ガイドブックの作成にあたって  漢字の読めない失語症のある方が漢字を入力するためにはどうしたらよいでしょうか?漢字を入力するために言語を再 学習することはとても困難が伴います。漢字にルビを振ればよいと思うかもしれませんが、もし仕事であれば入力するデータ 量が増えれば増えるほど、周囲の負担は増大します。スケジュール帳に予定を書いたことを忘れてしまう記憶障害者が自 らの予定に気づくためにはどうしたら良いでしょうか?スケジュール帳に予定を書くことができても、参照することができなけれ ば、予定を忘れてしまい、スケジュールを管理することはできません。周囲の人たちが、毎回声をかけてくれればスケジュー ル帳を参照することができるかもしれませんが、常に対象者を観察するわけにもいきません。  このような場合に役立つのがアシスティブテクノロジー(Assistive Technology:以下「AT」という。)です。ATの 様々な機能は、とても便利で役立つ機能です。しかし、聞き慣れない言葉であったり、ATを使用することへの抵抗感や 使いこなすことが難しいという印象を持たれる方も多いのではないでしょうか。  このガイドブックは、高次脳機能障害による認知機能(記憶、注意、遂行機能、失語等)の低下をATによって補完 する方法をまとめたものです。本稿では、比較的身近にあるWindows10を搭載したパソコン、タブレットPC(iPad)の 標準機能に着目し、これらの機能を活用することで、認知機能をどのように補い、職業生活に役立てることができるのか 体系的にまとめました。  このガイドブックによって、一人でも多くの高次脳機能障害者の職場定着や職域拡大につながることを祈念します。 【用語の解説】 Assistive Technology: 支援技術。支援に役立つテクノロジー全般をさす。携帯電話やパソコンも含まれる。同義 の言葉として、認知補助テクノロジー(Assistive Technology for Cognition:ATC) [1]、情報通信技術 (Information and Communication Technology:ICT)等がある。 目次 ガイドブック作成にあたって  高次脳機能障害とATを活用した支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1  ATを活用する意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3  機能障害から「困り感」を軸にする考え方へのシフト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5  このガイドブックの使い方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6  ガイドブック作成の取り扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7  高次脳機能障害のある人の就労で困る場面一覧表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 Windows10編  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11  No.1 読み上げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14  No.2 音声入力(音声認識)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16  No.3 タイムライン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18  No.4 タッチキーボード・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20  No.5 集中モード(Focus Assist) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22  No.6 拡大鏡 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23  No.7 ハイコントラストの調整とカラーフィルター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25  No.8 キーボードやマウスのテクニック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27  No.9 単語登録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29  No.10 キーボードショートカット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31  No.11 スタートメニューのカスタマイズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 iOS編 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 No.1 メモ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 No.2 カレンダー(スケジュール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 No.3 リマインダー(タスク管理) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・44 No.4 アラーム  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 No.5 カメラ(写真) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 No.6 カメラ(動画) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51 No.7 Map ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 No.8 音声入力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 No.9 ボイスメモ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56 No.10 連絡先 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 No.11 Office Lens  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 No.12 ヘルスケア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60 【寄稿】「ICTを活用した高次脳機能障害者の就労支援」滋慶医療科学大学院大学 岡耕平 准教授 ・・64 索引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 困り感キーワード検索 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 目的別索引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 高次脳機能障害とATを活用した支援 1 高次脳機能障害とは  事故や病気で脳に損傷を受けたために、その後遺症として「記憶」や「注意」、「社会的行動」等の認知の機能 (高次脳機能)が低下した状態を高次脳機能障害といいます。高次脳機能障害は日常生活の中で現れますが、 外見や少しだけのかかわりでは障害があると見えにくいため「周りの人には理解しにくい障害」といわれています。 [2]  高次脳機能障害者数については、平成13年(2001年)度から5年間行われた高次脳機能障害支援モデル事業において、 すべての年齢層をあわせて全国で約27万人、そのうち18歳以上65歳未満は約7万人と推定されています。 [3] 2 高次脳機能障害者への支援  障害者職業総合センター職業センターの就職・職場復帰支援プログラムでは、高次脳機能障害者への支援として、 以下の三点に取り組んでいます。 ①テクノロジーやローテクを活用した補完手段習得支援 ②障害が職務遂行や職業生活に及ぼす影響の整理 ③対象者の特性を考慮した職務再設計の支援  ①については障害者職業総合センター職業センター実践報告書No.30「記憶障害を有する高次脳機能障害者の 補完手段習得のための支援」を、②③については障害者職業総合センター職業センター実践報告書No.32「高次脳機能障害者の 復職における職務再設計のための支援」を参考にしてください。  なお、本ガイドブックはATを用いた補完手段を推奨するものではなく、選択肢とすることを推奨するものです。 補完手段の活用は、対象者の障害特性を十分に考慮し、選択する必要があります。 3 高次脳機能障害者の作業遂行上の問題点  障害者職業総合センター研究部門 [4]は全国の地域障害者職業センターのジョブコーチ支援を受けた高次脳機能障害者の 作業遂行上の問題点について調査を行いました。この調査によると、作業手順の定着28名(25%)、 作業が覚えられない22名(19.6%)、作業ミス・入力ミス16名(14.3%)、処理スピードが遅い12名(10.7%)等が問題点として 比較的多いと指摘しています。(図1)これらの問題点には、様々な補完手段を用いることで対処することが望まれます。 図 1 高次脳機能障害者の作業上の問題点 4 高次脳機能障害者へのATを活用した支援の経過  原(2018) [1]によると電子機器を用いた補助具の活用は、Wilsonらが「Neuro Page」と名付けたポケベル情報を 自動的に送信するシステムを開発し、記憶障害患者が自立生活につながる結果を得たことの報告にさかのぼるといいます。 国内においては、国立障害者リハビリテーションセンターのグループが、高次脳機能障害者の日常生活支援を目的とした PDAソフトウェアの開発 [5]、携帯アプリケーションに関する研究 [6]を報告しています。また、発達障害者の就労における テクノロジーの活用について、雇用・能力開発機構(現高齢・障害・求職者雇用支援機構)が報告しています。 [7]  こうしたATの効果について、De Joodeらのリハビリテーションレビューによると25件の研究において、記憶障害については 有意なサポートデバイスであったと結論づけています。国内では、主に特別支援教育における発達障害児への支援を 中心として研究が進められ、効果が実証 [8]されています。      ATを活用する意義 1 視覚だけに頼らない  人間には、様々な感覚モダリティがあります。感覚モダリティとは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚等を指します。 仕事をしていると視覚に頼りがちですが、注意障害があると必要な情報を選んだり、注意を切り替えたり、一度に処理できる 情報量が少なくなったりします。 (表1)それにも関わらず、就労場面では目視や定規を使って一文字ずつ確認することが多く、視覚的な注意に頼る方法が 選ばれがちなのが現状です。ATを活用することで視覚にばかり頼るのではなく、音声読み上げにより、聴覚モダリティを活用したり、 スマートウォッチ等を用いれば触覚モダリティを活用することができます。また、これを複数組み合わせることも容易となります。   表 1 注意障害の種類  種類           特徴   持続的注意の障害   注意力や集中力を持続させて、ひとつの行動を続けることが難しい 選択的注意の障害   たくさんある情報の中から、余計な情報に気を散らさずに、今必要な情報だ            けを選ぶことが難しい 注意の分配の障害   いくつかのことに同時に注意を向けながら、行動することが難しい 注意の転換の障害   ひとつの情報に注意が向けられているとき、より重要な他の情報に気づいて            注意を切り替える、その後、元の情報に注意を戻す等が難しい 注意の容量の障害   一度に処理できる情報の量が少ないため、情報を処理する効率が悪くなったり           、処理するスピードが遅くなったりする 阿部順子・蒲澤秀洋(監修)名古屋市総合リハビリテーションセンター(編著):「50シーンイラストでわかる高次脳機能 障害『解体新書』」、株式会社メディカ出版、2011、pp124-128をもとに作成 2 双方向性  記憶の補完手段としてメモリーノートの有効性は実証されています。ただし、メモリーノートはどのような記憶障害者に対しても 有効というわけではありません。当然のことながら、対象者の特性によっては、有効活用できず躓いてしまうことがあります。(図2)  メモリーノートは情報を書き込んでも、メモリーノートから声をかけてくれることはありません。一方、「通知」機能を使えば、 対象者に次の行動を知らせることができます。このように、ATを活用することで、対象者からの一方通行ではなく、双方向で 情報をやり取りすることが可能となります。 図 2 メモリーノート活用に求められる要素 3 身近な存在である  日々の生活や仕事において、パソコンやスマートフォンはなくてはならない存在になりつつあります。平成30年の総務省の調査 [9]では、 情報通信技術の普及・発展はめざましく、パソコンを保有している世帯は73.0%、スマートフォンは71.8%に達しており、 もはや私たちにとって身近な存在であるといえます。     図 3 情報通信機器の保有状況の推移(世帯) 機能障害から「困り感」を軸にする考え方へのシフト     岡(2013) [10]によると「同じ障害種別の人でも、実際にはその障害の程度によって生じる問題が大きく異なる。 