、調子を崩すときの前兆や支援のなかで避けた方がよい場面等、職業センターでリワーク支援を実施する際の留意事項等を確認するための項目を設けています。  また、休職者から主治医に説明がしやすいよう「主治医の意見書作成のお願い」(資料7)を併せて活用しています。資料7を活用するか否かは、休職者の任意です。 ※4 「主治医の意見書」は、ハローワークが医療機関から情報収集する時によく使われる様式です。障害者の雇用の促進等に関する法律上の精神障害者であることの判断のために診断名や症状が安定し就労可能な状態にあるか、就労に際しての留意事項等、就労に関する事項等について確認するものです。地域センターではハローワークで活用している主治医の意見書に近い様式を活用し、支援の参考にしています。 〔資料6〕 主治医の意見書(JDSP版) 〔資料7〕 主治医の意見書作成のお願い 様式第2号 職業センタープログラム受講申請者に係る主治医の意見書 氏 名 年 月 日生( 歳) 住 所 〒 TEL 診断名; 病名や病気のことについて、本人や家族には、どのように説明していますか。 病歴・治療歴 発病の時期 年 頃 現在の通院の状況 月 回程度 入院の状況 過去 回程度 通算 年位 前回入院期間 年 月 日 ~ 年 月 日 服薬の内容(名称、処方量/錠数、服用回数) ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 【生活歴】 【現在の状態】 ①医療面 現在の精神症状(具体的な症状と程度) 症状の安定度(安定の程度、安定してからどの位の期間になるか等) 服薬の態度(自己管理の状況等) その他の留意事項 ②行動面 行動特性と課題 本人が苦手とする場面や状況 調子を崩すときの前兆(症状を崩す誘因なども含めて) ③生活面 日常生活場面での課題等 家族関係や家族の支援の状況 【職業センターで指導する上の留意事項】 職業センターの指導上で望むこと 避けた方がよいと思われる作業や場面等 健康管理上の留意事項等 既往症 現在の状況 ①血圧 /mmHg ②Hb抗原(宿泊棟利用者のみ) ③てんかん発作 無・有(有の場合は、下記に具体的に記入して下さい) 共同生活における留意点等(共同生活に不都合な疾患又は当プログラム受講に当たって の総合意見) 自己管理の状況 以上のとおり意見を述べる。 作成日 令和 年 月 日 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター長 殿 医療機関名 主治医氏名 所在地 (作成者の場合は不要) 電 話 作成者氏名 (職名 ) (主治医向け) 主治医の意見書作成のお願い  職業センターでは、職場復帰に向けた支援としてリワーク支援を実施しています。 プログラム実施にあたり、以下の目的により、「主治医の意見書」の作成をお願いいたします。 【主治医の意見書取得の目的】  職業センターが、患者様に対してリワーク支援を実施するにあたり、症状悪化につながらないように、かつより効果的な支援とするために、先生が現時点で把握されているこれまでの経過、不調につながる前兆、リワーク支援を実施する上で留意すべき事項等について教えていただき、支援の参考にしたいと考えております。 (作成いただきました「主治医の意見書」は、ご本人様と共有させていただきます。)  ご不明点等ございましたら、下記担当あてご連絡ください。  よろしくお願いいたします。 職業センター 担当:○○ Tel:000-000-0000 <構成(資料6)> ・【基本情報】(1枚目) 診断名や服薬の内容等 ・【現在の状態】(2枚目) ①医療面:症状の安定度や服薬を自己管理できているか等 ②行動面:行動特性や調子を崩すときの前兆等 ③生活面:日常生活での課題等 ・【職業センターで指導する上の留意事項】(3枚目) 職業センターの指導上で主治医が望むこと、JDSPで避けた方がよいと思われる作業や場面等留意事項を確認 する構成としています。 <使用目的> ・リワーク支援を行うにあたり、休職者の症状悪化につながらないよう、かつ、より効果的な支援とするために、現時点で把握されているこれまでの経過、不調につながる前兆、リワーク支援を実施する上で留意すべき事項等について、主治医へ確認する際に用います。 <使用方法・活用のイメージ> ・休職者へ主治医の意見書を取得する目的を説明した上で、取得を依頼します。 ・「主治医の意見書」は、休職者を介して主治医へ渡し、休職者から主治医へリワーク支援を受けたいことを伝え、相談していただいた上で、主治医に記入していただきます。 ・主治医の意見書の内容は、休職者との面談の際に確認します。主治医が記入している内容について、休職者が思い当たる具体的なエピソードがあれば、聴き取ります。 <留意点> ・休職者から主治医に説明がしやすいよう「主治医の意見書作成のお願い」(資料7)を併せて活用しています。資料7を活用するか否かは、休職者の任意です。 ・休職者から情報を把握できていない等の理由から空欄があるかもしれませんが、支援者が休職者や主治医から無理に聴き出す必要はありません。リワーク支援開始後の休職者のエピソードを踏まえて、通院時に休職者を介して確認する、又は通院同行を行い確認することを検討しましょう。 イ 主治医の先生へ確認をお願いしたいこと  職場復帰支援を効果的に行うにあたっては、休職者の体調を回復・安定させていくために主治医との連携が重要です。しかし、一方的に情報を伝えたり、助言を求めたりしても、休職者の意向や連携の目的がわからないため、主治医を困惑させてしまうことにもつながりかねません。  JDSPでは、休職者から主治医へリワーク支援を受けたい意思を伝えた上で、主治医に意見書を作成いただいています。その際、主治医に連携の目的を伝えた上で支援者との連携に対する考えを確認するための「主治医の先生へ確認をお願いしたいこと」を新たに作成しました。 〔資料8〕 主治医の先生へ確認をお願いしたいこと (ご本人様向け)  主治医の先生へ確認をお願いしたいこと  主治医の先生へ意見書の作成と併せて、今後支援者が先生と支援状況の共有を行うことが可能かご確認をお願いいたします。  状況の共有が可能な場合、先生への連絡やご助言いただきたい場合の方法、連絡先についても併せてご確認をお願いします。 (緊急の場合を除き、ご本人の同意を得た上で共有させていただきます) 以下について主治医の先生へ確認いただいた内容を職業センター担当者へお伝えください。 1.先生と支援状況の共有を行うこと   □ 可 能       □ 不 可       ↓ 2.可能な場合の共有方法   □ 先生に直接ご助言をいただくことが可能   □ 受付や相談員等を通じて可能   □ ご本人を通じてのみ可能 3.可能な場合の連絡方法・連絡先   □電話番号(                      )   □メール (                      )   □お手紙 (〒                      ※ 連絡時の留意事項(窓口、望ましい曜日や時間、方法など)     (                          ) <構成>  主治医に、支援者との連携に対する考えを確認するために以下の項目を設けています。 1.主治医と支援状況の共有を行うこと  リワーク支援を行う上で主治医と支援者間で情報共有が可能かどうか 2.可能な場合の共有方法  どのような方法であればリワーク支援の状況共有が可能か 3.可能な場合の連絡方法・連絡先  具体的な連絡手段の確認  主治医は限られた時間で多くの患者を診察しており、また勤務する曜日が固定化されている場合があります。 もし電話等の連絡が可能な場合は、主治医が対応可能な曜日や時間を併せて確認しておくとその後の連絡がスムーズになります。 <使用目的> ・主治医に、支援者との連携に対する考えやその方法等を確認できます。 <使用方法・活用のイメージ> ・支援者が連携をお願いする目的を休職者へ説明します。 ・休職者が「主治医の先生へ確認をお願いしたいこと」をもとに、主治医に確認します。 ・休職者の同意の上で「主治医の先生へ確認をお願いしたいこと」により、受診時に主治医へ口頭で確認します。確認した内容は休職者が記入し、支援者へ提出します。 <留意点> ・「主治医の先生へ確認をお願いしたいこと」を必ず使用しなければならないわけではありません。可視化されている方が安心な場合等必要に応じて活用してください。 主治医との連携のとり方  JDSPでは、支援者は、休職者だけではなく主治医と事業所をつなぐ役割として、事業所担当者のニーズをくみ取り主治医へ伝える、主治医からの助言を事業所担当者へ伝えるといった橋渡しの役割を担っていくことも重要だと考えています。休職者の同意を得た上で、休職者と一緒に訪問し、主治医や事業所担当者へ状況を伝えるようにしています。  事業所担当者から確認した内容(例:休職者の働きぶりについて困っていること等)を主治医へ伝え、休職者の症状や特性を踏まえて自己対処をめざすのか、事業所へ配慮事項としてお願いした方がよい内容なのか等助言を仰いでいます。また、主治医から確認した休職者の症状、できそうな工夫や対処が職場で実現可能かを事業所担当者へ確認する場合もあります。  主治医からは「職場での様子を知ることができてよかった」、事業所担当者からは「処方薬の副作用等が原因ではないとわかり、安心した」、休職者からは「自分一人では伝えきれない部分を伝えてもらえてよかった」等と感想がありました。  休職者の職場やプログラム内での様子を主治医へ伝えることで、医療面の対処を検討いただける場合があります。支援者から必要な情報を積極的に伝えながら休職者の職場復帰を一緒に支援していく関係性を主治医と構築できるよう心がけています。 <受診同行による情報交換>  本人が受診する際に同行し、主治医と情報交換する方法もあります。受診同行には、医療機関と顔の見える関係を作る、就労支援機関の役割を理解してもらう、就労支援機関から情報提供する、医療機関からの情報収集や助言を受ける、見立てや支援方針を検討するなど、さまざまなことが期待できます。  受診同行する際は、まず本人と一緒に、受診同行の目的と受診同行で伝える情報や確認すべきことを整理した上で、本人を介して医療機関と日程調整するとよいでしょう。 (中略)  いずれにしても、診察時間は限られています。医療機関から助言を受ける必要があるときには、質問したい事項(例:職場で発生した課題の対応策)とその背景(例:具体的な職場環境、課題が発生した経緯、課題に対する本人と職場の受け止め方、なぜそのような課題が発生したかについての見立て)、就労支援機関が考える対応方針などを簡潔に文書に記載し、事前に主治医に伝えておくと、医療機関側の負担も少なく、時間を有効に活用できる可能性が高まります。ただし、文書を送付しただけでは受診同行時までに主治医が目を通せない場合もあります。込み入った相談内容であれば、日程調整する際の受診時などに本人が事前に文書を持って行く、文書送付したことを電話で一方入れておくなど工夫することも必要です。 出典元:障害者職業総合センター「就労支援と精神科医療の情報交換マニュアル」(2017) p.44-45より引用 (4) 支援者間での方針検討  熟練した支援者は職場復帰支援の際、アセスメントで得られた多種多様な情報から、取り組むべき支援課題の見当をつけ、支援方針やその優先順位、関係者間の役割分担等について見立てることを自然に頭の中で行っていることと思われます。この頭の中の作業を見える化したものが「支援計画を立てるための情報整理シート」と「ケースフォーミュレーションシート(リワーク版)」です。  経験の浅い支援者にとっては、情報を整理し、支援方針を検討できるツールとして、また熟練した支援者にとってもケース会議等で関係者間の情報共有や様々な視点からの助言を得て、自らの経験や視点に偏らずにより良い支援方針を検討することに役立てることが期待できます。  ア 支援計画を立てるための情報整理シート  実践報告書No.40「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」で紹介した「ケースフォーミュレーションのための情報整理シート」を気分障害等で休職中の方の職場復帰支援を行う際に活用できるよう改良しました。  休職者の属性情報、休職期限や事業所担当者、復職までの流れ等職場復帰に向けた事業所側の基本的な情報を記入します。加えて、JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)に沿って休職者からアセスメントした現在の状況や休職者自身が考える目標を記入していくことで、支援計画を立てる前段階で得たアセスメント情報を整理し、俯瞰して捉えることができます。  JDSPでは、「支援計画を立てるための情報整理シート」を、リワーク支援計画を立てる際に活用しています。