障害種別や程度区分だけでは障害を評価できなくなっている。この問題に対して、近年広がりつつある考え方が「困り感」を軸にする という考え方である」とし、特別支援教育における発達障害を中心に障害を診断ありきではなく、困り感を軸にする 考え方が広がっていることを紹介しています。高次脳機能障害の特性による分類を困り感による分類に変換すると次の分類に整理できると考えます。(図4)   図 4 特性による分類と困り感による分類の比較 このガイドブックの使い方  ガイドブックを活用する3つの方法があります。 > 困る場面一覧表(p.8~9)  高次脳機能障害者が躓きやすい場面を「出社前-通勤」、「スケジュール管理」、「作業手順」、「処理速度」、「正確性」、 「電話」、「休憩」、「会議」、「コミュニケーション」、「帰宅後」の10のシーンに分類し、そこで起こりうる困難に対して 効果が期待できる機能を紹介しています。 > 紹介機能一覧表(Windows:p.13 iOS:p.36)  本稿で紹介しているWindowsまたはiOSにおける機能を一覧表から探し、該当機能を参照することができます。 > 索引(困り感キーワード検索:p.66、目的別索引:p.67~68)  巻末の「困り感キーワード検索」、「目的別索引」から機能を逆引き検索することができます。 ガイドブックの見方(図5)  ATの機能や就労場面での使い方の紹介、使うことで補える認知機能の解説、期待できる効果について述べています。       図 5 ガイドブックの見方 ガイドブック作成の取り扱い    本ガイドブックでは、WindowsやiOSの就労に役立つ機能を紹介しています。本稿で紹介できなかったMacOSやAndroidにも 今回紹介した各種機能と同等のものが備わっています。詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。 * マイクロソフトアクセシビリティ https://www.microsoft.com/ja-jp/enable * Appleアクセシビリティ(iOS、MacOS) https://www.apple.com/jp/accessibility/ * Androidアクセシビリティ https://support.google.com/accessibility/android#topic=6007234 ※このガイドブックは、テクノロジーを活用した認知機能の補完手段における一手法を紹介したものであり、 特定のメーカーの製品等の使用を推奨する意図はありません。 高次脳機能障害のある人の就労で困る場面一覧表 ◇Windows10(パソコン)の機能 ■iOS(タブレット・スマートフォン)の機能 Windows10編    Windows10は、Microsoftが開発・提供するPCを操作するオペレーションシステム(OS)です。  ここでは、Windows10の標準機能の中から、高次脳機能障害者の認知機能を補完する機能の使い方、就労における 活用シーンを詳しく解説します。     No 機能 概要 キーワード 補完手段として期待できる効果 1 読み上げ     指定した場所または、表示中の画面全体を音声で読み上げる機能です。 ・見落とし(ミス)がなくならない ・漢字が読めない    注意障害のある方が、文書の確認をする時等に役立ちます。 2 音声入力(音声認識) キーボードやディスプレイをタッチすることなく、文字の入力、デバイスの操作を行う機能です。 ・入力が苦手 キーボードではなく、音声で文字入力することができるため、上肢機能障害があっても入力が可能です。 ボイスメモと異なり、文字を可視化することができるので、容易に見直しをすることができます。 3タイムライン 30日前までさかのぼって、Windows10で行ったファイルの作成や操作の履歴を検索することができる機能です。 ・覚えられない 履歴をタイムラインで確認し、やり残した仕事を引き続き行うことができます。 4タッチキーボード タブレット上に手書き入力することで、熟語や言葉を予測して表示させる機能です。 ・入力が苦手 失語症等により漢字の読み方が分からなくても、手書き入力することで、入力したい漢字を表示させることができます。 5集中モード(Focus Assist) 集中モードをオンにすることで、メール等の様々な通知が表示されなくなります。 ・集中できない 余分な刺激をなくすことができるので、作業に集中することができます。 6拡大鏡 画面を拡大して細部まで見やすくする機能です。 ・見落とし(ミス)がなくならない ・疲れやすい 画面を拡大して文字を大きくすることで、入力後 の見直しをしやすくし、間違いを防止します。 7ハイコントラストの調整とカラーフィルター 画面の最も暗い部分と最も明るい部分の輝度の差を調整する機能です。 ・疲れやすい 色調を変えることで、疲労軽減・作業効率の向上を図ります。 8キーボードやマウスのテクニック 固定キー:Alt等のキーを固定した状態にすることができる機能です。 フィルターキー:キーを長く押しすぎてしまったり、意図しないキーを触ってしまう場合の誤動作を防止する機能です。 スクリーンキーボード:通常のキーボードの使用が難しい場合、マウスのクリックで文字の入力を行う機能です。 マウスキー:テンキーでマウスポインターを操作する機能です。 ・処理に時間がかかる 片麻痺等によりキーボードの操作が困難な場合の入力を補助します。 9単語登録 日本語入力ソフト(例:日本語IME等)にない言葉を登録することで、変換時に候補として表示することができま す。 ・言葉が出てこない ・入力が苦手 ・処理に時間がかかる 単語を登録することで、入力の効率性を高めるとともに、誤字を防止します。 10キーボード ショートカット 通常ではマウスを使って実行する操作をキーまたは複数のキーを組み合わせて行う機能です。 ・処理に時間がかかる マウスを使うことなく、キーボードのみで操作ができるので、作業効率の向上が期待できます。 11スタートメニューのカスタマイズ 画面左下にあるWindowsロゴマークをクリックしたときに表示されるアプリケーションの一覧を整理します。 ・必要な情報に注意を向けられない ・操作方法を覚えられない 表示される情報量を制限することで、注意の分散を防ぎます。 No.1 読み上げ  Word、Outlook、PowerPoint等の「読み上げ」を使用して、画面上に表示されたテキストを読み上げることができます。 キーワード:見落とし(ミス)がなくならない 漢字が読めない ≪事前準備≫ > クイックアクセスツールバーに読み上げ機能を追加する手順(Wordの場合) 1.[ファイル]タブをクリックします。 2.[オプション]をクリックします。 3.クイックアクセスツールバーをクリックします。 図 6 クイックアクセスツールバー 4.[コマンドの選択]ボックスの一覧の [すべてのコマンド]をクリックします。 5.[読み上げ] まで下にスクロールしてクリックし、[追加] をクリックします。 ※すべてのコマンドは、数字、アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字の順に表示され、「読み上げ」は選択項目の下方に表示されます。 図 7 [読み上げ]の設定 6.[OK] をクリックします。 ≪使用方法≫ > 読み上げの方法 1.マウス等で読み上げるテキストを選択します。 2.クイックアクセスツールバーの [読み上げ] アイコンをクリックします。 3.1つの単語またはテキストのブロックを音声で読み上げることができます。 ≪就労における活用シーン≫  > 文書入力をした後に見直しするとき  完成した文書を見直しすることで、入力漏れや入力ミスに気づけることがあります。入力した後の文書の確認は目視で 確認する方がほとんどです。しかし、対象者の中には、持続的注意の障害等の影響により、何度見直してもミスを 見落としてしまう方がいます。このように視覚的に確認することが苦手であれば、聴覚的に確認することで、 間違いが見つかることがあります。  > 指示文書を読むよりも、聞いた方が理解しやすいとき  ウェクスラー式の知能検査1には、視覚的な情報処理能力と聴覚的な情報処理能力を把握する指標があります。 読んで理解するよりも、聞いて理解した方が得意な場合は、読み上げ機能を使うことで、いつでも視覚的な情報を聴覚的な情報に 変換して提示することができます。  > 読めない漢字があるとき  失語症の症状として形態知覚2に異常がでると、漢字を正しく認識することが難しくなることがあります。そうした場合 職場の同僚や支援者に読み上げてもらうことも配慮の一つですが、いつでも頼めるとは限りません。そのような場合に、 読み上げ機能を使うことで、他者のサポートを受けることなく、文書内容を把握することができます。 No.2 音声入力(音声認識)  マイクを使って、テキスト文章を読み上げることで、Word等に音声でテキストを入力することができます。 キーワード:入力が苦手 ≪事前準備≫  > マイクのセットアップ 1.[Windows]ボタンをクリックします。 2.[設定]→[時刻と言語]→[音声認識]の順に選びます。 3.画面中央の[マイク]の下にある 開始する ボタンをクリックします。 図 8 マイクのセットアップ  > PC に音声を認識させる 1.タスクバーの検索ボックスに「Windows 音声認識」と入力し、検索結果の一覧で[Windows 音声 認識]を選択します。 2.[音声認識トレーニングへようこそ]というダイアログボックスが表示されない場合、 タスクバーの検索ボックスに「コントロールパネル」と入力し、検索結果の一覧で[コントロールパネル]を選択します。 3.[簡単操作]→[音声認識]→[コンピューターをトレーニングして認識精度を上げる] を選択します。 4.指示に従って音声認識を設定します。 図 9 音声認識のセットアップ ≪使用方法≫  > 音声で文字を入力する 1.ボタンを押します。 2.「聞き取ります」が表示されます。(図10) 3.音声で入力します。 図 10 音声入力画面 ≪就労における活用シーン≫  > 文書やメールを作成するとき  失語症により以前はできていたキーボードのローマ字入力が難しくなる場合があります。その場合、音声や手書きによる 入力の方がスムーズに入力できる場合があります。キーボードの配列やローマ字の組合せを想起する必要がないため、 入力スピードの向上につながる可能性があります。  > 上司からの口頭指示をメモするとき  メモをとることは、決して簡単なことではありません。「聞く」、「聞いたことを短期的に記憶に留める」、 「素速くメモする」これらの3つのスキルを要する高等技術です。音声入力であれば、聞いたことを復唱することで、音声をテキスト化することができ、 メモに必要な短期的な記憶、メモを書く機能を補うことができます。  > 文字入力に時間がかかるとき  仕事は正確さだけではなく、時には入力速度も求められます。キーボード入力では時間がかかる場合は、音声入力や 手書き入力の方が素速く入力できることがあります。実際に、色々な入力方法を試行し、自分に合った方法を選択することが重要です。         ≪コラム≫ 音声認識をうまく使うコツ  文章をキーボードまたはマウスを用いたタッチキーボードで入力する方法が難しい場合には、音声入力機能により入力を 補完することができます。感覚性失語3のように語の理解ができていなくても、言葉を流ちょうに話すことができるのであれば、 文章の転記に役立てられる可能性があります。  音声入力の技術は、OSやアプリケーションによって異なります。PCのスペックやデバイスの状況によっては、音声がテキストに 変換されるまでに時間を要する場合があります。また、音声入力する際には、はっきりとゆっくり目に話すこと、大きすぎず、 小さすぎない声で話すこと、高すぎず、低すぎない声で話す等、話し方に注意する必要があります。現段階では、 意識しないと上手く入力されないといったことが起こりますが、今後技術が進展することで、自然なトーンであっても滑らかに 入力がなされると期待される技術です。 No.3 タイムライン  30日前までさかのぼって、Windows10で行ったファイルの作成や操作の履歴を検索することができる機能です。 履歴をタイムラインで確認し、やり残した仕事を引き続き行うことができます。 キーワード:覚えられない > > タスクビューの表示方法 1.タスクバーで右クリックします。 2.[タスクビュー]ボタンの表示をクリックすると表示と非表示を切り替えられます。 ※左側にレ点のチェックが付いている場合は表示、チェックが外れている場合は非表示になります。  > タイムラインの開き方 1.タスクバーにある[タスクビュー]アイコンをクリックします。 2.タイムライン画面を表示します。 3.スクロールの右下に日付が表示されます。 4.目的の作業内容やファイルをクリックすることで、ファイルを開きます。 5.特定のタイムラインを削除したい場合は、該当箇所の上で、右クリックし表示されるメニューの「削除」をクリックすれば削除できます。 図 11 タイムラインの一例 ≪就労における活用シーン≫  >  昼休憩の後に、午前中どのような作業を行っていたのか思い出す  1日6時間以上の勤務をする場合は、労働基準法で45分以上の休憩を取ることが義務付けられています。記憶に障害がある方は、 休憩前にどのような仕事をしていたのか忘れてしまうことがあります。もちろんメモを残しておくのが最適ですが、 もしメモを忘れた場合には、タイムラインを使うことで、休憩前に何をしていたのか思い出すことができます。  > 一日の取組状況を振り返り、作業日誌の作成に役立てる  業務日誌等、一日の取組を振り返り、書面にまとめることがあります。数時間にも及ぶ一日の振り返りは、記憶障害のある方にとっては、 何のヒントもなしに思い出すことは難しいかもしれません。