また、支援期間の中間時点でケースフォーミュレーションを行い、支援方針を再検討する際にも活用します。  属性情報、事業主情報に加えて、JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)に沿って項目を設け、情報を整理できるようにしています。「支援課題」の欄には、記入した情報を踏まえ、支援者側が課題と考える内容を項目ごとに記入します。 〔資料9〕 支援計画を立てるための情報整理シート 支援計画を立てるための情報整理シート 属性情報 氏名・年齢 事業所名 住所 家族状況 収入状況 その他 支援課題 生活習慣・健康状態 生活リズム 食事 運動 睡眠 飲酒・喫煙 本人が考える目標 支援課題・目標 ストレス・疲労 認知 ストレス・疲労の状況 ストレス・疲労のサインと対処 本人が考える目標 支援課題・目標 事業主情報 休職期限 担当者 復職までの流れ 休職前の業務 その他 支援課題 コミュニケーション 特徴 本人が考える目標 支援課題・目標 仕事の取組み方・働き方 特徴 やりがい・価値観 作業遂行力 本人が考える目標 支援課題・目標 <構成> ①属性情報…氏名や診断名等休職者に関する基本情報を記入します。 ②事業主情報…休職期限、連携をする上で窓口となる担当者、復職までの流れ等職場復帰支援を行う上で最低限必要と思われる情報を記入します。 ③生活習慣・健康状態…生活リズム、1日の食事回数やバランス、運動習慣の有無や頻度、入眠困難や中途覚醒等の睡眠状態、飲酒・喫煙習慣や量といった情報に加えて、休職者が考える生活習慣・健康上の課題や目標があれば記入します。 ④ストレス・疲労…認知面の特徴、ストレス・疲労を感じやすい状況や場面、休職者が把握しているストレス・疲労のサインや試している対処方法を記入します。加えて、休職者が考えるストレス・疲労に対する課題や目標があれば記入します。 ⑤コミュニケーション…例えば、「アサーティブな発言ができる」「雑談が苦手」「相談や報告を自分から行うことが苦手」「会話を遮って話しかけることが苦手」等休職者のコミュニケーション上の特徴を記入します。加えて、休職者が考える課題や目標があれば記入します。   ⑥仕事の取組み方・働き方…休職前に見られた働き方の特徴(例「休憩を忘れて仕事に没頭してしまう」)、やりがいや価値観、リワーク支援の中で行った作業の結果や行動といった作業遂行力等を記入します。加えて、休職者が考える課題や目標があれば記入します。 <使用目的> ・リワーク支援計画を立てる前のコーディネート期間中のアセスメントで得られた情報を1枚のシートに取りまとめることができ、記入時点において把握した情報を俯瞰して見ることができます。記入した内容をもとに、職場復帰支援の方針を検討し、リワーク支援を含む職場復帰支援の計画を立てることに活用できます。 ・これまでアセスメントした情報を1枚のシートで他者と簡潔に共有することができます。 ・経験の浅い支援者にとっては、アセスメントする項目の把握やポイントを絞った情報収集に活用できます。 <使用方法・活用のイメージ> ・支援者が、アセスメントした情報を整理するために記入します。 ・支援計画を立てる前段階で、これまでの期間でアセスメントした情報を項目ごとに記入します。その上で、支援計画を検討します。個人で支援状況を振り返る際も、他の支援者と情報共有をして助言を受ける際にも活用できます。 <留意点> ・全ての項目を埋めなければならないわけではありません。記入時点でアセスメントできている情報を整理するためのシートであり、項目を埋めるために休職者に対して無理に聴き取ることや確認する必要はありません。 ・「支援課題」欄についても同様です。休職者によっては「支援課題」が見られない項目もあります。支援者が課題として見立てた項目のみ記入しましょう。 ~支援計画を立てるにあたって~ ・全ての「支援課題」を取り入れた支援計画を立てようとすると、無理が生じることもあります。「支援課題」が複数ある場合は取組の優先順位、休職者や事業主の考え・希望、主治医から受けている助言、リワーク支援の実施期間やリワーク支援で提供できる内容等を総合的に検討し、職場復帰に向けた現実的かつ実現可能な支援計画を立てましょう。(取組の優先度としては、休職者や事業所担当者、主治医の意見に加えて、健康的で安定した職業生活を送る上で必要な取組内容かを踏まえることが大切です。) 2 支援方針の検討に活用できる支援ツール  「1 支援目標の設定、支援計画作成に活用できる支援ツール」を活用し、立てた支援目標や支援計画に基づき、リワーク支援を進めていきますが、支援が始まり実際に取り組んできた内容、休職者の変化等新たな情報も増えていきます。より効果的な職場復帰支援にするために、収集した情報を一度整理し、振り返ることによって、残りの支援期間の支援方針や取組内容等を再検討することができます。 (1) 休職の経緯と対処方法の整理シート  JDSPでは、支援開始5週目以降に、支援者から休職者に対して「休職の経緯と対処方法の整理シート」の記入を促しています。各種プログラムで知識を学び、気づきを得た支援期間中盤にシートの記入に取り組むことにより、休職経緯を多角的に振り返ることができます。また、その振り返りを踏まえ、対処方法を検討していくことは、再休職を予防し、復職後も健康的で安定した職業生活を送るためにもとても大切です。 〔資料10〕 休職の経緯と対処方法の整理シート ◇◆ 休職の経緯と対処方法の整理シート ◆◇    年   月   日 (氏名:           ) 1:休職の経緯 (体調悪化のきっかけとなるエピソード~休職まで) いつ             エピソード            気分      その時の考え 2:休職に至った要因(分析) 3:考えられる対処法や今後の再休職を予防するための対処方法 (箇条書きでOKです。) ※具体的な行動に落とし込めるように書きましょう。 <構成> ①休職の経緯(体調悪化のきっかけとなるエピソード~休職まで)   「いつ」「エピソード」「気分」「その時の考え」をそれぞれの欄に記入します。 ②休職に至った要因(分析) ③考えられる対処法や今後の再休職を予防するための対処方法   JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み 方・働き方」)に分けて、対処方法を記入します。 <使用目的> ・休職の経緯を振り返った上で対処方法を検討することで、より自分に合った再休職予防策を考えることに役立ちます。 <使用方法・活用のイメージ> ・「休職の経緯と対処方法の整理シート」は、休職者が記入します。 ・リワーク支援の期間中盤に、受講した各種プログラムを踏まえて休職の経緯を振り返り、分析を行った上でより具体的な対処方法の検討に役立てます。 <留意点> ・休職に至った経過を振り返ることは、休職者にとってはつらかった出来事を思い出すことになるため、負荷がかかります。また、人によっては、休職に至った経緯を思い出すことで嫌な記憶がフラッシュバックする、怒りが生じる等もあります。休職者の体調を踏まえ、記入を促すタイミングを検討しましょう。状況によっては、休職の経緯と対処方法の整理シートは活用せず、今後の対応に焦点を当てて相談する方法もあります。 ・記入している途中で気分が悪くなった場合は、そこで記入を終了しても構わないことを伝えます。 ・「休職の経緯と対処方法の整理シート」は3枚つづりですが、一部分をピックアップして活用することもできます。 (2) 復職者の集い ~受講者の動機づけの機会としての活用~  JDSPを現在利用している休職者(以下この項では「受講者」という。)のプログラムへの動機づけの方法の一つとして、JDSP修了者の話を聴くことが挙げられます。 JDSPでは、復職した修了者が集まって話をする「復職者の集い」という会を実施しています。その集いに受講者も一緒に参加して、先輩の話を聴く、不安なことを質問するといった取組を始めました。実際に参加した受講者からは「取り組んでいるプログラムが職場復帰後も役立つことがわかり、頑張ろうと思えた」「休職期間が長くなり不安だったが、同じように休職期間が長くても職場復帰して頑張っている話を聞いて、励みになった」といった感想が聞かれています。  「休職」という自分と同じ状況にいた人の「職場復帰」という自分の目指している状況についての話を聞くことは、孤独感や不安感の軽減、加えて「自分もあのようになりたい」という到達目標のイメージへとつながり、プログラム受講に対する意欲の向上といった動機づけになることがわかります。支援者からの言葉かけも大切ですが、受講者同士の「グループの力」を活用することも効果的です。  「復職者の集い」の詳細は、「3(2)復職者の集い~修了者のフォローアップとしての活用~」(P45)をご参照ください。 (3) ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版)  JDSPでは、リワーク支援期間の中間時点に職業センター内の支援者間で支援方針を検討するためのケースフォーミュレーション(見立て、支援の効果等の複合的な評価)を行っています。その際に活用できるシートとして「ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版)」を開発しました。これは、職業センター実践報告書No.40「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」で紹介されている高次脳機能障害の方への支援方針の検討時に活用できる「ケースフォーミュレーションシート」を参考に、気分障害等の精神疾患で休職中の方のための職場復帰支援で活用できるよう改良したものです。  JDSPで本シートを活用したところ、表層的な課題に焦点化して支援方針を考えてしまいがちな面が、ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版)を記入し俯瞰してみることでこれまでの支援全体を振り返ることができるようになり、課題の要因分析がしやすくなる、課題の背景を踏まえて何にアプローチをするか検討する際の視野が広がる効果が見られました。また、あらかじめポイントを絞って、支援者間で支援方針を検討する際にも活用しています。  加えて、外部の専門家(医療情報助言者)に支援の実施方法について助言を受ける際に、「支援計画を立てるための情報整理シート」と組み合わせて活用することで、「休職者の支援状況をイメージしやすく、情報共有や支援方針の検討が簡潔に行えてよい」といった感想も聞かれました。 支援者個人での振返りにおいても、支援者間等複数人での多角的な視点からの情報共有の場においても、支援方針の検討を効果的に行うことができます。 〔資料11〕 ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版) ケースフォーミュレーションシート ~再休職予防を考える視点から情報を整理し今後の支援を検討する~ 環境 【職場】(業務の特徴、職場復帰時に求められること、事業場内外のサポート 等) 【医療機関】   通院、服薬状況   主治医に対する本人の捉え方   カウンセリングの有無   等 【家族・社会資源】  相談やサポートを求める   ことができる相手の状況 【その他】 支援を考える 【検討事項】 【支援方針(支援期間後半の支援目標、取組課題)】 個人 【課題の背景・要因】 (本人の見立て・捉え方、支援者の見立て 等) 【支援期間前半でのアプローチ状況(試したこと、取り組んだこと)】 【その他】 <構成> ①職場…職場復帰後の業務の特徴、職場復帰時に事業所より求められていること、産業保 健スタッフとの面談やEAP等活用できる事業場内外のサポート等を記入します。 ②医療機関…通院頻度、服薬管理等の状況、主治医に対する休職者の捉え方、カウンセリ ング利用の有無等の情報を記入します。 ③家族・社会資源…家族からのサポートの有無、その他相談やサポートを求められる支援機 関の利用の有無等を記入します。 ④課題の背景・要因…職場復帰に向けて課題となる点について、休職者自身がどのように 受け止め捉えているのか、また支援者としてどのように見立てているのかについて記入します。プログラム中の休職者の発言内容で特徴的だった事柄や様子等も記入します。 ⑤支援期間前半でのアプローチ状況…ケースフォーミュレーションシート作成までのリワーク 支援期間中に試したこと、取り組んだことを記入します。支援者が助言したこと(介入内 容)やそれに対する休職者の反応等も記入します。 ⑥検討事項…①~⑤で整理した内容をもとに、職場復帰や再休職予防に向けて課題と思 われる事項、支援担当者が検討したい、助言が欲しい内容を記入します。ケースフォーミ ュレーションを行う中で追記することもできます。 ➆支援方針…ケースフォーミュレーションにおいて話し合われた、今後の支援の取組目標や 課題を記入します。リワーク支援のどのプログラムでどのような関わりをするのか等、今 後の支援について具体的に行動がイメージできるように記入することがポイントです。 ・環境…支援課題に関わりがあると考えられる環境要因、職場復帰に向けた調整や復職後に活用できるサポート資源の検討に役立てられる内容を記入します。 ・個人…これまでの支援状況や支援課題に関わりがあると考えられる背景や要因を整理し、記入します。 ・支援を考える…「環境」や「個人」で書き出した内容を踏まえ、検討事項や今後の支援方針について整理したことを記入します。 <使用目的> ・ケースフォーミュレーションシートを活用し、リワーク支援実施期間中の情報を整理することで、これまでの支援状況を俯瞰して多面的に捉えることができ、職場復帰や再休職予防策の検討に向けてより広い視点での課題抽出や様々な助言を踏まえて支援方針を再検討することに役立てることもできます。 ・支援担当者が支援状況を振り返ることや今後の支援方針を再検討する際にも役立ちます。 ・スタッフ間で行うケースフォーミュレーション時に活用できます。 ・専門家等第三者へ助言を仰ぐ際に、支援状況の共有や支援方針の検討が円滑に行えます。 <使用方法・活用のイメージ> ・ケースフォーミュレーションシートは、支援者が記入します。 ・ケースフォーミュレーション実施前に支援者があらかじめ記入しますが、話し合いを通じて新たな視点や気づき等を書き込みながら、分析や検討を進めます。 ・これまでの支援経過を振り返りながら、支援をする中で把握した情報を項目ごとに整理し、ケースフォーミュレーションシートに記入します。その上で、支援課題は何か、支援課題に関わる個人・環境要因は何か、その解決のためにはどのような支援を行うとよいか等を分析し、支援期間後半に取り組む目標等支援方針を再検討します。 ・ケースフォーミュレーションの際に「支援計画を立てるための情報整理シート」と一緒に活用することで、情報共有がスムーズにできます。 ・ケースフォーミュレーションを行う時だけではなく、スタッフミーティング等で活用することで、スタッフ間での情報共有、目標や課題の抽出が行いやすくなります。 ・シートへの記入を通して支援者個人で振り返ることで、支援を行う上で悩んでいること、困っていること等が明確になり、他の支援者への相談がしやすくなります。 <留意点> ・本シートは、全ての欄を記入しなければならないわけではありません。他の支援者と相談する中で気づいたことや必要な情報を追記してください。 ・本シートは、支援者間での情報共有や支援方針の検討のために活用することを目的としています。休職者、事業所担当者、主治医と共有する際は、必要に応じてシートを改編して使用してください。 中間報告会の効果  JDSPでは、支援期間の中盤に、これまでのJDSPでの取組状況の報告と残りの支援期間の支援方針の再検討・すり合わせを行うことを目的として、休職者、事業所担当者、支援者にて「中間報告会」を実施する場合があります。  中間報告会で支援期間前半の取組内容を報告することは、事業所担当者から取組へのフィードバックを受ける機会となり、休職者の達成感へつながり、モチベーションの維持・向上が期待できます。また、これまでの取組の中で休職者が疑問に思ったこと等を確認でき、不安感の軽減につながることもあります。さらに、支援期間後半での取組目標、方針を事業所担当者と共有することで、休職者、事業所担当者それぞれの安心感につながる効果が期待できます。 JDSPでは、支援期間が長期にわたる場合や休職者の職場復帰への不安感が強い場合、「職場では○○すべき」等固定観念や先入観が強いと感じられる時等に「中間報告会」の実施を提案しています。また、職業センター内で実施しているケースフォーミュレーションにて「中間報告会」の実施を検討し、休職者や事業所担当者へ提案する場合もあります。 <中間報告会での「すり合わせ」が効果的だった事例>  「職場の人は皆休憩をとっていない」と頑なに休憩をとらずに作業に取り組み、疲弊していた休職者がいました。中間報告会で事業所担当者(職場の上司)に支援者から質問をしてみたところ、「『休憩をとります』と言っていないだけで、皆こまめに休憩をとりながら業務に取り組んでいる。そうでないと、集中力は維持できないし、疲れが溜まってしまう」と回答をいただいたことで、残りの支援期間では「疲れを溜めないために、こまめに休憩をとる」を目標に取り組むこととなりました。結果、その休職者は、休憩をとることでミスを予防することができる等の効果を感じられました。  職場復帰後もこまめに休憩をとりながら業務に励むことが、 再休職を予防する要因の一つになっているようです。 <中間報告会を実施した感想> ●休職者の感想 ・中間報告会は、今、取り組んでいる内容を伝えられる場になってよかった。職場復帰後の業務内容について聞くことができ、職場復帰への不安が軽減された。 ・復職後に職場へ行くことのストレスを確かめる機会にもなってよかった。 ●事業所担当者の感想 ・支援目標の達成状況について、中間評価を行い、JDSP支援期間の後半における取組内容や今後の課題について相互で確認し、目指す方向性を明確にできてよかった。 ・職場復帰にあたり、まだ足りない点があることを確認できた。JDSPの支援期間の後半部分で足りない点を踏まえた新たな目標を設定できてよかった。  中間報告会では、「そのように考えていたと知らなかった」という声が休職者と事業所担当者双方から聞かれることがしばしばあります。JDSPでの取組状況の報告を通じて休職者の考えや気持ちが伝わることが、相互理解のきっかけにもつながっているようです。お互いを理解し合うことは、休職者と事業所担当者双方にとって安心材料につながるとも考えられます。支援者として、そのための「機会づくり」や「橋渡し」を積極的に行っています。   3 事業所との職場復帰の調整に活用できる支援ツール (1) 復職レポート(様式例)  復職レポートは、JDSPの支援期間終了にあたり、休職者が取組成果を取りまとめたものです。JDSPでは支援期間の終了間近のタイミングで事業所に赴き、休職者、事業所担当者、支援者で「終了報告会」を実施しています。終了報告会では、復職レポートをもとに休職者から事業所担当者へJDSPでの取組成果を報告しています。事業所担当者にとっては、復職レポートを通じて把握されたJDSPの取組成果は、職場復帰に向けた方針の検討や職場復帰支援プランの作成のための重要な材料の一つとなります。  JDSPでは、支援期間の中頃に「復職レポート(様式例)」や過去のJDSP修了生が作成した復職レポートを参考に休職者へ作成を促します。これまでとりまとめた「復職に向けた取組整理シート」(1(1)オ P23参照)や「休職の経緯と対処方法の整理シート」(2(1) P34参照)、JDSP各種プログラムの資料を見返しながら作成するよう助言しています。JDSPを受けるという転機において、JDSPで学んだ知識や得た気づきを振り返り、休職前の課題を踏まえながら職場復帰後の働き方について検討し、レポートに取りまとめる作業は、JDSP受講の集大成と言えます。  休職者が作成した復職レポートをもとに個別面談を行い、事業所担当者に対して伝わりやすいよう内容を精査し、記入内容が具体的になるよう必要に応じて助言を行います。書き始める際は言葉を選び、なかなか書き進められない休職者も多いため、スムーズに取り組めるように、まずは自分の振返り用として書き出してみること、その上で事業所担当者へ提出できるように修正することとしています。 〔資料12〕 復職レポート(様式例) 復職レポート(様式例) 1:リワーク支援の受講状況について (1) 受講期間:○年○月○日~○月○日 (2) 出席状況:○年○月〇日現在、全○日中、○日出席  ※欠席〇日(理由:   )、遅刻〇日(理由:   )、早退〇日(理由:   ) 2:体調管理について (1) 生活リズム、体調、気分の状況 (2) 集中力・作業耐性の現状 (3) 通院・服薬状況 (4) 主治医の意見(主治医の復職に関する見解、復職後の仕事上・生活上の注意事項など) 3:リワーク支援で学んだこと、気づきや感想 (1) リワーク支援での取組内容  ※主な活動を列挙するなど (2) 休職経緯と要因分析 ア 休職に至った経緯の客観的な振返り イ 休職に至った要因 ※「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」の 4つのテーマから要因を検討する。 (3) 再休職予防策と今後の働き方 ※復職後、再休職しないためにどうすればいいか、4つのテーマに沿って具体的な行動で示す。 (例)  × 働き過ぎて疲労を溜めないよう気をつけます。 ○ 疲労のサインは「○○」「○○」です。これらのサインが出たら、○○をして、ストレス・疲労を解消します。業務面では、上司に報告して、○○するようにします。 × 自分で抱え込む傾向があるので、早めに相談します。 ○ 毎日、上司に担当業務について報告します。仕事がたまっている場合は、納期調整について相談します。上司が不在の際には、○○する用意をします。 4:復職にあたっての希望(必要に応じて) (1) スケジュール (2) 勤務条件(勤務時間など) (3) 配属、職務 (4) 職場環境面で配慮をお願いしたいことなど *おわりに、職場の方への感謝や復職に向けた気持ちなどを書き加えることも方法です。 <構成> 1.リワーク支援の受講状況について ・受講期間:リワーク支援の期間を記入します。 ・出席状況:事業所へ復職レポートを提出する時点での出席状況を記入します。 2.体調管理について ・生活リズム、体調や気分の状況:現在の生活リズム、気分の落ち込みの頻度や理由等を記入します。 ・集中力・作業耐性の現状:「リワーク支援のプログラム時間中は集中できています」「リワーク支援プログラム 終了後、1時間程度は図書館でも集中して過ごすことができています」等把握できている状況を記入します。 ・通院・服薬状況:通院の頻度や服薬状況を記入します。具体的な処方内容は記入しないことが多いです。 ・主治医の意見:主治医の職場復帰に関する見解、職場復帰後の仕事上や生活上の注意事項等を記入する欄です。復職レポートを事業所へ提出する直近の診察にて、主治医へ確認し、記入します。 3.リワーク支援で学んだこと、気づきや感想 ・リワーク支援での取組内容:受講したプログラムの内容や受講を通して気づいたこと等を具体的に記入します。 ・休職に至った経緯の客観的な振返り:休職に至った経緯の客観的な振返り:「2(1)休職の経緯と対処方法の整理シート」をもとに振り返った内容を記入します。 ・休職に至った要因:振り返った内容をもとに、JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)から要因を検討し、記入します。 ・再休職予防策と今後の働き方:職場復帰後、再休職しないためにどうするかをJDSPの4つのテーマに沿って具体的な行動を記入します。具体的な行動とは、その場面や状況に陥った時にすぐに移せる行動を指します。 4.復職にあたっての希望 ・必要に応じて記入します。 ・例えば、「短時間勤務から開始したい」等配慮をお願いしたいことを記入します。「通院のため月1回金曜日の午後に休暇取得へのご配慮をお願いします」等理由も添えて伝えられると、事業所担当者もイメージしやすく、理解が得られやすくなります。 * おわりに…必須ではありませんが、休職している期間、職場の方々がサポートしてくださっていたり、代わりに業務を遂行してくださっていたりする場合があります。 職場の方への感謝の気持ちや職場復帰に向けた気持ちを書き加えると、事業所担当者が受ける印象が良くなる可能性があることも助言しています。 <使用目的> ・休職者が復職レポートを作成する際の参考になります。 ・復職レポートの作成は、休職者がこれまでリワーク支援で取り組んだ内容を振り返る機会となります。 ・復職レポートは、リワーク支援期間中の取組成果や職場復帰に対する意欲等を事業所担当者へ伝える際に役立てることが期待できます。 <使用方法・活用のイメージ> ・支援期間中盤が過ぎたころに休職者へ復職レポートの作成を促します。その際、「復職レポート(様式例)」を渡し、作成方法の説明を行います。 ・休職者が作成した復職レポートの内容を支援者が確認し、より伝わりやすい内容となるよう助言し、休職者が加筆・修正を行い完成を目指します。 ・リワーク支援中の取組成果を事業所担当者や主治医へ報告する際に活用できますが、第一ステップとしては、自分の振返りのために作成し、第2ステップとして取組成果を伝える相手用に修正すると書き進めやすいでしょう。 ・復職レポートをもとに事業所担当者や主治医へリワーク支援の取組成果を報告する前に、支援者に対し報告の練習をした上で加筆・修正することも効果的です。 <留意点> ・様式例の通りに書かなければならないわけではないことを休職者へ伝えましょう。 ・支援者からの助言はあくまでも「助言」です。必ず助言のとおりに修正しなければならないわけではないこと、自分が納得できる内容にすることが大切であると休職者へ伝えましょう。 終了報告会の効果  JDSPでの取組成果を報告し、JDSP終了後から職場復帰までの流れの最終確認を目的として、支援期間終了の直前に事業所に赴き、休職者、事業所担当者、支援者で「終了報告会」を行っています。終了報告会では、復職レポートをもとに休職者から事業所担当者へJDSPでの取組成果を報告します。 終了報告会を終えた休職者からの感想としては、「自分が取り組んできたことをしっかりと報告できてよかった。通院への配慮について事前に確認ができ、安心した」「JDSP終了後の職場復帰に向けたスケジュールや業務内容、職場の環境等を詳しく知ることができ、不安感の軽減につながった」との感想が聞かれています。  事業所担当者からの感想としては、「JDSPでの取組成果を把握できたことで、休職者の強みや弱みを明確にでき、弱みに対するプログラムに取り組んできたことがわかった」「休職者がリワークで学んだことを緊張しながらも堂々と報告していたことで、しっかりと自己分析ができていること、対処方法も考えらえていること、休職直後と比べて前向きに進んでいることがわかり、よかった」等、休職者の取組への肯定的なフィードバックが多く聞かれています。また、「適切な時期に必要な情報を共有する機会があったことで、休職者の変化の背景を知ることができた。職場での復帰支援プログラムの計画検討時に非常に役立った」といった意見もあり、業務内容の再検討や職場環境の整備等にも役立っていることがわかります。  中間報告会と同様に、支援者として休職者と事業所担当者の相互理解を手助けする機会になります。 (2) 復職者の集い~修了者のフォローアップとしての活用~   JDSPでは、支援期間終了後6か月間を「フォローアップ期間」として、対面や電話、オンライン等を使った個別面談を実施し、JDSPでの取組が復職後も継続できているか等職場への再適応に向けて再休職予防のために必要な助言を行っています。個別面談は職務遂行や職場での人間関係等個別の事案への支援の効果は大きいものの、「他者はどうしているのか」「悩んでいるのは自分だけなのか」といった不安感は解消しづらく、面談の中でも頻回に話に挙がっていました。プログラムを実施する中で、JDSPを受講している、休職から復職という自分と似た状況にある方同士の意見交換による「グループの力」は、支援者から助言をするよりも休職者に納得感や安心感を与える効果があります。そのため、再休職を予防し、健康的で安定した職業生活を送っていくために、この「グループの力」を活用する方法として、「復職者の集い」を実施しました。  JDSPでは、過去5年間に修了した方を対象として「復職者の集い」を実施しています。現在は、「2(2)復職者の集い」に記載のとおり、JDSPを現在利用している休職者(以下「受講者」という。)も一部一緒に参加しています。  JDSPでは、平日の午後に実施し、二部構成としています。第一部は受講者を含め、受講者からの質問に修了者が回答する内容です。休憩を挟んで第二部は修了者のみの時間とし、JDSPで学んだ内容で活かせていることや続けていること、JDSPの4つのテーマ(「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」)についての対処方法等をトークテーマとして準備し、修了者同士で意見交換をする時間としています(資料13参照)。 他の人の職場復帰後の取組を聞くために参加しました。 他の人の対処方法を知ることができて有意義でした。 平日開催だったため、有休休暇の取得の練習にもなりました。 客観的に自分を振り返るために参加しました。 JDSPで学んだことが活用できていることが再確認でき、自分が忘れていた対処も思い出すことができました。 自分の悩みに対しては、答えが出なくても聞いてもらえただけで嬉しかったです。  事業所内に職場復帰をした人が複数人いることは少なく、孤独感を抱く修了者もいます。休職や職場復帰という自分と同じ経験をした人から共感や労いの言葉を受けることは、孤独感の軽減につながること、現在の自分の取組に対する評価や今後再休職を予防するためにできる取組を振り返る効果もあることがわかります。  JDSPでは、「復職者の集い」の目的を、受講者に対してはプログラムへの動機づけに、修了者に対しては、JDSPに通っていたころの取組を思い出し、「健康的で安定した職業生活を送る」ことについて改めて振り返っていただくフォローアップの機会とすることをねらいとしています。  また、JDSPを実施している支援者からは、職場復帰後の状況を確認することでプログラムの効果を知ることができモチベーションの向上につながる、他の受講者へプログラムの効果を伝えることができるといった声が聞かれています。 〔資料13〕 復職者の集い トークテーマ <構成> ・JDSPで実施している「復職者の集い」の構成です。  第一部 13:30~14:30  ・ウォーミングアップ(自己紹介等) ・受講者との意見交換  休憩(15分間)  第二部 14:45~16:30 ・修了者同士での意見交換 復職者の集い トークテーマ 【JDSPでの取組について】 ・復職後、役に立ったなと思うことやプログラムはなんですか? ・プログラムで学んだことを活かせていると実感する場面はありますか? ・プログラムで学んだことのなかで、続けていることはありますか? 【JDSPの4つのテーマ(体調管理、ストレス対処、コミュニケーション、仕事の取組み方・働き方)について】 ・疲れたな、体調が悪いなと思ったときはどんな対処をとっていますか? ・ストレス対処のために意識していることはなんですか? ・復職後、相談する相手をどのように見つけましたか? ・再発、再休職を予防するために意識していること、取り組んでいることはありますか? 【その他】 ・今後の働き方の参考に、他の参加者に聞いてみたいことはありますか? ・第二部で活用するトークテーマ   【JDSPでの取組について】    ・職場復帰後に役立ったと思うことやプログラムはなんですか?    ・プログラムで学んだことを活かせていると実感する場面はありますか?    ・プログラムで学んだことのなかで、続けていることはありますか?   【JDSPの4つのテーマについて】    ・疲れたな、体調が悪いなと思ったときは、どんな対処をとっていますか?    ・ストレス対処のために、意識していることはなんですか?    ・職場復帰後、相談する相手をどのように見つけましたか?    ・再休職を予防するために意識していること、取り組んでいることはありますか?  【その他】    ・今後の働き方の参考に、他の参加者に聞いてみたいことはありますか? <目的> ・修了者に対し、リワーク支援終了後のフォローアップとして活用できます。 ・修了者は、受講者からの質問に答える中で、リワーク支援での取組を思い出し、現在の自分の働き方を振り返る機会になります。 ・修了者同士で話し合い、お互いの取組を労い合うことにより、「できている」「悩んでいるのは自分だけではない」等の安心感につながる効果が期待できます。 ・受講者にとっては、プログラムが職場復帰後の就労継続に役立っていることを知る機会となり、リワーク支援受講に対するモチベーションの向上が期待できます。 <活用方法・活用イメージ> ・修了者に事前に周知し、参加希望者を募ります。受講者へは、修了者に聞いてみたいこと等質問を事前に募ります。 ・第一部は、受講者から事前に募った質問に修了者が答える時間とします。 ・第二部は、修了者を3~4名程度のグループに分け、資料13「復職者の集い トークテーマ」を参考に、職員も含めた意見交換の時間とします。 ・最後に、JDSPで毎朝取り組んでいたマインドフルネスを行い、終了します。 <留意点> ・第一部では、ウォーミングアップとして、取り組んでいるストレス対処方法等修了者全員が答えやすい質問を投げかけ、全員に回答していただきます。その後の受講者からの質問への回答は挙手制とし、答えたい人のみが答える形にすることで、多くの質問へ回答する時間を確保することができます。 ・第一部でも、グループに分かれて受講者と修了者が意見交換する方法もあります。参加人数や所要時間に合わせて工夫します。 ・第二部では、職場に対する不満が多く挙がる場合もあります。その際は、職員がトークテーマを活用し、話題を「職場復帰後の自分の取組」へ戻していくよう意識しています。 ・特定の方の話す時間が長くなる場合があります。その際は、例えば開始直後にルールとして「限られた時間なので、多くの人が話せるよう一人2分程度での発言を意識してください」等と伝えておくことにより、職員が介入しやすくなります。 【引用文献】 障害者職業総合センター:「就労支援と精神科医療の情報交換マニュアル」(2017年)p.44-45 【参考文献】 厚生労働省、独立行政法人労働者健康安全機構:「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(2020年) 障害者職業総合センター:「幕張ストレス・疲労アセスメントシート MSFAS活用のために」(2010年) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.20「精神障害者の職場再適応支援 プログラム実践集(2)~気分障害者に対する復職支援の実践~」(2007年) 障害者職業総合センター職業センター:支援マニュアルNo.19「ジョブデザイン・サポートプログラム 気分障害等の精神疾患で休職中の方の職場復帰支援における事業主との調整」(2019年) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.37「精神障害者職場再適応支援プログラム ジョブデザイン・サポートプログラムのカリキュラムの再構成~プログラムの具体的内容と支援の実際~」(2021年) 障害者職業総合センター職業センター:実践報告書No.40「高次脳機能障害者の復職におけるアセスメント」(2022年) 第3章 地域センターにおけるアセスメントの工夫例 第3章 地域センターにおけるアセスメントの工夫例 1 グループヒアリングにより把握した工夫例の紹介  令和6(2024)年5月から6月にかけて、職場復帰支援を担当している16の地域センターの障害者職業カウンセラー及びリワークカウンセラー計31名を3つのエリアに集め、「職場復帰に向けた調整」をテーマとするグループヒアリングを実施しました。  ヒアリング後のアンケートで「グループヒアリングは今後の支援を行う上で参考になったか」と尋ねたところ、全ての参加者(31/31)が「大変参考になった・参考になった」と回答しています(図4参照)。また、自由回答より「参考になったこと」を整理すると表3のキーワードが挙げられました。  図4 参加者の感想 図4 参加者の感想 表3 参加者が「参考になったこと」キーワード 「参考になったこと」キーワード 1 支援計画を立てるためのアセスメント(情報収集・情報整理)の方法・工夫 2 コーディネートの手順や考え方、実施にあたっての工夫 3 休職者や事業所に対する説明の工夫(説明資料等) 4 リワーク支援への動機づけ・積極性の促進 5 事業所との職場復帰に向けた調整の工夫・留意点 6 支援の視点を整理する 7 他の地域センターの取組(参考になる) 8 対面での情報共有・情報交換(ヒント・発想の拡大、悩みごとの共有・ポイントの再確認)  ここでは、表3キーワード6~8「支援の視点を整理する」「他の地域センターの取組」「ヒントや発想の拡大、ポイントの再確認」の具体的な取組状況を、表3キーワード1~5「支援計画を立てるためのアセスメントの方法・工夫」「コーディネートの手順や考え方、実施にあたっての工夫」「休職者や事業所に対する説明の工夫」「リワーク支援への動機づけ・積極性の促進」「事業所との職場復帰に向けた調整の工夫・留意点」ごとに、地域センターにおいて工夫された参考例について紹介します。  また、そのような「職場復帰に向けた調整にあたってのアセスメントの工夫」を「職場復帰支援の調整の技(ポイント・留意点)」として整理し、以下に紹介します。 (1) 支援計画を立てるためのアセスメントの方法・工夫例  ア 休職者からの情報収集の工夫 技  リワーク支援を「自分ごと」として受けとめてもらうために、休職者本人がシート作成を通じて、必要な情報を整理できるよう支援する 事例1 「リワーク支援目標確認シート」の活用     ・Aセンターがオリジナルで作成した「リワーク支援目標確認シート」を、初回ガイダンス(説明会)の際に配付し、休職者本人に記入をお願いしている。リワーク支援を「自分ごと」として受けとめてもらうために本人に作成してもらっている。 ・「会社や主治医から課題として伝えられていること」という項目も設けている。休職者本人が事業所、主治医と話す(接点を作る)きっかけになればと考えている。 事例2 MSFAS(Ⅳ)のシートの活用 ・総合センター研究部門が開発した「MSFAS(幕張ストレス・疲労アセスメントシート)」第3版のうつ病(休職中)の方を主な対象と想定して作成された(Ⅳ)のシートを活用している。休職者本人の言葉で自分自身の状態を記入してもらい、それを理解・共有するために活用している。 ・「発症・休職に至るまでの経緯について整理してみましょう」とオリジナルのシートを追加して活用し、経過の中でどこに焦点づけて休職者本人が振り返るのかを把握している。 イ 事業所からの情報収集の工夫 技   休職者を経由して、事業所からの情報を集める(本人不在にしない情報収集)     休職者・事業所が主体的に職場復帰に向けて取り組むことを支援するスタンス        事例3 情報は本人が集める~「復職支援事前資料(事業所用)」の活用 ・リワーク支援の説明会の際に、利用を希望された方には、「利用開始シート(利用者用)」「生活記録表」とあわせて、「復職支援事前資料(事業所用)」をお渡しし、休職者自身が事業所に連絡をとって、復職支援事前資料を記入するようお願いしている。 ・休職者から事業所に「リワーク支援を利用したい」という意向を伝える機会にもなる。 また、休職者の意向を踏まえて、リワーク支援利用に向けた調整を進めることについて事業所の考えを確認できる機会にもなっている。     事例4 「ヒアリングシート」を休職者から事業所担当者に渡すことからスタート ・Bセンターがオリジナルで作成した「ヒアリングシート」を事業所に作成してもらっている。 ・「ヒアリングシート」は休職者から事業所担当者に渡すことからスタート。 ・「目標検討に使用するため」に休職者とも共有することを前提に記入をお願いしている。 ・「2:ご本人の担当されていた職務内容とその状況について教えてください」の項目は当初は業務遂行状況で「課題のあるもの」だけ聞いていたが、「順調なもの」も書いてもらうように変更した。事業所との職場復帰の調整(最終段階)にあたって、検討する際に活かしてもらえればと考えている。   ・「3:休職に至った業務上での原因(きっかけ)や経過」は、休職者に、事業所担当者と休職者の捉え方に違いがあって もいいものであることをあらかじめ説明している。 ・「5:復帰時に会社(職場)で対応できる配慮事項を教えてください」では、記載例を示している。(例)を見て事業所内でも検討するきっかけにしてもらえたらと考えている。 ・事業所として「変えられること」は「5:対応できる配慮事項」として聞き、「変えられないこと」(就業規則等)は「6:復職の条件/職場復帰に係る就業規程など」として聞いている。 ・「7:復職手続き(ステップ)・復帰予定日(タイミング)のスケジュール」は、休職者が復職に向けて、どのような流れで、何を準備することが必要かを事業所担当者に聞くことで、休職者も確認できるようにしている。 技  「シート」を活用して情報整理することで、事業所内のコミュニケーションの機会や事業所内で横断的に関わってもらう機会や仕掛けになる 事例5 「ヒアリングシート」を事業所内の情報共有の機会としても活用    ・Bセンターオリジナルの「ヒアリングシート」は事業所の担当者が作成することになっているが、シートの作成にあたり、事業所内の各担当者同士の視点や状況の確認のために、コミュニケーションをとる等、情報共有の機会にもなっている。そのため、シートの記入者欄には「複数の方のご記入でも大丈夫です」と記載している。シートの作成を通じて、事業所側にも職場復帰を「支える」という機運を醸成する機会にもなればよいと考えている。     技     事業所からの情報収集を「休職者本人が知っておくとよい、職場復帰に必要な情報を収集する機会」として活用する 事例6 事業所からの情報収集を休職者支援(確認)の機会としても活用 ※そのためには、休職者本人との「共有」を前提に情報提供することが必要 ・事業所の職場復帰に関する調整の窓口がどこなのか、休職中の連絡の取り方(方法)、休んでいる状況や制度(いつから休職に入るのか、いつまでが休職期間か等)、を休職者自身が知らないことや曖昧な場合もある。また、事業所担当者が必要と思っている状況把握のタイミングやコミュニケーション量と休職者自身の考えと差がある場合もある。リワーク支援開始にあたって必要な情報を休職者が事業所担当者に確認し、収集することで、情報や認識をすり合わせる機会としても活用している。 ウ 主治医からの情報収集の工夫 技    職場復帰のコーディネート時には、主治医の意見書等を用いて情報を得る通院同行は休職者の状況を把握できたタイミングで行う 事例7 「主治医の意見書」+独自に補足様式を加えて情報収集    ・主治医の意見書に加えて、リワーク支援の参考にするため、独自に補助様式を加えて、以下のような項目を聞いている。(複数の地域センターが同様の工夫を実施)   【診断名等】   ・本人への説明内容(病名について等)    【前兆・誘因等】 ・調子を崩すときの前兆、誘因等            ・本人にとって負荷がかかりやすい場面や状況            ・避けた方がよいと思われる作業や場面等   【地域センターで支援する際の留意事項】       ・地域センターが医療機関に協力を依頼する場合の連絡の取り方         (連絡先、協力等依頼する際の留意事項(適切な曜日や時間等))         ・地域センターの支援上で望むこと   【その他】   ・心理検査等         ・その他の医療上、健康管理上の問題の有無等 事例8 主治医から具体的な助言を得るための工夫~通院同行の機会の活用~     ・職場復帰のコーディネート時には、主治医の意見は主治医の意見書や補足様式を用いて情報を得ている。通院同行は、休職者本人と主治医との関係性、主治医の考えやスタンス等、職場復帰~職場復帰後にかけての主治医との付き合い方等を休職者に助言するためにも、リワーク支援に通所(体験含む)後1~2か月経った頃に行っている。 ・リワーク支援(体験含む)の通所状況が伝えられる段階で通院同行することで、支援者や本人からも実際の通所状況や感想等を伝えた上で主治医の意見が得られる。休職者や支援者からも状況を伝え、具体的に聞きたいことを聞く方が助言を得られやすい。 (2) コーディネートの手順や考え方、実施にあたっての工夫例 技    職場復帰の「コーディネート~リワーク支援~職場復帰」までの「職場復帰支援」全体の流れを可視化して見通しを伝える 事例9 コーディネート期間の位置づけや取組内容をわかりやすく示す     ・リワーク支援のガイダンス(説明会)の時点で、「職場復帰のコーディネート~リワーク支援~  職場復帰」までの職場復帰支援全体の流れや期間を最初に示すことで、地域センターが実施 するリワーク支援のイメージ(概ね4~5か月後には職場復帰を目指したリワーク支援が終了し、職場に復帰している)を可視化し伝えている。 ・「コーディネート期間」を「リワーク支援開始前」と説明するのではなく「職場復帰支援」全体を進める中での前半1~2か月のプロセスと説明することで、休職者や事業所の捉え方も変わり、コーディネート期間中も焦らず、体験することができる。 ・職場復帰支援全体のおおよそ中間の時点(1~2か月の時点)で通院同行、事業所訪問、ケース会議等を実施することで、休職者一人一人の状況に応じた「リワーク支援計画」に対する意見が得られ、三者の同意を得やすくなる。 ・「職場復帰支援」後半の「リワーク支援」開始前に2か月程度通所しているため、支援者は休職者のコーディネート期間中における体験の様子を見た上で、また休職者も、課題の振返り、講座を体験して得られた学びや気づきも含めて主治医や事業所担当者に状況を伝えることができる。   「職場復帰支援」全体の流れを可視化して伝えた図の例 事例10 「復職までのロードマップ」の活用~復職までの手続きや準備の共有~    ・Cセンターでは、事業所別に「復職準備~復職手続き~復職~職場再定着までのプロセスと必要なSTEP、準備すること」を確認し、復職までの見通しを休職者と支援者が共有できるシートとして「復職までのロードマップ」を作成し休職者と共有している。 事例11 休職者自身に「行程整理シート」を作成してもらう     ・Dセンター、Eセンターでは、職場復帰までのSTEPや必要な準備を休職者が自分ごととして知り、考えられるようにするため、「行程整理シート」(資料3 P17参照)の作成を休職者自身で取り組めるよう支援している。職場復帰に向けた準備をカウンセラー(支援者)任せにせず、自分でも時機を逃さずに必要な準備ができる、復職までの見通しが意識できる等の効果がみられている。 (3) 休職者や事業所に対する説明の工夫例 技    地域センターのリワーク支援の特徴やイメージを伝える。休職者や事業所が利用(タイミング、取り組む目的等)を検討できる材料・機会を提供する 事例12 復職に向けた課題整理をリワーク手続きの一環として提供する ・Dセンターでは、リワーク支援ガイダンス(説明会)の際に配布した「リワーク支援のお手続きに関するご案 内」を休職者自身が事業所の担当者に渡し、主体的に動くきっかけとしている。 ・休職者、事業所、主治医いずれの紹介であっても、リワーク支援の手続きの一環として、休職者と事業所が復 職に向けた課題整理や取り組む目的を話し合う機会を提供している。 ・休職に至る背景や課題が整理でき、受講理由や目的が確認できる。 年  月  日    部    様 リワーク支援のお手続きに関するご案内  拝啓  この度はリワーク支援をご検討いただきありがとうございます。 より安定した職場復帰を目指すために、下記の通りお手続きに関するポイントをお伝えさせていただきます。休職中の社員皆さまのご利用に関しまして社内でご検討をいただく際の一助となれば幸いです。 今後ともよろしくお願い申し上げます。 敬具                        記 〇リワーク支援の主旨 より長く安定して働くために、三者(雇用事業主、休職者、主治医)にご協力をいただき、支援を行うことを主旨とします。 〇雇用事業主の受講条件  A.雇用保険適用事業所であること。(公的機関は対象外です)  B.事業主が休職者の復職を前提としていること。  C.事業主が休職者と復職に向けた課題整理を行うこと。  D.事業主は休職者がリワーク受講に前向きな意思があるかをご確認いただくこと。  E.リワーク支援プログラム、職場環境調整に関する打合せ等に御協力をいただけること。 〇雇用事業主のお手続き  ①休職者、主治医、事業主、いずれかから職業センターにお問合わせ  ②リワークガイダンスへのご参加(例:休職者、人事)  ③(利用検討に向けたコーディネート開始)  ④上記A~Eをご確認いただき、職業センターへ連絡と共有  ⑤復職関係者(例:人事、上長、産業保健スタッフ)と職業センターの打合せ  ⑥(職業センターご利用可否検討会議)  ⑦リワーク支援プログラム開始後のサポート  ⑧復職に向けた職場環境調整 以上                                  〇〇障害者職業センター 事例13 職業リハビリテーション機関が実施するリワーク支援の特徴を伝える ・地域センターのリワーク支援について「4~5か月後に復職を目指して取り組む支援」だという説明は最初にしている。そのことで、もう少し時間をかけて相談や準備ができるとよい人は、医療機関や福祉機関の実施するリワーク支援があることも情報提供することとし、休職者が自分の体調やペースに合わせて焦らず、無理なくリワーク支援を受講できるようにしている。 ・地域センターのリワーク支援は支援計画に対して、三者の同意を得ることを必要としている。 その理由として「休職者、事業所、主治医が取組目標や課題をしっかり共有してリワーク支援を進めることができる」といった強みや目的があることを伝えるようにしている。 ・Eセンターでは、説明会の際に「リワーク支援利用の目安」を伝えている。地域センターのリワーク支援では、「4~5か月後に復職を目指す」ことから、「今、こういう準備や取組が必要だ」ということを伝えている。 ①休職者本人に復職の意思がありEセンターの利用を希望している ②病状が安定している ③出勤リズムに近い生活リズムを確立できている ④服薬管理、体調管理が自身でできている ⑤1時間程度集中して作業に取り組める ⑥病気の経緯や体験を話すことに抵抗がない (4) リワーク支援への動機づけ・積極性の促進の工夫例 技     自分がどうありたいのか?そのために、今何ができるか?