PC作業に限定されますが、タイムラインを使うことで、一日の流れを思い出す ヒントにすることができます。 ≪コラム≫ 記憶障害とは  記憶障害は、「脳の海馬が損傷された場合」に起こりやすい障害といわれています。脳を損傷する前と比べて新しいことが覚えにくい、 覚えたことを思い出せない等の症状が見られます。 [2]  渡邉ら(2009) [11]の調査によるとリハビリテーションを必要としている高次脳機能障害者の中で、記憶障害の発症頻度は 42.5%に及ぶと報告されています。また、平成23年度~28年度における就職・職場復帰支援プログラム受講者の記憶障害の発症割合は66.7%であり、 記憶障害は高次脳機能障害において多数を占める特性といえます。  他の高次脳機能障害が目立たず、記憶する力が低下する症状を特に「健忘症」と言うことがあります。健忘症は、 「逆向性健忘」と「前向性健忘」に分けられます。「逆向性健忘」は、受障(発病、事故等)以前のことを思い出せない症状、 「前向性健忘」は、受障した時点から後の新しいことを憶えにくい症状です。職業リハビリテーションの場面でどちらかといえば 多く問題となるのは「前向性健忘」です。 [12]  新しいことが覚えにくいと、作業手順やスケジュール等の管理において、記憶障害が仕事に影響することが考えられます。 そのため、タブレットやメモリーノート、付箋等様々な記憶の補完手段の活用が望まれます。   図 12 前向性健忘と逆行性健忘 No.4 タッチキーボード  PC がタッチスクリーンを備えている場合、タッチキーボードを利用することで、画面に表示されるキーボードをペンや 指先でタップしてテキストを入力できます。タッチスクリーンがない場合、マウスを使用してテキストを入力することができます。 キーワード:入力が苦手  ≪事前準備≫ > タッチキーボードを開くには  初期設定では、タッチキーボードが使用できる状態になっていない場合があるので、使用できる状態にします。 1.[タッチキーボード]ボタンが表示されていない場合 は、タスクバーを右クリックします。 2.[タッチキーボードボタンを表示(Y)]を選択します。 3.タッチキーボードが右下に表示されます。 図 13 タッチキーボードの表示 図 14 タッチキーボードボタン ≪使用方法≫  > マウスを使った文字の入力(Wordの場合) 1.タスクバーの[タッチキーボード]をクリックします。 2.タッチキーボード画面が画面下部に表示されます。 3.タッチキーボードを手書き入力に切り替えます。 図 15 タッチキーボード入力画面 4.マウスを使ってタッチキーボード画面に文字を書きます。 図 16 入力の一例 5.入力候補が提示されます。 6.入力したい候補をクリックします。 ≪就労における活用シーン≫  > メモ、メール、資料を作成するとき  失語症により以前はできていたローマ字入力が難しくなる場合があります。その場合、音声や手書きによる入力の方が スムーズな場合があります。キーボードの配列やローマ字の組合せを想起する必要がないため、入力スピードの向上につながる可能性があります。    > 漢字の読み方が分からず、入力が難しい  キーボードでローマ字入力する際、漢字が読めないと入力することができません。しかし、タッチキーボードを用いれば 読み方が分からなくても、漢字の形を認識することができれば、漢字を入力することができます。タッチキーボードを用いれば、 分からない漢字にルビを振ったり、読み仮名を教えなくても、漢字を入力することが可能です。 ≪コラム≫ IME手書きとの違い    タッチキーボードと類似した機能として日本語IME等、日本語入力ソフトの手書き機能を使用する方法があります。 こちらもタッチパネルやスタイラスペンがなくても、マウスを使って文字を書くことができます。ただし、表示できるのは一文字だけなので、 漢字の書き方が一文字分からない時には有効ですが、複数の文字をまとめて変換することには向きません。一方、タッチキーボードは、 複数の文字をまとめて変換することはできますが、その分変換の候補が複数表示されたり、漢字の一部がカタカナに誤変換される場合 (夕→タ、力→カ)があるため注意が必要です。   図 17 IMEパッド 手書き No.5 集中モード(Focus Assist)  作業に集中したいときに集中モードをオンにすることで、メール等の様々な通知が表示されなくなり、作業に集中することができます 。余分な刺激による集中の妨げを防ぎます。 キーワード:集中できない  > 集中モードに変更 1.[Windows]ボタンをクリックします。 2.[設定]→[システム]を選択します。 3.[集中モード]を表示し、機能をオンにします。 4.有効な時間帯の設定、アラームのみ有効にする設定等、集中モードを細かく設定することも可能です。 図 18 Windows設定画面  > 優先順位の設定  あらかじめ指定したWindows 10の機能やアプリ以外の通知を非表示にします。業務に集中している時でも通知したいアプリを選ぶことができます。 > アラームのみの設定  Windows 10の標準アプリである「アラーム&クロック」で設定したアラーム以外の通知を非表示にします。 実質的に全ての通知が非表示となりますので、通知に邪魔されることなく、仕事に集中することができます。 図 19 集中モードの詳細設定 ≪就労における活用シーン≫  > 集中して仕事に取り組みたいとき、作業のメリハリをつけたいとき  選択的注意の障害がある方は、余計な情報に気が散り、今必要な情報だけを選ぶことが難しい場合があります。 また、頻繁に注意の方向を変えることは疲れを助長することにもつながりかねません。 PC作業をしていると、メールやプログラムの更新の通知等が目に入ることがあります。こうした注意を阻害する通知は、 仕事の妨げとなりやすいので、表示させないのも一つの方法です。   No.6 拡大鏡  文章や数字が正しく入力されているか確認する際、文字が小さくて見にくい場合は、画面を拡大して見やすくすることができます。 キーワード:見落とし(ミス)が多い 疲れやすい  > 拡大鏡のオンとオフを切り替える 1.キーボードの[Windowsロゴキー]を押しながら[正符号 (+) キー]を押して、拡大鏡をオンにします。 2.キーボードの[Windowsロゴキー]を押しながら[Escキー]を押して、拡大鏡をオフにします。  > マウスで拡大鏡をオンにするには ・[Windowsスタートボタン]→[設定]→[簡単操作]→[拡大鏡] の順に選択し、[拡大鏡をオンにする] の下のスイッチをオンにします。 ・[拡大鏡] ツール バーの [閉じる]ボタンを使用して、拡大鏡をオフにすることもできます。 図 20 拡大鏡倍率調整  > 拡大/縮小および拡大鏡のビューの使用 1.拡大鏡をオンにします。 2.[Windowsロゴキー]を押しながら[正符号(+) キー]を押すか、[Windowsロゴキー]を押しながら[負符号 (-)キー] を押すことで、画を拡大/縮小することができます。 3.マウスを使用する場合は、Ctrl + Alt キーを押しながらマウスのホイールをスクロールすることで、画面を拡大/縮小することもできます。  > 拡大鏡の種類  拡大鏡は、[全画面表示]、[レンズ]、[固定]の3つの表示方法で使用することができます。ビューを変更するには、 [拡大鏡] ツールバーの [表示] メニューを使用します。   図 21 拡大鏡の表示 [全画面表示]…画面全体が拡大されます。拡大された状態では、通常、一度に画面全体を見ることはできません。 移動しながら、画面の一部を見ることができます。 [レンズビュー]…拡大鏡を画面上で移動させることができます。拡大鏡の設定でレンズのサイズを変更することができます。 [固定ビュー]…デスクトップで動作します。このビューでは、拡大鏡が画面に固定されます。画面上を移動すると、 それに合わせて画面の一部が固定領域内に拡大して表示されます。ただし、画面の主要部分は変わりません。 ≪就労における活用シーン≫  > 小さな文字を見ると疲れを感じるとき  高次脳機能障害の特徴の一つに易疲労性(疲れやすさ)があります。小さな文字を凝視すると目は疲れやすくなります。 そのような時には、拡大鏡を使って文字を大きくしたり、Officeソフトの表示倍率を変えることで、目の負担を軽減することができます。  > 文字が小さく、文字の識別が難しいとき  世の中には、似た漢字がたくさんあります。形が似ていると誤って入力したことに気がつかないことが多々あります。 そのような場合には、拡大鏡を使って文字を大きくし、詳細を確認することで、文字の識別がしやすくなります。 No.7 ハイコントラストの調整とカラーフィルター  色コントラストが低いため画面上のテキストが読みにくい場合は、ハイコントラストモードをオンにすることで文字をクリアにします。 また、カラーフィルターを適用して、画面の表示をクリアにします。 キーワード:疲れやすい  > ハイコントラスト 1.[Windowsスタートボタン]→[設定]→[コンピューターの簡単操作]→[ハイコントラスト]の順に選択します。 2.[ハイコントラストをオンにする]をオンに切り替えます。デバイスが調整されるまで、数秒間待つよう求められます。 3.[テーマの選択]でドロップダウンメニューからハイコントラストテーマを選び、[適用]をクリックします。 図 22 ハイコントラストの画面  > カラーフィルター 1.[Windowsスタートボタン]→[設定]→[コンピューターの簡単操作]→[カラーフィルター]の順に選択します。 2.[カラーフィルターをオンにする]をオンに切り替えます。 3.メニューからカラーフィルターを選択します。 図 23 カラーフィルターの設定 図 24 カラーフィルター(グレー)  > 夜間モード  Windowsのバージョンによっては、夜間モード設定が追加されています。有効にすると睡眠を助けるため より暖かみのある色で表示されます。 ≪就労における活用シーン≫  > PC画面を見ていると目がちかちかするとき  PCのディスプレイから発せられる光は眼精疲労を引き起こすといわれます。高次脳機能障害の特徴の一つとして易疲労性があります そのため、継続的に仕事をするためには、疲労の対処方法の確立を必要とする方がいます。疲労対策の一つとして、 コントラストを暗めな設定にすることで、画面のちらつきを防ぎ、眼精疲労を防止することが期待されます。  > 仕事の影響で夜眠りにくくなったとき  PCのディスプレイから発せられるブルーライトをあび続けるとサーガディアンリズムや自律神経に悪影響を及ぼすといわれています。 脳にダメージを受けるとメラトニンホルモンの分泌が低下する等、睡眠に影響が出ると言われています。コントラストを調節することは、 睡眠に悪影響を与えるブルーライトを低減する効果があると言われています。 ≪コラム≫ 高次脳機能障害と疲労の関係  病気や事故によって疲れやすくなることを易疲労といいます。易疲労になると脳が疲れやすくなるので、結果、注意力や集中力の低下を招き、 いつもよりもミスや見落としが多くなることがあります。  脳は神経回路が寸断された場合でも、それを補って元の能力を維持しようとします(脳の可塑性)。例えば、もともと10人で働いていた職場が 6人程度に人員削減されたとしたら一人にかかる負担が増大することは、容易に想像がつきます。失われた機能を補完手段や環境調整で補うことは、 易疲労の防止にもつながると考えています。   図 25 疲労のイメージ図 No.8 キーボードやマウスのテクニック  Windowsの標準機能でも、対象者の特性に合わせたキーボードやマウスの細かい設定を行い、操作をしやすくすることができます。 キーワード:処理に時間がかかる ≪キーボード操作≫  > 固定キー:2つ以上のキーを同時に押すことが困難な場合に役立ちます。 * [Windowsスタートボタン]→[設定]→[コンピューターの簡単操作]→キーボード固定キー機能の [キーボードショートカットで一度に1つずつキーを押す]をオンにします。 * Shiftキーを5回連続押します。 例)キーボードで大文字のYを入力する場合 * 両手で入力する場合 Shiftキー+「Y」 * 片手で入力する場合 1.Shiftを5回連続押します。 2.[固定キーを有効にしますか?]とメッセージが表示されます。 3.「はい」を選択します。 4.Shiftキーを押します。 5.Shiftキーが固定されます。 6.「Y」キーを押すと大文字の「Y」が入力されます。 7.一度大文字入力すると固定キーが解除されます。  > フィルターキー:キーを長く押しすぎてしまったり、意図しないキーを触ってしまう場合に役立ちます。 短い瞬間的なキー操作や同じキーが何度も押された操作等、誤操作と思われるキー操作をパソコンが無視し、タイプミスを防ぐことができます。 [Windowsスタートボタン]→[設定]→[コンピューターの簡単操作]→フィルターキー機能の[速いキーボード操作または繰り返しの キーボード操作を無視してキーボードの入力の間隔を調整する]をオンにします。 1.キーボード右側のShiftキーを8秒間長押しします。 2.[フィルターキーを有効にしますか?]とメッセージが表示されます。 3.「はい」を選択します。 4.フィルターキーが有効になります。 ≪マウスの操作≫  > マウスの設定:ポインター速度、加速度でマウスの操作スピードを調整することができます。 1.[Windowsスタートボタン]→[設定]→[コンピューターの簡単操作]→左側ナビゲーションの[マウス]を選択します。 2.ダブルクリックの速度、ポインター速度、ポインターの大きさ・形等を変更します。  > テンキーを使ったマウス操作:マウス操作が困難な場合にテンキーでマウスポインターを操作することができます。 1.[Windowsスタートボタン]→[設 定]→[コンピューターの簡単操作]→左側ナビゲーションの[マウス]を選択します。 2.マウスをキーパットで操作する際、テンキーを使用するために[マウスキー機能]をオンにして、[マウスポインターを移動する]をオンにします。 ≪就労における活用シーン≫  > 片麻痺によりキーボードの操作がしにくくなったとき  脳血管障害等により、片側上肢に麻痺が残る対象者は少なくありません。受障前は両手で操作できていたキーボード入力が、 片手での操作を余儀なくされることがあります。アルファベットの大文字を入力するときには、Shiftキーを押しながら キーを入力しますが、片手での入力は容易ではありません。そのような場合に、ちょっとしたキーボードの操作方法を覚えておくことで、 問題解決につながることがあります。  > 誤入力が多くなったとき  麻痺の影響等で細かな作業が苦手になると、誤ってキーをタッチしてしまうことがあります。文書を入力するとき等に入力の 誤りが繰り返されると、ストレスに感じることがあるのではないでしょうか。フィルターキーを活用することで、誤って入力しても PCが必要な入力かどうかを判断してくれます。フィルターキーを活用することで誤入力が減り、ストレスの低減が期待されます。  > マウスの操作が苦手になったとき  手腕の粗大動作が低下することで、マウスの操作がしにくくなることがあります。トラックボールやジョイスティックにより、 手指のみで操作できるマウスもありますが、購入する必要があります。Windows標準の機能として、テンキーをマウス替わりに 操作することができます。こちらであれば、手指のみで操作することが可能です。 No.9 単語登録  単語を登録することで、変換候補に加えることができます。単語登録した単語は、上部に表示されるので、頻繁に使用する単語を 登録しておくことで、誤変換防止にもつなげられます。 キーワード:言葉が出てこない 入力が苦手 処理に時間がかかる  > よく使う単語を登録する 1.タスクバーにある「あ」または「A」を右クリックします。 2.[単語の登録]をクリックします。 図 26 単語登録 3.登録する単語を入力します。   (例)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 4.よみを入力します(短縮した読み方でよい。)。 (例)どくりつ 5.品詞を選択します (正しい品詞を選択することで、より高い変換精度を得ることができます。) 。 図 27 単語登録の一例 6.登録を押します。   これで「どくりつ」から、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」と変換することができます。  > 「単語登録」のその他の登録方法 * ショートカットキー[Ctrl]+[F7] * [Ctrl]+[F10]でショートカットメニューの表示 * Wordの[校閲]タブから 図 28 Word[校閲]タブからの単語登録 > 単語登録した内容を編集する(ユーザー辞書を編集する) 1.タスクバーにある「あ」または「A」を右クリックします。 2.メニューから「ユーザー辞書ツール」を選択してクリックします。 3.それまでに登録した単語の一覧が表示されます。 4.編集したい単語を選択して、[編集]→[変更]とクリックすると、[単語の変更]画面が開き、   単語を編集することができます。編集したら[登録]をクリックします。 5.削除したい単語を選択して、[編集]→[削除]とクリックすると、登録を削除できます。 ≪就労における活用シーン≫ > 資料やメール等を作成するとき  入力作業をしていると、繰り返し間違いが発生する単語や会社で頻繁に使用する単語があります。長い固有名詞や 頻繁に使用するフレーズを単語登録しておくことで、変換候補に加えることができ、時には誤変換の防止につながります。 少ない文字入力で長い単語を入力することができるので、作業入力の向上が期待できます。 No.10 キーボードショートカット  キーボードショートカットは、マウス操作の代わりとなるキーまたは複数のキーの組み合わせです。    キーワード:処理に時間がかかる    例:Ctrl + Cは Ctrl キーを押しながら C キーを押すという意味です。   使用頻度の高いショートカット   キー操作 目的 Crtl + C コピー Crtl + X 切り取り Crtl + V 貼り付け Crtl + S 上書き保存 Crtl + Z 操作を元に戻す Crtl + Y 戻した操作をやり直す F4 直前の操作を繰り返す Crtl + A すべてを選択 F1 ヘルプの表示 Crtl + P 印刷   便利な変換方法   キー操作 目的 F6 ひらがなへ変換 F7 全角カタカナへ変換 F8 半角カタカナへ変換 F9 全角英数へ変換 F10 半角英数へ変換   Windows 10 のキーボード ショートカット   キー操作 目的 Windows ロゴ キー スタート画面を表示または非表示にする Windows ロゴ キー + I 設定を開く Windows ロゴ キー + A アクションセンターを開く コンピューターの簡単操作のキーボード ショートカット キー操作 目的 Windows ロゴ キー + U コンピューターの簡単操作センターを開く Windows ロゴ キー + Enter + Ctrl (Anniversary Update以前は Windows ロゴ キー + Enter となります) ナレーターのオンとオフを切り替える Windows ロゴ キー + Ctrl + N ナレーターの設定を開く Ctrl キー ナレーターで読み上げを停止する Ctrl + Alt + M ナレーターで読み上げを開始する Ctrl + Alt + Space ナレーターのスキャン モードを開始または終了する Ctrl + Alt + A ナレーターで詳細モードを変更する Ctrl + Alt + 1 (Fall Creators Update 以降 ナレーターで入力の学習をオンにする Ctrl + Alt + Shift + D (同上) ナレーターでオンラインサービスでイメージを説明する Ctrl + Alt + Esc ナレーターを終了する Windows ロゴ キー + (+) または (-) 拡大または終了する(拡大鏡を起動する) Ctrl + Alt + Space 拡大鏡の使用時に、全画面モードでプレビューする Ctrl + Alt + F   拡大鏡で [全画面表示] に切り替える Ctrl + Alt + L   拡大鏡で [レンズ] に切り替える Ctrl + Alt + D   拡大鏡で [固定] に切り替える Ctrl + Alt + I   拡大鏡で色を反転する Ctrl + Alt + 方向キー  拡大鏡で方向キーの方向に表示を移動する Ctrl + Alt + R 拡大鏡でレンズのサイズを変更する Windows ロゴ キー + Esc 拡大鏡を終了する Windows ロゴ キー + Ctrl +C カラーフィルターのオンとオフを切り替える 左 Alt + 左 Shift + Print Screen ハイコントラストのオンとオフを切り替える 左 Alt + 左 Shift + Num Lock マウスキー機能のオンとオフを切り替える Shift を 5 回押す 固定キー機能のオンとオフを切り替える Num Lock を 5 秒間押す 切り替えキー機能のオンとオフを切り替える 右 Shift を 8 秒間押す フィルターキー機能のオンとオフを切り替える 引用:Windows10アクセシビリティガイドブック [13]、楽して速いPCショートカットキー [14] ≪就労における活用シーン≫ > 入力作業をするとき、作業の効率を上げたいとき  ショートカットキーは、キーボードのキーを組み合わせて操作を簡略化することができます。基本的なPC操作を キーボードのみで行うことができるので、身体障害の影響で、キータッチに時間を要したり、キーボードとマウスを 持ち替えることに時 間がかかる場合、ショートカットを活用することで作業が効率的に行えると考えられます。両手で操作することが難しい場合は、 「固定キー」の使い方を覚えると効率的にキーボード操作を行うことができます。 No.11 スタートメニューのカスタマイズ  たくさんアプリをインストールしても、すべてをスタートメニューに出す必要はありません。アプリをグループ分けしたり、 タイルの大きさを変えることもできますので、よく使うアプリだけを起動しやすいようにスタート画面に配置することができます。 キーワード:必要な情報に注意を向けられない 操作方法を覚えられない  > スタートメニューのカスタマイズ 1.[Windowsスタートボタン]をクリックします。 2.スタートアップメニューに登録したいアプリ名を右クリックします。 3.[スタート画面にピン留めする] をクリックします。 4.[タスクバーにピン留めする] を選択すると、デスクトップのタスクバーに登録できます。 5.スタートメニューの境界でマウスポインターの形が両方向の矢印になっている状態でドラッグしてサイズ変更します。 図 29 カスタマイズ前 図 30 カスタマイズ後 ≪就労における活用シーン≫  > 集中して作業に取り組みたいとき、作業のメリハリをつけたいとき  選択的注意の障害がある方は、余計な情報に気が散り、今必要な情報だけを選ぶことが難しい場合があります。デスクトップ画面に ファイルを多数置かないことと同様に、不要な情報を削除するだけでも情報を探しやすくなります。   ≪コラム≫ 物理的な環境調整  忘れてはいけない、忘れたくない重要事項をメモや付箋に書いてPCディスプレイのベゼル部分に貼ることは、それを見ることによって 重要事項を思い出すことが期待されます。対象者によっては、注意の範囲が限定されますので、情報量が多くなったり、場所によっては 貼ってある付箋に気づかないことがあります。そのため、「注意を向ける情報量が多すぎないか」、「付箋やメモ用紙に注意を向けやすい 場所はどこなのか」、「文字の色や大きさ等配慮しなければならない点はあるか」、「机上が整理されているか(必要な物以外は置かない)」を 意識して環境調整することが重要です。 [14] iOS編 (本稿ではiOS12を紹介)  iOS(アイオーエス)は、アップルが開発・提供するオペレーティングシステムです。iPhoneやiPadにインストールされており、 最新版はiOS13です(令和元年12月現在)。iOSには標準のアプリケーション(以下「アプリ」という。)が多数収録されています。  標準のアプリを用いて、メモリーノートといった既存の補完手段と置き換えることができます。この章では、iOSを搭載する スマートフォンやタブレットを認知機能の補完手段として用いる方法を詳しく解説します。 No アプリ名  概要  キーワード  補完手段として期待できる効果 1 メモ   タブレットを使用して、写真や動画を取り入れたビジュアル手順書を作成する機能です。  ・覚えられない  タブレットを用いて、写真や動画を盛り込んだ手順書を作成します。手順が分からなくなった時に参照することで、手順の想起を助けます。 2 カレンダー(スケジュール)  カレンダー機能を用いて、日々のスケジュール等を管理する機能です。  ・覚えられない  通知機能があるので、スケジュールの参照行動を助けます。 3 リマインダー(タスク管理)  リマインダー機能を用いて、日々の日課等を管理する機能です。  ・覚えられない  リマインダー機能を用いて、日々の日課や課されている課題をもれなく取り組みます。 4 アラーム  決まった時間に音や文字、振動を使って知らせる機能です。  ・疲れやすい  ・他のことをしていると予定を忘れやすい  音や文字情報を提示して、予定の時間になったことを知らせます。 5 カメラ(写真)  写真を撮影する機能です。  ・覚えられない  メモや作業手順を写真に保存することで、後で想起しやすくします。 6 カメラ(動画)  動画を撮影する機能です。  ・文字や写真だけではイメージしにくい  動画を撮影することで、文字や写真ではイメー  ジしにくい動作を思い出しやすくします。 7 Map  目的地を入力し、経路や移動手段、時間を計測する機能です。  ・覚えられない  ・計画を立てられない  移動先への時間の見積もりや経路を確認します。 8 音声入力  キーボードやディスプレイをタッチすることなく、文字の入力、デバイスの操作を行う機能です。  ・覚えられない  ・処理に時間がかかる  キーボードではなく、音声で文字入力することができるため、身体障害者でも入力が可能です。 ボイスメモと異なり、文字を可視化することができるので、容易に見直しをすることができます。 9 ボイスメモ  音声等を録音する機能です。  ・覚えられない  音声を録音し、後で聞き返すことができます。 10 連絡先 連絡先を登録することができます。 ・覚えられない  名前だけでなく、写真を登録することで、顔と名前を一致させることができます。 11 Office Lens  紙の文書を撮影して、画像から文字を抽出してテキスト化することができます。  ・書類を読むのが苦手  配付された書類を対象者に変わってタブレットが読み上げるため、内容を聞いて確認できます。 12 ヘルスケア  健康に関する情報管理を簡潔に行うことができます。  ・体調管理が苦手  健康の長期的な傾向を見ることも、一日ごとの幅広い詳細なデータをチェックすることもできます。 【操作用語の解説】 タップ…タブレット等のスクリーンを軽くタッチすること ピンチアウト…画面上の操作対象を広げるように2本の指を離していき、画面を拡大させる操作のこと ピンチイン…画面上の操作対象を狭めるように2本の指を近づけていき、画面を縮小させる操作のこと スワイプ…画面に触れた状態で指を滑らせる操作のこと イラストの出典:イラストAC No.1 メモ  「メモ」アプリは、思いついたことを記録する、スキャンした書類や写真にメモする、チェックリストを作成する、 アイデアをスケッチにまとめる等、さまざまな用途に使えます。 キーワード:覚えられない  > メモを作成する 1.「メモ」アプリを開きます。 2.新しいメモのアイコンをタップします。 3.