を考えることができるような機会づくりや目標設定を行う 事例14 グループミーティングの活用~参加者間の相互作用を活かす~ ・「しゃべり場」というプログラム(グループミーティング)を月1回設定。 ・職場復帰支援の新規受講者(利用1か月目)と支援期間最終月(利用4か月目)の受講者同士が交流できるグループミーティングを企画・実施している。 ・実施方法は、1回1.5~2時間程度、1グループにつき7~8名程度ずつに分けて実施。 ・テーマカードを10枚程度用意し、新規受講者が質問したいことを選んで意見交換を実施する。 最終月の受講生にとっては、自分がリワーク支援期間中に、どのように過ごしたか振り返る機会と なり、新規受講者にとっては、リワーク支援期間をどう過ごしたらよいのか、リワーク支援がどう役立 つのか、先輩・経験者の話を聞くことでイメージが湧き、動機づけにつながる。 ・「自らどう学んでいくのか」という視点を大事に、参加者間の相互作用を活かして、考えることができる機会づくりを工夫している。 質問① 会社との打ち合わせにはどんな準備をどんな風にしましたか? 質問② 自己分析ってどんなことをしましたか? 質問③ センター利用前と利用後で復職に対する イメージが変わったところはありますか? 質問④ センターへの通所が無い日の過ごし方は? 質問⑤ 受けてよかったプログラムは何ですか? 質問⑥ 復職後、どんなことに気をつけようと思っていますか? テーマカードの例 事例15 目標設定の工夫~ブリーフセラピー※5の考え方を活かす~ ・過去の課題に注目した問題解決型の相談 ↓ 未来志向で「ここからどうありたいのか?」を確認し、そのために今、何ができるか考えられるよう目標設定を工夫している。 ・「ありたい姿」、復職時に「あるべき姿」、「現状」を聞くようにしている。 相談例)「ありたい姿」を達成するための課題は何か?    ↓ まず「復職」目指さないとありたい姿に近づけない。 「現状」は休職中。「あるべき姿」(復職・働いている状態)を目指す上で解決すべき課題は何か?を考えて、取組課題や目標に設定する。     ※5 ブリーフセラピーとは、問題の原因を深く掘り下げるのではなく、現在の状況や相互作用に焦 点をあてて、具体的な解決策を見つけることを重視する心理療法です。 (5) 事業所との職場復帰に向けた調整の工夫例 技      「報告書」を有効活用し、休職者の言葉で気づいたことや考えを伝える課題だけでなく「強み」や「力を発揮できる関わり」についても伝える 事例16 「リワーク支援報告書」の有効活用     ・リワーク支援の終了報告会に向けて、休職者が自身の言葉で、リワーク支援を通じて気づいたことや今後に向けての考え等を振り返ることを目的に「リワーク支援報告書」(以下「報告書」という。)を作成している地域センターは多くある。「報告書」作成にあたって次のような工夫がみられた。 *「報告書」は「事業所に向けて」だけでなく「自分のためとなるような」内容としている。未来の自分のための「これからどうありたいか、どう働くか」キャリア再構築の視点から取りまとめ、事業所に伝えるツールとして活用している。 *課題だけではなく、休職者の強みも整理し、一緒に伝えるようにしている。リワーク支援を通して把握できた、休職者が力を発揮できる声かけや働きかけ等も併せて伝えている。 【参考文献】 障害者職業総合センター:「幕張ストレス・疲労アセスメントシート MSFAS活用のために」(2010年) 第4章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメント実施の際のポイント及び留意点 第4章 職場復帰に向けた調整のためのアセスメント実施の際の ポイント及び留意点 1 職場復帰に向けた調整のためのアセスメント実施の際のポイント  JDSPの取組や地域センターの工夫例を振り返ってみると、職場復帰に向けた調整を効果的に実施できるように「工夫」「気をつけている点」があることがわかりました。この項目ではこれらを「職場復帰に向けた調整のためのアセスメント(情報収集・整理等)実施の際のポイント」として、以下に紹介します。 (1) 休職者本人の持っている力を活かし、「主体性」を尊重する  休職者によっては、事業所担当者と職場復帰に向けた話をすることだけでもストレスを感じることや職場復帰のために必要な情報やステップがわからず立ち止まってしまうこともあります。こうした場合に、支援者が休職者の代わりに情報収集を行っていませんか?事業所との調整を全て担うことを支援と位置付けて代行していませんか?  今後、職場に復帰して働くのは休職者自身です。JDSPでは「『休職』という転機は、職場復帰後の職業生活や、休職の前後を含む自分のキャリアを振り返り、自分が進む方向を自己決定し直すチャンスでもある」と休職者に説明をしています。職場復帰に向けた調整も休職者にとっては貴重な機会です。支援者が情報収集や調整等を代行することは、この機会を活かすことにつながらず、決して良い支援にはなりません。支援者は、休職者が今後の自分自身の働き方を自ら考え、職場復帰に向けた行動ができるよう、「主体性」を尊重し、促すための支援を行うことが重要です。 休職者本人の持っている力を活かした支援をするために大事にしたい支援の視点 ●代わりにやってあげることは支援ではない ・自分で自律的に考えたり、選択や判断をして、職場復帰に向けた行動(アクション)を進めていけるよう「主体性」を尊重する。 ・休職者本人が事業所担当者や主治医に自分の状況や考え、不明点等を「聞く」「伝える」ことができるよう、必要な情報を収集し、整理することを支援する。 (2) 個別性・多様性の把握  支援者は、職場復帰支援の経験を積むことで、職場復帰の進め方についてある程度見通しを持って対応することができます。しかし、休職者の状態(病名や症状、自分自身の疾病やストレス対処に関する理解等)は一人一人異なります。また、事業所も職場復帰の進め方や社内の体制、復職の判断基準や休職制度等、一社一社異なり多様です。支援者は、過去の支援経験に頼って職場復帰に向けた段取りや計画を示してしまうことのないよう留意する必要があります。休職者と事業所それぞれの個別性や多様性を踏まえて一ケースごとに支援目標を設定し、支援計画を作成する柔軟性が求められます。個別性・多様性に対応するために重要になるのがアセスメントです。 アセスメントの目的、狙いを再認識 ●アセスメントは、情報を集めて終わりではなく、しっかり活用することが大事 ・アセスメントは、「何を確認するのか」「何に取り組むために、何を検討するために必要なのか」を考えて、各種シートを選択し、活用する。シートの記載のみで足りない情報は、補足的に聞いて確認する。集めた情報は目標立てや支援にしっかり活かす。 (3) 三者で支援目標を共有しベクトルを合わせる  職業リハビリテーション機関(職業センターや地域センター)で実施する職場復帰支援の特徴の一つに、休職者、事業主、主治医の三者の同意を得た支援計画に基づいて支援を実施することが挙げられますが、「三者の同意を得る」ということは、支援を実施するための単なる手続きではありません。  支援目標をいくら支援者と休職者間で設定して取り組んでも、事業所の期待する目標と異なる場合や復職判断の基準に満たない場合、休職者の職場復帰に対する意欲低下や事業所に対する信頼感の揺らぎにつながりかねず、場合によっては職場復帰に至らないこともあります。こうした状況を避け、スムーズに支援するためには、事業所と休職者が支援の目的や目標を共有するとともに、支援計画について三者同意のタイミングまでに復職判断の基準を確認しておくことが必要です。  また、休職者の焦りが強く、休養が適当と判断されている時期にリワーク支援を希望することもしばしば見られます。リワーク支援実施のタイミングや支援の負荷の度合い等によっては休職者の状態の悪化につながることも懸念されるため、主治医からリワーク支援受講についての意見や配慮事項等を確認することが必要です。  このように三者同意を取り付けるタイミングは、リワーク支援についての三者それぞれの情報や考え、支援の目標をすり合わせて職場復帰に向けた準備を進め、ベクトルを合わせる機会と捉えて対応することが重要です。  また、支援目標の設定にあたっては、休職者が職場復帰支援に向けて前向きに取り組めるよう、「過去の課題」に焦点をあてるのではなく、「今後、期待したいこと、取り組めるとよいこと」等、今後に向けた期待と、そのために今できることに焦点をあてて目標を設定することもポイントです。 三者で支援目標を共有する良さ ・三者で取組目標や課題を最初にしっかり共有して職場復帰に向けた取組を進めることが望まれる場合は、支援計画について三者の同意を得るSTEPが有効に活用できる。 ・支援のスタート時点でしっかりゴールをすり合わせておくと、支援がぶれない。 (4) 職場復帰に向けた行程の可視化・見通しの共有  職場復帰に向けた行程を可視化し見通しを共有することの効果として、グループヒアリングを実施した地域センターのカウンセラーから次のような意見が聞かれていました。 職場復帰に向けた行程を可視化する・見通しを共有することの効果 ●主体的に動き出す後押しになる  ・職場復帰に向けた準備が支援者任せにならず、休職者自らが意識して準備できる。 ●休職者ができること、支援を受けたいことを考える機会や材料にできる ・職場復帰に向けて必要なSTEPと必要な準備を可視化し、共有することで、休職者が取り組めること、支援を受けたいこと等を考えるための材料ができる。考えて動き 出す機会につなげることができる。 ●進捗管理にも活用できる ・段階ごとに達成度や準備の状況を自己チェックできる。  休職に関する制度や職場復帰に向けて必要な手続き等を書面で伝えられる事業所もありますが、その時の体調等の影響により、伝えられた情報を整理できないままとなっている休職者もいます。また、休職に入った時点では事業所から制度等の詳しい説明を受けていないという方もいます。  職場復帰に向けた行程を可視化し、時系列に沿って必要な手続きや準備を整理すること、見通しを共有することは、休職者や事業所が主体的に取り組むことへの後押しにもなり、進捗管理にも役立てることができます。 (5) 情報の可視化~シートを活用する良さを活かす~  情報を可視化すること、各種シートを活用しアセスメントを行う効果として、グループヒアリングを実施した地域センターのカウンセラーから次のような意見が聞かれていました。 情報を可視化する・各種シートを活用してアセスメントを行う効果 ●休職者本人の理解の状況を休職者、事業所、主治医、支援者間で共有できる ●情報や理解のずれに気づきやすくなる、修正や確認がしやすくなる ●休職者が、情報を集めるために「聞く、説明する」ことを助けるツールとしても活用できる ●事業所内の複数部署でもっている情報や考えを共有するツールとしても活用できる  「シート」を活用することで、現状、休職者本人の考えや捉え方、事業所の考え等を可視化(見える化)することができます。自分の言葉で、自分自身の状態、事業所から聞いていること、考え等をシート等に書き出すことで、休職者も何がわかっているのか、どのような情報が不足しており確認が必要なのかに改めて気づく機会や休職者本人の理解の状況を周囲と共有できるツールとしても活用できます。  また、事業所内でも、職場復帰に携わる人は複数の部署や担当者に及ぶことも多くあります(例:直属の上司、人事担当者、産業医、産業保健スタッフ等)。その際に、「各種シート」を活用することで、事業所内での情報や認識、考えを共有できるといったメリットも期待できます。  このような良さを最大限に活かしながらアセスメントを実施することも大切です。 (6) 休職者の納得性を高める~体験と振返り~  休職者の納得性を高めて職場復帰に向けた準備を進める上で効果的な取組として、グループヒアリングを実施した地域センターのカウンセラーから次のような意見が聞かれていました。 納得性を高めて職場復帰に向けた準備を進めるための効果的な取組 ●まずは「体験」してみる。そして振り返る。  ・体験することで休職者の納得性は上がる。主治医の「リワーク支援プログラム参加可」の意見の確認はした上で、まずは体験してもらうところから始め、体験した上で納得してリワーク支援を受けるかどうか、受講のタイミング等を選択できるようにしている。 ●休職者同士の相互作用、グループの力を活かす(修了生や先輩の声の活用)  ・事業所や主治医の勧めで利用される休職者の中には、自分なりのリワーク支援を受ける意義や目的を見出しにくい場合もある。リワーク支援を実際に利用した先輩(プログラム終了間近の先輩や、既に職場復帰した先輩等)から、リワーク支援を受講して、役に立ったこと、受講して良かった講座等の話を聞くことで、リワーク支援に通うモチベー ションや納得性が上がる場合もある。  リワーク支援を希望し、相談に来られる時点での状態像はばらつきがあり、生活リズムの整い具合や体調・体力の回復具合は一人一人様々です。一方で職場復帰の際の要求水準も一社ごとに異なります。「リワーク支援の受講にはまだ早い」と支援者が相談や印象のみで判断するのではなく、主治医の意見を確認することは必要ですが「まずは体験をしてみて、振り返って共に確認する」ことが休職者の納得性を高めるポイントです。 2 職場復帰に向けた調整のためのアセスメントにあたっての留意点 (1) 個人情報の取扱い  職場復帰に向けた調整の過程で取り扱う情報の中には、休職者の健康情報や事業所の機密性の高い情報も含まれます。情報を集める際には、「職場復帰支援を効果的に行うために」「職場復帰支援の目標を検討するために」といった目的をしっかりと説明することが大切です。また、事業所の中で複数の部署やスタッフが関わっている場合等、全ての関係者が同じ情報を把握しているとは限りません。どの情報がどの範囲まで共有されているのか、共有してもよいのかを一つ一つ確認することが必要です。  本実践報告書で紹介した各種ツールは、休職者と事業所が「必要な情報を共有する」ことを前提・ねらいとして作成し、活用方法を紹介していますが、それぞれが記入した情報を提示・共有する際には、改めて取扱いの範囲を確認した上で共有するよう留意が必要です。 (2) 休職者、事業所担当者、主治医との関係構築にあたっての留意点  情報収集の過程で、事業所担当者や主治医から期待した情報が得られず、そのことに難しさや不満を感じるという意見が支援者からしばしば聞かれます。支援者が主治医や産業医、事業所担当者の役割や置かれた立場について正しい認識を持ち、得られる情報をあらかじめ整理しておくことも大切です。  主治医は基本的には患者本人から伝えられた情報を基に状況を把握しているため、事業所のことがわからない場合や、休職要因等に関する情報が本人寄りに偏りが生じる場合もあり得ることを踏まえておく必要があります。  産業医も専門領域によって、あるいは常勤や嘱託か等の違いによって健康情報や事業所の労働環境等について把握している内容が異なります。  事業所担当者も、役職や所属部署によってできること、把握している情報が異なることがあります。  情報収集は必要な手続きではありますが、職場復帰に向けた調整の過程では、三者の関係性の構築が何よりも重要です。支援者として、三者と同じ方向を向いて支援をしていくために必要な関係性を構築していくためには、相手が何でも知っていると期待して「教えてくれない、伝えてもらえない」と捉えるのではなく、職場復帰に向けた相談や支援をする中で把握・整理できた情報を、支援者や休職者本人からも事業所や主治医に伝えていくことが重要です。  「事業所担当者や主治医の役割は何か」「休職者本人や支援者に求められていることは何か」、職場復帰に向けた取組において、三者と支援者それぞれが今後の方向性や対応策をより具体的に検討し、調整を進めるためには、職場復帰支援の実施を通じて把握できた客観的な情報、休職者の心境、支援者の見立て等を休職者とすり合わせることや同意を得た上で休職者や支援者から主治医や事業所に伝えていくことが大切です。 例)主治医に職場復帰の際の留意事項に関する意見を聞きたい場合、事業所が考えている復職要件や支援場面の休職者本人の様子等の情報があれば、主治医の意見の確度が増すことが期待できます。 (3) 休職者や事業所との「相談」にあたっての留意点  支援者が行う休職者や事業所との「相談」が、職場復帰に向けた調整のために必要な情報を一方的に聞き取る場面になっていませんか?  本実践報告書では、情報収集や整理に役立ついくつかのツールを紹介していますが、相談の機会がこれらの項目を埋めるために、支援者が知りたいこと、確認したいことの情報収集の時間にならないよう気をつける必要があります。  「相談」の主体は支援者ではなく、相談相手である休職者や事業所担当者です。休職者や事業所担当者が、収集した情報について「どのように理解しているのか」「どのように捉えているのか」「曖昧なところや不明な点は何か」「不安に思っていることは何か」等をしっかり聴いて確認することを優先しましょう。限られた相談時間を有効に活用し、しっかりと相手の話を聴いて支援者と休職者等がお互いに理解を深め、今後に向けた具体的な行動を考えていく一助として、本実践報告書で紹介したツールを活用いただければと思います。 第5章 まとめ 第5章 まとめ  本実践報告書では、職場復帰支援において、休職者と事業主が職場復帰に向けた合意形成を行う際のポイントや合意形成後の円滑な支援や調整につなげるための支援ツール等を整理し、紹介しました。  職業センターでは、休職者、事業所担当者、支援者が必要な情報を整理し、共有することによって「職場復帰時に目指す状態像・ありたい姿」について共通認識を持ち、休職者が休職期間中に取り組む目標や実践内容を主体的に考え、選択し、具体的な行動につなげる後押しになる支援を大切に考えてきました。職場復帰に向けた各種調整には、職場とのコミュニケーション、スケジュール管理やタスク管理、状況に応じた計画の修正等、復帰後の仕事にも通じる要素が多く含まれています。「休職者の持っている力を活かし、主体性を支援する」ことで休職者がスムーズに職場復帰できるだけでなく、復帰後に健康的で安定した職業生活が送れる等、職場再適応を目指した職業リハビリテーションにつながると考えています。  これまで述べてきたように、休職者や事業所の状況はケースごとに異なるため、職場復帰に向けた支援内容も様々です。そのため一人一人、一社ごとにどのように調整を行っていけば良いか型通りにはいかず、個別性・多様性の高い支援は、型を作ること自体、難しさがあります。本実践報告書は職業センターのJDSPにおいて普段実践していることや大事にしていることを言語化し、可視化したものです。全てのケースにあてはまる、活用できるものばかりではないと思われますが、現場で新たに職場復帰支援に取り組む支援者の方には、調整に向けたアセスメントや支援方法を知る参考に、経験の豊富な支援者の方にとっては、多角的な視点から円滑な職場復帰を目指す支援方法を検討する手がかりやヒントとして、この実践報告書を活用していただけると幸いです。  地域センターでリワーク支援が開始されてから20年が経過しました。この間、医療機関におけるリワーク支援の拡大や、障害福祉サービス事業所での取組等、リワーク支援の裾野は確実に広がってきています。また、地域センターにおいても、本実践報告書でも紹介したように、それぞれの地域の実情に応じた取組や様々な工夫が行われています。一人でも多くの休職者が、円滑に職場に復帰し、納得感のある職業生活を送ることができ、再休職予防にもつながる職場復帰や職場再適応が促進されることに、本実践報告書で紹介した支援技法が少しでも役立つことを期待しています。 資料集 資 料 集 1 支援目標の設定、支援計画作成に活用できる支援ツール 資料No 資料名 ページ 休職者との調整 1 情報共有シート(2024版) 79~80 2 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版) 81 3 復職に向けた行程整理シート(2024版) 82 4 生活記録表 83~84 5 復職に向けた取組整理シート 85 医療機関との調整 6 主治医の意見書(JDSP版) 86~88 7 主治医の意見書作成のお願い 89 8 主治医の先生へ確認をお願いしたいこと 90 2 支援方針の検討に活用できる支援ツール 資料No 資料名 ページ 9 支援計画を立てるための情報整理シート 91 10 休職の経緯と対処方法の整理シート 92~94 11 ケースフォーミュレーションシート(リワーク支援版) 95 3 事業所との職場復帰の調整に活用できる支援ツール 資料No 資料名 ページ 12 復職レポート(様式例) 96 13 復職者の集い トークテーマ 97 情報共有シート(2024版) ○○センター 担当:○○ TEL:000-000-0000 e-mail:○○@○○ "  職場復帰支援を行うにあたり、支援の方法や方向性を検討する参考にさせていただくために、ご本人様と事業所ご担当者様へ本シートの作成についてご協力をお願いいたします。 ◆事業所ご担当者様  項目により、複数の方にご記入いただいても構いません。  本シートへの記載事項や復職条件等に係る確認のため、当センター職員よりご担当者様あてご連絡させていただく場合がございます。 氏名 生年月日   年    月    日 (     歳) 住所 〒 連絡先(電話番号) 〔最寄り駅      線      駅〕 事業所名 所属部署 役職 事業内容 従事業務 勤務地 〒 通勤時間 移動手段 : 〔最寄り駅      線      駅〕         時間    分 勤務日数    週      日 勤務時間 :         ~          :           通院先 主治医 通院頻度 事業所 担当者 窓口となる方に「〇」 氏名・役職 連絡先 (電話番号) 備考 人事担当        健康管理スタッフ   上司          産業医         その他        休業開始日   年   月   日 現在の状況   有給休暇 ・ 病気欠勤 ・ 休職 ・ その他(            ) "事業主の定める 休職期間"     年   月   日 ~    年    月   日  (   年   か月間) 休職回数   回目  休職中の収入    休職前の収入の      % (受給期間      年     月まで) 備考 "事業主の 職場復帰に 対する考え" リワーク支援の利用 必須  ・  必須ではない "リワーク支援の 報告会 必須  ・  必須ではない 定期報告 必須  ・  必須ではない 中間 ・ 終了 復職前のリハビリ出勤 必須  ・  必須ではない  ・  制度なし その他 "職場復帰後 当面の間の 取扱い" 事業主の考え 備考     時間外勤務 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )           休日出勤 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )     宿泊を伴う出張 ( 原則なし ・ 制限あり ・ 制限なし )     勤務時間の軽減 ( 1日     時間から開始可能 ・ なし )     勤務日数の軽減 ( 週     日から開始可能 ・ なし )     部署等の異動 ( 可能性あり ・ 原則不可 )     職務調整 ( 調整の余地あり ・ 調整の余地なし )     その他 (                               ) 職場復帰の流れ [例]主治医の職場復帰可能の判断→産業医面談→復職 職場復帰可否の判断基準 [例] リワークの出席率●%以上、十分な就労意欲がある、安全に通勤できる、疲労が翌日までに回復する、日中の眠気がない、業務遂行に必要な注意力や集中力が 回復している、その他達成して欲しいと思われることなど。 休職前の業務内容・業務遂行状況 [例]データ分析、提案書作成(PC使用)。Excelスキルはあり、図表を活用して提案書作成はできているが、締切間近の提出が続いていた。 リワークの中でご本人に取り組んで欲しいこと [例] ①指示通りに業務を遂行できるようになる、②進捗報告、体調不良等不安なことについて相談ができるようになる。    ※ 複数の事項がある場合には、優先順位を記載してください。    " ご本人の 職場復帰に 対する考え [記載項目例]復職時期、配属先、職務内容に関する希望など 職場復帰に向けての目標チェックリスト(2024版) 評価者氏名 :  〔 本人  ・  主治医  ・  事業主  ・  その他  (         ) 〕    記入日 :         年    月    日 ◇ 各項目について現時点での達成度を(%)で記入してください。 ◇ 達成度が低く改善が必要な項目は□にチェックを入れてください。 