メモする内容を入力します。 4.入力した内容の 1 行目がメモのタイトルになります。 図 31 メモの作成  > 手書き入力する 1.「メモ」アプリを開きます。 2.新しいメモのアイコン      をタップします。 3.マークアップ      をタップします。 4.筆記用具を選んで書きます。 図 32 iPadに手書き入力したメモ  > よく使うメモをピンで固定する 1.メモを右にスワイプさせて指を放します。 2.メモをはじめてピンで固定した場合は、メモリストの一番上にピンのアイコンが表示されます。 3.メモのピンを外すには、そのメモを再び右にスワイプします。  > チェックリストを作成する 1.メモの中をタップしてから  をタップします。 2.白抜きの円が表示されます。   円に続けてリストの項目を入力します。 3.白抜きの円をタップすれば、そのタスクが実行済みになります。 図 33 チェックリスト  > メモに写真やビデオを追加する 1.メモの中をタップしてから      をタップします。 2.[フォトライブラリ]をタップして既存の写真やビデオを追加したり、[写真またはビデオを撮る]をタップして新しいものを追加できます。 3.「完了」をタップするか、「写真を使用」または「ビデオを使用」をタップします。 図 34 写真等の貼り付け  > 書類をスキャンして貼り付ける 1.メモを開くか、新しいメモを作成します。 2.      をタップし、「書類をスキャン」をタップします。 3.デバイスのカメラのファインダーに書類を収めます。 4.書類が自動的に検知されます。 5.カメラのシャッターボタンを押します。 6.四隅の丸印をそれぞれドラッグして、ページがスキャン範囲にぴったり収まるように調整し、「スキャンを保持」をタップします。 7.さらに書類のスキャンを続けるか、スキャンし終わったら「保存」をタップします。スキャンした書類が保存されています。 図 35 書類のスキャン  > 写真やスキャンした書類を加工する 1.スキャンした書類をタップします。 2.右上の      をタップします。 3.マークアップ      をタップします。 4.ペン等で書き込みます。 5.終わったら完了をタップします。 ≪ワンポイント≫ > ペン等の色や形を選ぶことができます。 図 36 スキャンした書類の加工 > メモの様式変更 1.設定をタップします。 2.メモをタップします。 3.罫線と方眼をタップします。 4.新規メモで使用する罫線または方眼のスタイルを選択します。 ≪ワンポイント≫  > メモの入力の仕方は様々 * キーボード入力 * 音声入力 * フリック入力 ※やりやすい入力方法でメモしましょう。 > Apple Pencil  iPadと別売りのApple Pencilを用いることで、文字やスケッチが書きやすくなります。 ※Apple Pencil対応のiPad が必要です。 ≪就労における活用シーン≫  > 写真や動画を使った作業手順書を作成するとき  手順書に写真や動画を簡単に盛り込めることが、タブレットを利用する最大のメリットです。文字では表現が難しい動作や工程は、 写真や動画にすることで格段に理解しやすくなります。   > スキャンした書類に注意点を書き込むとき  スキャナーがなくてもタブレットがあれば、書類を簡単にスキャンすることができます。スキャンした書類は、マークダウン機能で 文字を書き込んだり、アンダーラインを引いたりすることができます。  > 書類の整理や検索が苦手な人に  メモリーノート等の紙の手帳は、使い続けると自然とメモ用紙が増えていき、持ち歩く情報を取捨選択する必要があります。 一方、タブレットであれば、省スペースに膨大な量の情報を集積することができますので、取捨する必要がありません。また、 記憶障害がある方は特に情報を探すことを苦手としていますが、メモアプリには検索機能がありますので、検索バーにキーワードを入力すれば、 該当のメモを表示することができます。  > 麻痺の影響で紙に文字を書きにくいとき  人によっては、脳にダメージを受けることで、上下肢に麻痺が残り、文字が書きにくくなることがあります。タブレットであれば、 様々な入力方法の中から自分に合ったやり方を選ぶことができます。また、非利き手に麻痺があると、紙がずれて書きにくい場合がありますが、 タブレットであれば、タブレットの重みがあるため書きにくさが軽減されます。 No.2 カレンダー(スケジュール)  「カレンダー」アプリ を使用して、イベントや約束、会議を作成したり編集したりします。「日」、「週」、「月」、「年」で カレンダー表示を切り替えることができます。予定の時間に通知することで、予定に気づきやすくなります。 キーワード:新しいことを覚えられない > 予定を追加する カレンダーに予定を追加します。 1.右上にある追加ボタン     をタップします。 2.イベントのタイトルを入力します。 3.イベントの場所、開始時刻と終了時刻、繰り返す頻度等を入力します。 図 37 予定の入力  > 通知を設定する  通知を設定することで、事前にタブレットから予定を知らせてもらうことができます。 1.イベントをタップしてから、右上の「編集」をタップします。 2.イベントの詳細で、「通知」をタップします。 3.通知するタイミングを選択します。  たとえば、「イベントの予定時刻」、「5分前」等の選択肢があります。また、一度の通知では心配な場合は、 予備の通知を設定することができます。アラームを鳴らさない場合には、×をタップします。  > カレンダーの表示を変更する  カレンダーで拡大または縮小したい年、月、または日をタップします。週表示または日表示では、 ピンチアウトすると拡大し、ピンチインすると縮小されます。  週のカレンダーを表示する: 月表示で端末を横向きにします。 (i Phoneのみ対応)イベントのリストを表示する: 月表示でリストボタンをタップすると、その日のイベントが表示されます。 (リストボタンを再度タップすると、月表示に戻ります。)  > 予定を検索する  表示しているカレンダーで、タイトル、予定出席者、場所、メモでイベントを検索できます。 1. 右上の検索(虫眼鏡)     をタップします。 2. 検索フィールドで検索したいテキストを入力します。 図 38 検索(虫眼鏡)の位置(週間表示)  > カレンダーをカスタマイズする  「カレンダー」をどの曜日から始めるかを設定したり、週番号を表示したり、代替カレンダーを使用したり、時間帯の自動設定を無効にしたりします。 1. 設定をタップします。 2. 「カレンダー」を選択します。 3. 希望する設定および機能を選択します。  > カレンダーを共有する(要インターネット接続) 1. 「カレンダー」アプリを開きます。 2. 下部に表示されたカレンダーをタップします。 3. 新規にカレンダーを作成する場合は、「カレンダーを追加」をタップします。 4. カレンダーに名前を付けます。(例:○○との共有カレンダー) 5. 情報ボタン    をタップします。 6. 共有相手から「個人を追加」をタップします。 7. 宛先に共有したい人の名前を入れます。予め連絡帳に登録しておけば、下に候補が出てきます。 8. 相手が共有カレンダーへの参加を承認すると、カレンダーの右下「出席依頼」に通知が出ます。タップして、参加を確認します。 ≪就労における活用シーン≫ > 日々のスケジュールを管理するとき  カレンダーアプリをスケジュール帳代わりに使用することができます。毎日行われる定型的なスケジュールがあれば、 毎日指定した時間に予定を一括で登録することもできます。検索機能もありますので、過去のスケジュールを思い出す時に、 キーワードを入力すれば該当のスケジュールを表示させることが可能です。 > スケジュールを忘れないためにタブレットから通知してもらう記憶障害のある方がメモリーノートを使用する時に、 メモリーノートの「書く」、「参照する」、「行動する」という要素のうち、特に「参照する」ことが苦手であると考えられます。 プログラム受講者を観察していると「どこに書いてあるか分からない」、「適切な情報に注意を向けられない」ことが原因ではないかと考えられます。 通知を設定しておくことで、タブレットが設定した時間になったことを知らせてくれますので、対象者がタブレットに注意を向け、 次の予定を意識することが期待できます。また、メモリーノートを使用すると「実際の時間」、「メモリーノート」、「今やっていること」等、 様々なところに注意を向ける必要がありますが、タブレットであれば、タブレットからの合図を待って次の行動に移すことができます。 加えて、共有機能を使うことで、他者とスケジュールを共有することができますので、もし対象者が予定を忘れていた時に、 周囲からのフォローがしやすくなります。 No.3 リマインダー(タスク管理)  標準の「リマインダー」アプリを用いて、日々のタスクを管理することができます。指示された仕事の内容等、 覚えておきたいことをリマインダーで記録しておくと便利です。 キーワード: 覚えられない > リマインダーを追加する  忘れてはいけない大切なことを登録します。 1.「リマインダー」アプリを開きます。 2.リマインダーリストのプラス記号のアイコンをタップします。 3.リマインダーの内容を入力します。 4.知らせてほしい時間や場所等の詳細情報を追加するには、情報ボタン    をタップします。 5.「完了」をタップします。 > リマインダーを実行済みにする  リマインダーを実行したら「実行済み」にしましょう。 1. リマインダーの横にある白抜きの円をタップします。 2. 実行済みのリマインダーを表示するには、リマインダーリストの「実行済みの項目を表示」をタップします。 > 時間を設定する 1. 変更したいリマインダーをタップして、その右側にある 情報ボタン    をタップします。 2.「指定日時で通知」をオンにし、「アラーム」の横の日付をタップします。 3. リマインダーの日付と時刻を設定します。 4.「完了」をタップします。 図 39 リマインダーの画面 図 40 期限毎に並べ替え > 場所を設定する 1. 場所を設定したいリマインダーをタップして、その右側にある情報ボタン    をタップします。 2. 「指定場所で通知」をオンにし、「場所」をタップします。 3. 知らせを受けたい場所を検索するか、その住所を入力します。現在地を使うこともできます。 4. その場所に到着したときと、その場所から出発するときのどちらに通知してほしいかを選択します。 5. 「詳細」をタップして前の画面に戻り、「完了」をタップします。 ※位置情報サービスがオンになっていること、デバイスがこの機能に対応していることが必要です。 > 新しいリマインダーリストを作成する  リマインダーのリストを複数作成することができます。 1. 左下のリストの追加をタップします。 2. 新規リスト名を入力し、リストのカラーを選択します。 3. 完了をタップします。 > リマインダーを新しいリストに移動する 1. リマインダーリストを開いて、リマインダー項目をタップします。 2. 情報ボタン    をタップするか、リマインダー項目を左にスワイプして「詳細」をタップします。 3.「リスト」をタップして、リマインダーの移動先のリストを選択します。 4.「完了」をタップします。 > 優先順位をつける 1. 変更したいリマインダーをタップします。 2. 情報ボタン    をタップします。 3. 詳細の優先順位で、なし、!、!!、!!!の中から選択します。 4. 「完了」をタップします。 ≪就労における活用シーン≫ > 複数の仕事を忘れないようにする  仕事に就いたり、職場復帰したりすると、一つの仕事を依頼されることもあれば、複数の仕事を任されることもあります。 また、仕事には期限がつきものなので、いつまでに完了しなくてはならないのか把握しておく必要があります。 リマインダー機能を用いることで、今やらなくてはならない仕事を忘れないようにする一助となることが期待できます。 > 決められた時刻や場所に着いたらお知らせを送ってほしいとき  リマインダーは決められた日時に通知されるだけでなく、指定した場所でリマインド通知をすることができます。 特定の場所に着いたらしなくてはならないことがある場合、特定の場所とリマインド通知機能を紐付けて設定します。 特定の場所に着いた時(例えば、会社についたらスケジュールを確認する、家に着いたら○さんに電話する)に通知がきますので、 しなくてはならないことを思い出すきっかけになります。 ≪コラム≫ メモリーノート4をタブレットで代替した時にできること(まとめ) No.4 アラーム  「時計」アプリでは、アラームをセットして、指定した時刻になったらサウンドまたはバイブレーションで知らせることが できます。また、睡眠時間をセットして、就寝時刻になったらリマインダーで知らせ、起床時刻になったらサウンドまたは バイブレーションで知らせることで、生活リズムを管理することができます。 キーワード:疲れやすい 他のことをしていると忘れやすい > アラームをセットする 1.「時計」アプリをタップします。 2.「アラーム」をタップします。 3.追加     をタップします。 4.アラームを鳴らしたい時刻を設定します。 5.「保存」をタップします。 6.アラームの変更または削除するには、「編集」をタップします。 > アラームにラベルをつける 1.「時計」アプリをタップします。 2.「アラーム」をタップします。 3.追加     をタップします。 4.アラームを鳴らしたい時刻を設定します。 5.オプションを選択します。   ①繰り返し…曜日を選択します。 ②ラベル…アラームに名前を付けます。 ③サウンド…音またはバイブレーションを選択します。   ④スヌーズ…あと9分眠れるようにできます。 6.ラベルをタップします。 7.名前を入力します。例:休憩時間 8.保存をタップします。 図 42 アラームのラベル表示 > ストップウォッチで時間を計る 1.「ストップウォッチ」をタップします。デジタル表示とアナログ表示を切り替えるには、ストップウォッチをスワイプします。 2.「開始」をタップします。 3.ラップまたはスプリットを記録するときは、「ラップ」をタップします。 4.最終タイムを記録するときは、「停止」をタップします。 5.ストップウォッチをリセットするときは、「リセット」をタップします。 ※他のアプリを開いたり、デバイスがスリープ状態になったりしても、バックグラウンドでタイマーの計測は継続します。 > タイマーを設定する(指定した時間をカウントダウンする) 1.「タイマー」をタップします。 2.時間の長さと、タイマー終了時のサウンドを設定します。 3.「開始」をタップします。 ※他のアプリを開いたり、デバイスがスリープ状態になったりしても、バックグラウンドでタイマーの計測は継続します。 > 睡眠習慣を整える(初期設定) 1.「ベッドタイム」をタップします。 2.起床アラームをセットします。 3.アラームを鳴らす曜日を指定します。 4.何時間睡眠が必要なのかセットします。 5.就寝時刻のリマインダーの受け取り時間をセットします。(就寝時刻~1時間前) 6.起床時のサウンドを設定します。 図 43 ベッドタイムの設定 ≪就労における活用シーン≫ > 朝晩の生活習慣を維持する  比較的起床時間は意識しやすいものの、就寝時にTVやスマートフォンを操作しているとついつい時間が経過してしまうことがあります。 ベッドタイムを設定すると、起床時間のアラームはもちろん、就寝時間30分前にタブレットから通知があり、入眠を促してくれます。 体調の維持管理には、決められた睡眠習慣を維持することが重要です。 > アラームを鳴らして休憩を促す  高次脳機能障害のある方は、疲れやすい方が多く、安定して働くためには疲労の対処方法を確立する必要があります。 疲労の対処の代表的な手段は、休憩を取ることです。しかし、なかなか休憩を取ることが難しい方もいます。その場合、 1時間に1回アラームを鳴らして、時間になったら休憩を取るという手段があります。また、仕事に没頭するとついつい過集中になりがちです。 そうした時にもアラームを鳴らすことで過集中を防止することができます。 ≪コラム≫ 睡眠はとても重要!睡眠と高次脳機能障害の関係  脳損傷者の8割には疲労と(または)睡眠の障害があるとの海外の研究報告があるように、高次脳機能障害者が安定して働くためには 、疲労や睡眠の管理は必須と言えます。  脳にダメージを受けたことによって、疲れやすくなっている場合には、小まめに休憩を取ることが大切です。しかし、仕事を しているとついつい没頭してしまうことがあります。没頭していると時間を気にすることができませんので、音や振動によるアラームが効果的です。 いくつもアラームをセットしていると何のアラームなのか分からなくなることがありますので、アラーム時に表示させるラベルの設定も忘れずに行うことで、 何のためのアラームなのかを明確にすることができます。睡眠リズムを整えるためには、起床時間と入眠時間に気を配る必要があります。 夜更かしをしすぎてしまうと翌日に影響するため、入眠時間にも気を配ることが重要です。アラームアプリを使えば、曜日を指定し、 就寝時刻にリマインド通知することができます。 No.5 カメラ(写真)  標準の「カメラ」アプリを用いて、写真を撮影することができます。撮影した写真は、「写真」アプリで確認することができます。 「写真」アプリには、アルバム、撮影した日付、撮影地(要位置情報、インターネット接続)、人物により、写真を自動的に分類する機能があります。 キーワード:覚えられない > 写真を撮影する 1.「カメラ」アプリをタップします。 2.レンズを被写体に向けます。 3.シャッターボタンを押します。 図 44 写真撮影の画面 > 写真を探す 1.「カメラ」で左下隅にあるサムネールイメージをタップします。(または「写真」アプリをタップします。) 2.左または右にスワイプすると、最近撮影した写真が表示されます。 3.コントロールの表示/非表示を切り替えるには、画面をタップします。 4.「すべての写真」をタップすると、「写真」に保存されているすべての写真とビデオが表示されます。 > 写真の表示方法 様々な表示方法があります。 * 日付 * 場所 * 人  > マークアップ機能で写真にメモする 1.「写真」アプリをタップします。 2.編集したい写真を選択します。 3.右上の「編集」をタップ→下方の  をタップ「マークアップ」をタップします。 4.をタップして、テキスト、図形等を追加します。 5.「完了」をタップします。 6.右下のレをタップします。 図 45 撮影した写真へのメモ ≪就労における活用シーン≫ > 話し合った内容や必要な情報を写真に記録する  支援者と話し合った内容をホワイトボード等に記述し、視覚的に見える化することは、面談内容について対象者の理解促進につながります。 視覚化した情報は、プリンター機能があればプリントしたり、タブレットのカメラで撮影することで、後から面談内容を振り返ることが容易になります。   > 作業の途中経過を写真に撮って、どこまで何をしたのか覚えておく  休憩の関係で作業を途中で止めなくてはならないことがあります。その場合に、写真を撮影しておくことで、 どの工程まで終わらせたのか確認することができます。 No.6 カメラ(動画)  標準の「カメラ」アプリでは、動画も撮影できます。  撮影した動画は、すぐ画面で確認することができます。巻き戻し、早送りも容易です。 キーワード:文字や写真だけではイメージしにくい > 動画を撮影する 1.「カメラ」アプリをタップします。 2.「ビデオ」モードを選択します。 3.撮影ボタンをタップするか、いずれかの音量ボタンを押すと撮影が開始されます。 4.撮影ボタンをタップするか、いずれかの音量ボタンを押すと撮影が停止されます。 > スローモーション動画を撮影する 1.「カメラ」アプリをタップします。 2.「スロー」モードを選択します。 3.撮影ボタンをタップするか、いずれかの音量ボタンを押すと撮影が開始または停止されます。 ※動画撮影中に写真を撮影するには、白いシャッターボタンを押します。 > タイムラプス動画を撮影する 1.「カメラ」アプリをタップします。 2.「タイムラプス」モードを選択します。 3.日の入や車の流れ等の場面を一定時間にわたって記録したい場所に端末をセットします。 4.撮影ボタンをタップして撮影を開始します。もう一度タップすると撮影が停止します。 《ビデオ機能の解説》 > スローモーション  スローモーションビデオで、撮影の瞬間をゆっくりと捉えることができます。ビデオは通常通り撮影されますが、再生すると、 スローモーションエフェクトがかかります。ビデオを編集して、スローモーションの動作が始まり、終わるタイミングを自分で決めることもできます。 > タイムラプス  タイムラプスとは一定の間隔で撮影された写真をつなぎ合わせて作られたコマ送り動画のことをさします。 選択された間隔で映像を撮影してタイムラプスビデオを作成することができます。タイムラプスモードに切り替えて撮影ボタンを 押すと、撮影ボタンをもう一度押すまで、連続的に写真が撮影されていきます。   ≪就労における活用シーン≫ > 動画入りの作業手順書を作成する  複雑な動作や工程を言葉や写真で説明することは困難な場合があります。また、伝え方、理解の仕方は人それぞれに異なります。 対象者によっては言葉の表現にこだわるよりも、動画等、視覚的な情報を示した方が効果的に理解が促進される場合があります。 > 作業の動作をスローモーションで撮影し、作業のコツを掴む  実務作業において、一連の作業動作が素早く、通常の撮影ではコツがつかめない場合があります。スローモーション撮影をすることで、 動作をゆっくり表示し、作業のコツを掴みやすくすることが期待されます。 > タイムラプスで動画を撮影し、一日の様子を把握する  タイムラプスとは一定の間隔で撮影された写真をつなぎ合わせて作られたコマ送り動画のことです。例えば、一定時間内の行動動線を 確認する際に、通常ビデオ再生では時間がとられます。タイムラプスでは、1時間を数分に短縮させることができますので、 短時間で一日の様子を掴むことができます。 ≪コラム≫ タブレットを用いたビデオフィードバック  従来のビデオフィードバックでは、ビデオカメラで撮影し、ビデオとテレビを配線でつなぎ、ビデオを再生して対象者にフィードバックするため 非常に手間がかかります。この点で、タブレットがあればとても簡単に行うことが可能です。また、スローモーションやタイムラプスといったように 撮影方法が多岐に渡るうえ、動画の巻き戻し、早送りも容易になります。  就職の面接練習等では、練習に精一杯になり対象者が自身の発言や様子に注意を向けることは困難です。また、記憶に障害があると、 面接の時の記憶が十分ではないかもしれません。記憶障害のある対象者の面接練習でタブレットを用いたビデオフィードバックを行ったところ、 客観的に自分を振り返ることで、面接練習の良かった点、改善点を自ら明確にすることができました。前回の面接練習の場面との対比も容易になるため、 対象者自身も課題の改善点を明確に意識することができるようになりました。 No.7 Map  標準の「Map」アプリを用いて、目的地までの経路や所要時間を調べることができます。  ※「Map」アプリを使用する場合、インターネット接続が必要です。 キーワード:覚えられない 計画を立てられない > 目的地の検索  目的地までの経路を「車」、「徒歩」、「交通機関」別 に検索することができます。また、目的地までの所要時間を表示させることが可能です。 > ナビゲーション  移動中は、音声による経路案内で、目的地にたどり着くためのサポートを行います。 > 交通機関  電車やバスといった公共交通機関の情報を表示します。目的地までの乗り継ぎは、複数表示され、値段や時間によって最適な経路を選択することができます。 > 自宅や職場等、よく行く場所を登録する  自宅や職場、医療機関等、よく行く場所を予め登録しておくと便利です。 1.「Map」アプリを開きます。 2.右上の     をタップします。 3.「場所を追加」をタップします。 4.自宅、勤務先、よく使う項目をタップします。 5.場所または住所を追加をタップします。 図 46 自宅や職場の登録 ≪就労における活用シーン≫ > 目的地(通勤先、相談先)までの経路検索  高次脳機能障害者の中には、慣れている場所で道に迷う、新しい道順を覚えられない、慣れた場所の見取り図が描けない、 慣れた風景や建物を見ても認知できない等の症状を呈する地誌障害の方がいます。地図を用いて目的地に向かう方法もありますが、 地図は今現在どこにいるのか示してくれません。一方、「Map」アプリを用いれば、GPSで現在地を把握し、地図上のどの位置にいるのか リアルタイムで表示してくれます。  加えて、アプリの機能によっては、乗換地点に近づくと通知する機能があります。この機能を活用することで、乗換忘れを防ぐことができます。 > 朝夕の通勤時間の見積もり  「Map」アプリは目的地までの時間を表示してくれます。遂行機能障害があると時間の見積もりや計画的な行動が苦手になることがあります。 外出の計画を立てる前にアプリで必要な時間を把握しておけると1日の流れをイメージしやすくなります。 ≪コラム≫ 遂行機能障害とその補完手段  遂行機能障害は前頭葉が損傷された場合に起こりやすい障害といわれています。計画を立てて実行するまでの機能を遂行機能といいます。 遂行機能障害は「何にどのくらい時間がかかるのか」といった時間の見積もりが苦手、行き当たりばったりの行動になりがちといった症状が 現れるといわれています。時間の見積もりが苦手になると、約束の時間に遅れてしまうことがあります。 このような場合に、「Map」アプリを活用すれば目的地までの所要時間、経路を容易に把握することができます。 また、ナビゲーション機能を活用すれば、地誌的失見当(方向感覚が分からなくなり、道に迷ってしまう症状等、道に迷いやすい方が単独移動する際の サポートとして効果的であると考えられます。 No.8 音声入力  iOS キーボードを利用する多くのアプリや機能で、キーボードで文字を入力する代わりに音声で入力することができます。  ※音声入力するには、インターネット接続が必要な場合があります。 キーワード:文字を入力するのが苦手 覚えられない 処理に時間がかかる > 文字を音声入力する  音声で文字を入力します。 1.メモ等のアプリをタップします。 2.キーボードの左下(端末やOSのバージョンによって位置が異なります)にあるマイクボタンをタップします。 3.タブレットに向かって話し始めます。 4.話し始めるとすぐに文字が画面に表示されます。  タブレットが聞き取った単語がはっきりしない場合は、テキスト化した単語の下に青いラインが表示されるので、正しいかどうかを確認できます。 入力した文字を訂正したい場合は、下線が引いてある単語をタップし、候補から正しいものを選択します。単語を入力し直すには、その単語を ダブルタップし、マイクを押して再び音声入力します。 一度に音声入力できる時間は限られています。一節を入力し直すには、再入力したい部分を選択してから、マイクを押して再び話します。 文字列を追加するには、追加したい場所をタップしてからマイクを押して再び話します。修正するときは、手入力で行うことも可能です。 > 句読点を挿入する/書式を設定する  句読点を入力したい場合は、その句読点を読み上げます。たとえば、「今日は 点 調子が良いです まる」と話せば、 「今日は、調子が良いです。」と入力されます。 句読点や書式設定のコマンドには以下のようなものがあります。 ※オフラインでの音声入力に対応していない言語も一部あります。 ≪就労における活用シーン≫ > 上司から受けた指示をメモにする  上司から指示を受ける際、メモアプリを開き、音声入力状態にします。上司から指示を受けたことをそのまま復唱すれば、 音声入力により指示内容をテキスト化することができます。音声を録音すると後から振り返りがしにくいと思いますが、 音声入力の場合テキスト化されるため、後から内容を視覚的に見返すことができます。