チェック項目 達成度 備考 生活習慣 生活リズム 勤務時間に合わせた規則正しい生活を維持できている %  毎日体を動かすことができる % 睡眠 適切な睡眠覚醒リズムが整っている % 昼間に眠気がない % 体力 疲労が翌日までに十分回復する % 通勤時間+勤務時間に合わせて行動ができる % 食生活 3食規則正しく食事をすることができる % 栄養バランスを意識して食事を選ぶことができる % 服薬 勤務時間に合わせて服薬調整ができる(主治医に相談できる) % 服薬している薬の作用・副作用がわかる % ストレス対処 ストレス対処  自分のストレッサー・ストレスサインを理解している %  自分のストレスサインに気づくことができる % ストレス対処法を身につけている % 体調管理 自分の疲労度・危険信号がわかる %  休職原因について自分なりに整理ができている % 自分の体調・症状への対処ができる % コミュニケーション 報連相 主治医以外に相談できる相手がいる %  困った時や悩んだ時に質問や確認、相談ができる %  職場から求められた連絡や提出物を提出することができている % 仕事の取組み方・働き方 意欲 十分な就労意欲がある %  復職に向けた情報収集や段取りができる % 通勤 公共交通機関を利用して移動ができる % 通勤時間帯に1人で安全に通勤ができる % 業務遂行 勤務時間に相当する時間は集中して作業に取り組むことができる % 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している %  書籍や新聞を読み、内容を要約できる % 仕事関連の書類・本を集中して読み、その内容をきちんと要約できる % その他 % % % 復職に向けた行程整理シート(2024版) 有休・病気休暇・病気欠勤・(        ) 休職 復職 (       年    月    日まで ) ( 休職期間満了日       年     月     日 ) 【復職前のリハビリ出勤の実施】 (  必須  ・ 必須ではない  ・ 制度なし  ) 〔期間〕 〔作業内容等〕 手続き 事業所関連 【職場復帰可否の判断基準】 主治医関連 職場復帰支援関連 月 生活記録表(前半)                                                  氏名(    ) 日付 曜日 睡眠・外出等の時間 疲労度 なし1←→5強い 気分・指数 良い1←→5悪い 備 考 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM PM AM PM 月 生活記録表(後半)                                             氏名(     ) 日付 曜日 睡眠・外出等の時間 "疲労度 なし1←→5強い 気分・指数 良い1←→5悪い 備考 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 AM 起床時 RW 開始時 RW 終了時 PM 就寝時 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 睡眠計 AM PM AM PM ◇◆ 復職に向けた取組整理シート ◆◇ 年  月  日 (氏名:         ) 1:プログラムの体験に参加した感想 ◆体調や疲労について ◆見学内容について 2:今後のリワーク支援の受講希望 ※〇を付けて下さい。 ・有       ・無         ・その他(                 ) 3:職場復帰と再休職予防策を考えるうえでご自身の【課題】と思われることを書きましょう。現時点で書ける範囲で今後【取り組みたいこと】について書きましょう。   生活習慣 【課題】 【取り組みたいこと】 ストレス対処 【課題】 【取り組みたいこと】 コミュニケーション 【課題】 【取り組みたいこと】 仕事の取組み方・働き方 【課題】 【取り組みたいこと】 様式第2号 職業センタープログラム受講申請者に係る主治医の意見書 氏 名 年 月 日生( 歳) 住 所 〒 TEL 診断名; 病名や病気のことについて、本人や家族には、どのように説明していますか。 病歴・治療歴 発病の時期 年 頃 現在の通院の状況 月 回程度 入院の状況 過去 回程度 通算 年位 前回入院期間 年 月 日 ~ 年 月 日 服薬の内容(名称、処方量/錠数、服用回数) ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 ㎎ 錠 回/日 【生活歴】 【現在の状態】 ①医療面 現在の精神症状(具体的な症状と程度) 症状の安定度(安定の程度、安定してからどの位の期間になるか等) 服薬の態度(自己管理の状況等) その他の留意事項 ②行動面 行動特性と課題 本人が苦手とする場面や状況 調子を崩すときの前兆(症状を崩す誘因なども含めて) ③生活面 日常生活場面での課題等 家族関係や家族の支援の状況 【職業センターで指導する上の留意事項】 職業センターの指導上で望むこと 避けた方がよいと思われる作業や場面等 健康管理上の留意事項等 既往症 現在の状況 ①血圧 /mmHg ②Hb抗原(宿泊棟利用者のみ) ③てんかん発作 無・有(有の場合は、下記に具体的に記入して下さい) 共同生活における留意点等(共同生活に不都合な疾患又は当プログラム受講に当たって の総合意見) 自己管理の状況 以上のとおり意見を述べる。 作成日 令和 年 月 日 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター長 殿 医療機関名 主治医氏名 所在地 (作成者の場合は不要) 電 話 作成者氏名 (職名 ) (主治医向け) 主治医の意見書作成のお願い  職業センターでは、職場復帰に向けた支援としてリワーク支援を実施しています。 プログラム実施にあたり、以下の目的により、「主治医の意見書」の作成をお願いいたします。 【主治医の意見書取得の目的】  職業センターが、患者様に対してリワーク支援を実施するにあたり、症状悪化につながらないように、かつより効果的な支援とするために、先生が現時点で把握されているこれまでの経過、不調につながる前兆、リワーク支援を実施する上で留意すべき事項等について教えていただき、支援の参考にしたいと考えております。 (作成いただきました「主治医の意見書」は、ご本人様と共有させていただきます。)  ご不明点等ございましたら、下記担当あてご連絡ください。  よろしくお願いいたします。 職業センター 担当:○○ Tel:000-000-0000 (ご本人様向け) 主治医の先生へ確認をお願いしたいこと  主治医の先生へ意見書の作成と併せて、今後支援者が先生と支援状況の共有を行うことが可能かご確認をお願いいたします。  状況の共有が可能な場合、先生への連絡やご助言いただきたい場合の方法、連絡先についても併せてご確認をお願いします。 (緊急の場合を除き、ご本人の同意を得た上で共有させていただきます)  以下について主治医の先生へ確認いただいた内容を職業センター担当者へお伝えください。 1.先生と支援状況の共有を行うこと   □ 可 能       □ 不 可       ↓ 2.可能な場合の共有方法   □ 先生に直接ご助言をいただくことが可能   □ 受付や相談員等を通じて可能   □ ご本人を通じてのみ可能 3.可能な場合の連絡方法・連絡先   □電話番号(                      )   □メール (                      )   □お手紙 (〒                      ※ 連絡時の留意事項(窓口、望ましい曜日や時間、方法など)     (                          ) 支援計画を立てるための情報整理シート 属性情報 氏名・年齢 事業所名 住所 家族状況 収入状況 その他 支援課題 生活習慣・健康状態 生活リズム 食事 運動 睡眠 飲酒・喫煙 本人が考える目標 支援課題・目標 ストレス・疲労 認知 ストレス・疲労の状況 ストレス・疲労のサインと対処 本人が考える目標 支援課題・目標 事業主情報 休職期限 担当者 復職までの流れ 休職前の業務 その他 支援課題 コミュニケーション 特徴 本人が考える目標 支援課題・目標 仕事の取組み方・働き方 特徴 やりがい・価値観 作業遂行力 本人が考える目標 支援課題・目標 ◇◆ 休職の経緯と対処方法の整理シート ◆◇    年   月   日 (氏名:           ) 1:休職の経緯 (体調悪化のきっかけとなるエピソード~休職まで)  いつ             エピソード            気分      その時の考え 2:休職に至った要因(分析) 3:考えられる対処法や今後の再休職を予防するための対処方法 (箇条書きでOKです。)  ※具体的な行動に落とし込めるように書きましょう。 生活習慣 ストレス対処 コミュニケーション 仕事の取組み方・働き方 ケースフォーミュレーションシート ~再休職予防を考える視点から情報を整理し今後の支援を検討する~ 環境 【職場】   (業務の特徴、職場復帰時に求められること、事業場内外のサポート 等) 【医療機関】   通院、服薬状況   主治医に対する本人の捉え方   カウンセリングの有無   等 【家族・社会資源】  相談やサポートを求める   ことができる相手の状況 【その他】 支援を考える 【検討事項】 【支援方針(支援期間後半の支援目標、取組課題)】 個人 【課題の背景・要因】 (本人の見立て・捉え方、支援者の見立て 等) 【支援期間前半でのアプローチ状況(試したこと、取り組んだこと)】 【その他】 復職レポート(様式例) 1:リワーク支援の受講状況について (1) 受講期間:○年○月○日~○月○日 (2) 出席状況:○年○月〇日現在、全○日中、○日出席     ※欠席〇日(理由:   )、遅刻〇日(理由:   )、早退〇日(理由:   ) 2:体調管理について (1) 生活リズム、体調、気分の状況 (2) 集中力・作業耐性の現状 (3) 通院・服薬状況 (4) 主治医の意見(主治医の復職に関する見解、復職後の仕事上・生活上の注意事項など) 3:リワーク支援で学んだこと、気づきや感想 (1) リワーク支援での取組内容  ※主な活動を列挙するなど (2) 休職経緯と要因分析   ア 休職に至った経緯の客観的な振返り   イ 休職に至った要因 ※「生活習慣」「ストレス対処」「コミュニケーション」「仕事の取組み方・働き方」の 4つのテーマから要因を検討する。 (3) 再休職予防策と今後の働き方   ※復職後、再休職しないためにどうすればいいか、4つのテーマに沿って具体的な行動で示す。 (例)   ×働き過ぎて疲労を溜めないよう気をつけます。  ○疲労のサインは「○○」「○○」です。これらのサインが出たら、○○をして、ストレス・疲労を解消します。業務面では、上司に報告して、○○するようにします。  ×自分で抱え込む傾向があるので、早めに相談します。  ○毎日、上司に担当業務について報告します。仕事がたまっている場合は、納期調整について相談します。上司が不在の際には、○○する用意をします。 4:復職にあたっての希望(必要に応じて) (1) スケジュール (2) 勤務条件(勤務時間など) (3) 配属、職務 (4) 職場環境面で配慮をお願いしたいことなど *おわりに、職場の方への感謝や復職に向けた気持ちなどを書き加えることも方法です。 復職者の集い トークテーマ 【JDSPでの取組について】 ・復職後、役に立ったなと思うことやプログラムはなんですか? ・プログラムで学んだことを活かせていると実感する場面はありますか? ・プログラムで学んだことのなかで、続けていることはありますか? 【JDSPの4つのテーマ(体調管理、ストレス対処、コミュニケーション、仕事の取組み方・働き方)について】 ・疲れたな、体調が悪いなと思ったときはどんな対処をとっていますか? ・ストレス対処のために意識していることはなんですか? ・復職後、相談する相手をどのように見つけましたか? ・再発、再休職を予防するために意識していること、取り組んでいることはありますか? 【その他】 ・今後の働き方の参考に、他の参加者に聞いてみたいことはありますか? 障害者職業総合センター職業センター実践報告書No.41 職場復帰に向けた調整のための効果的なアセスメントの実施方法 発 行 日    令和7年3月 編集・発行    独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター             所在地:〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 電 話:043-297-9043(代表) URL:https://www.nivr.jeed.go.jp 印刷・製本   株式会社 コームラ  この成果物の著作権の取扱いについては、著作権法及び当機構の規程(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページを参照)の定めるところによるものとし、ご利用なさる方は著作権法で認められている範囲を逸脱しないように、文化庁の著作権に関するサイト等をご確認いただき適切なご利用をお願いします。                           当機構ホームページ「著作権・免責・リンク」  https://www.nivr.jeed.go.jp/copyright.html ISSN 1881-0381 リサイクル適性A この印刷物は、印刷用の紙へリサイクルできます。 (表紙とCDを除く)