また、文字として記録できるので、 後からキーワード検索がしやすいというメリットがあります。 > 筆記用具を持っていないが、メモに残したい場合  タブレットがあれば音声入力ができますので、仮に筆記用具がなくても文字で記録を残すことができます。一方で、 周囲の雑音の影響や発話が不明瞭な時に、音声を文字に正しく変換できない場合があります。 No.9 ボイスメモ  会話や他者からの伝達内容をタブレットに録音することができる機能です。 キーワード:覚えられない > 録音の仕方 1.「ボイスメモ」アプリをタップします。 2.画面中央下部にある●録音ボタンをタップするか、ヘッドセットのセンターボタンを押します。 ※録音レベルを調整するには、マイクを録音対象に近付けたり離したりします。 3.停止ボタン をタップして録音を停止します。 4.録音したものは「新規録音」という名前で保存されます。 ※「設定」 >「プライバシー」で「位置情報サービスをオンにする」がオンになっている場合は現在地の名前で保存されます。 5.名前を変更するには、録音をタップしてから、名前をタップして新しい名前を入力します。 図 47 ボイスメモの画面 > ボイスメモで録音を再生する 1.[ボイスメモ]をタップします。 2.再生コントロールを使用して再生します。 ≪就労における活用シーン≫ > 口頭で受けた指示を録音し、後から聞き返す  職場では、上司から口頭で指示を受けることがあります。ボイスメモがあれば、メモを書かなくても、録音した内容を後で確認することができます。 また、指示された内が複雑で、理解が追い付かないときにも、ボイスメモがあれば、あとからゆっくり聞き返して内容を整理することができます。 > 聞き取った内容が正しいか確認する  記憶障害を有する場合、一度言われたことを忘れた場合には、もう一度聞いて確認することが必要です。しかし、 相手が忙しい場合やなかなか会えない間柄の場合には、ボイスメモを使用することで、後から繰り返して、会話の内容を確認し、 記憶の想起を助けることがあります。なお、ボイスメモを使用する際には、相手に一言断ってから使用することが大切です。 No.10 連絡先  「連絡先」アプリに写真を登録することで、顔と名前をスマートフォンに登録することができます。 キーワード:覚えられない > 連絡先の登録 1.「連絡先」アプリをタップし、をタップします。 図 48 「連絡先」アプリ 2.氏名等必要な情報を入力します。 3.写真を撮影したり、「写真」アプリから写真を追加することもできます。 4.完了したら、「完了」をタップします。 図 49 連絡先写真登録画面 ≪就労における活用シーン≫ > 同僚の名前と顔を一致させる  記憶障害者の中には「受障後に知り合った人の名前や顔がなかなか憶えられない」ことを自覚している方がいます。 「連絡先」アプリは通常名前と電話番号を一致させるために使われますが、写真を登録することもできます。写真を登録することで、 名前と顔を紐付けられ、後から見返して記憶の想起に役立てることができます。顔と名前だけでは、情報が足りない場合は、 その人の所属先(例えば支援機関の名前、医療機関の名前)、住所等も合わせて入力しましょう。アプリであれば入力項目があるので、 必要な情報を漏れなく入力することができます。表示画面が整理されているので、後から見直しがしやすい点がアプリ活用のメリットと言えます。 No.11 Office Lens  紙の文書を撮影して、イマーシブリーダー機能を使うことで、画像から文字を抽出してテキスト化することができます。 文字の大きさや背景の色を変えたり、音声で読み上げさせることができます。  ※「Office Lens」アプリは、App Storeからのダウンロードが必要です。 キーワード:書類を読むのが苦手 ≪事前準備≫  > アプリのインストール 1.「App Store」アプリを開きます。 2.検索をタップします。 3.検索バーに「Office Lens」と入力します。 図 50 App Storeの検索画面 4.入手をタップします。(インストールが始まります。)  > 書類のキャプション 1.「Office Lens」アプリをタップします。 2.「ドキュメント」、「ホワイトボード」、「名刺」、「写真」からキャプションしたいものを選択します。(書類の場合は、「ドキュメント」を選択します。) 3.オレンジ色の枠内に書類を収めます。 4.シャッターをタップします。 5.完了をタップします。 図 51 Office Lensで書類を撮影 6.イマーシブリーダーをタップします。 ※イマーシブリーダーを使用するためには、マイクロソフトにアカウント登録する必要があります。 7.書類がテキストデータに変換されます。 図 52 紙文書のテキスト化 8.?ボタンを押すと音声で読み上げます。 ≪就労における活用シーン≫ > 配付された書類を読み上げてほしいとき  「Office Lens」アプリを使うことで、配付された書類をタブレットが読み上げてくれます。書類を読むこと(視覚的な情報処理)を苦手としている場合、 聞くこと(聴覚的な情報処理)で理解度が変わることがあります。視覚的な情報処理を苦手とする高次脳機能障害者や発達障害者にも効果的な  アプリケーションですが、視覚障害者の支援にも効果的です。 No.12 ヘルスケア  「ヘルスケア」アプリがあれば、健康に関する情報管理を簡潔に行うことができます。健康の長期的な傾向を見ることも、一日ごとの幅広い詳細なデータを チェックすることもできます。  ※「ヘルスケア」アプリはスマートフォンのみのアプリです。 キーワード:体調管理 > > 1日の歩数を把握する 1. 「ヘルスケア」アプリをタップします。 2. すべてのヘルスケアデータを表示をタップします。 3. 歩数をタップします。 4. 一日の歩数、前日との比較、1週間の平均歩数等を確認することができます。 5. 「ヘルスケア」アプリをタップした後の画面を表示させるためには、スクロールして下方に画面を遷移し、オプションのよく使う項目に追加の☆をタップします。 6. 概要に歩数が表示されます。 ※スマートフォンを持って歩行すると、自動的に歩数がカウントされます。自分で歩数を入力する必要がありません。 図 53 歩数の表示 図 54 歩数の比較 > 毎日の血圧を記録する 1. 「ヘルスケア」アプリをタップします。 2. 下部のブラウズをタップします。 3. 心臓をタップします。 4. 血圧をタップします。 5. スクロールして下方に画面を遷移し、オプションのよく使う項目に追加の☆をタップします。 6. 記録する際は、データを追加をタップします。 7. 血圧の最高値、最低値を入力します。 8. 記録は日、週、月、年単位で確認できます。 > その他の数値を記録する 1. 「ヘルスケア」アプリをタップします。 2. 下部のブラウズをタップします。 3. 任意の項目をタップし、オプションのよく使う項目に追加の☆をタップします。 4. 記録する際は、[データを追加]をタップします。 ≪就労における活用シーン≫ > 再発予防に取り組みたいとき  受障後の日常生活において、健康を保つためには長期的な視点が必要です。「ヘルスケア」アプリのグラフを確認することで、 健康に関する長期的な傾向をすばやく把握することができます。「ヘルスケア」アプリの記録を継続することで、コレステロール値や血圧等が 数年間でどう変化したか確認することが容易になります。数値は日、週、月別にチェックすることもできます。 > 日々の活動を記録したいが、失念してしまう  体調管理を目的として、日々の歩数や運動歴を記録用紙に記録することは容易なことではありません。 大多数の方は、普段スマートフォンを持ち歩く習慣があると思います。スマートフォンであれば、持ち歩くだけで歩数を記録し、 蓄積されたデータを様々なグラフで表示することができます。 【参考ホームページ】    障害者の補完手段としてATを活用した取組として、参考となる情報を以下に掲載します。 ◆DO‐IT Japan  障害や病気のある子どもたち、若者たちが「学校で自らのニーズに適した方法で学ぶ権利を得ること」、「初等教育から、 中等教育や高等教育へ進学すること」、「学校教育を卒業した後、社会で活躍するリーダーとなること」を応援するプログラムです。 参加者に向けたテクノロジー活用の研修や、大学での学びや親元を離れた自立生活の体験、企業や大学でのインターンシップや 国内外での研修といった学びの機会を提供しています。(ホームページから抜粋、引用) https://doit-japan.org/ ◆学際バリアフリー研究プロジェクト(通称AT2ED エーティースクウェアード)  福祉機器情報、メーカー情報、研究者情報等のデータベースを公開しています。 http://at2ed.jp/ ◆ATACカンファレンス  コミュニケーション技法(AAC)や支援技術(AT)に関して実践的、体系的に学ぶことのできるカンファレンスです。 毎年開催されるATACカンファレンスでは、セミナーや電子情報支援機器の展示会等があります。 https://atacconf.com/ ◆中央障害者雇用情報センター  特例子会社の経営等の経験や、就労支援機器に関する資格を有する障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、事業主の方に対して、 障害者の雇用に関する各種相談や援助を行っています。 http://www.jeed.or.jp/disability/employer/employer05.html ◆就労支援機器のページ  障害者の就労を支援する機器を、製品ごとに写真等を使用して紹介しています。  また、高齢・障害・求職者雇用支援機構では、これらの就労支援機器を、障害者を雇用する事業主や事業主団体に対し 、原則として一定期間、無料で貸出しする事業を行っています。 https://www.kiki.jeed.or.jp/   ◆テクノロジーを活用した発達障害のある人の就労マニュアル  発達障害のある人へのテクノロジーの活用について、実態調査の内容を分析し、障害による困難を事例ごとに「出社前-通勤」、 「事務・作業」、「休憩」、「接客・電話」、「会議」、「帰宅後」に分け、実際に行われた支援・環境調整を整理しています。 また、想定される適切な対応の提案等に分類し、障害による困難・課題・問題ごとに、研究会委員の専門分野の知識を基にした内容を加えて、 職業訓練や採用企業で活用できるマニュアルとして作成されました。 http://www.tetras.uitec.jeed.or.jp/research/detail?id=584 【寄稿】 「ICTを活用した高次脳機能障害者の就労支援」 滋慶医療科学大学院大学 准教授 岡耕平 PhD  障害というのは個人の中にあるわけではなく、個人と環境との相互作用によって現れるということがICFによって示された。 これはつまり、個人と環境との相互作用によっては「日常の活動への障害」や、「社会参加への障害」を取り除くことができるということである。 障害があるとされる人が就労においてICTを活用する意義とは、まさに環境を個人に合わせてカスタマイズすることでそういう日常活動や 社会参加の障害を取り除くことにある。ICT武装が障害を取り除くのである。  一般的に教育やリハビリや訓練というものは人を社会に合わせようとする考えが強い。これも間違いではないと思うが、 人はそれほど変われないものである。環境を変えるコストに比べたら、人を変える人的時間的コストは大きい。だからこそ、道具やテクノロジーを使い、 ルールを調整することで環境を人に合わせるほうが重要なのだ。とはいえ、どのような障害にどのような道具やテクノロジーが、あるいはどのようなルールの 調整が有効なのかということについては正解があるわけではない。結局、個別ケースによるということになってしまい、 専門的な知識がなければ途方に暮れてしまうばかりである。  この文章はきっと就労支援従事者の方が読むことがあるだろう。筆者が就労支援従事者に伝えたいのは、障害種別を拠り所にICTの活用を 検討するとうまくいかないということである。「高次脳機能障害」と診断された人で全く同じ症状の人を見つけることは困難だろう。 人の数だけ障害の種類がある、という人もいる。しかし、字が書けなくて困っている。人から聞いた話をすぐに忘れてしまって困っている、 予定を忘れてしまって困っている、言いたいことはあるのにうまく言葉で伝えられず困っている、といったように「困る場面」においては多くの人に 共通するパターンが見られる。だから、就労支援従事者は障害種別に対してICTをどう使うかという観点ではなく、どんな困る場面に対して どんな(ICTによる)解決策があるかという観点から情報を整理していただきたい。  他方、この文章は高次脳機能障害があると診断された方も読まれることがあるだろう。以前は苦労なくできていたことがうまくいかない、 練習してもうまくできるようにならない、そういう状態に歯痒い思いをされる方は少なくないのではないかと思う。そのような方に伝えたいのは、 何かがうまくいかないときには「目標を変える」というやり方と「(目標を変えずに)手段を変える」というやり方の2つがあって、 自分がいま取り組んでいるのがそのうちのどちらのやり方なのか、自覚しておくことが大切だということだ。以前できたことをもう一度できるようになりたいと 思うのはとても自然なことで、それがうまくいかないので悩み、自信をなくすことになってしまう。多くの人はそこで「目標を下げる」というやり方を選択する。 これは生活の中ではとても大切なことで、自分の負荷を下げることで楽に生きられるようにするということは重要である。ただ、そこに納得がいかないこともあると思う。 そういうときに目標を達成するための「手段を変える」という方法をとることも大切かもしれない。山登りに例えると、同じ山頂を目指すのに以前と同じ ルートを選ぶ必要はない。別のルートで山頂を目指すという選択肢もある。  ここで改めて就労支援におけるICTの活用の話に戻そう。就労支援における「合理的配慮」について、その配慮には2種類あるということを支援者側も 当事者側も知っておくことが重要である。それは先に述べた「目標を変える(主には目標のレベルを下げる)」という調整と、「(目標を変えず)目標達成のための手段を変える」 という調整である。前者をモディフィケーションといい、後者をアコモデーションという。どちらも重要なアプローチではあるが、 優先的に検討していただきたいのはアコモデーションである。みなさんが想像されているよりもおそらく近年のICTは進歩している。 自分自身の能力のみで何かがうまくいかなかったとしてもICTの能力と自分の能力を組み合わせることで、ひとりでできることの範囲を広げることが可能な社会に既になってきている。  アコモデーションの課題は「試してみないと本当にそれが有効かどうかわからない」ことにある。だからこそ、支援者側は対象者にたくさんの アコモデーションを試す機会を設けて欲しいし、当事者側にはいろいろ試して「この方法ならできる」という方法を経験して欲しいと思う。 大切なのは、何ができないかではなく、どうすればできるかということであり、どうすれば苦手なことをやらずに済ませられるかということである。 もちろん、ICTは万能ではなく、即効性のある特効薬でもない。ICTを使うための練習もいるだろう。ただ、その練習は「いつできるようになるかわからない」 ものではない、そういうものであってはいけない。先ほどの山登りの例で言うならば、山頂がどこにあるのか、今自分がどれくらい山頂に近づいているのか わかるようになっていないといけない。人は見えないゴールに対して頑張ることはできないものである。だからこそ、いろいろ試して、これならいけるかもしれないと 思える方法を見つけられる機会が重要になる。  こういう困る場面ではこういうICTが使えるかもしれないとあたりをつけることは一般の人には難しい。そういうアイデアや専門知識がないためである。 だからこそ、本書を利用して欲しい。本書の内容に加えてもう少し情報が欲しい方には筆者が以前まとめた「テクノロジーを活用した発達障害のある人の ための就労マニュアル」(このタイトルをネットで検索していただければダウンロードリンクが見つかる)や東京都障害者IT地域支援センターのウェブサイト tokyo-itcenter.com 等が役に立つかもしれない。最近ではスマートフォンやタブレット端末の機能やアプリケーションで、すぐ手に入り気軽に 試すことのできるものは増えている。気軽に試し、ICT武装で自分に合った環境を作り上げると良い。  高次脳機能障害のある人にとって重要な課題になるのが、日常生活と就労である。この2つは分けて考える必要はなく、むしろライフスキルと就労スキルを 関連させて考える必要がある。生活場面においても就労場面においても、個人が困る場面は大体共通する。この個人が困る場面を朝から晩まで時系列に沿って 整理してみると良いと思う。朝ごはんの準備に時間がかかるとか、忘れ物をしてしまうとか、人混みの中を歩けないとか、メモをうまくとれないとか、 人の話が理解しにくいとか、そういった困る場面はおそらく10から20くらいに収まるだろう。だとすれば、それら困る場面ひとつひとつに解決策を用意すれば良い。 自分で用意できない時には、支援者や同僚そして家族の力を借りるのも良い。多くの周囲の人は何もしてくれないのではなく、どう力を貸せば良いのか わからないから何もしないというケースが多い。どんな場面でどう困るのか、整理して人に伝えるだけでも前進である。  社会学者の星加良二さんが「障害とは不利益の集中である」という話をしてくれたことがある。つまり、目が見えないとか、耳が聞こえないとか、 そういうことが「障害」なのではなく、目が見えないことによって自分だけが活動できなかったり、参加できなかったりするという「不利益がいつも自分に集中して 起こることこそが障害」だというのだ。この考え方は重要だと思う。目が見えない、耳が聞こえない、といったことはどうすることもできない場合が多い。 しかしながら「その人に不利益を集中させない」という目標であれば、やりようはある。その方法のうち最も有効なもののひとつがICTであろう。 高次脳機能障害のある人にとって、不利益を集中させないためのツールとしてICTが活用されることが当たり前の社会にしなければならない。 索引 困り感キーワード検索   機能 掲載ページ 見落とし(ミス)がなくならない 漢字が読めない 入力が苦手、書くことが苦手 覚えられない 集中できない 疲れやすい 処理に時間がかかる 言葉が出てこない 必要な情報に注意を向けられない イライラする 文字や写真だけではイメージしにくい 計画が立てられない Windows 読み上げ  14 ● ●             ●       音声入力(音声認識)  16     ●                   タイムライン  18       ●                 タッチキーボード  20   ● ●                   集中モード(Focus Assist)  22         ●               拡大鏡  23 ●         ●             ハイコントラストの調整とカラーフィルター  25           ●             キーボードやマウスのテクニック  27             ●           単語登録  29     ●       ● ●         キーボードショートカット  31             ●           スタートメニューのカスタマイズ  33                 ●       iOS メモ  38       ●               ● カレンダー(スケジュール)  42       ●               ● リマインダー(タスク管理)  44       ●                 アラーム  47           ●       ●     カメラ(写真)  49       ●                 カメラ(動画)  51       ●             ●   Map  53       ●               ● 音声入力  55     ● ●     ●           ボイスメモ  56       ●                 連絡先  57       ●                 Office Lens  58   ● ●                   ヘルスケア  60           ●              目的別索引  目的   ページ 目視以外の方法で見直ししたい…………14 聞いた方が理解しやすいので、文書を読み上げてほしい…………14 読めない漢字でも入力したい…………14、20 上司からの口頭指示をメモしたい…………16 文書やメールを作成したい…………16、29 入力をできるだけ素速くしたい…………16、29 昼休憩の後に、午前中どのような作業を行っていたのか思い出したい…………18 一日の取組み状況を振り返り、作業日誌の作成に役立てたい…………18 集中して仕事に取り組みたいとき、作業のメリハリをつけたいとき…………22、33 疲れを予防したい…………23、25 小さい文字を識別したい…………23 片手でもスムーズにキーボードの操作をしたい…………27 誤入力を少なくしたい…………27 マウスの操作を工夫したい…………27 入力作業をするときに作業の効率を上げたい…………27、29、31 スキャンした文書に注意点を書き込みたい…………38 書類の整理や検索が苦手なので対処したい…………38 麻痺の影響で紙に文字を書きにくい…………38 写真や動画を使った作業手順書を作成したい…………38、51 スケジュールを通知してほしい…………42、44 日々のスケジュールを管理したい…………42 複数の仕事を忘れないようにしたい…………44 決められた時刻や場所に着いたらお知らせを送ってほしい…………44 生活習慣を維持したい…………47、60 アラームを鳴らして休憩を促してほしい…………47 話し合った内容や必要な情報を写真で記録したい…………49 作業の途中経過を写真に撮って、どこまで何をしたのか覚えておきたい…………49 タイムラプスで動画を撮影し、一日の様子を把握したい…………51 作業の動作をスローモーションで撮影し、作業のコツを掴みたい…………51 朝夕の通勤時間を見積もりたい…………53 目的地までの経路を検索したい…………53 筆記用具を持っていないが、メモに残したい…………55 聞き取った内容が正しいか確認したい…………55、56 口頭で受けた指示を録音し、後から聞き返したい…………56 同僚の名前と顔を一致させたい…………57 配付された書類を読み上げてほしい…………58 再発予防に取り組みたい…………60 日々の運動を忘れずに記録したい…………60 【コラム一覧】 音声認識をうまく使うコツ・・・・・・・・・・20 記憶障害とは・・・・・・・・・・22 IME手書きとの違い・・・・・・・・・・24 高次脳機能障害と疲労の関係・・・・・・・・・・26 物理的な環境調整・・・・・・・・・・33 メモリーノートをタブレットで代替した時にできること(まとめ)・・・・・・・・・・46 睡眠はとても重要!睡眠と高次脳機能障害の関係・・・・・・・・・・52 タブレットを用いたビデオフィードバック・・・・・・・・・・57 遂行機能障害とその補完手段・・・・・・・・・・59 引用文献 [1] 原 寛美, “記憶障害のリハビリテーション,” BRAIN and NERVE, 第70巻, 第 7, pp. 829-840, 2018. [2] 独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター, “高次脳機能障害の方への就労支援 支援マニュアルNo.1,” 2006. [3] 中島八十一, “高次脳機能障害の現状と診断基準,” 著: 高次脳機能障害ハンドブック―診断・評価から自立支援まで, 医学書院, 2006, pp. 1-20. [4] 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター, “高次脳機能障害者の働き方の現状と今後のあり方に関する研究,” 調査研究報告書, 第 121, 2014. [5] 中山 剛 他, “高次脳機能障害者の日常生活支援を目的としたPDA用ソフトウェアの開発,” 電子情報通信学会技術研究報告, 2004. [6] 中山 剛 他, “高次脳機能障害者の支援を目的とした携帯電話アプリケーションに関する研究,” 電気学会論文誌. C(電子・情報・システム部門誌), 2010. [7] 独立行政法人雇用・能力開発機構 職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター, “テクノロジーを活用した発達障害のある人の就労マニュアル,” 独立行政法人雇用・能力開発機構 職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター, 2010. [8] 中邑賢龍 近藤武雄 監修, 発達障害の子を育てる本 ケータイ・パソコン活用編, 株式会社 講談社, 2012. [9] 総務省, “平成30年度通信利用動向調査,” 総務省, 2019. [10] 岡 耕平, “タブレットPCやスマートフォンで変える特別支援教育,” 実践 特別支援教育とAT(アシスティブテクノロジー) 第2集, pp. 6-9, 2013. [11] 渡邉 修 山口武兼 橋本圭司 猪口雄二 菅原 誠, “東京都における高次脳機能障害者総数の推計,” Jpn Rehabili Med46, pp. 118-125, 2009. [12] 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター, “高次脳機能障害者のための就労支援~対象者支援編~ 支援マニュアルNo.11, ” 2014. [13] “Microsoftアクセシビリティホーム,” https://www.microsoft.com/ja-jp/enable/. [14] 櫻井利明, 楽して速いPCショートカットキー, 株式会社アントレックス, 2009. [15] 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター職業センター, “記憶障害を有する高次脳機能障害者の補完手段習得のための支援 実践報告書No. 30, ”2017. 発行日       令和2年3月 編集・発行 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構             障害者職業総合センター職業センター <所在地>〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 <電話> 043-297-9043(代表)  http://www.nivr.jeed.or.jp 1児童期や成人期においてよく使われる知能検査のひとつです。 2視覚や触覚で捉えられるものの有り様の把握のこと。 3 ウェルニッケ失語とも言い、話し方は滑らかですが、言い間違いが目立つ発話で、特に聴いて理解することの障害と真似して言うことの障害を特徴とします。 4システム手帳型の情報管理ツールです。高次脳機能障害の一つである記憶障害に対して用いられる補完手段の一つとして有効であると報告されています。 --------------- ------------------------------------------------------------ --------------- ------------------------------------------------------------ 5 64 68